不動産(家)を売る仕事をしていると、様々な客層の顧客が訪れてきます。
メインとなるのは、その地域の平均的な価格帯で希望する人達ですが、その人達の年齢・需要・家族構成等は多様なものです。
そして、そのターゲット層によって、営業が求められるサービスも異なります。
この記事では、各層で求められるサービスの違いと、それぞれに必要となる対処法等について解説します。
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希望価格で分類
顧客の分類は、希望価格と年齢層で考えるのが良いと思います。
住宅購入の希望価格で分類する場合、まずは次の3つに分けてみましょう。
Aタイプ⇒3,000万円以下
Bタイプ⇒3,000~4,000万円台
Cタイプ⇒5,000万円以上
この3つのレンジを、サービス内容を考える際の基準としましょう。
これは、顧客を差別すると言う意味ではなく、相手が求めてくるサービスレベルの話です。
この3つのレンジに対し、更に年齢的な要素を加味して特徴を説明します。
※年齢別の注意点については後述します。
Aタイプの特徴
この価格帯の顧客には、決断が早いという特徴があります。
あまり細かい所まで気にする人が少ないとも感じます。
営業の人柄で選ぶ人が多いので、まずは『気に入られる』という事が重要です。
また、物件価格から毎月の支払額を算出した場合、現在の家賃と同額程度になることが多いです。
この為、住宅購入へのハードルを高く感じていない事が多いのです。
このような人達には、「スピード」を意識することで突破口が開けることも多いです。
比較的にアクションを起こしてくれるので、積極的な戦略が有効です。
詳しくは、「不動産営業の仕事にスピードが重視される本当の理由」を見ていただくと、正しく理解できると思います。
Bタイプの特徴
当然のことですが、このレンジの顧客は住宅購入に少し慎重です。
Aタイプの人達にはあまり見られない細かな質問等も増えます。
その物件を買う意味や、他の物件との比較を論理的に提供する必要が増します。
この為、営業側のプレゼンテーションの質によって、得られる信頼度が変わります。
信頼感や説得力のある人は、このレンジの顧客と相性が良いはずです。
資料の質等にも差を感じてもらいやすい為、対処に気を付けたいターゲット層です。
Cタイプの特徴
5,000万円以上の顧客は、所得の高い人達になりますので、数は少ないです。
超都心部については別ですが、それ以外の地域では少数になります。
この価格帯では、個性の強い人が多くなりますし、経営者タイプの人もいます。
掴みどころが無く、特徴を挙げるのは難しい面もあります。
私の経験では、5,000~7,000万円までの顧客が最も難しい印象でした。
頭が良い人も多く、本音を隠す防御力を持っている印象です。
なかなか本音を見せないので、自分が正しい進め方をしているのか不安になることも多いでしょう。
質問内容も専門的な事が多く、回答のスピードやサービスの質まで見られていると思ったほうが良いと思います。
そして、良い物件を探そうとするので、契約までに時間がかかる傾向があります。
不動産営業の中には、このレンジの顧客をあえて外す人もいるくらいです。
手間と時間がかかる上、レベルの高い仕事を求められるので、A・Bタイプに集中する方が効率が良いというわけです。
その一方で、8,000万円を超えると、少し感覚の緩い人が増える傾向があったりします。
富裕層特有の余裕が出てくるせいなのかもしれませんね。
このレンジの物件が買える人達は、1億円くらいまでは高いと感じないような人が出てきます。
変な逆転現象ですが、わりと簡単に契約に至ることも多くなるのです。
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年齢層による違い
建売物件での住宅購入をする人達の場合、20代後半から50歳位までの年齢層が多くなります。
50歳以上の年齢層は、どちらかというと中古物件を探すことが多くなります。
私から建売物件を購入してくださった過去のお客様の内、最高齢だったのは72歳のご夫婦でしたが、これは非常にレアなケースのはずです。
つまり、年齢層での分類は、中年層と、若い世代ということです。
私は、30歳以下を若い世代の目安としていました。
中年層が相手の場合、注意するのは顧客の性格的な面だけです。
いわゆる相性というやつで、自分に合うタイプかどうかを判断して対応するだけです。
自分に似たタイプの方が、考えている事もわかりやすいものですので、顧客との相性は契約率への影響が大きい部分です。
若い世代の注意点
若い世代の場合、考えておくべき対応は「ご両親による物件見学」です。
若い夫婦が住宅購入をする場合、買いたいと思うタイミングで親に報告することが多いです。
すると、契約直前に両親が出てきて、「もう少し考えてからにしなさい」等と言い始め、契約が流れてしまう事があります。
子供達は、たくさんの物件を見学し、十分に考えた結果なのですが、親はその感覚についていけないわけです。
突然、子供たちが大きな買い物をすると知り、心配になってきます。
そして、「とりあえず止めさせておこう」という選択をするのです。
ですから、不動産営業は、この動きを前もって促しておく必要があります。
若い世代を契約に導くために、「両親の承諾を得る」という工程は、必ず契約ストーリーの中に入れておくべきです。
あなたがしっかりと対応しておくことで、根拠のない不安で買えなくなる事態を防ぐことが出来るのです。
まとめ
最後に、もう一度タイプ別の特徴を、簡単にまとめておきましょう。
Aタイプは、細かい事より営業の人柄と行動力で契約になりやすいです。
気さくな人も多く、やりやすい顧客が多いはずです。
Bタイプは、少し知識が求められることも出てきます。
特に、住宅ローン金利への関心が強くなる等、より的確なアドバイスが必要です。
Cタイプは、主に都心部の話です。
全体の数としても少ないので、あまり気にしなくても良いかもしれません。
特に、高額帯の顧客と出会った時には、思い出して対応してみてください。
高額帯の顧客の場合、いつもと同じ方法では契約には至らない事が多くなります。
自分の得意なレンジと、契約までのストーリーを描いて対応しましょう。