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宅地建物取引業法 第五章 独学テキスト⑨

この記事は、 宅地建物取引業法 第五章 独学テキスト⑧の続きです。

ここでは、報酬額に関連した部分と、相手が宅建業者の場合に省略できる事項をまとめています。

意味を理解しながら、とりあえず読み通してみてください。

 

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第43条

所有権保留の禁止

第43条は、少し理解が難しい表現をしていますので、補足説明をしておきます。

まず、この条文を理解する前に、『所有権留保』と『譲渡担保』という用語について簡単に解説しておきます。

 

所有権留保』というのは、「所有する権利を相手に渡さないでおく事」という意味だと思ってください。

これでもちょっと分かりにくいという人の為に、具体例を出しておきます。

あなたがドコモのスマホを分割払いで買ったとします。

そのスマホは、既にあなたの手元にありますが、支払いが終わるまでドコモは取り戻す権利があるいう事です。

この、ドコモが所有権を完全に渡さないでいる状態を、所有権留保と言います。

不動産で言えば、「あなたにはまだ登記させない」という状態です。

あなたが支払いをしなくなった時に契約を解除して、スマホを取り戻せるようにしているわけです。

 

次に、『譲渡担保』の説明をしておきます。

わかりやすく、先程のスマホの例で説明していきますね。

スマホに登記はありませんが、登記があったとして聞いてください。

先程の場合、ドコモは「完済するまで登記させないよ」と言っているだけでしたよね。

譲渡担保の場合、ドコモが登記をしてしまいます。

あなたが支払わなかったら、そのままドコモの資産です。

あなたが完済したら、所有権を移す登記をするという違いです。

ポイント

所有権留保は誰も登記はしないのに対し、譲渡担保は一度登記されてしまうという厳しい内容になっているということです。

では、条文に戻ります。

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第43条

割賦販売

宅地建物取引業者は、自ら売主となって宅地又は建物の割賦販売を行った場合には、

通算して代金の30%以上を受け取る前に登記等を終わらせなさいという条文です。

但し、登記をする際に、抵当権とか先取特権等の担保権の設定とか、保証人が立てられない場合は、例外にしようねと書いてあります。

登記に抵当権等が付けられるなら、引渡し以外の義務を終わらせるという事です。

 

もし、30%以上の代金を受け取ったら買主に引渡しをし、それ以降は譲渡担保をしてはいけないということになります。

言い方を変えると、代金の30%以上を受け取る以前なら、所有権留保(登記しない状態)がOKだよってことです。

ポイント

割賦販売と住宅ローンは別のものですので混同しないようにしましょう。

住宅ローンの場合、売主は銀行から一括して代金を受け取ることができます。

しかし、割賦販売の場合は、買主が金融機関の融資を受けずに購入する方法です。

売主がリスクを負って、分割払いを承認している状態だと考えると分かり易いと思います。

第44条

不当な履行遅延の防止

宅建業者は、業務に関して登記・引渡し・対価の支払いを不当に遅延する行為をしてはいけないと言っているだけの条文です。

当たり前なので、特に覚えることもありません。

 

第45条

秘密を守る義務

宅建業者は、正当な理由がある場合でなければ、業務上で知り得た秘密を他に漏らしてはならない。

これは、宅建業者ではなくなった後でも、秘密を漏らしてはいけません。

 

第46条

報酬額の掲示

宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めた通りにする。

そして、この額を超えて報酬を受けてはなりません。

 

依頼者の特別の依頼による特別の費用(遠隔地での現地調査費用等)については、例外的に認められることがありますが、原則として、宅建業者は規定報酬の中から調査費用等を負担しなければなりません。

 

ここで言う特別の費用とは、必要経費的な意味合いですので、報酬として捉えないほうが誤解がないと思います。(厳密には報酬の一種ではあります)

 

宅建業者は、その事務所ごとに、国土交通大臣が定めた報酬額を、公衆の見やすい場所に提示しなければならない

但し、宅建業者が自ら売主となる場合には、誰かの依頼による成功報酬ではないので、買主に報酬を請求することはできません。

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売主は、仲介手数料無料で契約しなければいけません

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相手が宅建業者である場合の規制

ここまでに、宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者ではない場合に限って適用される8つの規制を勉強してきました。

つまり、これらの規制は、宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者である場合には適用されないという反対解釈ができます。2018年出題有

 

宅建の知識があるプロ同士の取引では、省略可能になる8つの規制があるという事を覚えておきましょう。

宅建業者が売主となる場合に限っての話ですから、他のケースと勘違いしないように気を付けてください。

 

以下の8つについて、再度確認しておきましょう。

  1. 自己所有していない宅地建物の契約
  2. クーリングオフ制度
  3. 損害賠償額の制限
  4. 手付金等の制限
  5. 手付金等の保全措置
  6. 契約不適合責任(瑕疵担保責任)の特約
  7. 所有権留保の禁止
  8. 割賦販売特約

 

宅建業法では、原則として民法よりも不利な特約は無効とされます。2020年10月 問42出題

最近の法改正で生まれた例外を紹介しておきます。

契約不適合責任の通知期間(不適合である部分があったと売主に連絡するまでの期間)を2年とすることを認めています。

 

報酬額について

報酬額は、仕事の内容によって少し細かく分類されています。

実務経験が無い人には、少しややこしく感じるはずです。

仕事内容によって、以下の4種類のケースに分けられています。

 

  • 売買又は交換の媒介業務の場合
  • 売買又は交換の代理業務の場合
  • 賃貸の媒介業務の場合
  • 賃貸の代理業務の場合

 

ポイントとしては、『賃貸』での報酬を別として考える事です。

 

【売買・交換の媒介報酬】

売買代金に、以下の料率を当てはめて計算します。

  • 200万円以下の部分については
  • 200万円を超え400万円以下の部分は
  • 400万円を超える部分は

 

告示の改正ポイント

2018年、2019年出題有

国土交通省は、2017年12月に宅建業者の報酬額について告示改正を行い、2018年1月1日からこれを施行しました。

400万円以下の空き家等の売買や交換の媒介・代理において、売主からの合意を前提に、受領できる報酬額の上限が現地調査等の費用を含めて18万円(+消費税)となります。

「空き家等」とは、400万円以下の宅地又は建物のことです

 

つまり、400万円以下の売買代金の時は、通常の調査費用を超える部分について、売主の合意を得ていれば一律で18万円+消費税までもらえることになりました。

買主から受領する報酬は、従来の通りですので注意しましょう

 

報酬額は、売買代金によって掛率が違うので、計算がしにくいですよね。

でも、掛率を統一してしまうと、金額の安い物件を売りたがらない業者が増えてしまうと思いませんか?

 

業者が400万円以上の物件しか取り扱わなくなると困るので、金額が小さい取引の場合には、掛率を少し高く設定しているわけです。

もし、売買代金が300万円の場合なら、200万円までは5%を乗じ、残りの100万円には4%を乗じるということですね。

 

平成30年の改正は、空き家等の増加に伴って増加する400万円以下の売買に特例を与えたものです。

ポイント

売買代金が400万円を超える取引には、便利な速算式があります。

売買代金×3%+6万円」という式を当てはめれば、400万円以下の部分も含めた報酬額が算出できますので、必ず覚えておきましょう。

※但し、改正によって変更された400万円以下の報酬に該当する場合は、売主分の報酬は別にして計算してください

仲介業者は、この式の通りに計算した額を、依頼者双方(売主と買主)から受領することができます。

依頼された相手が、どちらか一方だけの場合は、両者からはもらえません。

 

また、交換物件の場合、物件に価額差が発生しやすいです。

そのような場合には、物件価格の高い方の額を基準として計算することになっています。

ポイント

宅建業者が課税業者(基準期間の売り上げが1000万円以上)の場合は、計算した報酬額に消費税を乗じた金額までもらえます。

宅建業者が免税業者の場合、みなし仕入れ率1.032を乗じた金額が上限となります。

 

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【売買・交換の代理報酬】

売買又は交換の代理を行ったときは、媒介の時の2倍の報酬を上限として良いことになっています。

民法では、双方の代理は原則として禁止されていますので、覚えておきましょう。

1つの取引で受領できる代理報酬の上限は、媒介の時の2倍までです。

一方、媒介の場合、買い手と売り手の双方を仲介すれば、代理の場合と同じ額を受領することが出来ます。

 

複数の不動産業者が、1つの売買取引の媒介・代理に関与する場合、報酬額の上限の規定は、それらの業者の受ける報酬額の合計額で考えます。

例えば、買主の媒介をした業者と、売主の代理をした業者によって1つの取引をした場合、両方の合計報酬額は、媒介の時の2倍までという事です。

 

【賃貸の媒介報酬】

賃貸の媒介は、賃料の1カ月分までが報酬の上限になります。

この1カ月分の賃料を、誰からもらうかがポイントです。

基本的には、一人の依頼者から家賃の半分ずつもらうのが基本だと考えてください。

10万円の家賃なら、借り手から5万円、大家さんから5万円ということです。

媒介の依頼時に承諾があれば、一方から1か月分もらえるのですが、あまり承諾する人はいないので、一方から0.5カ月分をもらうのが通例です。

 

ポイント

また、賃貸の場合、非居住用の建物が対象になることがあります。

これは、店舗とか事務所等のテナントのことです。

このような契約に権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもの)が設定されている場合には、この権利金の額を売買の報酬算出方法と同じように報酬計算して良いことになっています。2018年出題有

 

【賃貸の代理報酬】

賃貸の代理は、賃料の1カ月分を報酬の上限としています。

媒介の場合とは異なり、依頼者から1カ月分もらうことが可能です。

 

限度額を超える受領

試験対策として、「限度額を超えて受領できる部分」をまとめておきます。

 

依頼者からの依頼によって行う広告費用については、報酬とは別に受領することができます。

不動産会社側で勝手に投じた広告費については、除外されていますので注意しましょう。2018年出題有

 

平成30年の改正点(400万円以下の空き家等)では、通常よりも特別な調査費用(遠方地等)が発生した場合に、売主の承諾があれば、受領できる報酬額の上限が現地調査等の費用を含めて18万円(+消費税)となっています。

 

今後も試験で出題される可能性が高いと思いますので、しっかり理解しておきたい部分です。

 

まとめ|勉強のコツ

今回は、報酬額の勉強がメインになるように作成しました。

ここは宅建業者として絶対に間違えられない部分ですから、試験でもかなりよく出ます。

依頼者が特別に依頼する広告にかかる費用については、報酬とは別に受け取ることが可能であることも、頭の片隅に置いておきましょう。

「宅地建物取引業法 第五章 独学教材⑩」

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