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借地権を実例で理解する勉強用記事

法律初心者が民法や借地借家法の勉強をする際、他の法律よりもちょっと難しく感じませんか?

そもそも、借地権や地上権って、実例を踏まえた教材があまり無いんですよね。

実務経験は一切なく、法的知識だけを持つ人も多い分野だと感じます。

借地権、賃借権、地上権の違いについても、法律初心者にはとても難解に感じるはずです。

ネット等でこれらを調べても、辞書をそのままコピーライトしたような説明ばかりでピンと来ない・・・という事になりがちです。

そこで、他とは違うアプローチで、実例を交えながら分かり易く学習できる記事を作成してみました。

入門教材として読んでみてください。

 

借地権はこんな風に発生する

実際の話を聞くと、借地権への理解が深まります。

私が経験した実例の中から、各権利関係が理解しやすいと感じた事例をご紹介したいと思います。

まずは、このストーリーを掴んでみてください。

 

地主さんが土地を貸す理由

地主さんは、多額の相続税を払うために相続の度に土地を売却している人が多いです。

つまり、何代か前の地主さん達は、どの地主さんも今より広い土地を所有していたわけです。

 

広大な土地を所有している地主さんは、当然ながら大金持ちですし、小さな土地を使わせるくらいは痛くも痒くもない事でした。

当時の地主と仲良くしていた近隣の人達は、無償で土地を貸してもらっていた人もいました。

 

大きな道具等を置かせてもらうとか、農具等をしまっておく倉庫のようなものを使わせてもらうといった具合です。

また、新しい商売をする人に路上店舗用の土地を無償で貸したりするケースもあったようです。

 

地主はお金持ちなのでお金に困っていませんし、いちいち地代をとったらケチだと思われそうだしな・・等と考える人もいたでしょう。

なので、「そんなのタダで使っていいよ」等という気軽な使用賃借からスタートしている事も多いわけです。

 

ご近所付き合いから始まった軽い賃貸借が、世代を超えて法的に価値のある権利へと変わっていくのです。

 

賃借権の始まり

先程のような場合、地主から土地を借りた際に契約書も作成していませんし、地代も払っていません。

このように、契約書や地代が無い賃貸借であっても、(法律上の考え方では)賃借権は成立しています。

 

土地を借りたい」という意思と、「貸してあげるよ」という意思があり、実態として賃借が開始されていれば賃借権(貸し借りの権利)となるわけです。

要するに、賃借権とは、貸す権利と借りる権利の総称で、契約書や登記の有無は必要ないのです。

 

賃借には、建物の賃借権(借家)の場合と、土地の賃借権(借地)の場合があります。

そして、借りている土地に借地人所有の建物登記があれば、対抗力のある借地権になります。

 

土地の賃借権は、同時に借地権(土地を借りる権利)でもありますよね?

この土地に借地人が建物を建築し、この建物の所有権を登記すると第三者への対抗力を持つことになります。

 

つまり、地主が誰かに底地を売っても、新しい土地所有者に対して「借地権があります」と対抗できるということです。

賃借権は、本人同士の間だけでの話ですが、建物が登記された借地権になると第三者にも効力が発生するのです。

 

このような違いを呼び分ける(詳細に分類する)必要性から、借地権という言葉で使い分けられていると理解するのが近道だと思います。

 

正式な借地権の場合

私達がイメージする借地権の始まり方は、地主に対して「土地を借りる契約をさせてください」と申し入れるようなものですよね。

この時、土地を借りる人(借地人)は、地主に対して借地権(土地を借りて使う権利)を購入する立場になります。

 

そして、借地権に対して支払う代金と、毎月の地代が別々に設定されます。

例えば、1億円の土地を所有している地主が、その土地を借りる権利(借地権)を4000万円で売り、地代を月々5万円とる・・といった具合です。

 

借地人は、通常なら1億円出さないと買えない土地を4千万で使える権利を手にすることを意味します。

その代わり、「毎月の地代も払ってね」というのが通常の借地権契約です。

 

このように、正式な手続きで手に入れた借地権は、第三者に譲渡する際もスムーズですし、権利関係も明確ですよね。

 

地主が土地を返して欲しい時には、借地権を4千万円以上で買い取ることになるでしょう。

また、借地人がその土地に建てた建築物があれば、買取を求められる可能性が高いです。

 

要するに、借地権とは、向こう30年程度は自分の土地として使用できる権利として売られるものなんですね。

ところが、昔の人達は、契約書も無いままこのような権利関係を発生させたり、借地権としての対価を授受していない(地代だけしかもらっていない)状態だったりします。

 

このように、同じ借地権の案件でも、成立までの経緯によって色々と枝分かれすることから、一般の方々にはとても理解が難しくなるのです。

 

借りている側の心境変化

土地を借りている側は、無償で貸してもらった事に感謝しつつも、内心では「あんなにたくさんの土地を持っているのだから、これくらいなんでもないんだろうな」等と考えている人もいるようです。

だって、マトモな人なら、ある程度長く使うのであれば「長く使わせてもらうので、地代を払います」ってことになりますよね。

それをしないまま何十年も過ごしているのですから、最初の感謝もどこかえ消えてしまったという事なのでしょう。

 

昔からの借地権の場合、通常の地代よりも安い地代設定になっている事も多いようです。

元々知り合いだったりすると、「ほんの気持ちだけでいいよ」等ということになりがちなのでしょうね。

 

このようにして、地代をもらっていたり、貰っていなかったり、色々な借地権の形態が生み出されていきます。

そして、あっというまに数十年が経ち、当の地主が亡くなったりするのです。

 

一方、借りている側の方でも、時が経てば借りた本人が死亡します。

その親族は、何も詳細を聞かされていないまま土地を使用し続ける場合もあるでしょう。

 

私が経験したのは、親から引き継いだ借地に建物を建築し、お店を営んでいるケースでした。

地主に断りもなく建物を建築し、地代も払わないまま営業を続けてきたわけです。

 

代が変わってトラブルになる

以前は広大な土地を持っていた一族も、数代の相続を経ると資産はかなり減ります。

相続時に払う税金と、複数の相続人に財産が分散されていくためです。

 

すると、借地権が付いた土地(底地と言います)を相続した人が「売りたいから土地を返して欲しい」等と考えるようになります。

そして、当時ほどの資産家ではないので、お互いが大きな価値を感じて争うようになります。

 

借りている側は、法的な権利があることを理由に対抗してきます。

旧借地法は、借り手有利な法律だったので、借りた側が不当に得をしているように思える事例も多く見受けられます。

 

そこで、平成4年8月1日に借地借家法という法律が施行されました。

つまり、この日よりも後の契約には、旧借地法が適用されないのです。

 

借地借家法では、地主が土地を返してもらいやすいように、期限を定めた借地権が登場しました。

これを定期借地権といいます。

 

地上権と借地権の違い

とても簡単に説明すると、地上権というのは、土地の謄本に地上権が登記されている状態のことです。

土地に地上権を登記するためには、地主の承諾が必要になりますから、余程の事情が無い限りはこれを許すことはありません。

自分が土地所有者だったら、そんな権利をつけさせたいとは思わないことが想像できると思います。

 

仮に、土地に地上権の登記をさせるとしたら、契約書を交わして相当の権利金等を受け取る場合でしょう。

つまり、長期に渡って、自由に土地を使える権利を売る感覚で行われる取引ですよね?

 

通常、民間での契約において、このような大袈裟なやりとりはありませんので、地上権がついているケースは稀です。

実務上では殆どお目にかからないと思って良いと思います。

 

つまり、不動産業をしていて目にするのは、その殆どが借地権か賃借権なのです。

そして、それに伴う地代や、権利の金額について争いが起こるということですね。

 

法律家に相談

地主側は、「土地を取り戻したい」という理由で法律家に相談します。

一方、借地人側は、「借地権を買い取って欲しい(又は第三者に売りたい)」とか「建物の買取請求をしたい」といったことを相談します。

どちらの場合も、相手方が反対の意思を持っている場合にトラブルになるということです。

 

地主の相談ケース

地主は、法律家や不動産業者等に「どうやったら借地権を解消できるのか」と相談します。

大抵は、旧借地法の頃の話になるので、「所有者に不利な法律なので、相手が承諾しなければどうしようもありません」等といった回答になり、頓挫します。

 

建物が借地人の所有物で、しかも登記がしてある場合、地代交渉をするくらいしか術がないことが殆どです。

借地権の評価額を算出し、「この金額で買い取りますので、売ってもらえませんか」と交渉をすることも可能ですが、「そんなはした金では売らない」等と言われてしまうと先に進むことができません。

 

その他にも解決手段はいくつかありますが、どれも確実性があるものではなく、相手の出方次第という部分が付きまとう為、借地権問題は解決が難しいことも多いのです。

 

借地人の相談ケース

借地人からの相談は、相続によって借地権を引き継いだ人が相談してくる場合が殆どです。

自分には必要のない借地権であったり、処分して現金化したいというニーズから相談されますが、地主側が必ずしも借地権を取り戻したいと考えているわけではないので、簡単にはいかないこともあります。

 

また、地主側から何らかのアクションがあり、借地人が「どうしたらいいのでしょう」と相談してくるケースも多いです。

いづれにしても、借地人側の権利が守られている法律下での話ですので、借地人に解決の意思があれば問題解消できる可能性が高いです。

 

借地権と地代価値の話

借地権は、色々な形で発生するものなので、地代の取り決め方についても多様です。

なんとなく金額が決められた場合もあれば、きちんとした評価額に基づいて設定されていることもあります。

 

借地権問題では、まずは「正当な地代が受領されているかどうか」を確認します。

授受されている地代によって、権利の評価額にも影響するからです。

 

そして、地代の改定交渉を行うとか、正当な借地権の金額を算出するといった事を行っていきます。

その上で、買取額、売却額等を決定して交渉に入ることになるでしょう。

 

借地権の評価は、通常の土地評価よりも複雑なので、普通の税理士では手に負えないこともあります。

この為、借地権に長けた依頼先に相談することをお勧めします。

 

まとめ

土地の賃借権と借地権の違いは、建物の登記があるかどうかで判別するのが簡単な解釈方法かもしれません。

そして、借地権と地上権の違いは、土地にその登記があるか・・で判別できます。

 

法律用語では、地上権は物件の性質を持つ、といった表現をしますが、これってすごく分かりずらいですよね。

あえて超簡単に説明すると、地上権は「誰かの所有物」と同じように考える権利で、借地権は「借金のとりたて権」と考えれば理解しやすいと思います。

 

当然、通常の所有権として維持したいと考える地主が多いはずですから、地上権が設定されることは稀です。

皆さんが見聞きする借地権の殆どは、土地の賃借権と連動している借地権と考えましょう。

そして、その借地上の建物に登記がなければ、土地の賃借権(当事者以外に対抗力のない借地権)として見れば良いのです。

 

あとは、借地に関する契約書があるかどうかや、正当な地代が授受されているかどうか等が重要な論点になっていきます。

その後どうなるかは、当事者同士の感情や提示条件等によります。

 

このように実際の事例を交えて考えてみると、借地権について少しは具体的なイメージができるようになるのではないでしょうか。

試験問題を考える際には、このような実際の人と人のやり取りを思い描き、状況を把握してみましょう!

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