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宅建無料テキスト 建築基準法①

宅建を独学している人に向けて、建築基準法の無料テキストを作成しておきます。

初心者向けの流し読み教材だと思ってください。

このテキストで学習した後、過去問でしっかり学習すると良いと思います。

 

建築基準法からは、建築基準法と建築基準法施行令からの出題があります。

仮に、建築基準法を『説明書』だとすると、施行令は、『説明書の補足資料』のようなものだと思ってください。

説明書に少し大雑把な部分があるので、別紙で細かく説明しているということです。

 

 

建築基準法 第一章

建築基準法は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

第一条では、このように定められています。

簡単に言えば、建物の建築をする際の詳細なルールをまとめた法律です。

国民の命と健康を守るために、建築材料や構造等の安全性として必要な最低基準を定めるということです。

都市計画法よりも、建築に特化した細かい部分を定めたものだと思ってください。

 

次に、建築基準法の冒頭では、この法律に出て来る用語の定義について説明をしている部分があります。

試験対策上、知っておきたい部分を抜粋して説明していきますので、なんとなく頭に入れながら読み通してください。

 

建築物

建築物」と聞いてどんな建物を想像しますか?

建築物に該当すると、この法律の規定が適用されるということになります。

そう考えると、あらゆる建築物が当てはまりそうだという事は想像できますよね?

 

建築基準法では、屋根と壁(又は柱)がある工作物は「建築物」だと言っています。

また、「建築とは、建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう」と定められています。

基本的には、この要件を満たした建物にこの法律が適用されるということです。

 

この法律の適用があるということは、定められた制限や規定がかかるということです。

増改築の他、建物の移転(建物ごと他の場所へ移す)も、建築確認申請の対象になるということを覚えておきましょう。

 

建築設備

「建築設備」とは、建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう

ここは、特に説明がいらない部分だと思います。

さっと読んで、「ふぅーん」と思っておく位でOKです。

 

主要構造部

壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする

主要構造部とは、要するに「壁、柱、床、はり、屋根又は階段」の事です。

これらは、外からの防火を意識した構造部分だと考えてください。

隣の家等から延焼した際、優先的に守るべき主要な構造部分という観点で覚えましょう。

 

これに対して、建築基準法施行令1条3号には「構造耐力上必要な部分」という記述があります。

こちらは、地震等で物理的な力がかかった時に守りたい構造部です。

基礎、基礎杭、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材」の事です。

 

法令上の表現は以下の通りです。

基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。

 

ポイント

主要構造部」は火災の延焼に耐える観点、「構造耐力上必要な部分」は耐震性の観点であることを覚えましょう。

構造耐力上必要な部分は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)での規定もあります。

品確法では、新築住宅に関して、売主に10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。

 

建築基準法の改正後の扱い

建築基準法の改正により、現に存する建築物が改正後の規定に適合しなくなった場合、当該建築物には、建築基準法の規定は適用しない

不適格建築物として認識されるものの、改正後の法令に合わせて適合させる義務は発生しないということです。

将来、建築確認申請が必要な行為をする場合には、新法令で審査され、適合義務が生じます。

建築確認申請が必要な工事については、次項で学習していきます。

 

建築確認申請

第6条(要約)

建築主は、同法が適用される建築・増改築・移転等をしようとする場合、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。(国土交通省令で定める軽微な変更を除く)

 

建築確認が必要なもの
  • 特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が100㎡を超えるもの
  • 木造の建築物で3階建て以上、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9メートルを超えるもの
  • 木造以外の建築物で2階以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるもの
  • 都市計画区域若しくは準都市計画区域若しくは景観法の準景観地区内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

ポイント1

赤文字の3つについては、大規模な建築物だと考えてください。青色の方は、結果的に建築物全般を意味します。都市計画区域内における建築物が大半ですから、建築=建築確認というのが実際です。

ポイント2

特殊建築物とは、学校(専修学校及び各種学校を含む)、体育館、病院、劇場(映画館)、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館(ホテル)、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。

 

建築確認が不要なケース

防火地域及び準防火地域において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であるとき。

 

建築確認申請の受理

建築主事は、以下のような場合には、建築確認申請書を受理することができない。

  • 建築士法の規定に基づく条例の規定に違反するとき。
  • 構造設計一級建築士が確認した構造設計によるものでないとき。
  • 設備設計一級建築士が確認した設備設計によるものでないとき。

 

建築主事は、建築確認申請書を受理した日から35日以内に申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは、当該申請者に確認済証を交付しなければならない。

 

都市計画区域若しくは準都市計画区域若しくは景観法の準景観地区内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物についての申請の場合、受理した日から7日以内に審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは、当該申請者に確認済証を交付しなければならない。

 

建築主事は、確認済証を交付することができない合理的な理由があるときは、35日の範囲内において、審査期間を延長することができる。

この場合、その旨及びその延長する期間並びにその期間を延長する理由を記載した通知書を同項の期間内に当該申請者に交付しなければならない

 

建築主事は、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき、又は建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を審査期間内に当該申請者に交付しなければならない。

 

建築主は、確認済証の交付を受けた後でなければ、同項の建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事をすることができない

 

第7条(要約)

建築物に関する完了検査

建築確認申請を出して建築している工事が完了した時には、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならない。

完了検査の申請は、工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するように申請しなければなりません。

例外として、申請をしなかったことについて国土交通省令で定めるやむを得ない理由があるときは許されますが、やむを得ない理由がやんだ日から4日以内に申請しなければなりません。

 

建築主事等は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。

 

建築主は、検査済証の交付を受けた後でなければ、建築物を使用し、又は使用させてはならないのが原則です。(第7条の6)

ただし、検査済証の交付を受ける前でも、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたとき等には仮に使用することができます。

その他、例外的に使用できるケースがありますが、試験対策としてはここまでで十分だと思います。

 

建物防火と構造

建築基準法では、建物の防火についての構造を数種類に分類して表現します。

具体的には、「耐火構造」、「準耐火構造」、「防火構造」等です。

 

耐火構造は、建物内部で火災が起きた際に強い構造だと思ってください。

近隣への延焼と倒壊を防ぎやすい建物のことです。

この為、多くの人が同時に利用する高層ビルなどは、耐火構造であることが義務づけられています。

火災への強さを、耐火構造準耐火構造の二段階に分類しているという事です。

 

防火構造とは、建物の周囲で火災が起きたときに、延焼を防ぐ構造をしている建物のことです。

防火構造は、外壁や軒先に防火性能のあるものを使うことで対応します。

防火構造は、火が燃え広がらないように建物の外側に重点を置いている構造だと思ってください。

 

適用の除外

例外的に建築基準法が適用されない場合について規定しています。(建築基準法 第3条)

主に、文化財保護法で指定された建物です。

文化財になるような建物は、とても古いですよね。

ですから、構造的にも建築基準法の目指すレベルを満たしていない部分が多いです。

適用除外にすることで、そのままにしておけるようにしています。

屋根と壁(又は柱)がある工作物でも、適用されない建築物があるということ

 

特定行政庁

特定行政庁とは、建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事のことです。(建築基準法 第2条35号)

つまり、建築について責任を負う行政機関のトップの事です。

 

建築主事

政令で指定する人口25万人以上の市は、その長の指揮監督の下に、建築主事を置かなければなりません。

また、市町村は、建築主事を設置するときには、あらかじめ都道府県知事に協議しなければならないことになっています。

建築主事とは、簡単に言えば、建築確認申請を処理するために雇う公務員のことです。

 

建築監視員

建築基準法 第9条では、違反建築物についての規定をしています。

違反建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、工事の停止や使用禁止等、違反を是正するために必要な措置を講じることがあります。

 

特定行政庁は、緊急の必要がある場合、事前手続をとることなく、違法建築物の所有者等に対して、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができます。

2019年出題

 

この際、違反をしている者に意見の聴取等をする作業が必要になります。

建築監視員は、このような実務をこなすための役職だと考えれば理解しやすいと思います。

つまり、違反建築物の監視と是正事務の担当者です。

 

補足

特定行政庁が違反建築物に対して、工事の停止、除却、移転、改築、増築、修繕、模様替え、使用禁止、使用制限等の命令をした場合について一つ補足しておきます。

命令をされた違反建築物の設計者(又は工事監督者、工事請負人、宅地建物取引業者等)は、国土交通大臣又は都道府県知事に通知しなければなりません

この通知を受ける事によって、免許又は許可の取消し、業務の停止の処分その他必要な措置が講じられることになります。

 

第11条

第11条は、試験には出る可能性が低いかもしれませんが、今後の対策として読んでおく事くらいはしておきたい条文です。

 

特定行政庁が、この法律に適合しない建築物の敷地、構造、建築設備又は用途が公益上著しく支障があると認める場合の話です。

このような場合、当該建築物の所在地の市町村の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、修繕、模様替え、使用禁止又は使用制限を命ずることができます。

市町村は、当該命令に基づく措置により通常生じる損害を、時価によって補償しなければなりません。

要するに、行政の都合でどうしても出ていかせる必要がある場合は、補償をするわけです。

その補償金額に不服がある場合、その決定の通知を受けた日から一月以内に土地収用法の規定による収用委員会の裁決を求めることができます。

 

報告・検査

特定建築設備等の所有者は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

補足

特定建築設備とは、防火上又は衛生上特に重要な設備や、エレベーター等が設置されている建物です。

 

2019年度 法改正

法改正部分について、主要な条文をまとめてあります。

建築基準法の改正点|2020年度宅建試験範囲

直近で改正された建築基準法の改正点の主要部分について、実際の条文で該当箇所がわかるようにしておきます。(条項の変更や、試験への影響が小さいと思われる部分は省略しています) 赤文字の部分が法改正で改めら ...

 

まとめ

このテキストでは、試験対策上あまり重要ではないと思う部分は省いています。

例えば、建築基準の合格判定についての規定(第5条付近)等です。

過去問でこのような部分からの出題があった時には、ネット等で条文を検索して読んで対応するだけで良いと思います。

主要な暗記項目からは外しておき、補助的に学ぶようにしましょう。

まずは、頻出している得点源から勉強するのが基本です。

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