不動産売買の仲介業をしていると、隣地からの越境物等を発見することがあります。
このような越境案件では、契約後のトラブルを避けるためにも、越境物についてきちんと対処しておく必要があります。
越境物にも色々なものがありますが、対処方法はどれも同じようなものです。
この記事では、越境トラブルを防止するためのコツについてご紹介します。
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売主に依頼する
新築物件(建売住宅)の場合、越境物についての対応は売主に依頼すればOKです。
売主の責任として、何らかの方法で問題を解決した状態で引き渡すべきだからです。
但し、越境物について対処の依頼をする時には、どのような書面を用意してほしいか等をしっかりと伝えておきましょう。
相手のやり方に任せるのではなく、買主にとってベストな対処をさせる事が大切です。
すぐには取り除くことができない越境物の場合には、将来の撤去を約束する覚書を作成してもらう等、買主側がトラブル時に対抗できる根拠となる書面にしておくことです。
すぐに動かせる物の場合には、売主から連絡して決済までに敷地内に移動させてもらうのが良いでしょう。
仲介業者側は、契約書類にこの内容を特記すれば良いのです。
物体の越境
植木鉢や資材等が越境して置かれていることがあります。
立て掛けてある物体が越境している事もあります。
売主が対応してくれない場合も想定し、自分で対処できるようになっておいて損はありません。
事前にやっておきたい事をまとめておきますので、参考にしてください。
写真の撮影
越境物を見つけたら、まずは写真を撮るようにしましょう。
土地の境界ラインを超えている事が分かるように撮影してください。
越境物の所有者について、表札等から氏名が分かればメモしておいてください。
後は、承諾を得て移動させるか、本人に移動してもらうかを交渉するだけです。
売主に依頼する際には、写真をメール等で送付して依頼すると良いと思います。
動かせない物の越境
ブロック塀やフェンス等、今すぐには撤去することができない物が越境している事もあります。
このような場合、将来の建替えの際にきちんとしてもらう約束を書面で交わす方法が有力です。
また、崩落等のトラブルが起きる可能性が高い状況の場合、その責任と具体的な対処内容について明記した書類を交わしておく必要があるでしょう。
誰の費用でいつまでに撤去し、その他の損害発生時は誰が賠償するのか、といった内容です。
このような対処をした上で、買主には、現況は動かすことが困難であることを理解して購入してもらうしかありません。
2020年4月以降の契約では、契約不適合責任の観点から特記事項への記載を考慮する必要もあります。
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空中での越境
空中越境の大半は、植物の越境です。
建蔽率(けんぺいりつ)の厳しい地域では、屋根の一部や、樋などが越境している事もあります。
空中越境の場合にも、必ず写真に残すことを忘れないようにしましょう。
日付を付ける機能があれば、表示しておくと良いです。
植栽の場合
植物が越境している場合、隣地の承諾さえもらえれば剪定することができます。
後は、この作業を誰がやるかという問題だけです。
リスクとして考えておかなければいけないのは、剪定後にその植物が枯れてしまった場合いの事です。
偶然に枯れる時期に重なっていたとしても、無関係であることを証明することはできませんよね?
ですから、できれば隣地の人に切ってもらうのが理想です。
越境問題は、ちょっとした手順の違いでトラブルになり兼ねませんので細心の注意を払いましょう。
建造物の場合
空中からの越境物が建造物の一部である場合は、ブロック塀等のケースと同じです。
現在の違反状況と、将来の撤去を約束した内容で承諾をもらい、書面にしましょう。
無効になる書式では意味がありませんから、個別の記載事項については、経験者の意見を聴くと良いと思います。
社内に法務課があればチェックしてもらえば良いでしょう。
相手が応じない時
どのようなケースだとしても、相手が説得に応じない場合もあります。
最悪の場合、訴訟に発展する事もありますので、このような物件は顧客にお勧めしないのが一番の対策とも言えます。
しかし、買主が、このような状況でも欲しいと言うこともあるでしょう。
そんな時には、現状のままで、できる限りの対応策をするしかありません。
買主のリスクとなる部分ですから、最悪の事態も含め、十分に説明する必要があります。
粘り強い説明と交渉を続け、妥協点を模索しましょう。
そして、買主にとってリスクとなる事項と状況等について重説・契約書に明記してください。
まとめ
越境に関する締結書類は、丁寧に説明していけば合意してくれる事が多いです。
しかし、当然ながら、そうはいかない相手もいます。
とにかく、営業マンは買い手が将来トラブルに見舞われないように手を打ってあげれば良いということです。
必要に応じて、法律の専門家等とも相談しながら慎重に進めましょう。