不動産営業は、自分の動き方でお客様の運命を変えてしまう可能性がある仕事です。
逆を返せば、顧客は不動産営業マン選びの時点で運命が変わるのです。
最悪の場合、不動産営業の行動が原因で訴訟にまで発展するケースもあります。
この記事では、不動産営業が見落としがちな不法行為についてご紹介していきます。
購入不可能になる!?
不動産営業が判断を誤ると、お客様が家を買えなくなることがあることをご存知でしょうか。
その判断とは、住宅ローン申込の手順にあります。
住宅ローンの審査が通りにくい条件のお客様の場合、十分にあり得る事なのです。
住宅ローンの審査は、どこか一つの金融機関が非承認の結論を出すと、その記録が残ってしまう仕組みになっています。
この為、できるだけ審査が通りそうな銀行から申し込むのが基本です。
このことを知らない営業マンが、安易にメガバンク等へ事前審査を出してしまうと、いきなり審査記録に傷がついてしまうことがあります。
メガバンクは金利優遇が良いので、親切心で審査を促してしまう営業がいます。
実は、メガバンクでの非承認がネックとなり、本来なら審査通過可能だった金融機関まで承認を出さなくなることがあるのです。
こうなってしまうと、このお客様はどこの銀行からも融資を断られるようになってしまい、家を買うこと自体を諦める結果になってしまいます。
銀行審査の知識は、今後もより求められるスキルだと思います。
業界動向的な知識として、「元銀行員が不動産業界で活躍する時代が来る!?」も参考になると思います。
不法行為とは?
『違法行為』は、法律に違反することだけを指していますが、『不法行為』には、それ以外の非倫理的な行動も含まれます。
要するに、結果的に誰かに損害を被らせる行為だと思えばいいと思います。
※法律上では、そこに故意又は過失があったか等が問われることになります。
住宅購入での不法行為は、長い時間が経過してから発覚することもあります。
例えば、屋根裏に問題があったとか、構造的な欠陥があったような場合のことです。
不動産営業の不注意が原因で、このような問題点を見逃していたら、それは不法行為に該当する可能性があるわけです。
仲介業者の説明義務違反を主張されて訴訟になり、損害賠償請求が認められたケースは多数あります。
実務でも、「このような認識を持って働いていないのでは?」と思える不動産営業を見かけることがあります。
不法行為の被害者は、不法行為を知ってから3年以内なら損害賠償ができることになっています。
しかし、不法行為に気付いていなかった場合は、不法行為から20年以内に気付けば、損害賠償請求が可能です。
つまり、不法行為から20年が経過すると時効になります。
営業マンの不法行為
不動産営業マンが不法行為をして、お客様の運命を変えてしまった事例をご紹介しておきます。
実際の訴訟事件です。
ある仲介営業が、中古物件を購入するお客様に「将来の建て替えも可能」と説明しました。
しかし、実際には再建築の許可を取るのが困難な土地だったのです。
購入から約15年が経過していましたが、真実を知った所有者が訴訟を起こし、不法行為が認められたのです。
仲介業者の不法行為に気付いたのが、15年後だったわけですね。
20年を超えていたら時効ですので、危ない所でした。
この裁判では、説明義務違反による損害賠償が認められました。
不動産営業が、もう少し注意深く調査をし、説明義務を果たしていれば避けられたトラブルですよね。
不動産営業による説明義務違反や、注意を怠ったことに対する判決はこの他にもたくさんあります。
これらの判決は、営業担当者の意識によって、顧客の人生に大きな影響を与えてしまうことを示唆しています。
また、営業マンのスピード不足によって、買えなくなる物件もあります。
1番手で申し込めるかどうかで、その物件が他社に購入されてしまうからです。
住む家が変わってしまうのですから、お客様に与える影響は多大です。
このように、不動産営業の役割は、とても大きなものだと再認識するべきだと思います。
まとめ
人の人生を良い方向へ変えるなら良いのですが、逆は困りますよね。
私達営業は、手数料をいただいているのですから、尚更の事です。
お金を貰って迷惑をかけるなんて、本当に最悪の結果です。
私は、家を買おうとする人達に「営業の選別に気を付けてください」等と言いたいのではありません。
私達が努力して、営業マンの選別が必要ない業界にならなければいけないと思うのです。
くれぐれも、加害者にならないよう、注意して業務を遂行しましょう!