哲学や量子学等の世界で有名な『オッカムの剃刀』という言葉があります。
オッカムという哲学者が広めた「単純さの原理」とも呼ばれるものです。
無駄な仮定や推論は、カミソリで削ぎ落とすように排除し、固定概念を捨てた境地にあるものが真実だというような意味です。
今回は、このオッカムの剃刀の観点で、具体例を用いて考察してみたいと思います。
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オッカム的思考
まず、オッカムの剃刀について、もう少し簡単な例で説明しておきますね。
まず、次の3つの事実を見てください。
- Aさんが、貴方の人柄が大好きだと言っています。
- Aさんは、飲み会の席等で貴方の近くに座ったことがありません。
- 貴方は、Aさんにプライベートで何かに誘われた事がありません。
オッカムの剃刀によれば、Aさんの気持ちを単純な事実だけで判断することになります。
Aさんは、言葉では貴方が好きだと言いながら、行動にはそれが出ていません。
この例では、『言葉は嘘をつくが、行動は嘘をつかない』という単純な事実が見て取れます。
一方で、「Aさんの行動はたまたまであり、本当に私の事が好きなのだ」という考え方もできます。
オッカムの剃刀的に思考すると、このケースでは「Aさんは貴方が好きではない」というのが真実の答えになるでしょう。
オッカムは、『目の前にある単純な事実の内、理にかなう方が真実だ』と言っているのです。
神の存在と信仰
例えば、「神はいるのか」という疑問について考えてみましょう。
まず、世界中で多くの人々が神の存在を信じ、祈りを捧げて信仰している事実があります。
一方で、実際に神を映像で捉えた者はおらず、神がいる証拠を提供できる者はいません。
神についての伝説や、様々な不思議な現象等もたくさん存在していますが、科学的に「神はいる」という結論には至っていません。
つまり、このケースにオッカムの剃刀を適用すれば、「神はいないが、信じている人がたくさんいる」と考えるのが単純な事実になります。
少なくとも、神は地球上にはいないと考えるのが、真実として自然というわけです。
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地球外生命体の存在
では、一般的に宇宙人と呼ばれるような、地球外の知的生命体を題材にすると、どんな答えが出るでしょうか。
地球外生命体については、古代人が宇宙船等の光をみて「神」という概念が生まれたという説もあります。
しかし、このような話を単なるオカルトだと馬鹿にしてかたずける人も多いでしょう。
私達のいる太陽系は、天の川銀河と呼ばれる銀河の中に存在しています。
この天の川銀河の全長は、約10万年光年だそうです。
こんなもの(銀河)が宇宙には無数に存在しています。
本当に途方もない規模の話ですよね。
銀河の大きさが、光の速さで10万年も走らなければ端まで辿り着けない距離だなんて、ちょっと想像するのも難しいくらいです。
現在、観測できる限りですが、最も遠い天体は、光速で130億年もかかる場所にあることが判明しています。
人類が探求できる範囲を超えている為、宇宙を無限という大きさで表現したわけです。
さて、このように無限の広さを持つ宇宙という存在があるのは、紛れもない事実です。
これだけ超広大な宇宙に、地球と同じか、それ以上の環境を持つ星が存在しない方が不自然だと思えてきませんか?
確率論からすれば、私達以上に長い文明を持っている知的生命体が存在する可能性の方がはるかに高いでしょう。
彼等が地球に辿り着ける範囲内にいるかどうかは別として、「いないわけがない」と思えてなりませんよね。
オッカムの剃刀で考えると、無限に星が存在しているとう事実があります。
神を見ることはできませんが、複数の銀河が望遠鏡で確認できます。
私達は、その宇宙でナンバーワンの知的生命体でしょうか。
それとも、2位以下の知的生命体に属しているのでしょうか。
宇宙の広さと、存在する星の数から考えても、1位である確率は低いと思いませんか?。
即ち、無限の宇宙には、私たち以外にも「知的生命体がいる」と考えるのが、オッカムの真実なのでしょう。
幽霊の存在
霊的な体験をした時、人々はその理解不能な現象に対して様々な仮説を持ちます。
「脳の誤作動による幻覚だ」とか、「ストレスが原因だ」等といった医学的な推論や、「幽霊に違いない」とか、「宇宙人の仕業だ」といった仮説です。
オッカムの剃刀で考えるには、第三者によって確認できる物理的現象以外を削ぎ落として考えるのが良さそうです。
第三者が共有できる事象であれば、脳の誤作動である可能性は高確率で排除できるからです。
例えば、本人以外でも確認できる事象(物が「動く」・「壊れる」・「修復する」・「映像に映る」・「変化する」といった物理現象)だけで考えるわけです。
興味深いことに、「神の存在」と比べ、幽霊やポルターガイスト現象が映ったとされる映像は膨大な量で存在します。
座敷童やキジムナーといった妖怪とも言われる存在や、ネッシーやイエティ等のような未確認生物(UMA)を入れれば、その数は更に増えます。
勿論、偽物の映像も多いはずですが、宇宙論と同様にそれだけの数がありながら、一つも本物の映像が無いと考えるのも不自然です。
心霊現象には警察の捜査が入った事例(アナベル事件等)もあり、物理的に解析不能な現象が公的に確認されているのです。
即ち、この世界には、「科学で解明できない何かが存在する」と考えるのが真実ということになります。
まとめ
この記事で、オッカムの剃刀によって導き出した真理を並べてみます。
- 少なくとも地球上に神は存在しない
- 地球外にも知的生命体が存在する
- 科学で解明できない何かが存在する
これらを整理すると、神は存在しないが、科学で解明できない存在はあるという事になります。
そして、地球外生命体は、科学で解明できない存在に該当します。
また、神の存在は、科学で解明できませんが、神が地球外生命体なら理屈が合ってきます。
つまり、オッカムの剃刀によれば、「科学で解明できない何か」を単純に「地球外生命体だ」と考えることになるのです。
結果、神は地球外生命体であるという結論になります。
このように、前提が変わると、今までは考えもしなかった視点に目が向くようになります。
例えば、人間が死亡すると魂がエレメント化し、別の地球外生命体に変化すると考えることもできるのです。
複数の真実に辻褄の合う仮説で考えていくと、真理に近づくための思考節約になるかもしれません。
貴方は、オッカムからの思考メッセージをどう感じたでしょうか。