この記事では、平成29年以降に施行されている、宅地建物取引業法の主な改正点をまとめています。
試験対策として、頭の整理と、改正点のチェックのために役立ててください。
宅建業法は、宅建試験のメイン法令ですので、改正点についてはよく覚えておきましょう。
平成29年から平成30年施行の改正点
- 媒介契約締結時に、建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を依頼者に交付すること
- 買主等に対し、重要事項として建物状況調査の結果概要等を説明すること
- 売買等の契約成立時に、建物の状況について双方が確認した事項を記載した書面を交付すること
- 営業保証金制度等による弁済の対象から、宅地建物取引業者を除外すること
- 事業者団体に対し、従業者への体系的な研修の実施について努力義務を規定した
- 媒介契約を締結した宅建業者は、売買・交換の申し込みがあったときは、遅滞なく依頼者に報告しなければならないこと
- 取引相手が宅建業者の場合は、重要事項説明について書面の交付のみで足りるとしたこと
- 建物状況調査を実施する者は、国土交通大臣が定める講習を修了した建築士で、国土交通大臣が定める基準に従って行うこと
- 重要事項として説明対象となる建物状況調査は、実施後1年を経過しないもの
- 宅地又は建物の売買等に関しての報酬額について、価額(消費税を含まない)が400万円以下の低廉な空家等の売買又は交換の媒介で、通常より現地調査等の費用がかかるものについては、依頼者から受け取ることができる報酬額(消費税を含む)は、通常の計算方法により算出した金額と現地調査等に要する費用相当額を合計した金額以内(18万円の1.08倍相当額が上限)とされた
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建物状況調査の対象部位
施行日:平成30年4月1日
建物の構造耐力上主要な部分
住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるもの
雨水の侵入を防止する部分
- 住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具
- 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分
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インスペクションの意味と宅建業法の法改正
2018年4月1日施行の宅地建物取引業法の改正で、インスペクションについての規定が新設され、重要事項説明時の説明事項の一つに加えられました。 インスペクションについては、まだまだ知らない人も多い言葉で ...
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保存状況と維持保全の状況関する書類
保存状況の説明が求められる建物の建築及び維持保全の状況に関する書類
- 建築基準法による確認の申請書及び確認済証
- 建築基準法による検査済証
- 宅地建物取引業法による建物状況調査の結果の報告書
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律による既存住宅に係わる建設住宅性能評価書
- 建築基準法による定期調査報告書
- 昭和56年6月1日以降の耐震基準に適合したことが確認できる書類
標準媒介契約約款に追加された項目
- 建物状況調査を実施する者のあっせんの有無と、あっせんを行う場合は建物状況調査を実施する者をあっせんしなければならないことを追加
- 宅地建物取引業者の義務として、宅地又は建物に関し売買又は交換の申し込みがあったときは、その旨を報告しなければならないことを追加
- 媒介契約約款に暴力団等反社会的勢力排除条項を追加
令和元年施行の改正点
施行日:令和元年9月14日
成年被後見人等に関する改正
成年被後見人等を、欠格事由として規定する各制度について、心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査し、各制度ごとに必要な能力の有無を判断する個別審査規定を設けることとなりました。
具体的には、宅建業法の第5条(免許の基準)、第18条(宅建士の登録)等において欠格事由とされていた「成年被後見人又は被保佐人」が削除され、以下のように修正されています。
「心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者」、「心身の故障により宅地建物取引士の事務を適正に行うことができない者」等として、国土交通大臣で定めるものが加えられました。
国土交通大臣で定めるものについては、「精神の機能の障害により宅地建物取引業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」等とし、国土交通大臣又は都道府県知事は、免許申請者等に対し、これに該当しないことを証明する根拠として、必要と認める書類を提出させることができることになりました。
この際の提出書類は、後見等登記事項証明書並びに市町村の長の証明書、医師の診断書のいづれかとされています。
また、この改正に伴い、未成年者を除く個人の宅地建物取引業者が宅地建物取引業の業務に関して行った行為は、行為能力の制限によって取り消すことができないという規定(第47条の3)が設けられました。
消費税についての改正
消費税等の税率引き上げに伴い、令和元年10月1日(施工日)から、報酬額の算定に係わる割合(料率)等が改正されました。
令和2年施行の改正点
施行日:令和2年4月1日
民法(債権法)改正に伴う業法改正
「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へ改正されたことで、宅建業法にも影響が出てくる部分があり、改正が行われました。
宅建業者が自ら売主となる場合の手付解除について、「倍額を現実に提供して」とされ、口頭の提供では足りないことが明確にされました。(改正前は、「倍額を償還して」でした)
さらに、契約の解除についても「相手方が契約の履行に着手した後は」手付解除ができないこととなりました。(改正前は、「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」でした)
つまり、自らが履行に着手していても、相手方が契約の履行に着手するまでは手付解除ができることが明確にされたわけです。
参考
実務上では、「瑕疵」から「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合」という表現への変化が、契約書や、売主等による告知書等の記載事項に影響してきます。
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契約不適合責任と瑕疵担保責任の違い
2020年4月に民法が大幅に改正されます。 しかも、不動産関係者や宅建受験生にとって、間違いなく大きな影響が出てくる内容です。 中でも特に重要なのが、「瑕疵」という概念が使われなくなった事です。 この ...
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暗号資産に関する改正
施工日:令和2年6月6日
2020年度の宅建士試験の試験範囲には含まれません。
金融商品取引法が改正され、金融商品に暗号資産が加えられました。
これに伴って、金融商品取引業者又は金融商品仲介業者である宅地建物取引業者が売主となる不動産信託受益権等の譲渡に「暗号資産を対価とする譲渡」が含められることになりました。
また、代理又は媒介をする不動産信託受益権等の売買に「暗号資産を対価とする譲渡又は譲受け」が含まれることとなっています。
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2020年宅建の法改正ポイント
この記事では、2020年度の宅建本試験に影響のある改正点についてまとめています。 受験生達にとって、改正点は毎年の関心事だと思いますが、今年は民法大改正の影響で、その比重が高い年となっていますよね。 ...
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まとめ
この記事では、宅建業法の直近の改正点だけをまとめました。
宅建士の試験だけではなく、実務上での確認にも使っていただければ幸いです。
特に、瑕疵担保についての変更部分については、記載方法等が大きく変化しますので、注意しましょう。