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連帯債務と保証債務(民法)の宅建独学用 無料テキスト

連帯債務と保証債務は、売買の取引に関わりが深い部分で、本試験でも度々出題されています。

2020年4月の法改正後は、しばらく出題頻度が増える可能性がありますので、ピンポイントで無料テキストを作成しました。

 

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連帯債務

連帯債務とは、その名の通りに複数の人が連帯して債務の責任を負うことを言います。

つまり、債務に対する責任の度合いが同じなのです。

一般的には、連帯保証人と呼ばれることが多いです。

 

数人が連帯して債務を負担している場合、債権者は連帯債務者の誰にでも返済を請求できます。

これを、法律上では、「履行の請求ができる」という言い方をします。(第432条)

連帯債務者の一人に対して履行の請求をすれば、他の連帯債務者に対してもその効力が生じるのです。(第434条)

 

連帯債務者の中で誰かが法律行為の取り消し等を受けたとしても、他の連帯債務者の債務は消えません。(第433条)

 

債権者と連帯債務者の一人の間で更改(新しい契約に変えること)があったときは、更改前の債権は消滅します。

この消滅は、全ての連帯債務者に効力が及びます。(第435条)

 

連帯債務者の一人が、債権者に対して有する債権の相殺をした時も、全ての連帯債務者の債権が消滅します。

誰かが借金をクリアすれば、全員解放されるという事です。

条文では、「連帯債務者が相殺を援用(相殺を自分の助けにする)」という表現をしています。

 

(連帯債務者の一人による相殺等)

第436条 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。

 

営業マン
この部分の過去問です

平成29年度 出題(正解肢)

【前提条件】A、B、Cの3人がDに対して900万円の連帯債務を負っている。A、B、Cの負担部分は等しいものとする。

 

・Aが、Dに対する債務と、Dに対して有する200万円の債権を対当額で相殺する旨の意思表示をDにした場合、B及びCのDに対する連帯債務も200万円が消滅する。

 

 

(連帯債務者の一人に対する免除)

第437条 連帯債務者の一人に対してした債務の免除は、その連帯債務者の負担部分についてのみ、他の連帯債務者の利益のためにも、その効力を生ずる。

 

平成8年度 出題(正解肢)

【前提条件】AとBが、Cから土地を購入し、Cに対する代金債務については連帯して負担する契約を締結した場合で、AとBの共有持分及び代金債務の負担部分はそれぞれ1/2とする旨の約定がある。

 

・Cは、AとBに対して、同時に、それぞれ代金全額の支払いを請求することができる。

・Cが、Aに対し代金の支払いを請求した場合、その効力はBにも及ぶ。

・Cが、Aに対して代金債務の全額の免除をした場合でも、Bに対して代金の1/2の支払いを請求することができる。

 

(連帯債務者の一人との間の混同)

第438条 連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。

 

混同という言葉がピンとこない人もいると思います。

混同とは、「同一化」に近い意味の言葉です。

例えば、連帯債務者の一人が、債権者から債権を買い取った場合、債務者と債権者が同一化しますよね?

この状態は、弁済をしたのと同じだと言っているわけです。

 

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(連帯債務者の一人についての時効の完成)

第439条 連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる。

営業マン
条文の通りです

第441条 連帯債務者の全員又はそのうちの数人が破産手続開始の決定を受けたときは、債権者は、その債権の全額について各破産財団の配当に加入することができる。

 

(連帯債務者間の求償権)

第442条 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。

 前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。

営業マン
この条文は、過去問で確認したほうが早いです。

 

平成13年度 出題(正解肢)

【前提条件】AとBとが共同で、Cから、C所有の土地を2,000万円で購入し、代金を連帯して負担する(連帯債務)と定め、CはA・Bに登記、引渡しをしたのに、A・Bが支払をしない場合。

 

・BがCに2,000万円支払った場合、Bは、Aの負担部分と定めていた1,000万円及びその支払った日以後の法定利息をAに求償することができる。

 

保証債務

現在の住宅ローンを利用する際には、保証人が不要な場合がほとんどです。

これは、保証会社が保証人の代わりを果たす仕組みになっている為です。

ですから、保証債務の勉強をする際には、保証会社の役割だと思って学習するとイメージしやすいと思います。

(保証人の責任等)

第446条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

 

保証債務の最大の特徴は、主たる債務者(お金を借りた本人)が債務を履行しないときだけ責任を負うという部分です。

保証契約は、原則として書面で交わさないと効力を生じませんが、電磁的記録(WEB上での契約等)も書面と同じ効果が生じると認めています。

 

(保証人の要件)

第450条 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。

一 行為能力者であること。

二 弁済をする資力を有すること。

営業マン
どんな人が保証人として認められるのかを確認しておきましょう

 

(催告の抗弁)

第452条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。

 

保証人は、主たる債務者が債務を履行しないときだけ登場すれば良いわけですから、「まずは本人に催告してください」と突っぱねる(抗弁する)ことができるということです。

また、保証人が主たる債務者に弁済の資力があり、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行しなければなりません。(第453条)

 

保証人の請求又は証明があったにもかかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠った為、その弁済を得られなかった場合は、その分の義務を免れることができます。(第455条)

 

(主たる債務者について生じた事由の効力)

第457条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。

 保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる。

時効の中断とは、時効の進行をリセットする事です。

例えば、10年で時効消滅する契約だったとします。

債務発生から何年が経過していても、時効の中断があると、そこから10年が経過しなければ時効成立しないという事です。

時効の中断によって、経過時間だけ契約時に巻き戻されます。

 

 2020年法改正

(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)

第458条の2

保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。

 

2020年法改正

(主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務)

第458条の3

主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない。

2 前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない3 前2項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない。

 

期限の利益とは、「返済期限までは返さなくてもいい」という利益のことです。

返済期限を過ぎてしまうと、この利益が無くなり、追徴金や追加利息等が発生する可能性がありますので、保証人に通知しなさいと言っているわけです。

 

(委託を受けた保証人の求償権)

第459条 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。

 

要するに、保証人が弁済した時には、借金をした本人に対して求償できる権利が発生するという事です。

この求償権は、他の保証人(連帯保証人等)に対しても同じように発生します。

 

平成18年度 出題(正解肢)

【前提条件】A銀行のB社に対する貸付債権につき、Cは、B社の委託を受けその全額につき連帯保証するとともに、物上保証人として自己の所有する土地に担保設定している。DもB社の委託を受け全額につき連帯保証している。保証人各自の負担部分は平等である。A銀行とB、C及びDとの間にその他特段の約定はない。

・Cが、A銀行に対して債権全額につき保証債務を履行した場合、その全額につきB社に対する求償権を取得する。

・Cが、A銀行に対して債権全額につき保証債務を履行した場合、その半額につきDに対する求償権を取得する。

・Cが、担保物の処分代金により、A銀行に対して債権の3分の2につき物上保証に基づく弁済をした場合、Cが取得するB社に対する求償権は、A銀行のB社に対する貸付債権に劣後する。

劣後とは、債権の順位の事だと思ってください。

Cの求償権は、A銀行の債権に劣る順位だと言っています。

 

2020年法改正

(個人根保証契約の保証人の責任等)

第465条の2

1 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。

2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。

3 第446条第2項及び第3項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。

 

改正後は、根保証で保証人が個人の場合、極度額の定めが無い保証契約の場合には、借主に滞納などがあっても、保証人に請求できないということになっています。

 

2020年法改正

(個人根保証契約の元本の確定事由)

第465条の4

1 次に掲げる場合には、個人根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。

省略

2)保証人が破産手続開始の決定を受けたとき

3)主たる債務者又は保証人が死亡したとき

 

ポイント

債務者か保証人が死亡した時に、保証人が負うべき債務の額が確定することを覚えておくと良いと思います。

 

2020年法改正

(公正証書の作成と保証の効力)

第465条の6

1 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。

 

改正後の民法では、公正証書の作成が必要なのは、個人が事業のために負担した赤文字の保証人になる場合に限られるということです。

 

2020年法改正

契約締結時の情報の提供義務)

第465条の10

1.主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。

一 財産及び収支の状況

二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況

三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

2.主たる債務者が前項各号に掲げる事項に関して情報を提供せず、又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者がその事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み又はその承諾の意思表示をした場合において、主たる債務者がその事項に関して情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができる。

3.前二項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用しない。

 

借主は、保証人になってくれる個人に対し、借主の財産状況や現在の債務状況等の情報を教えなければなりません。

虚偽や誤認等によって保証契約が行われたときは、貸主が説明しなかったり、事実と違う事を伝えていた(又は知ることができた)場合に、保証人は保証契約を取り消しできます。

 

まとめ|勉強のコツ

本試験では、保証債務よりも連帯債務についての出題が目立ちます。

対策の優先順位としては、連帯債務の方が上だと考えて良いでしょう。

保証債務については、ポイントを絞ってまとめていますので、掲載していない条文もいくつかあります。(出題の可能性が低いと思う部分)

内容的にもボリューム的にも、民法の中では対策がしやすい部分だと思います。

過去問での事例が見つけにくいので、どんな形で出題されるか想像して学習しておくと良いと思います。

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