2022年11月2日は、生産緑地指定の節目(30年経過)となる日です。
この為、各地方自治体の農業委員会も対応準備として様々な取り組み(事前説明や特設受付会場の設置等)をしている様子が見られます。
生産緑地の指定から30年が経過して解除期限を迎えた地主さんが大勢いるので、ここからは地価の変動にも注目が集まりそうです。
昨日(11月2日)、私も自身の顧客のために30年満了を解除理由とした解除申請をしてきましたので、実際の手続等についてご紹介しておきたいと思います。
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事前に用意するもの
生産緑地の解除手続きでは、不動産会社の担当者や法律家等と一緒に手続きを行う人も多いようです。
でも、手続き自体はそれほど難しくありませんので、ご本人(親族等)だけで完結することもできると思います。
ご高齢者の場合、謄本等の必要書類を準備するのも大変だと思いますので、不動産業者等と連携するのが最も安上がりな方法だと思います。
準備する書類等は、農地の状況によって多少変わります。
農地を誰かに貸している場合や、担保等がついている場合には、少し提出書類が増えるという感じです。
基本的には、役所規定の申請書類と印鑑証明、謄本類(公図、謄本)だけです。
書類に押印する印鑑は、実印が求められますので、印鑑証明が必要になります。
謄本については、3カ月以内に取得した原本を添付しなければなりません。
委任状によって家族などが代行する場合は、受任者の本人確認書類も必要になります。
具体的な流れ
個人的にオススメしたいのは、事前に農業委員会へ足を運んで説明を受けておくか、電話等で手順を確認しておくことです。
この動きをとるだけで、かなり全体像がつかめると思います。
最近は、市のホームページ等から申請書類がダウンロードできるようになっています。
ご高齢者の場合は、説明を受けるついでに役所で直接もらってくると良いでしょう。
これらの提出書類を事前に作成しておくことをお勧めします。
数枚だけの簡単なレイアウトですが、対象地の所在地や地番を正確に記載する必要がありますので、頼める相手(不動産業者等)がいればお願いしてしまうのも一考です。
私の場合、クライアントに「私がつくりますよ」と提案して作成しました。
一番時間がかかる部分としては、買取希望価格を算出して記載する箇所です。
生産緑地の解除申請は、「農地を市で買ってください」という買取申請も兼ねています。
ですので、この希望買取価格についての審査から手続きが始まるわけです。
記載方法としては、路線価等を調べて買取希望価格の根拠を示しました。
書類作成にかかった時間は、30分前後といったところだったと思います。
要するに、不動産に慣れている人であれば簡単に作成できる内容という事です。
これを農業委員会に持参し、提出するだけで完了です。
解除までの期間
生産緑地の解除には、約3カ月程度の期間を要します。
農業委員会での審議や、他の農家で買い手がいないか等を調べる期間として約3カ月を要すると考えれば良いでしょう。
解除の申請書類を提出してから約一カ月後に、所有者宛てにハガキが届くそうです。
このハガキの意味は、「市では今回の農地を買い取ることができない」という返事(結果通知)です。
以降、役所から連絡等は来ないので、約3カ月が経過して何も連絡がなければ解除されたという認識で良いそうです。
対象地内に設置されている「生産緑地指定」の標識(棒状の標識)は、半年から1年以内に回収されるそうです。(都市計画課により回収)
造成工事や建築で邪魔になる際には、事前に撤去し、役所に連絡して回収してもらうこともできます。
生産緑地の改良等はいつからできるか
生産緑地が解除されると、普通の農地になります。
ですので、宅地等にして使用するとか、宅地として売却しようとするなら、農地法に基づいた届出が必要になります。(農地法 第3条の届出)
生産緑地の解除前に、停止条件付で売買契約が完了しているような場合でも、実際に工事に着手できるのは全ての申請(届出)手続きが完了してからと考えておけばOKです。
役所の人の話
2022年11月2日は、たくさんの地主さんが押し寄せるのではないかと身構えていたそうです。
この為、私が訪れた市役所では、に受付専用窓口を設けていました。
しかし、この日は水曜日だったこともあり、思ったほどの来訪は無かったそうです。
私は午後15時に申請を行ったのですが、通し番号は10番でした。(おそらく10人目)
役所の人の話では、水曜は不動産業者が休みの日なので、明日以降で申請日を設定しているケースが多いのではないかと考えているそうです。
ですので、ここからしばらくは窓口が混み合うかもしれませんね。
まとめ
生産緑地解除が完了しても、売却をするには測量や買い手探し等に時間がかかります。
解除後の売却競争は激しくなる可能性もあり、買い叩かれやすい状況になることも考えられます。
私は、クライアントに対してこのようなリスクを数年前から説明し、測量や買い手探しを進めてきました。
売買契約についても停止条件付で完了している為、生産緑地解除申請と同時に「決済を待つだけ」という状態になっています。
適切なアドバイスをしてくれる専門家に出会えていない地主さんは、今から全ての作業を行うことになるので、相当の時間と労力が必要になります。
ロシアによる戦争の影響で建築コストも変わってきていますので、早い段階で金額をまとめる効果も出てきます。
相談先の選別を含め、ここからは目に見えて勝敗が分かれることになるわけです。
これから売却活動をスタートする案件は、かなり遅れをとっていますので、スピード感を持って進めていく必要があるでしょう。