不動産営業職等、不動産業界で働く(又は働こうとする)人達は、業界の将来性が気になる人もいるでしょう。
ただでさえ、人口の減少や、高齢化等での変化が懸念されていたところですが、コロナウイルスの影響で確実に産業構造も変化しています。
誰もが感じる、当然の将来不安が生じている状況ですので、実際に不動産業界で働いてきた立場から、この業界の将来について客観視してみたいと思います。
大手不動産会社の予測
不動産業界には、10年以上前から大手各社等が予測している、市場変化についての見解があります。
それは、中古物件市場がアメリカのように活性化していくという予測です。
実際、以前よりは中古物件への購買意欲を持つ人は増えたと思います。
しかし、この数十年を振り返ってみると、各社が予想する程では無かったというのが私の正直な感想です。
とはいえ、相続案件等も増加していますし、既存住宅を長く使おうとする人は増えているようには思います。
しかし、中古物件の売買案件が増加したという実感は、それほどありません。
むしろ、活性化したのは、中古市場よりもリフォーム市場です。
不動産業界でも、リフォーム部門を持つ会社は、将来性として有望なのではないかと思います。
コロナウイルスが経済に与える影響が本格的になれば、大手企業の将来展望もガラリと変わるはずです。
これからの不動産業界の競争は、今まで通りの感覚では通用しなくなるのかもしれません。
AIとリモート化
今後、日本の住宅市場は縮小していくはずです。
大手はともかくとして、小さな不動産会社では、仕事の取り合いが激しくなるはずです。
景気が悪化すれば、副業として色々な業務を始める会社も出てくる為、集客方法も様変わりしていくと思います。
先日、家電の販売企業(ヤマダ電機等)が不動産会社の大株主になったというニュースを目にしました。
建築会社の筆頭株主が電気屋になれば、おそらく住宅の『標準装備』が変わります。
集客方法についても、家電量販店を入り口とした手法が出てくるでしょう。
このように、今までには無かった場所で、不動産に関する集客が行われるようになります。
すると、広告だけでは集客が困難になっていき、資力の無い会社が潰れるでしょう。
コロナウイルスによって変化していく産業構造の変化や、AIやリモートサービスの増加も加速しています。
先日、テレビ番組で知ったのですが、かなり近い将来に、AIは会話式であらゆる事に対応できるようになるそうです。
これは、便利な反面で、雇用を考える上ではとても恐ろしい事です。
AIが会話できる能力を得れば、あらゆる相談業務は縮小の一途を辿ります。
法律家やカウンセラー等は、今以上に需用が無くなっていくはずですし、営業マンもいらなくなっていきます。
それに、国家資格は今後も必要なのか・・とさえ思えてきます。
人間が勉強してもAIには敵いませんから、資格自体の価値が無くなってしまいそうな気がしてきませんか?
AIの説明機能の便利と不幸
AIの進出は、多くの人たちの雇用状況に不幸をもたらす事になりそうです。
カウンセラー、アナリスト、コンシェルジュ、法律家、設計士、受付係、秘書等、あらゆる職業のシェアを奪っていくからです。
例えば、ネット上にAI営業マンが現れても、全く不思議には思わない時代になって来ています。
事実、某保険会社が、僅か半年程度でWEB上で保険契約が完結できるシステムを構築する等、ネット上での契約獲得に力を入れ始めています。
自動車保険や生命保険は、もはや人間の担当者が不要な時代に入っています。
AI営業が完成すれば、いずれ不動産営業マンもいらなくなるでしょう。
それどころか、相手の声の緊張度等から、心理を分析するといった事が可能になり、人間よりも成約率が上がるのかもしれません。
顧客へのクロージングも、AI営業の方が的確にできるわけです。
AI営業マンがロボット技術等で実体化すれば、多くの営業マンが失業することになるでしょう。
突然のクライマックス
人口動態によるマーケットの変化は、ゆっくりと進みます。
ですから、実社会では「明日から車が空を飛べるようになる」なんて事は起きません。
徐々に開発が進み、モーターショー等で新しい技術が発表される、といった段階を経て進んでいきますよね。
しかし、AIに関しては、このような突然の大変化が起こり得ます。
WEB上に開発を終えたAIソフト等が実装されれば、明日から世界が変わる事もあるということです。
昨日まで無かったサービスが、今日から始まるかもしれないのです。
現実世界で考えれば、急に車が空を飛び始めるような事が、WEB内では起き得るわけです。
案外、その日は突然にやってくるのかもしれません。
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営業マンの危機
営業マンとしての将来性を考えると、どうしてもAI技術の進歩が鍵になります。
例えば、グーグルが本気で不動産の専門サイトを立ち上げたら、それだけで広告の仕組みは激変すると思いませんか?
不動産を探す時には、そのサイトとグーグルホーム等のIoT機器が連動するのです。
顧客が話しかければ、自動的に候補物件の説明や物件案内の予約等を完了をします。
こんな程度のことなら、今でも技術的にできない事ではありません。
銀行業界で起きているような大規模なリストラが、不動産業界で必要になる時代は近いかもしれないのです。
ドローン普及のスピード感
皆さんは、ドローンの普及の速さを見て驚きませんか?
少し前までは存在すらしていなかったマシーンですが、今ではテレビ番組でドローンを持って行かないロケは無いのではないでしょうか。
本当に便利なものや、本当に優れた技術は、短期間で世界中に広がるのだという事実を見せつけられた典型例だと思います。
既に、ドローンは世界で何万機も飛ばされていて、コストコでも手軽に買えるようになりました。
近所の家電量販店でも、気軽にドローンが買える状況になっています。
個人的には、この時代変化のスピードに大変驚いています。
このように、IoT化も急速に進み、気付けば世の中が変わっていることに気付く日も近いのではないでしょうか。
コロナショックでの変化
新型コロナウイルスの蔓延によって、不動産市場は動く可能性を秘めています。
これを望んでいるわけではありませんし、感染拡大は防がれることが一番です。
しかし、コロナウイルスは、高齢者の命を奪うという側面を持っています。
この結果、蔓延した際には、相続案件が増加し、不動産の売却等が増加することが予想されます。
相続の相談を伴う不動産売却は、まだまだAIでは対応できません。
これは、将来性としても有望な分野なのではないかと思います。
今後、不動産営業マンは、相続への知識や、税務上の知識等も武装し、コンサルティング的な立場をとれるかどうかが問われることになるのかもしれませんね。
単純に、不動産知識があるだけの人材では、もはや通用しない時代が近づいているように感じます。
まとめ
不動産の仕事は、これからもずっと必要な業務であることは確かですが、多能工的な意識を持たなければ生き残れないように思います。
不動産業は、完全に無くなるような仕事ではないので、将来性に大きな問題はありませんが、営業職にとってはAIの進化が不安材料ですよね。
AIロボットが自動車を運転をし始めたら、もはや営業職はいらなくなります。
今後は、不動産以外の知識(相続や保険等)を身に付け、差別化をする必要が高まるのではないでしょうか。