不動産営業職は、新人研修が存在しない会社が多いです。
ですから、基本的な事を教わらないまま、実戦に入っていくことも珍しくありません。
そこで、不動産営業の新人さんに向けて、「高く売れる物件」についての考え方を解説していきます。
WEB上の新人研修だと思って読んでください。
また、これから売却を予定している方も、「不動産屋の目線」を理解することができると思いますので、参考にしていただければと思います。
物件価値の基礎
まず、あまりにも基礎的な部分で、おそらく誰も教えてくれない事から説明しておきますね。
不動産の価値を決める際、基本中の基本として注目するのは、日当たりです。
しかし、最近では、この日当たりの考え方にも変化が出て来ています。
念の為、もう少し説明しておきましょう。
最も日当たりが良くなるのは、南側が道路に接道している物件です。
不動産業界では、「南道路」と呼びます。
南道路の次に日当たりが良いとされるのが、東側に道路が接道している物件です。
ですから、東南角地になる物件は、最も価値が高いということになります。
西道路は、夕方に日が射しますが、朝日の価値の方が高いと考えられています。
最も日当たりが悪いのは、北側が道路になっている物件です。
ですから、北道路の物件は、他の接道方向に比べて価値が低くなります。
また、角地の土地は、建蔽率が10%緩和されるので、少し大きな建物を建てる事ができます。
当然ながら、土地の利用価値が高いという事になりますから、価値が高いです。
一般的には、東南、西南、北東、北西角地の順番で価値が高いとされます。
でも、実際には、周辺の環境等によって順番が入れ替わることもあります。
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日当たり需要の変化
近年では、想定外の猛暑日が続く等、異常気象と言われる日が多くなりましたよね。
そのせいか、「南道路は日当たりが良すぎて嫌だ」と言う人も出てきました。
確かに、日当たりの良い物件は、冷房の効き等に影響がありますよね。
寒さよりも、暑さの方が凌ぎにくいと考える人が多いのかもしれません。
最近では、「割安で良い」という理由で、北道路を好んで探す人もいるくらいです。
実際、北道路の方が良い間取りが入るという傾向もあり、一理ある考え方です。
つまり、南道路の場合、玄関が南側になるので、それが勿体ないという事ですね。
北道路は、夏に涼しくて、価格が安く、良い間取りが入るのが魅力だそうです。
考え方によって、土地の価値も多様になってきたと感じています。
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物件の価値
新築物件でも、中古物件でも、不動産は万人受けする条件下にあることが重要です。
車でも同じですが、人気のある車種は下取り価格が高くなりますよね?
つまり、高級車や、奇抜な色の車は売れ難いという事です。
不動産においても、間取りや外観が特殊な物件は人気がありません。
また、必要のない設備等が多い物件も、売却時に不利になります。
コストがかかっているからといって高く売れるわけではなく、多くの人が良いと感じる要素でなければ価値が上がりません。
どんな商品でも同じ原理ですが、『希少性』と『需要』によって相場が決まるということを覚えておきましょう。
人気の中古物件とは?
中古物件の中には、すぐに売れてしまう案件があります。
そのような物件の特徴について、ご紹介しておきましょう。
共通しているのは、「良い意味でコストがかかっている」物件です。
例えば、大手ハウスメーカーで施工されている中古物件です。
買う側も安心して住むことができるようで、少し高めに販売していても売れ行きが良い傾向があります。
その他では、室内のリフォームに、何か喜ばれるようなコストのかけ方をしている場合です。
壁紙ではなく、珪藻土を使用しているとか、木材(桧等)の壁にしている等です。
土地部分の価値が高くて人気になるケースもあります。
日当たりの良い整形地に建つ中古物件は、それだけで価値が高いと考える事ができます。
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環境の価値
静かな公園に隣接している等、立地環境によって価値が上がる場合もあります。
開発許可を申請して造成した建売現場等も、価値を高める要素の一つです。
人気の住宅地内である事も、価値を上げる要素になります。
物件の場所は、ほんの数十メートルの違いでも大きく価値が変わる事もあります。
ですから、街の特徴や人気は良く把握しておく必要があります。
見た目には同じ街並でも、住所が変わるだけで価値が変わる場合もあります。
都市部の地名は、ステータスにもなる部分なので価格に影響するのです。
環境面が優れていても、価値を下げる要素の方が上回ってしまう場合もあります。
騒音を出す隣人がいるとか、周辺施設に人が嫌がる要素がある場合等です。
プラス面とマイナス面を考慮して、その物件の本当の価値を見出すのがプロの仕事です。
建物の価値
単純な話ですが、築浅物件は高く売れやすい要素になります。
一般的には、20年で建物の売却価値が無くなると言われていますので、古くなるにしたがって価値が低下していきます。
築年数が20年以上経過した中古物件は、建物の価値は100万円以下で扱われるのが慣習です。
ハウスメーカー施工の場合等は、もう少し高めに評価が付く場合もありますが、大凡100万円だと思っておけば良いと思います。
最近の建物は、建築資材の進化等によって耐用年数が長くなってきました。
ですから、今後の建物については、もう少し建物価格を評価するケースも出てくるかもしれませんね。
土地の価値
建物が現存する物件の場合、主に周辺の取引事例と建物価値(積算法)で価格を決めます。
土地物件の場合は、取引事例での比較と、土地の利用価値で価格が決まります。
気を付けなければならないのは、土地にかかる制限についてです。
例えば、防火地域に該当している場合は、通常の建物よりも建築コストが高くなりますので、エンドユーザーに倦厭されやすくなります。
最低敷地面積や、高さ制限等についても、土地の価値に影響する部分です。
つまり、土地の場合は、どのような建物が建築できるのかによって価値が変わるという事です。
地型の良い土地は、良い間取りが計画しやすい為、価値が高くなるという理屈です。
当然ながら、土地が広くなれば土地価格は高くなります。
これは、価値が高くなるという事でもある一方で、「売れにくくなる」ということにもなります。
何故かと言うと、一般の人が購入できるのは30~50坪程度までが通常だからです。
それ以上の広さになると、金額的にも大きくなりすぎますし、一般人には必要のない広さになっていきます。
都市部については、土地は大きすぎると買い手が限られてしまい、価値が下がることになります。
30~50坪の整形地が最も価値が高い土地という事です。
売却方法について
不動産の売却には、大きく分けて2種類あります。
1つは、エンドユーザー(一般客)に向けて販売する方法です。
この場合、この記事でご紹介したような「値上がり要素」(売れやすさ)が重要視されます。
もう1つの方法は、買取業者に売ると言う方法です。
この場合、業者の仕入れ価格になりますので、かなり割安な売却を余儀なくされます。
この為、時間的に余裕が無い場合にとられる売却方法です。
業者買取の場合、飯田グループ等の上場企業に買ってもらうのが、最も高く売る方法になることが多いです。
建物を安く建てられる会社は、その分だけ土地にお金をかけられるからです。
上場企業には仕入規定があり、これに該当しないものは買う事ができません。
ですから、このような規定を満たした状態で売却することも重要なポイントになることがあります。
まとめ
売却時の価値には、実際にかかった建築時のコストと乖離することがあります。
これは、買い手にとって価値にならない要素は、いくらコストがかかっていても意味がないという事を示しているのです。
物件価値を決める要素は、主に「日当たり」・「付加価値」・「環境」・「築年数」・「土地の形状」等です。
また、時期によっても、需用の違いから売却価格が変動する事があります。
実務に入る前の基本的な知識として覚えておきましょう。