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土地区画整理法の無料テキスト|宅建独学用

土地区画整理法は、試験対策上としては少し効率の悪い科目です。

勉強内容が比較的に多くて理解しにくい割に、1問しか出題されないからです。

つまり、苦労に対して成果が小さい印象がある法令です。

頻出箇所を中心に説明しておきますので、頑張って学習しましょう。



 

総 則

この法律の目的は、土地区画整理事業に関して、施行者、施行方法、費用の負担等必要な事項を規定することにより、健全な市街地の造成を図り、公共の福祉の増進に資することです。

簡単に言い直すと、「土地の区画を綺麗にする工事について必要な事項をまとめた法律」です。

 

では、どんな時に土地区画整理が必要になるか想像してみましょう。

土地区画整理をする目的は、健全な市街地の造成を図るためですよね?

田畑と宅地が混在するような場所では、いびつな形の土地が多く、道路もクネクネしている田舎道です。

 

このような街並みを造成し、新しい道路を造って街の区画を整理する事業が計画されることがあります。

そんな時には、この法律が必要になるというわけです。

 

土地区画整理事業は、人の増加に伴うインフラ整備の他、防災の視点からも公共の福祉の増進に役立つものです。

街が綺麗になる事業ですから、誰もが歓迎しそうですよね。

 

でも、造成工事の間は、そこに住むことができなくなります。

人々の暮らしに影響が大きい事業でもありますから、この法律では立ち退き問題や、換地計画等についても定めています。

では、具体的な内容を見ていきましょう。

 

土地区画整理事業とは

土地区画整理事業を法令の文言で説明すると、以下のようになります。

都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため、この法律で定めるところに従って行われる土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業をいう。

覚えて欲しいのは、土地計画整理事業は都市計画区域内で行われるという点です。

区画整理をする必要があるという事は、ある程度の人口増加がある場所です。

お金をかけて新しい街並を形成するのですから、都市計画区域外では優先してやる必要性が無いのです。

 

土地区画整理の事業地として認められた土地では、建築物の建築、土地の形質変更等を自由にできなくなります

土地に何かをする際には、原則として都道府県知事の許可が必要になります。

 

国土交通大臣が行う区画整理事業の場合には、国土交通大臣の許可が必要です。

個人施工者や市町村による区画整理事業の場合には、市長の許可が必要になります。

 

施行者が、都道府県、市町村、国土交通大臣のような公的な施行者の場合には、施行区域(都市計画で定められた整理事業区域)でのみ土地区画整理事業を施行することができます。

一方、個人が施行者の場合には、市長の許可によって施工される、比較的小さなものですので、施工区域外でも施行可能な場合があります。

 

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土地区画整理事業の施工者

土地区画整理事業をする際には、「誰が施工するか」を先に決めます。

では、土地区画整理事業の施工ができるは誰なのでしょうか。

 

施工者になれるのは、以下のような人達(組織)です。

個人で組織された施工者と、公的な施工者の2種類があります。

  • 個人(所有者、借地権者等を含む)
  • 土地区画整理組合
  • 土地区画整理会社
  • 都道府県や市町村
  • 国土交通大臣
  • 独立行政法人(都市再生機構等)
  • 地方住宅供給公社

 

土地区画整理組合は、宅地の所有者や借地権者等の7人以上が共同して設立したものです。

事業計画を定め、施工地区を管轄する市町村長を経由して、知事の認可を受けて設立する必要があります。

設立後、施工地区内容の所有者又は借地権を持つ人は、全員が組合員として扱われます。

 

土地区画整理会社は、地権者と民間事業者が共同で定款と事業計画を定めて設立した会社のことです。

設立の際は、施工地区内の宅地の所有者と借地権者の同意を得なければなりません。

また、施工地区を管轄する市町村長を経由して、知事の認可を受けて設立する必要があります。

補 足

個人、土地区画整理組合、土地区画整理会社は、どれも個人施工の規模で行う事業ですから、比較的に規模の小さい(市街地開発事業ではない)場合の施工者です。

市街地開発事業になるような規模の場合には、公的機関による施工になるわけです。

 

土地区画整理事業の対応と処分

土地区画整理事業の計画地に住む人達には、一時的に立ち退きが必要になります。

立ち退き後は、それまで住んでいた土地の権利を消滅させます。

その代わり、新しく区画整理した区画から、同条件に近い土地を取得させます。

この移転取得先の土地の事を「換地」と言います。

元々の土地と条件の近い土地を取得するイメージです。

 

そして、区画整理をする際に、道路部分や公園等にする土地を、皆から少しずつ無償提供させる事を「減歩」と言います。

ですから、減歩が行われた場合には、元々の土地よりも面積が小さな土地が「換地」として提供されます。

 

土地は小さくなりますが、実際の価値としては、区画整理による価値の増大によって調整されるという考え方です。

つまり、坪単価が上がるので、売却時の価値は変わらないという理屈です。

 

例えば、100坪を提供した人が、減歩後に80坪の土地を取得したとします。

今までとは違う場所の土地が換地となりますが、売却時の価格は同じになるように調整されます。

無くなった20坪分は、道路や公園や保留地等に充てられたわけです。

失った20坪分だけ街が綺麗になっていますから、損はしていないという考え方なのです。

しかし、実際にはピッタリ同じ価値にすることは困難なので、清算によって調整します。

 

ポイント

保留地とは、事業費用を捻出するために第三者に売却するための土地の事です。

 

このようなルールによって、国による土地収用(買い取り)をしないで済むようにしているという事です。

時間も費用も節約できる、画期的な法律というわけです。

 

土地区画整理事業の実施手順

土地区画整理事業の施工者が決まると、換地計画を立てます。

その換地計画を都道府県知事が認可し、実際に施工が行われ、換地処分の公告という流れになります。

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換地計画

土地区画整理事業を施工する際には、あらかじめ住民たちが換地として受け取る土地について決めておく必要がありますよね。

工事完了後に、どんな土地がもらえるのか分からないままでは、皆が不安です。

そこで、施工者は、必ず換地計画を定めることになっています。

 

換地計画は、宅地の位置、地積、状況、環境等ができるだけ同じ条件になるように定めなければなりません。(換地照応の原則)

また、換地計画では、以下のような内容を定める事となっています

  • 換地設計について
  • 換地明細について
  • 清算金について
  • 保留地について

 

このような手順で作成した換地計画は、原則として、都道府県知事の認可を受ける事で成立します。

以下、条文の一部抜粋です。

第八十六条 施行者は、施行地区内の宅地について換地処分を行うため、換地計画を定めなければならない。この場合において、施行者が個人施行者、組合、区画整理会社、市町村又は機構等であるときは、国土交通省令で定めるところにより、その換地計画について都道府県知事の認可を受けなければならない。

2 個人施行者、組合又は区画整理会社が前項の規定による認可の申請をしようとするときは、換地計画に係る区域を管轄する市町村長を経由して行わなければならない

3 施行地区が工区に分かれている場合においては、第一項の換地計画は、工区ごとに定めることができる。

 

換地設計

換地設計とは、区画割をした設計図のようなものです。

換地明細とは、各土地についての詳細がわかる書類です。

 

清算金

清算金は、土地の状況等が従前と照応できない場合に発生する金銭のことです。

清算金の徴収・交付がある場合、換地処分の公告後に遅滞なく行わなければなりません。

 

保留地

保留地は、誰かに換地するのではなく、事業資金に充てる目的で売却する土地です。

以下、条文の抜粋です。

比較的によく出題されている個所ですので、条文の表現に慣れておきましょう。

第九十六条 第三条第一項から第三項までの規定により施行する土地区画整理事業の換地計画においては、土地区画整理事業の施行の費用に充てるため、又は規準、規約若しくは定款で定める目的のため、一定の土地を換地として定めないで、その土地を保留地として定めることができる

2 第三条第四項若しくは第五項、第三条の二又は第三条の三の規定により施行する土地区画整理事業の換地計画においては、その土地区画整理事業の施行後の宅地の価額の総額(第九十三条第一項、第二項、第四項又は第五項の規定により建築物の一部及びその建築物の存する土地の共有持分を与えるように定める場合においては、当該建築物の価額を含むものとする。以下同じ。)がその土地区画整理事業の施行前の宅地の価額の総額を超える場合においては、土地区画整理事業の施行の費用に充てるため、その差額に相当する金額を超えない価額の一定の土地を換地として定めないで、その土地を保留地として定めることができる。

3 第三条第四項若しくは第五項、第三条の二又は第三条の三の規定による施行者は、前項の規定により保留地を定めようとする場合においては、土地区画整理審議会の同意を得なければならない。

3項の施行者とは、公的な施行者の事を指しています。

計画の中に保留地がある場合は、事前に権利者に知らせる必要があります。

 

換地処分

換地処分は、土地区画整理事業の工事が完了してから行うのが原則です。

しかし、規約等に別段の定めをすれば、工事完了前でも換地処分ができます。

例えば、「道路工事が完了前の状態でも換地処分ができるものとする」等と定めておけば、事業が完了しなくても換地処分が出来るケースがあるということです。

以下、該当条文の一部抜粋です。

第百三条 換地処分は、関係権利者に換地計画において定められた関係事項を通知してするものとする。

2 換地処分は、換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了した後において、遅滞なく、しなければならない。ただし、規準、規約、定款又は施行規程に別段の定めがある場合においては、換地計画に係る区域の全部について工事が完了する以前においても換地処分をすることができる

3 個人施行者、組合、区画整理会社、市町村又は機構等は、換地処分をした場合においては、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

 

換地処分は、権利者達に対して換地計画の内容を通知することによって行います。

そして、国土交通大臣や都道府県知事は、換地処分のあった事を公告をしなければいけません。

また、換地処分の施工者は、直ちにその旨を登記所に通知しなければいけません。

登記内容に変動があれば、遅滞なく修正のための登記をする必要があります。

 

公告の効果

換地処分で重要なのは、公告によって生じる効果についてです。

この内容が、本試験で何度か問われています。

 

法令上では、「公告日の終了時」と「公告日の翌日から」という言葉が出て来ます。

これは、良く考えると同じ事ですよね?

 

公告日の終了時に消滅する」という表現は、公告日の午前零時をもって消滅すると言いたいわけです。

これに対して、「公告日の翌日から」という表現は、公告日が終わった瞬間に効力が発生すると言いたいのです。

 

これは、年明けで考えると分かり易いかもしれません。

大晦日(公告日)の終了時に消滅し、大晦日(公告日)の翌日に効果が発生するという事ですね。

基準日となる日付が、12月31日か、1月1日かという違いです。

もし、「公告日に終了」と表現してしまうと、12月31日になった瞬間に終了してしまうようにも解釈できてしまいますよね?

 

換地処分後の権利

公告日の終了時には、原則として、今まで指定されていた制限や権利が消滅すると考えましょう。

重点的に覚えるのは、公告日の翌日から換地に発生する権利の方です。

換地処分がされると、公告日の翌日から以下のような効果が発生すると覚えておきましょう。

  • 換地が従前の宅地とみなされる
  • 清算金が確定する
  • 保留地が施工者のものになる
  • 設置された公共施設が管理者に移る

以下、条文の一部抜粋です。

第百四条 前条第四項の公告があつた場合においては、換地計画において定められた換地は、その公告があつた日の翌日から従前の宅地とみなされるものとし、換地計画において換地を定めなかつた従前の宅地について存する権利は、その公告があつた日が終了した時において消滅するものとする

 

公共施設の土地

土地区画整理事業の施行により生じた公共施設の用に供する土地は、公告があつた日の翌日において、その公共施設を管理すべき者に帰属します。

逆に、公共施設が廃止される場合には、その土地を元々所有していた国や地方公共団体に帰属します。

 

地役権の扱い

地役権とは、自分の事情で他人の土地の一部を使用する権利のことです。

水を引くためや、家に入るために他人の土地の一部を通行する権利等を想像するとわかりやすいと思います。

 

土地の売却時に、このような権利が消滅してしまうと、次の所有者は困りますよね。

ですから、設定契約をしている地役権を登記することもできます。

 

同法104条4項では、施行区内の土地に、地役権が設定されている場合は、公告後においてもその権利が残ると規定しています。

しかし、104条5項では、「土地区画整理事業の施行に因り行使する利益がなくなった地役権は、前条第四項の公告があつた日が終了した時において消滅する。」としています。

 

つまり、整理事業によって区画が整ったことによって、他人の土地を通行する必要等がなくなった場合は、公告の日が終了した時に地役権が無くなると言っているのです。

従前に存在していた地役権を、次の所有者に受け継ぐ必要がなくなっているのですから、公告後に消滅させるのが妥当というわけです。

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仮換地

大規模な土地区画整理事業の場合、かなり工期が長い事業になることが多いです。

そんな場合、換地として渡せる状態になるまでに何年もかかる事もあります。

このような計画地では、換地として使える状態になった場所から、順次に権利者へと渡していった方が良いですよね?

 

しかし、今後も周囲の工事は続いていくので、何か計画に変更等が生じる可能性が無いとも言い切れません。

そこで、「仮換地」という名称で権利者に土地を渡していきます。

 

ですから、工事完了までに何事も無ければ、仮換地はそのまま「換地」として確定することが多いです。

基本的には、そのまま換地となる予定地の事を仮換地と言っているわけです。

これが仮換地の正体です。

 

個人の施行者は、仮換地を指定しようとする場合においては、あらかじめ、その指定について従前の宅地の所有者及び仮換地となるべき宅地の所有者同意を得なければなりません。

組合による施行の場合は、総会の同意を得る必要があります。

都道府県・市町村・国土交通大臣等の公的な施行者の場合には、土地区画整理審議会の意見聴取が必要です。

将来、換地処分が行われると、その公告日の終了時に仮換地指定の効力が消滅します。

営業マン
以下、こぼれ話です

実務的には、事業決定されて換地計画が決まった時点で土地を売却する人が多いです。

これは余談ですが、仮換地へ従前の家を移転するには「曳き家」という方法があります。

施工者から費用の補償を受け、建物をジャッキアップし、仮換地へ移動させる工事です。

 

もう一つは、移転前の建物を解体し、仮換地に新築する移転です。

こちらは、解体費と建物価値に相当する補償を受けることになります。

換地計画が決まった時に土地を売却すれば、このような作業を省く事ができるのです。

 

仮換地の指定

第九十八条 施行者は、換地処分を行う前において、土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合又は換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。この場合において、従前の宅地について地上権、永小作権、賃借権その他の宅地を使用し、又は収益することができる権利を有する者があるときは、その仮換地について仮にそれらの権利の目的となるべき宅地又はその部分を指定しなければならない。

(一部抜粋)

また、仮換地を指定する場所に、既存の権利を持つ人達がいた場合、あらかじめ、その指定について、以下のような同意を得ておく必要があります。

 

個人施行者の場合

個人施行者の場合、以下の人達からの同意が必要です。

  • 従前の宅地の所有者及びその宅地についての権利を施行者に対抗することができる者。
  • 仮換地となるべき宅地の所有者と、その宅地についての権利を施行者に対抗することができる者

組合の施行者の場合

組合は、総会若しくはその部会又は総代会の同意を得なければならない。

 

公的な施行者の場合

公的な施行者は、土地区画整理審議会の意見を聴かなければならない。

 

仮換地の指定後の権利

仮換地の指定がされると、権利者へ効力発生日の通知が行われます。

仮換地の指定後は、(指定された場所の土地所有者は)その土地を使用収益できなくなります

使用収益というのは、自由に使える権利だと思ってください。

自分で使う事も利益のうちですから、収益物件として使うという意味ではありません。

 

公告日の翌日からは、仮換地に指定された人が使う土地になるのですから、状況さえ理解できれば道理の通った話ですよね?

この効力は、正式な換地処分の公告まで続きます。

 

ここまでは当たり前の話なのですが、権利については少し特別な部分があります。

それは、土地の所有権についてです。

 

仮換地になる土地の所有者(そこに住んでいた人等)は、仮換地指定によって自分以外の誰かがその土地の使用収益権を得ることになりますが、所有権はそのままにされます。

 

つまり、使用収益する権利だけが無くなるのです。

使う権利は無い状態ですが、登記上では自分の土地のままということです。

ですから、この土地を第三者に譲渡することもできますし、抵当権を設定することも可能です。

しかし、これを購入した第三者は、使用収益はできない状態での購入となります。

 

区画整理事業が完了していない「」の状態で所有権まで移転させてしまうのは、何かあった時に面倒ですよね。

登記にはお金がかかりますから、確実な状態になってから行う必要があるわけです。

 

補足

仮換地が指定された土地に建物等がある場合、この仮換地を使用収益することになった人のために解体が必要です。

このような場合、解体等の都合で仮換地指定の効力発生日とは異なる日に使用収益を開始することを定める場合があります。

その場合には、定められた日以降から使用収益できることになります。

 

過去問のポイント

確実に1問正解をする為に、過去問のポイントを押えておきましょう。

試験でよく問われている部分は、以下のような箇所です。

  • 事業の許可は誰にとるのか
  • 換地処分はいつできるか
  • 換地処分後の権利はどうなるか
  • 仮換地指定後の権利はどうなるか

これらを覚えていれば、新しい部分からの出題があっても消去法で導き出せるはずです。

 

まとめ|勉強のコツ

土地区画整理法は、少し理解が難しく感じる部分があるかもしれませんね。

できるだけ簡単に説明したつもりではありますが、イメージがし難い人もいるでしょう。

色々なサイトを見ると、図解で説明している記事等もあると思います。

 

この法令で大事なのは、実際の様子を想像できるようになることです。

状況と流れが理解できれば、それほど暗記が必要なわけでは無い事が分かると思います。

良く出題されているポイントをしっかり学習して、確実に1問正解してくださいね。

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