不動産動向 不動産売買

正直な営業マンが顧客を不幸にする話

不動産の詐欺には色々な手口がありますが、中には詐欺被害を受けている事に気付かないままでいる人もいます。

不動産業者税理士等のアドバイスによって結果的に詐欺化しているような場合、犯人も被害者もいない状態なのです。

つまり、結果的に詐欺と同じ状態になっている・・・ということなのですが、今回は、これが具体的にどんな状況なのかという話です。

正直でも、トラブルは起こるという事実と、知識・経験の重要性がご理解いただけると思います。

 

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結果的に詐欺化するケースとは?

ドラマ 正直不動産の主人公は、元々は悪い部分を隠して売りつけるような不誠実な営業マンでした。

この業界には本当にこの手の人もいるのですが、この記事ではもっと怖いお話をしたいと思います。

 

私が思うに、本当に怖いと思うのは、営業マンが誠実なつもりで働いているケースです。

例えば、「知識は乏しいけれど顧客には誠実に向き合いたい」という営業マンがいたとします。

 

彼等は、顧客に対して嘘はつきませんし、正直に営業をしています。

でも、知識が乏しいので、意図せずに間違ったアドバイスをしていることもあるのです。

 

顧客側も、良い営業マンだと感じていますから、彼等の言う事を信じて契約をします。

でも、結果的に詐欺のような状態になり、トラブルになってしまうという事がある・・という事です。

 

詐欺化してしまった事例

営業マンの意図しないところで悪い方向へ事が運び、顧客とのトラブルになるケースについて、具体例をご紹介したいと思います。

 

投資物件としてのアドバイスが詐欺化したケース

ある資産家が、過去に不動産取引で世話になった営業マンに投資物件を探して欲しいと依頼しました。

仕事の再依頼を受けるのは、信頼の証でもありますから、営業マンも張り切って仕事をしました。

 

しかし、この営業マンは、投資物件についてそれほど詳しくありませんでした。

マンション等の取引はしたことがあるので、収益物件での経験は浅いけれど、良い物件を紹介すればいいだけだと考えていたのです。

 

営業マンが売った収益物件

その営業マンは、築年数は古いけれど駅から近い物件を見つけました。

経験が浅いとはいえ、彼も不動産のプロですから、内心では、建物が古い部分が気になっていたはずです。

ですが、売りたいという気持ちもあったのか、利回りや駅からの近さで相殺できると考えたようです。

 

結果、「利回りの良い物件だからお買い得だと思います」と持論を展開し、顧客もこれに同意し、約7000万円の投資物件を成約しました。

 

一方、私の見立てでは、築年数が古すぎるし、今後の空室率がとても不安な物件に見えました。

勿論、同僚である彼に対して、アドバイスもしましたが、彼は顧客が買いたがっているのだから良いと考えたようです。

 

この物件の周辺には、似たようなワンルームがたくさん存在していて、新築物件が増え続けていました。

私が担当だったら、この物件を勧めることはないと言い切れる物件だったのです。

 

不動産の仕事をしていると、このように「自分だったら絶対に紹介しないな」という物件を本気で良いと思って勧めている営業マンを見かけます。

各個人の知識や考え方次第な部分なので、あまり余計なことも言えないところでもありますね。

 

この事例で発生したトラブル

成約から約1年後、この物件で空室が増え始めました。

空いた部屋がなかなか埋まらず、賃貸不動産業者も手こずっているようでした。

 

所有者は、予定通りに返済ができなくなることを不安に感じ始め、買ったときと同じくらいで売りたいと言い始めました。

しかし、売却時のコストを考えると、今売っても損になることが明らかでした。

 

担当営業マンは、この時になって初めて周辺の賃貸事情を理解し、顧客からの信頼を失う結果となりました。

結果的に、悪い物件を持ち続けなければならない状況になり、大きなリスクを長期的に背負わされる契約になってしまったのです。

 

担当営業マンは、誠実に仕事をしているつもりでしたが、結果的に不動産詐欺と同じような状態になってしまったわけです。

 

建築知識のなさで詐欺化した事例

不動産売買の知識と、建築の知識は全くと言っていいほど別のものです。

医者でも、内科と外科といった違いがあるように、同じ業界でも分野が違うわけです。

 

一般的な仲介営業マンは、土地や建物の売買・賃貸に関する知識を持っています。

一方、建築の知識とは、どんな設計の建物が建てられるのかとか、建築に関する規制等の知識のことを言います。

 

このような建築知識は、普通の不動産営業マンには備わっていません。

実は、転職等によって、複数の業種を経験している珍しいタイプの人だしか、複数のジャンルに渡るスキルは持っていないものなのです。

 

土地転売目的の販売

駅から徒歩1分の場所に、60坪前後の土地がありました。

この土地には、集会所のような古い建物が存在し、今は使われていません。

 

周辺相場と比較してもかなり安い金額で売り出された為、これを資産家の顧客に紹介した不動産業者がいました。

紹介するのは良いのですが、この担当者には建築知識が無く、この物件のリスク(再建築時のコストが高額になる事など)を正しく伝えられていませんでした。

 

駅から近い土地だから、将来に転売すれば必ず儲かりますよ、というような売り方をしたのです。

結果、顧客は約3千万円でこの土地を購入しました。

 

建築知識不足で詐欺化

不動産は5年以上所有すると、譲渡した時の税率が安くなります。

この為、この物件を購入した所有者も、5年保有後に売却する予定でした。

 

購入して2年程が経ったある日、融資をお願いしようとした銀行の担当者に「なんでこんな物件を買ったんですか?」と質問されたそうです。

銀行担当者から聞いてはじめて知った事だったそうですが、建物の滅失登記がされていない状態だったそうです。

更に、土砂災害警戒区域内でレッドゾーンに該当しており、通常の建築ができない土地でした。

 

このような重要事項の説明を「記載しただけ」といったレベルで売買しており、仲介業者として訴えられてもおかしくない事態です。

「将来、すぐに売れる」と聞いて購入していた顧客は、どうゆう事だと不動産業者を問いただしました。

 

ところが、この不動産業者は自分の否を認めず、銀行がこの物件の価値を分かってないだけだと説明したのです。

そして、長い目で売却をしていくことを勧め、ろくに販売活動もせずに放置したのです。

普通なら、自分の責任だと考えますし、信用回復のためにも必死に売却先を探しますよね。

 

このように、建築の知識がないだけでなく、仲介業者としてのモラルやコンプライアンスについても意識が低く、自分が違反行為をしていることにさえ気付いていない業者がいるということです。

こんなタイプの社長に限って、「自分はこの業界で長くやっているので色々と知っていますよ」等と自慢気に語りますので注意してください。

 

長くやっていれば法律を守らなくて良いとでも思っているのでしょうか・・。なぜか、このタイプの人達って、自信だけはあるんですよね。(笑)

キャリアを自慢する前に、当然の法令順守について学んでほしいものです。

 

税理士による詐欺化

税理士は、不動産のプロではありません。

節税の面から不動産投資等を勧めているだけで、その賃貸事業が現実的・長期的に成り立つかどうかを保証することはしません。

 

税理士を全面的に信じて不動産投資を行う人は後を絶ちませんが、不動産のプロからみれば無謀なケースも多いのです。

新築物件の場合、すぐには悪い結果が出てきません。

 

建物が古くなり、空室が目立つようになった頃、はじめて失敗に気づく人も多いです。

15年~20年後になって判明する為、それまでの間は間違いにも気付かないで過ごしているということですね。

 

税理士側も、間違ったアドバイスはしていないという認識です。

物件を建築した業者も、言われた通りに建築しただけのことですよね。

家賃保証等の規定を破られたといった事でもない限り、誰を責めるわけにもいかない状況になります。

 

つまり、収益物件が赤字になる責任は、建築を依頼した本人でしかないということです。

ですから、事業計画を鵜呑みにせず、本当に一生の付き合いをしてくれるような相手に相談することが大切だと思います。

 

そうでなければ、自分自身でしっかりと勉強をして、決断を行う事だと思います。

 

正直不動産の盲点

人気ドラマの正直不動産では、正直な営業活動をすることによって主人公の意識が変わっていく様子を描いています。

北川景子さん主演の「家売るオンナ」に比べれば、内容的に実際の不動産営業活動に近いドラマだと感じます。

 

ただ、ドラマである以上は、どうしても脚色されている部分がありますし、実際にはあり得ないような行動も多々あります。

あんなに他社とバチバチに争うこともありません。

 

他社へのライバル心はあったとしても、他の業者を潰すためにコストをかける発想もないです。

賃貸・売買・土地活用(建築)・土地転売(仕入)等の全てに携わっている営業マンも実際には皆無です。(それぞれが専門職なので)

 

ドラマ正直不動産で描かれているような「正直さ」はとても大切ですし、そもそも正直な営業マンの方が多いとも思います。

このドラマの最大の盲点は、正直なだけでは、悪い営業マン(結果)になるケースもあるという点だと思います。

 

また、店舗単位のトップ営業など、腐るほどいるって事も盲点かもしれませんね。

トップ営業として活躍している人達は、大抵は専門職として何かの分野に特化しているものです。

実際には、ドラマの主人公のようにあらゆる不動産分野に長けている人材は殆どいません。

 

私は、たまたま主人公以上の広範囲なスキルを身に付けていますが、そんな人(自分と同じようなスキルがある人)には会ったことがないんですよね。

そもそも、建築・売買・賃貸の知識を全て持っている人が少ないですし、土地活用や上場企業で仕入経験をしたことがある人は更に少ないです。

税金や相続に関しての専門知識も、全く別の分野と言って良いです。

 

いくら営業マンが正直に活動をしていたとしても、自分の不得意なジャンルにおいて仕事を断るという決断をしない限り、誰もが加害者になり得る仕事だと思います。

ですから、不動産営業マンは、これから出会う顧客のために日々努力をしていく意識を持つべきですね。

この業界で働く限り、一生継続しなければならない事だと思います。

 

まとめ

地面師のように意図して詐欺行為をする人達とは別に、結果的に詐欺と同じような事態になってしまうケースがあります。

そして、このような事が起こるのは、各担当営業マンの意識や知識の不足によるものです。

顧客側としては、担当営業マンをプロだと思って信用していますから、彼等のミスにも気付けないでしょう。

特に、不動産投資や相続対策での不動産取引については、一般的な業者では役不足になると考えた方が良いと思います。

将来の不動産評価が重要になるような契約においては、大手不動産業者の担当営業マンでさえも注意した方が良いです。

相続や投資物件の取引では、仲介・建築・相続・鑑定・測量等、管理、各種法律、保険知識等、多くの専門知識が必要になります。

くれぐれも、注意して相談先を選びましょう。

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