この記事は、「都市計画法の流し読みテキスト②」の続きです。
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促進地区
都市計画区域では、市街地再開発促進地域、土地区画整理促進地域、住宅街区整備促進地域、拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域、等を定めることが出来ます。
要するに、どれも街並をきれいに整備することを促進するための地域です。
これらの名称を覚える必要はありません。
このように、色々な促進地域を定めることができると言う事だけ理解していれば十分です。
遊休土地転換利用促進地区
市街化区域内に存在する概ね5000平方メートル以上の規模の土地が、相当期間にわたって住宅や事業に使われておらず、それが周辺地域の土地利用を増進していく上で支障となる場合に定められる地区です。
市町村長から通知を受けた土地所有者は、このような遊休土地の利用、又は処分についての計画を届け出なければならなくなります。
被災市街地復興推進地域
大規模な震災等によって大きな被害を受けた地域を計画的に復興整備するためのものです。
指定された地域では、安全な計画管理をしていくために建築行為等が厳しく制限され、土地の造成や建築等については都道府県知事又は市長の許可が必要になります。
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都市施設と開発事業等
都市計画では、色々なことを計画できます。
法令上は、細かく記載されていますが、全てを覚える必要は無いので、概要だけ抜粋しておきます。
条文には、道路・公園・墓地・上下水道・ごみ処理・河川・教育施設・医療施設・団地等といった細かい記載が出来てきます。
要するに、都市に必要なものなら全て都市計画に定めることができると思っておけばOKです。
また、市街地開発事業として、土地区画整理事業・新住宅市街地開発事業・住宅街区整備事業・防災街区整備事業・工業団地造成事業等、色々な事業も計画することができるという事を知っておきましょう。
そして、市街地開発事業に係る都市計画には、施工予定者を定めなければいけません。
市街地開発事業を定めることができるのは、市街化区域又は区域区分が定められていない都市計画区域内に限られます。(都市計画法13条1項12号)。
それ以外の区域においては、用途地域が定められていたとしても市街地開発事業を定めることはできません。
ポイント 試験対策上は、このようなことが「できる」という肢に自信を持ってYESと回答できる知識さえあればOKです。この時点で正確に暗記する必要はありません。 試験で細かい知識を問われる可能性もありますが、この部分は過去問で出ている個所だけ学習すれば良いと思います。 比較的に出題の可能性が低い部分だと思います。
地区計画
役所で物件調査をしていると、対象物件が『地区計画』の中に該当している事があります。
地区計画とは、その地区における細かい変更計画です。
道路・建築物の容積・高度利用・用途・区画誘導・大規模建造物の整備・防災街区の整備等に関する事を必要に応じて計画します。
街を良くするために、部分的な地域での変更計画を実施していると思えば良いでしょう。
(以下、条文の要約・抜粋)
第12条の五 地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するための計画とし、次の各号のいずれかに該当する土地の区域について定めるものとする。
一 用途地域が定められている土地の区域
二 用途地域が定められていない土地の区域のうち一定の条件に該当するもの
ポイント
地区計画は、街をピンポイント的に改善させる計画なので、用途地域が定められていない場所でも要件を満たせば計画できるイメージをもっておくと良いと思います。
地区計画を定めると、計画書のようなものが役所に置かれます。
そこには、細かい制限内容等が記載されており、建築する人達に周知できるようになっています。
ですから、仕事上で地区計画がある物件を調査する時には、この書類を必ず貰うようにしましょう。
地区計画には、「地区計画の種類、名称、位置、区域」と「地区整備計画」を定めなければなりません。
その他、努力規定としてですが、面積の他、計画の目標や方針等も細かく定めることになっています。
近年では、地区計画についてWEBで閲覧できる場合も多いです。
地区計画に指定された地域では、原則として、「土地の区画形質の変更」・「建築物の建築」・「工作物の建設」を行う事ができません。
このような行為を行いたい場合には、建築行為に着手する30日前までに市町村長への届出が必要になります。
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都市計画事業
都市計画事業を行うのは、基本的には都道府県か市町村のどちらかです。
計画の内容によって、誰が行うのかが異なるという事です。
本試験対策としては、これを判別できるようにしておく必要があります。
二つの県をまたぐ場合だけは国土交通大臣が定めますが、広い範囲での事業は原則として都道府県が行うものだと覚えておきましょう。
街の状況や、細かな問題点を把握しているのは市町村ですよね?
ですから、市町村がやるべきなのは、用途地域や地域地区に関する事等、比較的小範囲の計画についてだということが想像できると思います。
元々市町村が定めることになっている場合を除き、地区計画等のような小さな範囲の事業は市町村が行います。
そして、市町村は、上級庁の定める計画に適合した事業を行わなくてはいけません。
もしも、市町村の計画が、都道府県の定めた計画に反する内容だった場合は、都道府県の計画が優先されます。
偉い人の言う事を聞かなければいけないのは、一般企業と同じだと覚えておきましょう。
都市計画事業の施工者
都市計画事業は、市町村が都道府県の認可を受けて施工します。
例外的に、国土交通大臣の認可を受ける場合もありますが、基本的には都道府県の認可です。
国土交通大臣の認可を受けて、都道府県が施工する事になっている規模の事業を、市町村に丸投げするような場合に、市町村は例外的に国土交通大臣の認可を受けるわけです。本来は自分の仕事ではないわけです。
また、市町村や都道府県以外の国の機関が、上級庁の認可を受けて施工することがあることも覚えておきましょう。
認可・承認の申請
認可や承認の手続きについては、ざっくりとした流れだけ把握しておき、細かい所は過去問で覚えていくのが良いと思います。
ここでは、簡単に説明しておきますので、さっと目を通してイメージだけ持っておきましょう。
申請時には、色々と細かい事項を提出することが決められています。
事業の名称の他、設計内容や期間、図面関係、資金計画等、ほぼ全てです。
施工予定者は、計画の告示をしてから2年以内に認可又は承認の申請をしなければいけません。
図面類等も含め、全ての準備が整ってからでないと申請できないので、告示から2年というのんびりしたルールになっています。
2年を過ぎてもこの認可又は承認が行われなかった時は、上級庁がその事実を公告します。
関係者に「うちの部下がヘマしました」と知らせるためです。
そして、この申請が進まなかったことによって損害を被った工事業者等があれば、施工予定者が賠償をすることになっています。
築地移転問題を見ていても分かる通り、行政が工事に着手するまでには計画を固める作業に時間がかかりますから、2年という期間が長いかどうかは微妙ですね。
公衆の縦覧
認可や承認をした上級庁は、この計画図書の写しを関係部署へ送付します。
そして、市町村長は、この図書の写しを市役所等の事務所で一般に配布できる状態にしておかなくてはいけません。
都市計画法の法令上では、「市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない」という表現になっています。
要するに、市役所で皆に配ってねってことです。
施工上の取り決め
都市計画事業の認可又は承認が行われると、該当する地域は事業対象地になります。
対象エリアでは、土地の造成や建築をしようとする者に制限をかけることができます。
つまり、都道府県の許可がなければ工事が出来ないという事です。
試験では、以下のような肢で正誤を問う形式で出題されることがあります。
都市計画事業の認可の告示があった後においては、当該事業地内において、当該都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更又は建築物の建築その他工作物の建設を行おうとする者は、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。
都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとす場合には、事前に当該事業の施行者に届けなければいけません。
土地建物の売買に許可などは不要ですが、持ち主が変わることを知らせる意味で届け出を義務付けています。
また、事業地内では、工事に支障のある土地の買収等を行う事もできます。
『立ち退き』というやつです。
又、建物の建っていない土地であれば、所有者側から土地の買い取りを請求することもできます。
まとめ|勉強のコツ
都市計画法は、まず言葉の意味を理解することが大切です。
次に、誰がどのように都市計画を立案し、誰が施工するのかを掴むことです。
そして、手続き等の細かい部分のポイントを過去問で確認していくといった流れです。
得点源として対策しやすい法令だと思いますので、過去問でしっかり復習しましょう。
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