宅建独学 法改正

2020年宅建の法改正ポイント

この記事では、2020年度の宅建本試験に影響のある改正点についてまとめています。

受験生達にとって、改正点は毎年の関心事だと思いますが、今年は民法大改正の影響で、その比重が高い年となっていますよね。

2020年度の宅建試験対策では、法改正に伴う勉強範囲の変更点と、その他の法令との関係性も重要です。

受験生の参考になる情報をまとめておきますので、勉強に役立ててください。

 

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宅建の改正ポイント

2018年7月、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)」が成立し、公布されました。

詳細は、法務省のサイトで確認できます。

 

宅建試験での出題範囲は、試験実施年度の4月1日時点で施行されている法令が対象となります。

つまり、2020年4月1日までに施行される法改正は、2020年度の試験対象ということですので、本格的な学習は、4月1日以降に開始する人も多いかもしれませんね。

 

相続関連の改正内容

民法改正の中でも、相続に関する部分は試験対策としてかなり重要ですので、別にして説明しておきたいと思います。

相続の法改正内容については、主に以下の5つになります。

  1. 配偶者住居権が創設
  2. 自筆証書遺言の財産目録がパソコンで作成可能(施行済)
  3. 法務局で自筆証書遺言の保管制度を開始
  4. 介護や看病をした親族の金銭請求権が可能
  5. 相続預貯金債権の仮払い制度の創設

 

この中で、自筆証書遺言の方式緩和(2番目)については、先行して平成31年1月13日から施行されています。

 

1.配偶者住居権の創設

被相続人(死亡した人)の配偶者が、親族から不当な権利の侵害を受けないよう、民法で保護を強めた格好です。

相続問題では、親族間でのトラブルが多く、他人以下の扱いを受けるケースも後を絶ちません。

 

お金に目がくらんだ心無い親族達から家を追い出されてしまう配偶者がいたら、かなり気の毒ですよね。

こんな人を保護するために創設された制度が、配偶者住居権だと考えれば理解しやすいと思います。

 

配偶者住居権は、相続開始時に該当建物に住んでいた配偶者が、終身または一定期間、その建物を無償で使用することができる権利です。

具体的には、建物についての権利を「配偶者居住権」と「負担付きの所有権」とに分類します。

 

こうすることで、遺産分割の際に、配偶者は「配偶者居住権」を取得し、配偶者以外の相続人が「負担付きの所有権」を取得することができるようにしました。

「この家は売って金にするから、早く出ていけ」等と言われても、対抗できるように法整備したという事です。

 

配偶者居住権は、要するに「既存自宅に住み続けることができる権利」ですが、完全な所有権ではありません

ですから、所有権の場合と違い、第三者への売却や、賃貸借による利益を受けることができないことになっています。(保護目的であって、収益権を認める趣旨ではないから)

その分、対象配偶者には、当該不動産の相続評価額を低く抑えられるようになっています。

 

2.自筆証書遺言の緩和措置

自筆証書遺言の方式緩和措置」については、2019年度の宅建試験の出題範囲でもあったので、既に学習している人もいると思います。

2020年度についても、試験範囲に含まれる箇所ですので、要注意です。

 

改正前の自筆証書遺言では、書類を自書によって作成する必要がありました。

現在は、パソコンで書類を作成するのが一般的ですから、これに対応すべく改正されたというわけです。

 

今回の改正により、遺言書に添付する相続財産の目録は、財産目録の各ページに署名押印すれば、パソコンで作成しても良いということになりました。

各ページに署名押印があれば、通帳をコピーして添付することも許されます。

 

3.法務局が自筆証書遺言を保管

これまで、公正証書ではない遺言書については、自宅に保管されるのが常識でした。

しかし、紛失や不正な書き換えの問題も多いのが実情だったのです。

相続紛争を防止するという社会的要請に答える形で、法務局で自筆証書遺言の預かり業務が開始されます。

 

税法改正によって、相続対策を考える人は確実に増加しています。

今まで以上に「遺言」の効果に注目が集まるでしょうし、この制度を利用してトラブルを防ごうと考える人も増加していくはずです。

試験対策的にも、重要な部分と考えて良いと思います。

 

4.親族の金銭請求権

長男の妻等、血のつながりがなくて相続人になれない親族が、被相続人の介護や看病をさせられるケースは多いです。

しかし、これまでの法律では、このような人達が遺産を受け取る権利が発生せず、不公平な実態がありました。

 

このような不公平を解消するために、相続人ではない親族でも、以下のようなケースに該当すれば、金銭の請求ができるようになります。

  • 無償で被相続人の介護や看病に貢献した
  • 被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした

 

5.預貯金債権の仮払い

これまでは、当面の生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済についての払い戻しは不可能とされてきました。

被相続人に関するお金が必要になっているのに、相続人は遺産分割が終了するまで預貯金の払戻しができない、という問題があったのです。

 

そこで、このような相続人の資金事情に対応するために「預貯金債権の仮払い」が認められるようになります。

改正後の民法では、遺産分割前にも預貯金債権の中から一定額について(家庭裁判所の判断を経ずに)金融機関で払戻しができるようになります。

 

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民法の改正点

債権関係の規定は、明治29年(1896年)に民法が制定されて以降、大きな改正が行われることがないまま、約120年間が経過していましたので、今回の改正の意味は大変に大きなものです。

 

民法の改正ポイントいについては、以下の記事で個別に取り上げていますので、まずはこちらからチェックしてみてください。

民法の主な改正点(2020年4月)

2020年度の宅建試験対策として、民法大改正の影響は大きなものがあります。 民法だけに留まらず、宅建業法への影響が及ぶ部分もあり、今年の試験対策は例年以上に苦労する部分がありそうです。 宅建(不動産取 ...

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契約不適合責任と瑕疵担保責任の違い

2020年4月に民法が大幅に改正されます。 しかも、不動産関係者や宅建受験生にとって、間違いなく大きな影響が出てくる内容です。 中でも特に重要なのが、「瑕疵」という概念が使われなくなった事です。 この ...

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これ以外の部分でも、影響の大きな改正が行われていますが、これについてはテキスト作成(修正)と並行して、追記的にアップしていきたいと思います。

 

建築基準法の改正点

公布:令和元年6月19日(水)/施行:令和元年6月25日(火) 

概要については、以下の通りです。

 

(1)密集市街地等の整備改善に向けた規制の合理化         

防火地域や準防火地域における延焼防止性能の高い建築物について、建蔽率を10%緩和するとともに、技術的基準を新たに整備

(2)既存建築物の維持保全による安全性確保に係る見直し        

既存不適格建築物に係る指導・助言の仕組みを導入。

また、維持保全計画の作成が必要となる建築物等の範囲が拡大。  

(3)戸建住宅等を他用途に転用する場合の規制の合理化       

耐火建築物等としなければならない3階建の商業施設、宿泊施設、福祉施設等について、200㎡未満の場合は、必要な措置を講じることで耐火建築物等とすることを不要とする。

また、200㎡以下の建築物の他用途への転用は、建築確認手続きを不要とする。  

(4)建築物の用途転用の円滑化に資する制度の創設 

既存建築物について二以上の工事に分けて用途の変更に伴う工事を行う場合の全体計画認定制度を導入。

また、建築物を一時的に他の用途に転用する場合に一部の規定を緩和する制度を導入。

(5)木材利用の推進に向けた規制の合理化

耐火構造等としなくてよい木造建築物の範囲を拡大するとともに、中層建築物において必要な措置を講じることで性能の高い準耐火構造とすることを可能とする。ま

た、防火・準防火地域内の2m超の門・塀について一定の範囲で木材も利用可能とする。 

(6)用途制限に係る特例許可手続の簡素化     

用途制限に係る特例許可の実績の蓄積がある建築物について、用途制限に係る特例許可の手続において建築審査会の同意を不要とする。  

(7)その他所要の改正

 

宅地建物取引業法の一部改正

改正前の宅建業法では、「成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの」は欠格事由になっていました。

令和元年914日から施行された改正法では、欠格事由等から「成年被後見人又は被保佐人」という表現が削除されています。

 

令和元年9月の改正では、この部分が「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」に変更されました。

人権を尊重し、不当に差別されることの無いように配慮する趣旨です。

 

宅建業法上において、成年被後見人や被保佐人を一律に欠格者として扱うのではなく、「心身の故障により指定流通機構の業務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの」に該当した者という表現に変更しています。

 

免許や宅建士の登録の他、指定機関についての条文等において、全て同じような表現に書き換えられています。

このポイントを抑えておけば、令和元年9月の法改正には対応できると思います。

 

また、2020年4月1日には、民法改正に合わせて宅建業法第40条等に改正が行われると思われます。

この部分については、4月前後に追記掲載したいと思います。

 

まとめ

2020年度の宅建試験は、法改正部分からの出題が増加すると考えて良さそうな内容だと感じた人も多かったのではないでしょうか。

特に、民法上で「瑕疵」の概念が「契約不適合責任」に変更された点は、不動産取引に大きな影響が生じる部分で、深い理解が必要になります。

必ず出題されると考えて学習しておきましょう。

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