不動産営業の求人を見ると、各社で色々な歩合の参考例が記載されていますよね。
でも、歩合の掛け率(パーセンテージ)や内訳まで掲載されていることは少ないと思います。
転職前にすごく気になる部分だと思いますので、この記事では、実際の歩合の内訳例と相場等についてご紹介します。
私が経験した実際の歩合率
私が経験した2社の不動産仲介会社の例をご紹介します。
【A社】東京都郊外 店舗数6~8
1件の契約につき、翌月の給与で3万円支給。
(契約が解約となった場合は返金)
半年間(1月~6月)の仲介手数料(税抜)の合計額に、以下の掛率を乗じた金額が賞与として支払われる。
但し、賞与支給日までに決済が完了していない場合は、決済月の翌月に支給される。
【売上に対する支給率】
- 450万円以下は2%
- 451万以上650万円以下は4%
- 651万以上750万円以下は5%
- 751万以上850万円以下は7%
- 851万以上950万円以下は10%
- 951万以上1050万円以下は15%
- 1051万以上は一律20%
【B社】東京都郊外 店舗数3
1件の契約につき、翌日の給与で5万円支給。
(契約が解約となった場合は返金)
また、決済の翌月に、仲介手数料の3~25%を支給。
賞与については、半年間の仲介手数料総額(売り上げ)を評価し、最大で10万円。
基本的には、歩合で自ら賞与を生み出すシステムでした。
こちらの会社の掛率は途中で変更があった為、区分の詳細は忘れてしまいましたが、最大で25%まで上昇する設定でした。
基本給と歩合掛率の相場
不動産は、地域によって土地価格が大きく異なります。
ですから、エリアによって売買金額の平均に結構な差があります。
当然ながら、地域によって歩合の掛率も微妙に変わってくるはずです。
私の働いていたエリアでは、建売住宅の物件価格が2,500~4,500万円位でした。
この地域では、1年間の仲介手数料の総額が3,500万円を超えれば、それなりに売れている営業として見られるようでした。
1年間の売上が5,000万円を超えると、スーパー営業マンです。
歩合だけで1,000万円を超えるレベルですね。
3,000万円の物件を売って得られる仲介手数料が最大で180万円前後ですから、実現するには毎月2~3本の契約を取り続ける必要があります。
因みに、月に2本以上の契約を続けるにはかなりの努力が必要です。
私は、以前に4本契約できた月があり、その次の月も2本の契約がありました。
ここで仕事量的にも限界が来て、その翌月は0本になってしまったことがあります。
スケジュール管理を意識していても、まとまった契約本数を維持するのは難しいことです
歩合相場の話に戻しますね。
東京の都心部等のように地価が高い地域では、物件価格がグンと上がります。
建売1棟の価格が8,000万円を超える地域もたくさんあります。
このような地域では、一つの契約で得られる仲介手数料が大きい為、歩合の掛率は少し低めになることもあります。
一般的に、基本給が高い会社は、収入が安定する代わりに歩合率が低く設定されています。
ここで言う「基本給が高い」という基準は、25万円前後といったところです。
私の感覚では、基本給が25~28万円位の会社は、歩合がやや低めな気がします。
基本給が10~18万円位の会社は、実力次第でかなり稼げる歩合設定になっていることが多いです。
実際のところ、毎月1本は契約がとれる実力が付けば、基本給はあまり気にしなくても問題なく稼げるようになってしまいます。
一定の反響数があれば、必ず毎月1本の契約がとれるようになるノウハウは存在するからです。
売上の計算方法
ご存知の方も多いと思いますが、売主と買主の間に入って媒介(仲介業務)をした場合は、その両方から仲介手数料をもらうことができます。
時には、売主側を仲介する業者が既にいて、自分は買主のお手伝いをするだけという場合もあります。
このような場合は、買主側からしか仲介手数料はもらえません。
売主側の業者がやることは、物件調査をして図面を作成して公表するだけと言ってもいいくらいなのですが、そうゆうことになっています。
ですから、仲介営業は、できるだけ両方から仲介手数料がもらえる物件を扱います。
つまり、売主に専任の業者がついていない建売物件です。
そして、このように両方から仲介手数料がもらえる取引のことを動産業界では『両手』と呼びます。
これに対して、買主又は売主のどちらかしか仲介手数料をもらえない契約のことは、『片手』とか『半手』という言い方をします。
同じ一本の契約でも、片手の契約では売り上げが半分ですから、歩合率への貢献は低い契約ですよね。
それでも無いよりはマシですが、できれば両手で契約したいというのが本音です。
参考までに、両手の取引での売上成績を計算をしてみましょう。
まず、物件価格から建物の税金分を差し引きます。
土地には消費税が適用されない為、建物価格に含まれている税額を売主に聞いて、物件価格から差し引くのです。
参考例で計算すると、以下のような感じです。
仮に、契約価格が3,600万円の建売住宅としましょう。
建物価格 1,620万円
(内、消費税120万円)
土地価格 1,980万円
この場合、仲介手数料の対象となる金額は、建物消費税の120万円を引いた3,480万円です。
これに3%+6万円を掛けた金額が、歩合の対象となる売り上げとされます。
※3%+6万円は仲介手数料の速算式です。
3,480万×3%=104万4千円
これに速算式の6万円を足します。
104万4千円+6万=110万4千円
両手合計では、220万8千円になります。
※ 売主側の手数料は3%ピッタリにされる場合が多いです。
両手の取引は、仲介手数料を売主と買主の両方からもらえます。
これが、この契約1本からの営業成績としてカウントされる個人売上となります。
例えば、売上が200万円の契約を毎月一本ずつ積み重ねていくとします。
すると、個人売上の総額は年間2,400万円です。
仮に、歩合率が15%なら・・
基本給とは別に、年間360万円の賞与が貰えるのと同じです。
参考記事「不動産仲介営業の歩合1年分を公開」
まとめ
私も、営業への転職を考えた際、色々と調べたのですが、あまり詳しく書いている人がいなくて判断がつかなかった記憶があります。
歩合に限らず、業界事情を前もって知っていれば、就職先企業の選別にも活用できたと感じることも多いです。
ホームページからは、このような業界事情に関連した記事に飛べるようになっていますので、転職予定者はチェックしてみると良いと思います。
参考記事