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生産緑地を売却するための手続きとは?

2022年の生産緑地解除に向けて、今から準備をする方々が増えてきました。

市街化農地についても、早めの売却を決断するケースが増加しているように感じます。

不動産業者(仲介)では、農地売却の経験が無い(又は少ない)人も多いと思います。

そこで、農地や生産緑地の売却手順について簡単にご紹介しておきたいと思います。

 

生産緑地売却の流れ

宅建士の資格を持っている人は、試験勉強で「農地法」を学んでいるはずですが、経験が無い中で実務に当てはめて考えられる人は稀だと思います。

 

農地法では、3条許可、4条許可、5条許可の3種類がメインですよね?

ピンと来ない方は、以下の無料テキストで確認して思い出してみてください。

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農地法は、宅地建物取引士の試験科目の中でも、比較的に攻略がしやすい法律です。 農地法からの過去の出題は、第3条から第5条の中からとなっており、範囲が狭いのです。 農地法からの出題に対しては、確実に1問 ...

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基本的に、農地や生産緑地の売却は、この農地法の手続きに従っていくことになります。

詳しくは、市役所などにある農業委員会に聞きながら進めれば良いわけです。

 

農地法では、基本的なルールが規定されていますが、実務レベルでは提出書類の書き方や、許可が下りるまでの時間等が焦点となります。

 

市街化農地(生産緑地ではない普通の農地)の場合、農地を宅地用として売却するための手続きをすれば良いだけです。

書類提出と時間的問題だけで、基本的に「許可しない」という結末になることは稀です。

 

書類を出してから許可が下りるまでは2週間~1カ月といったところです。

自治体によって忙しさ等も異なるので、窓口で現在の状況を確認しましょう。

5条許可は、委任状を貰っておけば、売主の代わりに動くこともできます。

 

生産緑地の売却知識

生産緑地の売却と聞くと、『なんか面倒くさそう』とか『手続きが難しそう』と思う営業マンも少なくないでしょう。

新人営業マンにとっては、手に負えそうもない案件に感じるかもしれません。

 

しかし、実際にはそれほど難しいことはありません。

知っているか、知らないかの差が大きいだけです。

 

この記事を読めば、上司等が教えてくれない部分まで理解できると思いますので、この機会に勉強してみてください。

 

納税猶予が無いか調べる

個人的にオススメしたい手順としては、過去の相続時に生産緑地等についての納税猶予を受けているかどうかを調べる事です。

売主本人に確認するか、相続の申告書類と役所調査等で調べる事になります。

謄本に納税猶予としての担保(抵当権)がついていないかを確認しましょう。

 

相続や税金のことが良く分からない人も多いと思いますので、担当税理士の連絡先を聞いておくと良いでしょう。

因みに、納税猶予とは、先代から農地を相続する際に、納めなければいけない相続税を保留してもらう事です。

 

簡単に言えば、「まだ農業をやりますので、将来売却してお金が入る時まで待って下さい」というお願いをし、これが了承された状態の人達です。

法改正によって、都市部でも終身まで免除してもらえるようになってきました。

生産者が亡くなるまで農業を続けるなら、実質的には猶予された相続税が免除されるのと変わりません。

 

一方、納税猶予されている農地を売却すると、猶予されていた税金を納めなくてはならなくなります。

単純に、生産緑地を解除しただけでも、猶予されていた税金が発生してしまうので、殆どのケースでは生産緑地指定を延長することになります。

 

税額が大きい場合には、売却の話自体が飛んでしまう可能性がありますので、納税猶予の有無は最初に確認しておくべきです。

生産緑地の取引では、納税猶予の有無を確認することが、事前審査(残債の確認)と同じような意味合いになる側面があるわけです。

 

生産者(耕作者)が誰か調べる

もう1つ、納税猶予の件と一緒に聞いておきたい事があります。

それは、生産緑地の生産者が誰になっているかです。

つまり、農業委員会に対して、誰を生産者として申請しているかという事です。

 

生産緑地として認められた土地は、向こう30年間は何らかの生産活動を行わなければなりません。

固定資産税などの税金が安くなるので、途中で「やっぱり売ります」等ということが許されないわけです。

 

言い換えれば、「何十年も土地売買を禁止する代わりに、税金を安くしてあげましょう」というペナルティ付きの制度なのです。

ですから、生産緑地を解除する方法は限られています。

 

売却できる条件には、大きく分けて3つの方法があります。

 

1つは、生産者が亡くなった時です。

これは、どうしようもない事情ですから、説明もいりませんよね。

 

2つ目は、生産者が身体的な理由で農業ができなくなった場合です。

例えば、老人ホームに入ったとか、入院して身動きがとれないとか、目が見えなくなったといった状態です。

 

ですから、「最近、農業がしんどくなった」等、体調や老化の問題だけでは許可してくれません。

生産緑地の途中解除は、非常にハードルが高いものなのです。

 

3つ目は、指定期間が満了した時です。

基本的には30年で満期を迎えますので、2022年には、売却案件が大量に発生すると言われています。

 

現在は、10年延長できるようになっているので、この道を選ぶ人もいると思います。

また、自治体によっては、解除した農地について生産緑地として再指定できるようにする動きも出てきました。

 

相続時の評価額が高い!

あまり知られていませんが、市街化区域内の生産緑地は、相続が発生したときには宅地と同じように評価されます。

固定資産税が安いので、価値の無い土地という認識でいる人もいるかもしれませんが、市街化農地は、実はものすごく高額資産なのです。

 

生産緑地を持ったまま相続を迎えると、数千万円の相続税が発生してしまうという事例もたくさんあります。

このような方々の場合、生産緑地を売却することが最大の相続税対策になりますが、売却先を探すのも困難です。

解除手続きや納税猶予の都合等もあるので、実際には売却が難しいケースも多いです。

 

農地を現金化すれば、親族に暦年贈与することもできますし、保険商品や金融商品にすることもできますよね。

相続時に評価が高い農地の場合、相場より安くても売った方が得なのです。

 

このような知識を持つだけで、売却の必要性について上手く説明ができるはずです。

 

2022年に向けてできる事

生産緑地の売却は、土地の広さが大きくなる傾向があります。

この為、売却の際には、大手建売業者等が相手になることが多いでしょう。

 

実は、大手建売業者の仕入れでは、境界確定がされていない物件を買うことができません

この事を知らない営業マンは、一歩出遅れることになる可能性がありますので、注意しておいてください。

 

コロナウイルスの影響で、官民の査定について処理が遅れていますので、確定測量に半年~1年かかるケースもあります。

物納をする場合にも、確定測量がなければできませんので、早めに準備しておくことです。

 

測量費用が数百万円になる事も珍しくありませんので、売主にはその必要性等を丁寧に説明しておくことが求められます。

農地売却が相続税の削減に繋がるのであれば、測量費用は気にする必要はありません。

 

物件を最も高く変えるのは、大手建築会社です。

彼等に買取をしてもらうには測量が必要なのですから、顧客には測量をすることによって高く売れるのだと説明しても良いと思います。

 

資金的な事情もあるはずですので、進め方にはコンサルティング的な視点も必要になると思います。

 

抜根や整地改良等

生産緑地は、許可なく売却することが出来ませんが、小規模な改良等は自由に行うことができます。

例えば、生産緑地内にある高木等を処分するとか、処分に時間のかかる植木類を少しずつ抜根していくといった作業です。

また、一定の条件をクリアすれば、第三者に対して農地を貸すことも許されています。(納税猶予がある場合は注意)

 

但し、地方自治体によっては個別の規制をしている場合もある可能性がありますので、念のため諸条件を確認してください

このような整備を行っても、その後で何らかの生産をしていれば問題はありません。

 

前後の様子を日付の入った写真等で残しておけば、役所等のチェック時にも対抗できるはずです。

 

農地は条件付きで売却することもできる

生産緑地は、解除を受けるまでは売却ができませんが、契約だけは先行しておくことが可能です。

要するに、停止条件付の契約を締結することはできるわけです。

 

買い手が見つかっていればの話にはなりますが、2022年の解除を停止条件にして契約をしておくことはできるのです。

事実上、単なる購入予約にはなりますが、販売活動を事前に開始できるメリットはあるかもしれません。

 

但し、通常はすぐに決済ができる案件が好まれますから、停止条件付契約では、あまり良い買取価格は出ないはずです。

 

解除の手続き

2021年3月までに10年延長の申請をしない場合、生産緑地は2022年に解除されます。

解除の際には、まず役所に対して買取の申請をします。

 

実際には予算の問題があって買い取ってくれないのですが、このような手続きを踏むことになっています。

通常は、役所側から「買取はできません」という結論が出されます。

 

その後、近隣の土地所有者等に向けて情報が公開され、買主が現れるのを待つ期間が設けられます。

このような手続きを経て、「あとは自分でどうするか決めてください」という状態になります。

 

申請からここまでの期間の目安は、通常は約2カ月程度です。

建売業者等に売却をするにしてもこの時期までは決済ができないので、スケジュール感を持って進めましょう。

 

まとめ

生産緑地や農地の売買は、通常の取引よりは知識や労力が必要となる部分があります。

でも、その内容は、決して難しいものではありません。

税金が関係する部分については、税理士等の意見を聞きながら進めれば良いのです。

難しく考えず、一つずつクリアしていけば良いと思います。

取引が終われば、貴重な経験として皆さんの力になっていくと思いますので、倦厭せずにチャレンジしてみてください。

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