もしかしたら、その日に購入の申込を決断する人もいるかもしれません。
この記事では、そのような展開になるための不動産トップ営業のノウハウをご紹介していきます。
はじめに
最初にお伝えしておきますが、物件案内には画期的な方法があるわけではありません。
営業方法には『正解』というものがありませんから、結果から判断するしかないのです。
そして、多くの人が同じやり方に落ち着いていくものだと思います。
しかし、それでも人によって案内による成約率は微妙に異なります。
それは、ほんの一言の違いであったり、何かを見せる事だったりするのです。
文字で伝えるのは大変難しい部分でもありますが、私の考え方等をお伝えしていきたいと思います。
コツに気付くだけでも結果が変わってくる事がありますので、実戦で試してみてください。
1度で説明するのは難しいので、もっと細かいコツについての記事もあります。
興味がある方は、HPから探してみてください。
時代遅れな手法
私が新人の頃に教わった物件案内の手法は、印象の悪い物件から見せていき、最後の方でお勧め物件を見せて比較させるというものでした。
この手順は、確かに効果的ではあるのですが、私は何かが足りない気がしていました。
賃貸物件の物件案内でも使われる手法なので、TV等でも放送され、この手法については少し時代遅れになってきた感もあります。
インターネットで物件情報を拾えるようになった昨今では、顧客の比較作業はネット上で完了している場合も多いのではないでしょうか。
営業はそれに気付かず、今まで通りの手順で物件を案内するというわけです。
手の内を明かす
私がよく実践していたのは、自分の手の内を明かしてしまうという方法です。
物件案内する顧客に対し、初めにこう言っておくのです。
そう教えると、顧客から色々な反応が返ってきます。
理由を聞いてくる人もいれば、「え!!そうなの?」と驚く人もいます。
「そうらしいですね」と答える人もいました。
どんな答えが返ってきても、手の内を明かしているので、都合の悪い事はありません。
手の内を明かした際、「この人は正直な営業だ」と感じることはあっても、「信用できない!」と感じる人はいないでしょう。
私は更に、普通の営業はなんで悪い物件から先に見せるのかを説明します。
もう少しポイントがあるので、次項で説明していきます。
補足が重要
私がここまで手の内を明かしていても、顧客にきちんと物件の比較をしてもらう事ができれば目的は達成できます。
紹介した本命物件が一番良いのだと理解できれば、プロセスはどうでも良いのです。
普通の営業が対象外の物件を見せるのは、相場等を理解してもらうためだという事を説明し、その上でこうお願いします。
端的に言えば、正しく評価できるようになってもらう為の物件は、きちんとその意味と理由を伝えてから見てもらうという事です。
実際に物件を見てもらわなければ、相場感を掴んで正しく比較することができない、と理解してもらう作業です。
更に、肝心なのは、顧客が「その必要はない」と意思表示をしてきた場合です。
営業マンとしての意図はわかるが、「興味の無い物件を見るのは時間の無駄」と考える顧客です。
このように、営業のお膳立てに付き合わされるのを嫌がる人もいますよね。
このような気配を感じたら、私はすぐに「必要最低限にしますか?」等と聞くようにしていました。
元々、必要最低限しか見せようとは思っていないので、コース自体はあまり変わりません。(笑)
時間があれば、5件見てもらおうと思っていたところを3~4件にするくらいで、やることは同じです。
でも、こう聞かれることによって、時間への配慮をしてくれていると感じるものですよね?
それに、自分にとってベストなコースで回ってもらえるという信頼感が大事です。
何故なら、次の物件案内も私にお願いしたいと思う可能性が高まるからです。
このような、ちょっとした差がとても大事だと思います。
ヒアリングは車内
ご案内の最中の車内は、情報収集の場として、とても貴重な機会です。
しかし、あまり質問攻めばかりしても警戒させてしまいますよね。
無口な人は別として、営業よりもお客様が話している時間が多いのが理想です。
車内というのは、逃げ場がありませんから、意外に返事がもらい易いです。
本当に聞いておきたいことがあれば、案内中にストレートに聞いておくのも営業のコツです。
まだ顧客に聞けていない重要項目等があれば、どのように聞き出すか考えておく等、ヒアリングの準備をしておきましょう。
物件での営業トーク
私は、物件に着いてからも、ほとんどしゃべりません。
聞かれたことを答えるためにいるという営業スタイルです。
よく、物件の良い所等を一生懸命に説明する営業がいますが、私は完全に放置します。
「どうぞ、ご自由に見てください」とだけ言い、本当に黙っています。
但し、悪い点とか、注意点があれば、なるべく最初に言っておきます。
後から注意点を説明すると、「隠していた」と思われる可能性があるからです。
それに、素人には分からない注意点を知らせるのが営業の役目だと思うのです。
それが終わったら、お客様の会話や感想を聞きます。
特に、良かった部分を顧客の口から聞くのは重要な事です。
物件の良い部分を自分から説明してしまうと、顧客の本当の気持ちを知る機会を失います。
お客様が疑問や不安を感じた箇所には、真剣さを読み取るヒントが隠れていることも多いのです。
物件の良い所は、誰でも見ればわかるものですよね。
ですから、物件のアピール等は一切いりません。
もしも、アピールしたい部分に気付いていない様子ならば、さりげなく「こんなところもポイントですよ」と付け加えてあげる程度でOKです。
私は、顧客から「売る気が無いでしょ」と言われるくらいで良いと思っています。
意図せずに「売ろうとしている」と思われたら損なだけだと思いませんか?
参考記事
物件までの道順
物件を見せる際、不動産営業は道順を気にします。
新人の頃、上司から少しでも良く見える道を通るように教えられます。
しかし、これにも私は違和感を覚えていました。
確かに、印象が良く見える道順というのはあります。
しかし、そんな単純な事で騙されて買う人はいませんよね?
いたとしても、そんな売り方が良いわけがありません。
とても効果の高い手法だと思っている人がいるようですが、実際にはそれほど影響はありません。
真剣な顧客である程、自分で再度足を運んで確認をして納得しているだけです。
変に隠すと、最初の印象を上げた分、後から魅力が下がる可能性さえあるでしょう。
道に難があるのに購入を決める場合というのは、他に相殺できる魅力があるからです。
むしろ、営業はその点をクローズアップするべきではないでしょうか。
見え透いた演出や嘘は、自分の気付かないところでマイナス効果を生むだけです。
私は、納得して買ってもらいたいと思っているので、物件の周囲の道は全て走ってお見せしています。
それでも成績はグループ全体でトップでしたから、間違っているはずはありませんよね?
つまり、多くの営業が私よりも間違ったアプローチをしているということです。
お客様のシグナル
分かり易い例では、「来週には完売している可能性もありますよね」等と聞いてくるのです。
こんなにストレートに反応してくれれば楽ですが、実際にはもっと些細な変化です。
例えば、「どうしようかなぁ」という一言であったり、「まぁ、いいか」という一言だったりすることもあります。
詳しい分析方法等は、また別の機会にしますが、こんな小さな一言にもシグナルは潜んでいるのです。
新米の頃は、このシグナルを逃していたと思い当たる部分が多々あります。
別記事、「不動産営業は顧客のシグナルを逃している!?」では、更に細かくこの部分のコツを紹介しいています。
背中を押す言葉
私は、営業マンが「これに決めましょう!」なんて言うのは論外だと思います。
それで買ってくれる人もいるのでしょうが、万人に通用しないのは明らかです。
それに、そもそも買う物件を決めるのは営業ではありませんよね。
私は、シグナルをキャッチした時には、必ず実行していた事があります。
それは、2つに絞れる言葉を与えるという事です。
案内の後、「個人的には、物件Aか物件Cが良いと思いました」等、正直で客観的な意見を投げかけてみましょう。
顧客が「私もそう思います」と答えたら、チャンスです。
両物件の違いや、長所短所等の比較を明確に伝えてください。
どこで比較すれば良いのかを明確にすることで、顧客は決断しやすくなります。
自分で吟味し、納得して買えるように促す事が重要です。
背中を押す作業を、顧客自身が行えるようにするわけです。
背中を押す言葉は、営業の言葉ではなく、絞って考えるための比較材料です。
購入申込み説明
購入申込の流れを説明することが、背中を押すことに繋がる場合がありますので、説明しておきます。
2つの物件に絞れるレベルまで来た顧客には、「念のため説明しておきますね」と言って購入申込みの注意点を伝えましょう。
重要なのは、「物件は、今日にも無くなってしまうかもしれない」という事を理解してもらうことです。
嘘ではなく、物件がいつ無くなるのか、本当にわからないからです。
多くの顧客は、土・日で物件を見学します。
何度か見学し、最終確認のための見学をするのも土・日になります。
ですから、その夜に購入申込みをする人が多いのです。
同時刻に重なることも珍しくありませんので、そういった事を伝えておきます。
買うと決めてからは、スピードが重要だという事をしっかり伝えておきましょう。
まとめ
私は、物件案内をするのは、多くても3回までにしていました。
基本的には、2回で終わるようなストーリーを描いて案内をします。
最後の1回は、最終確認が必要な場合です。
3回以上かかる顧客は、長期で付き合う顧客として「ロング」というカテゴリーに分類していました。
物件案内に限らず、あらゆる面で意識を高くすることで、成績は上がります。
自分で気付きにくいことは、経験者のヒントを参考にどんどん吸収していけば良いのです。
他者との差を広げるためのノウハウとして、以下の記事も参考になると思います。
是非、実戦で役立ててください。
参考記事
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不動産営業のコツを最適な順序で学ぶ方法 ②
この記事は、「不動産営業のコツを最適な順序で学ぶ方法①」の続編です。 前回は、営業の基礎的な部分についてのコツを集めた記事でした。 今回の内容は、いよいよ実務に入ってからの営業ノウハウになります。 最 ...