宅建の無料独学と営業のコツ

不動産営業のつくり方

不動産営業になるなら、賃貸と売買のどちらがいい?

不動産仲介業者(営業職)への就職、又は転職を目指す人には、賃貸営業売買営業の選択肢があります。

その仕事内容や、給与体系の違いがよくわからない人のために、両者の違いについて説明したいと思います。

どちらの不動産営業になるかを決める為の判断材料を提供しますので、是非参考にしてください。

 

賃貸仲介営業と売買仲介営業の違い

難しい話は抜きにして、まずは仕事内容の違いについて説明したいと思います。

東京や大阪等の都市部においては、膨大な人数が常に賃貸物件を探しています。

賃貸契約は、借りるだけの契約なので、住宅ローンや登記等の手続きもありません。

 

この為、賃貸営業職は、単純に物件を案内して気に入ってもらう活動をする仕事です。

数が多いので、物件案内が上達するまでの期間も短いですし、覚えるのも簡単です。

その代わり、売買に比べて相手にする顧客数が多いので、繁忙期の仕事量は結構な量になります。

 

売買の仲介営業職の場合、相手にする顧客数は、多くて月に10人程度です。

家を探している人(住宅購入者)の数は、賃貸に比べて圧倒的に少ないからです。

当然、他社との競合も激しいので、営業力の差が出やすい仕事です。

 

また、知識の面でも、賃貸営業よりも覚える事が多く、難易度も少し高いです。

限られたチャンスを活かさなければいけない仕事なので、営業センスも問われる仕事です。

その代わり、日々の忙しさについては、賃貸営業職よりもかなり楽なものです。

 

仕事内容の違い

賃貸の仲介営業の場合、来店客の割合も多いですし、メールやHPからも問い合わせが相当数寄せられます。

ひやかし客のような類の問い合わせも紛れ込んできますし、おかしな(変人的)客もいます。

 

契約数を上げるには、来店客をメインとしながら、メール客等にいかに対応できるかという勝負です。

精度の高い顧客選別眼と、急いで探している人に気持ちよく決断させる手順が重要になります。

 

物件を案内して契約を目指すのは売買営業でも同じ流れですが、価格の重みが違うので、賃貸営業の方が気楽です。

賃貸営業職の場合、顧客の年齢層が若い事も多いですから、人との出会いとか交流をしたい人は賃貸営業が向いていると思います。

賃貸業務では、売買取引に比べて契約本数が多いので、書類をまとめる作業等も多く、細かい仕事がそこそこ発生します。

 

客層の違い

賃貸業務の場合、ワンルームを借りる人は大半が独身者で、春には学生や新卒社会人等の顧客も多くなります。

転勤等で移住するファミリー層もいますが、絶対数が圧倒的に少ないです。

 

これに対して、売買の顧客では、20代の顧客はかなり珍しい存在になります。

家を購入するのは、30歳以上の人が殆どで、平均すると35~40歳位までの人が最も多いと思います。

 

そして、もう一つ賃貸業務と大きく違う点は、大半がファミリー層である事です。

子供の出産や、結婚を機に家を購入するケースが大半を占めています。

 

また、若いころに購入した家を売り、マンションに住み替えるシニア層もいます。

この中には、中古物件(マンション・住宅)を求めるシニア層もいます。

 

このように、売買営業の相手にする顧客は「中高年層」です。

ですから、丁寧な言葉使いとか、時事的な話題等に関する知識も必要になります。

物件価格が高くなる程、顧客の求めてくる営業レベルも高くなる傾向があるので、エリア選別も重要なポイントになります。

 

給与体系と年収の違い

宅建の資格手当については、賃貸も売買も大体同じです。

都市部では3万円が相場ですが、詳しくは参考記事をご覧ください。

 

基本給については、それほど大きな差は無いと思います。

但し、賃貸には小さな会社も多いので、一概には言えない部分もあります。

平均年収が高いのは、売買の方だとは思いますが、都市部では賃貸営業でもそれなりに稼ぐ人はいます。

 

要するに、どちらの場合も歩合の設定によって年収が大きく変わってくるという事です。

売買業務は、取引金額が大きいので、仲介手数料も高額です。

賃貸は、テナント等は別として、仲介手数料が少額となります。

簡単に言えば、数で勝負するか、単価で勝負するかという違いです。

 

参考記事

宅建士の社会的評価と資格手当の相場状況

 

売買の仲介営業に必要な知識

売買の取引では、取引物件の所有権が移転することになります。

この為、登記の手続きが発生します。

賃貸営業職の人達には、この登記についての手続きがが難しく感じる人も多いようです。

 

でも、実際にやってみれば、それほど難しいことはありません。

2回程度の契約経験で、充分に覚えられる内容です。

これまで覚えられなかった人は見たことがありませんから、この点は安心してください。

 

法令知識面では、2020年の4月に民法の大改正が行われ、相続に関する規定が新設されます。

原状回復や利率の規定等にも改正がありましたので、賃貸業者の中でも関係が深いケースが出てくるはずです。

売買部門においても、瑕疵担保責任の考え方に変化がありますので、業界関係者はよく勉強しておく必要があります。

 

住宅ローン知識

顧客の職業や年収に合せて、どの銀行から借り入れをするのが良いかを判断します。

つまり、売買業務には、住宅ローンのアドバイスをするための知識が求められます。

 

最初は、上席のサポートを受けながら実務で覚えていくものなので、事前に勉強する人は少ないです。

具体的には、メガバンクノンバンクそれ以外の金融機関、での違いを覚えていきます。

 

住宅ローン商品は、各行によって微妙に条件が異なりますので、審査基準等を把握しておく必要があります。

新米営業が最も苦手とする部分ですので、ここは覚悟を決めて早めに勉強してください。

 

登記についての知識

各不動産会社には、馴染みの司法書士がいることが多いです。

ですから、会社側から「登記はこの先生に依頼してね」等と言われます。

 

司法書士に対しては、登記の見積りと決済時の登記手続きをしてもらいます。

登記に必要な物や、業務の流れは、司法書士の指示に従えば良いだけですので、特別な知識が無くても対応可能です。

 

税金についての知識

不動産の税金と言うと、不動産取得税等を思い浮かべるかもしれません。

しかし、実務上では不動産取得税が発生するケースは少なく、むしろ相続税贈与税についての知識の方が役立ちます。

 

不動産コンサルティング部門等がある会社では、固定資産税や所得税についても知識が求められる場合があるでしょう。

税理士や弁護士等の専門分野でもあるので、不動産営業としては最低限のアドバイスができる程度の知識で良いと思います。(試験で勉強する程度)

基本的な税知識だけあれば対応できますので、あまり難しく考えなくて大丈夫です。

 

決済業務の違い

賃貸の場合、引渡しは鍵を渡す事で完了します。

しかし、売買の場合には、銀行等に関係者が集まって、1~2時間かけて引渡し作業を行うことになります。

業務の内容自体は簡単な事ですが、銀行も絡む作業の為、手順を知らなければ出来ない仕事です。

 

内容としては、一度経験するだけで誰でも出来る程度のものです。

私も、新人の頃は2回目の決済から1人で行かされました。

初めての決済の時には、手順の様子等をメモしておくと良いと思います。

 

参考記事

売買仲介営業の決済|引渡日の流れ

 

賃貸と売買のどちらを選ぶ?

不動産営業マンとしてどの様なセールスをしたいか、という部分も大事な判断基準ですよね。

つまり、売り方や勧め方の違いです。

 

賃貸営業売買営業では、顧客へのアピールポイントが異なります。

賃貸のメリットには、自由に引越しすることができ、設備が故障してもオーナー負担で修繕してもらえる事等があります。

駅から近い便利な場所に住みやすいのも、賃貸のメリットと言えるでしょう。

 

家賃を払い続けるなら、家を購入したほうが良いという考えがありますが、個人的には少し違和感があります。

これについては、不動産のプロの間でも意見が分かれるところです。

 

結論を言えば、その人のライフプランや資力等によってベストな選択肢が変わるからです。

中には、賃貸の方が特になるケースもあるのです。

不動産の仕事は、どちらを選んでも「顧客にとって大きな決断」をサポートするものです。

 

住居が変われば、人生に大きな影響が出てくることもあります。

その責任の大きさで決めるのも良いと思いますし、どちらに自分の信念を傾けられるかで考えてみても良いと思います。

目先の歩合率等で決めると長続きしませんので、よく考えてください。

 

まとめ

賃貸と売買のどちらを選択するかは、今後の歩み方に大きな影響を与える決断になります。

後からの転向を考えるよりは、最初から本当に興味がある方を選んだ方が良いと思います。

 

賃貸の仲介営業は、それほど高い年収は見込めないかもしれません。

でも、即戦力になれる可能性が高く、人との出会いも多い仕事です。

売買の仲介営業は、実力さえついてしまえば、それなりに稼ぐ事ができるでしょう。

プレッシャーを感じやすい環境ですし、賃貸よりは知識と経験が必要です。

 

また、賃貸の顧客は、一時的な住居を決めようとする人達です。

売買の顧客は、一生に一度の買い物と考えている人が多いでしょう。

責任の大きさで決めるのも、一つの判断基準かもしれません。

あなたがどんな不動産営業になりたいのか、しっかりビジョンを描いてみてください。

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