不動産物件には、告知事項が付いているケースがあります。
人が住宅等を購入する際に、「嫌だな」と思うようなことが告知事項として定められています。
そして、そんな物件でも、すぐに売れることがあります。
「裏側」と言うと聞こえが悪いですが、営業側の本音を交えながら、このような物件の販売事情について色々とお話していきたいと思います。
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不動産業界の格言
新人の頃、上司から言われて強く印象に残っている言葉があります。
正直、当時はピンと来ない部分もありました。
一般人の感覚に近かったので、内心では「そうは言っても、売れない物件はあるでしょ」と思っていました。
しかし、この実務に入ってからは、自殺物件だろうと、ヤクザの事務所の隣だろうと、買い手は必ず出て来るものなのだと知る事になります。
本当に、どんな物件でも買う人はいるのです。
変な物件は誰が買う?
誰も買い手が出て来ないように思える物件は、結構あります。
実際、何カ月も売れ残っている場合も多いです。
しかし、宅地として使える土地であれば、必ず最後には売れます。
どうして売れるかと言うと、単純に価格の問題です。
つまり、物件価格を下げれば誰かが買いに来るというわけなのです。
不動産物件が売れない理由は、「販売価格が高すぎるだけな事が多い」とも言い換えることができます。
とはいっても、山林等の場合には、需要の問題から売れないこともあるでしょう。
いくら値段を下げてみても、誰も買わない土地もあるかもしれません。
しかし、宅地として使える土地なら、最後は建売業者等が買って物件にします。
つまり、住宅が建築できる土地であれば、仕入価格まで価格を下げれば最後は業者が買うということです。
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嫌悪物件を買う人
不動産売買の取引時には、買主に対して告知義務というものがあります。
その土地で自殺した人がいるとか、火事で亡くなった人がいるといった情報等、人が嫌がるような事実は、買い手に告知しなければいけません。
人が嫌がる原因は、他にもたくさんあります。
高圧線の存在や、周辺の騒音等も告知事項になります。
墓地や臭気を伴う施設等も同様です。
このような嫌悪条件が伴う物件を買う人達を見ていると、人の考え方は本当に多様なものだと痛感します。
通常、嫌悪条件があると、物件の評価が数百万円下がるのですが、気にしない人にとっては「超お買い得物件」に映る事もあるのです。
例えば、幽霊とか魂といった類の存在を全く信じていない人は、「人が死んだだけで安くなるなら、そのほうが得だ」等と考えます。
以前、ある顧客がこんなことを言っていました。
「人は誰でも死ぬでしょ」
「今いるここだって、誰か死んだ人がいる場所かもしれないでしょ?」
「そんなことをいちいち気にしている方がおかしいよ」
抵抗のある人は多いと思いますが、一理ある考え方でもあります。
人によって大きく価値観が違うので、物件価格にもそれが反映されるということですね。
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考え方は色々
墓地に隣接する土地は、一般の人があまり買いたがりません。
この為、多くの場合は建売業者が購入して販売物件になる事が多いです。
そんな建売物件を買う人の言葉を聞いて、「なるほど」と感心したことがありました。
奥様からすれば、窓を一つ潰したと思えば、数百万円安くなる事のメリットの方が大きいと言うわけです。
考え方一つで価値も変わるものなのだと勉強になりました。
線香の臭いや、お墓が並ぶ景観等を考えると、価値は低くなると考えるのは当然です。
しかし、線香の香りが好きな人もいますし、お墓が気にならない人もいるのです。
営業マンの本音
このような嫌悪条件がある物件を紹介する時、営業はどんな気持ちだと思いますか?
私の場合、とてもオススメする気にはなれません。
ですから、私は悪い部分をそのまま伝えます。
「騙して売る営業もいるのでは?」と思う人もいると思います。
でも、悪い物件を騙して売るよりも、良い物件を売る方がはるかに簡単だと思いませんか?
わざわざそんなリスクを負わなくても、売れる物件はたくさんあります。
ですから、普通の物件を「とても良い物件だ」と言う営業はいるかもしれませんが、悪い物件を嘘をついてまで売ろうとする営業マンは皆無だと思います。
売り主業者の営業マンから直接買う場合で、尚且つその会社が悪徳業者の場合には有り得るかもしれませんが・・。
通常、告知事項がある物件や、悪いところが多い物件の場合、「ここが気にならない人が買う物件ですね」等という説明をして物件をお見せします。
要するに、その物件が安くなる理由を教えるという事です。
基本的には、案内自体をしないことが多いですが、話をしてみて興味を持つ人もいるので、そんな時だけご案内するというイメージです。
実は、このような物件を見てもらう事によって、安い物件には理由があるという事を学習してもらうこともあります。
嫌悪条件のある物件を売ろうとしているわけではなく、相場を理解するために見てもらう事があるわけです。
稀に、それを気に入ってしまう人がいる事もありますが。(笑)
まとめ
住宅を販売している営業マンの気持ちが少し理解していただけたでしょうか。
嫌悪条件がある物件を契約させた営業に対して、「家を売りつけているだけ」等と思っている人がいるかもしれませんが、決してそんな事はありません。
不動産を無理やり買わせることなど無理な事ですから、本人が納得して購入しているという事なのです。
勿論、個人差はある事ではありますが、普通の営業マンであれば、誰もが「良い物件を売りたい」と考えているものです。
むしろ、私達営業は、「本当に大丈夫ですか?」と心配している位なのが実態です。