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節税保険と国税庁の戦いに終止符か

先日、生命保険会社が法人向けに積極販売してきた『節税保険』と呼ばれる金融商品に国税庁のメスが入り、話題となりました。

相続税対策等でもよく使われていたこの節税保険が、実質的に使えなくなっていきそうです。

国税庁の方針と、節税保険の今後についても触れながら、節税保険と呼ばれる商品の仕組みを、一般の人でも分かるように説明していきます。

 

節税保険の仕組み

何故、保険商品が節税になるかというと、会社で加入した保険の保険料を『損金』として計上できる事にあります。

損金とは、簡単に言えば「経費で落とせる」という事です。

 

例えば、貴方が会社を経営していて、年間利益と同額の保険料を払ったとします。

この保険料が全額損金で落とせるとしたら、利益が無くなるので、法人税を払わなくて済みますよね?

 

会計上では、保険料の分だけ損をした扱いになる為、法人税が発生しないのです。

本当の貯金の場合は損金計上できませんが、これは保険であればOKという事だったのです。

 

当然、このような抜け道は、法人で大いに利用されました。

これを見た国税庁は、「今後は損金で落とせる割合を引き下げます」と発表し、実行しました。

 

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保険会社と国税庁の攻防

その後、損金で落とせる割合を下げられた保険会社は、法人営業に苦しむことになります。

今までのように売りやすい条件ではなくなってしまったからです。

 

そこで、次に登場したのが、逓増定期保険を売買する手法です。

保険を解約した時に戻ってくるお金(返戻金)の率を4~5年目まで抑えた定期保険です。

 

法人が契約した保険を、返戻率が上がる直前で個人(社長等)に売却するのです。

つまり、保険の評価額が低いうちに売却するという事です。

 

すると、翌年には大幅に返戻金が増えるので、株で大儲けしたような状態になります。

安く買った株が、1年で4~5倍に増えるのと同じような事が起こるわけです。

 

これも、2021年に国税庁が規制する方向のコメントを発信しました。

2019年7月まで遡り、これ以降の契約では保険の評価方法を見直すと言っています。

 

近い将来、このような節税保険は存在しなくなりそうですね。

 

保険金は退職金で受けとる

保険の解約時に大きな利益となってしまう問題を解決する方法として、最も有力な手法は、「退職金として損金計上する」という方法です。

 

支給額が適性であれば、退職金は全額損金で計上できます。

このように、法人保険で退職金の積み立てをするという活用方法は、節税効果だけではなく、人材を確保する際に福利厚生の充実した会社としてアピールできます。

 

その他、長い経営の中では、一時的な赤字になることもあるかもしれませんから、そんな時にこの返戻金とぶつけてしまうのも有効な使い道です。

このように、経営リスクを回避する手段としても、保険商品は大きな意味を持っていると言えます。

 

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国税庁の規制強化

国税庁がこれに目を付けたのは、今回が初めてではありません。

以前にも、全額損金扱いできる金融商品を規制して、販売を抑制する動きがありました。

 

また、営業活動の在り方についても、説明内容等にコンプライアンス的な規制が入ってくるかもしれません。

 

コロナ渦で税収が落ちていることもあり、国税庁としても富裕層からの徴収に力を入れ始めている様子を感じます。

 

贈与税と相続税の一体化が検討されている他、逓増定期保険等の節税保険への規制も強くなっています。

今後、保険を使った税金の抜け道は、殆ど無くなっていくと考えた方が良さそうです。

 

現在、合法的に使える節税保険があったとしても、将来には改正されて意味が無くなる可能性がありますので、充分に注意して検討しましょう。

 

まとめ

節税保険には、法人税として消えるはずだったお金が、保険商品を通じて再利用できる効果がありました。

国としては、税収入を大幅に減少させる天敵というわけです。

 

一方、企業側としては、自分達が稼いだお金を有効活用する手段として、これくらいの抜け道は残しておいてくれ!というのが本音だと思います。

消費税増税で企業努力を迫られている状況から考えると、ちょっと企業側に味方したくなる話ですね。

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