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住宅ローン金利が上昇する理由とは?

不動産営業をしていると、顧客から今後の金利動向について聞かれることがよくあります。

しかし、未来の事は誰にもわからない部分ですので、営業の立場から確定的な意見を述べることはできません。

ですから、このような質問に対しては、金利上昇のしくみや考え方をお伝えし、各自の判断をしていただくしかありません。

そこで、今回は、住宅ローンの金利上昇の基本的なメカニズムについて簡単にご紹介したいと思います。

 

金利は毎月変わる

住宅ローン店頭金利は、毎月変動しています。

金融機関の各行が月初に公開しますが、大抵は同規模の銀行同士で足並みを揃える格好になります。

この為、同規模間での金利が大きく異なる事はありません。

 

住宅ローンの金利適用には、申込時実行時の2種類があります。

住宅ローンの申し込みをした日の金利を適用するのが「申込時金利」で、融資が実行された日の金利を適用するのが「実行時金利」です。

契約時の金利ではないので注意しましょう。

 

住宅ローン金利の変動は、様々な要因によって起こりますが、いくつかのポイントを知っておくと金利の検討に有利です。

先行きについて予測しやすくなる効果もありますから、この機会に覚えておきましょう。

 

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短期金利と長期金利

日銀が民間銀行に貸し出す金利は、貸出期間によって利率が異なります。

住宅ローンの変動金利方式は、短期金利の影響を大きく受けています。

固定金利選択方式や全期間固定金利方式は、長期金利の影響を受けます。

 

短期金利は、日銀の金融政策によって調整されています。

日銀が金融緩和をすれば、短期金利は低くなり、金融引き締めに動けば短期金利は高くなるというのが通常の動きです。

 

長期金利は、債券相場によって変動する特徴があります。

新発10年国債が買われれば金利が低下し、売られれば上昇するといった具合です。

たくさんの人が国債を買うと、国は利息を払うのが大変になる為、金利が下がると考えれば自然に理解できます。

反対に、国債の人気がなくなると、投資メリットを出すために金利を上げるわけです。

 

投資家が長期国債を売るのは、長期資金を手元に集める意味があります。

国債は、債務者が国ですから、比較的に安全資産と認識されています。

このような安全資産を手放すのは、リスクを選考して投資活動しようという時です。

 

投資家は、好景気の時や物価が上昇する局面ではリスクをとりやすくなりますので、国債を売って株式を購入する動きが増えます。

株式が買われ、国債が売られる循環が起きれば、長期金利は上昇します。

 

この他、日銀の金融政策によって長期金利が変動することもあります。

近年では、マイナス金利政策によって長期金利が低下しました。

このように、様々な要因で長期金利が変動する事によって、住宅ローン金利に影響しているわけです。

 

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マイナス金利の影響

日銀が実行した、マイナス金利政策をご存知でしょうか。

この金融政策は、昨今の住宅ローン金利に深く関係しています。

よく知らないという人のために、簡単に説明しておきますね。

 

民間銀行は、日銀に準備預金をしています。

私達が銀行にお金を預けるのと同じように、日銀に貯金をしているわけです。

個人が銀行に貯金をすると、僅かながら金利が付きますよね?

マイナス金利政策下では、銀行が貯金をすると、日銀に金利を取られてしまうのです。

 

お金を預けると目減りしてしまうことになりますから、銀行経営に悪影響ですよね。

それなら、日銀に預けないで金庫にでも入れておけば良さそうだと思いませんか?

民間銀行も、そうしたいと思っているはずです。

 

実は、準備預金制度というルールがあり、銀行は、保有する預金の一定割合を日銀の当座預金に預けなければならない事になっています。

日銀が一定金額をプールすることによって、破綻を抑制する効果があるからです。

 

とはいえ、マイナス金利が実行されると、民間銀行は必要以上に日銀に預けることをしなくなります。

結果、貸出しや投資によって市場にお金を流して経済を活性化させることに繋がるというのが日銀の狙いです。

 

銀行としては、余ったお金をリスクの高い株式投資等に使うのは避けたいところです。

そこで、民間銀行が国債を買う動きが活発化します。

このような現象も、日銀の思惑の中に含まれているわけです。

 

国債が買われれば、長期金利が下がりますから、住宅ローン金利も下がります。

つまり、マイナス金利によって住宅ローンの固定金利が低下する効果が出るのです。

消費者にとっては有難い政策ですが、銀行にとっては最悪の措置です。

 

日銀にお金を預ければ目減りし、民間にお金を貸す時には利益が減るという事だからです。

ここまでの話で、銀行の収益がかなり圧迫される政策だという事がわかると思います。

この為、金融機関の株が売られ、株価が低迷し続ける事になったのです。

 

 

景気と株価

企業業績や景気動向等が良好な時、大抵は株価が上昇します。

このようなニュースを見かけた時には、住宅ローンの金利にも影響が出ると考えることができます。

 

2018年10月現在、米国の長期金利が3.2%を超えるところまで上昇しています。

日本でも、海外に拠点を持つ金融機関を中心に銀行株が上昇し始めています。

このまま好業績と良好な景況感が続き、物価上昇を確認できれば、マイナス金利の解除をして、正常化へと向かう日も近いのかもしれませんね。

 

そうなれば、長期金利と共に銀行株が上昇し、住宅ローンの固定金利も高くなるはずです。

このように、株価と金利には密接な関係があります。

一般的に、長期金利が下落した場合、金利上昇の恩恵を受けない株は上昇します。

 

例えば、長期金利が下落した場合、投資家は定期預金などに預けておくよりも株式投資を行った方が有利だと考えます。

一方、長期金利が上昇した場合、リスクの大きい株式投資を行うよりも、定期預金や国債購入をする方が安全だと考えます。

 

このような市場心理を理解しておくと、経済情勢に合わせて金利がどのように変化するのかを掴めるようになるはずです。

 

まとめ

普段、何気なく目にしているニュースでも、意外に身近な部分に影響しているものだと思いませんでしたか?

投資をしていない人でも、日銀の金融政策に関するニュースには注目しておくと良いと思います。

毎月の支払に直結する情報ですから、不動産営業としても目が離せない情報ですね。

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