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不動産営業の仕事で流した涙

tearsこの記事では、売買仲介営業と顧客との間に発生した、仕事上での感動体験についてご紹介したいと思います。

文章だけではなかなか伝わらない部分もあると思いますが、特に印象に残っている経験をまとめてみました。

これから転職を考えている方々が、この仕事に魅力を感じてもらえるきっかけになれば嬉しいです。

 

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Aさんのケース

Aさんは、将来に自宅1階を事務所に改築して独立を果たしたいと考えている顧客でした。

この手の話は、契約にならない事が多い為、ベテランからは倦厭されがちです。

Aさんは、人柄の良さそうな男性でした。

自分との相性の良さを感じた私は、Aさんの話を真剣に聞きました。

 

Aさんは、他社でも相談したことがありましたが、あまり親身になって相手をしてくれる営業がいなかったようです。

独立を見据えているので、駅からは近いほうが良いと考えていましたが、予算的に難しいということもあり、相手にされなかったのだと思います。

 

深まった関係

Aさんのような顧客には、資料を数回出してみて、それで買わなければ終了してしまうといった対応をする営業が多いかもしれません。

明らかに時間がかかる案件ですし、最悪の場合は中止になりかねない内容だからです。

それでも、私はコツコツとAさんの物件を探し続けていました。

 

すっかり打ち解けた関係になり、私も最後までお付き合いするつもりでいました。

それから数カ月が経過し、急に紹介できそうな物件が出てきました。

少し予算よりも高い物件でしたが、ご両親からの援助などもあり、Aさんはこの物件を購入することにしました。

 

Aさんがくれた涙

Aさんには子供が二人いて、どちらも小学生でした。

これからお金がかかる年頃なのに加え、新たな住宅ローンが始まります。

そして、Aさんには独立の夢もありますから、お金は1円でも多く貯めておきたいところだったでしょう。

そんな状況を知っていた私は、なるべく安い金利で借りられる融資先を探し、売主にも出来る限りの値引き交渉をしました。

 

営業なので仕事として当然のことですが、Aさんはとても感謝してくれました。

無事に引渡しが終わると、Aさんは私に手紙を渡し、『後で読んでください』と言いました。

Aさんと別れ、車の中でその手紙を開けてみると、そこには『これはあなた個人への感謝の気持ちです』とだけ書かれていました。

そして、封筒の中に10万円が入れられていました。

 

私は、Aさんの状況を知っているので、そのお金にどんな意味があるのか痛いほど理解しています。

当然ながら、こんなお金は必要ない事ですから、ご本人に丁重にお返ししました。

 

私は、Aさんの気持ちが本当に嬉しく、その場で涙をこぼしました。

今でも忘れることができない思い出です。

Aさんは、その後、無事に自宅での独立を果たし、今でもお付き合いを続けさせていただいています。

 

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Bさんのケース

Bさんは少し珍しいニーズのお客さまでした。

40代後半の独身男性でしたが、一戸建が欲しいと言う人でした。

結婚の予定はありませんが、賃貸の家賃を払うのが勿体ないと考えたそうです。

営業からは、「購入動機が弱い」と判断されやすい顧客です。

結婚や出産を終えた人達よりも、緊急性が低いからです。

 

でも、私の目には、Bさんの真剣さが輝いて見えました。

そして、Bさんを誘っては、毎週のように案内を続けていたのです。

かなりの物件をご案内したのですが、結局は条件が一致する物件はありませんでした。

私は、気長に考えることにし、探すエリアを広めてみることを提案しました。

すると、少し希望エリアからは外れた場所に良い物件が見つかったのです。

 

物件案内の結果

私と毎週のように物件を見て回ったBさんは、すっかり相場も理解していました。

その物件が過去に見た中で最も理想に近く、大きなチャンスである事が判断できるほどになっていたのです。

この為、私からのクロージングは一切必要なく、ご自身から買いたいという意思をいただきました。

 

Bさんは、家を買う事を自分の父親に話しました。

母親を早くに亡くしたようで、将来は父と一緒に住む可能性があったからです。

こうような事情から、購入の際は、父親からも金銭的に援助する気持ちがあるようでした。

 

私も、早急に物件を見てもらうことをお勧めし、お父様の見学が実現しました。

しかし、Bさんの父親は、物件の良さがあまり理解できない様子でした。

親子の問題なので、私は口を出さずに『よく話し合ってください』とだけ伝えました。

 

契約は断念

結局は、『やめた方がいい』という父のアドバイスを聞く事になり、購入は断念されることになりました。

私は、これで契約にならなければ仕方ないと覚悟していたので、快く結果を受け入れました。

落ち込むBさんの姿を見て、私は自分の力不足を申し訳なく思い、励ましの言葉をかけました。

 

結論から言えば、Bさんの父親は物件の見学数が足りなかったのです。

私がもっと多くの物件を案内し、父親にその価値を理解してもらうことができていれば良かったと思いました。

Bさんの父親は、体が不自由な方だったので、私の判断で長い案内をしなかったのです。

 

父親の行動

そんな事があった翌日、私はBさんの父親から連絡を受けました。

いくつかの質問をされ、私はそれに偽り無く回答しました。

主な質問内容は、『あの物件は、本当に良いと思いますか』といった事でした。

 

後からお聞きした話ですが、Bさんの父親は、私があっさりと契約中止を受け入れたので、信用できる営業だと感じたのだそうです。

検討してやりたいので、質問をさせてほしいという趣旨の連絡でした。

 

私は、この連絡があった事をBさんには伝えませんでした。

もしも、父親の判断が変わらなかった時が気の毒ですし、父親側も言って欲しくはないだろうと考えたからです。

個人を特定される可能性がある情報が含まれるので、詳細な経緯は書くことが出来ませんが、私はBさんの父親から手紙を受け取ることになります。

 

親の愛

封筒を開けると、『買わせてやってください。よろしくお願いします』という短い手紙が入っていました。

私は、すぐにBさんに電話をし、このことを伝えました。

そして、最終確認をした上で、契約を希望するのかを伝えてくださいとお願いしました。

Bさんの父親に対し、私からお礼を言うのは筋違いだと感じたからです。

 

購入者はBさんなので、私はあくまでもBさんからの依頼を受ける立場です。

私は、決済の日までその手紙を大事に保管し、引渡し書類と一緒にBさんに渡しました。

親子の絆として、契約書以上の価値があると感じた手紙でした。

 

まとめ

個人的な話ですが、私は両親からこのような愛情を受けた事のない境遇です。

ですから、普通の人よりもこの手の話に感動してしまうのかもしれません。

このようなエピソードを顧客と一緒に経験させてもらえるのは、この仕事の大きな魅力の一つだと思います。

 

この他にも、たくさんのエピソードがありますが、その話はまたの機会にしたいと思います。

長い記事になってしまいましたが、最後まで読んでいただき、有難うございました。

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