不動産には、どんな物件でも、一つくらいは短所(デメリット)のような部分があるものです。
不動産営業マンには、その物件の欠点を顧客に伝える義務がありますが、そのタイミングや説明意識については個人差があります。
この記事では、正直な営業をし、尚且つ契約をもらうための方法をご紹介します。
これから建売を購入する方々が読んでも、購入時の参考になると思います。
建売物件の欠点とは?
建売物件は、見た目(外観)が同じようなものが多いですよね。
でも、実際には、全く同じ物件は1つもありません。
建売住宅は、1つの土地に1軒しか建てられません。
ですから、厳密には、それぞれの間取りや面積などが微妙に異なります。
たとえ、間取りが全く同じだったとしても、日当たりや窓からの景観が違いますよね。
この為、各棟を内覧して確認することが大切になるわけです。
建売物件における欠点(デメリット)は、間取りのセンスにあることが多いです。
設計上の制約があるので、仕方ないと思えるケースも多々ありますが、明らかに設計者が流れ作業的に作成した間取りも存在します。
住む人の事が真剣に考えられていないので、「これはないでしょ」という間取りになる事があります。
一般的には、リビングが少し狭いとか、日当たりの悪い部屋がある等といった程度の欠点です。
本当のデメリット
間取りの欠点については、見学をすれば素人でも分かる事ですし、人によって好みも違いますよね。
それに、欠陥住宅なわけではありませんから、欠点とまでは言えないかもしれないくらいです。
それに、間取りの悪さについては、値引き額等で相殺できる場合もあると思います。
そう考えると、建売物件における重体な欠点というのは、大半が土地や立地環境に関する事なのです。
駅から遠い事や、周辺環境の事等、生活していく上での欠点です。
水害の発生率や、騒音問題等も重大な欠点に該当すると思います。
これらのデメリットをどのように伝えていくかが、この記事の主題です。
正直に伝える方法
顧客に、物件の悪い部分を伝える際、あまりにもストレートな言い方をすると、物件への興味が消えてしまう事もあります。
過度な不安を与えてしまうのは、お互いにとって意味がありませんよね。
かといって、欠点を良く見せようとするのもいけません。
正しく検討した結果、物件を見送るのであれば良いのですが、営業マンの伝え方が原因で購入機会を失わせるのは良くない事です。
ですから、言い方や説明方法には注意する必要があり、これも営業センスと言える部分の一つです。
顧客には、正直に、適切な加減で伝えることが必要です。
そして、短所(デメリット)の説明は、その営業の誠実さが出やすいところでもあると思います。
「これを言ったら契約にならないのではないか」等と弱い心に負けてはいけません。
そんな契約は、獲っても必ず何らかのツケを払うことになります。
不動産営業マンは、物件の欠点について正直に伝えるべきで、それが出来ない人は長続きしません。
誠実に対応しない事の方が、結果的に損をする事になると考えましょう。
トップ営業の伝え方
トップクラスの営業マンや、ある程度売れるようになった営業マンなら誰でもやっているデメリットの伝え方があります。
それは、短所と長所を相殺できるように、正しい比較方法を教える事です。
もう少し具体的に言えば、デメリットに対して、これを相殺して考えるべき部分(メリット)を比較してもらうという事です。
売ろうとするのではなく、正直で公正な比較を提案するのです。
例えば、駅から近い物件は価格が高いというデメリットがありますが、人気があるので地価が下がりにくく、将来売却しやすいというメリットもあります。
これを説明しないと、単に高い物件に見えてしまう可能性がありますよね?
正しい検討の手順を教えるという視点を持てば、自然と行き着く方法です。
物件の悪い所(デメリット)を隠す営業マンがいますが、これでは三流以下の能力と言って良いでしょう。
また、欠点を隠さなくても、良い所を意図的に多く説明するのも二流営業止まりです。
営業マンは、物件の良い所と悪い所を公平に説明できて一人前です。
そして、それを本当に正しい意味で比較させ、納得していただいた上で契約をもらうのが一流の営業マンなのです。
1.メリットは説明しない
私は、物件案内の際、顧客に物件のアピールをしたことが殆どありません。
「日当たりが良さそうですよね」といった会話くらいはしますが、物件自体の良さを営業トークで伝えることはしません。
私の場合、物件の長所は顧客に質問します。
このように聞くと、顧客の感じた事が推察できる返事がもらえます。
営業マンが「日当たり抜群ですよね!」等と説明しても、顧客側の感じ方は様々です。
顧客の現住居と比べたら、日当たりが悪く感じる場合もあるかもしれません。
大切なのは、営業の主観を押し付けない事です。
相手がどう感じているのかを把握し、検討するために足りない情報を与えましょう。
変にアピールすると、「売ろうとしている」と思われて損をします。
貴方は本当の事を言っているのかもしれませんが、良い部分(メリット)については営業マンの説明が無くても顧客が勝手に気付きます。
つまり、良い部分は、誰にでも分かるという事です。
2.質問の順番を考える
顧客が物件の長所を把握できたら、短所(デメリット)について考えてもらう段階に入ります。
しかし、悪い部分を伝えると、物件への好感度は下がりますよね?
見学前に伝えた方が良い場合もありますので、ケースによってどのタイミングで伝えるべきかを考えてください。
私の場合、かなり感度が下がる短所(デメリット)だと思った場合には、見学前に言うようにしています。
悪い部分を先に伝え、0点の状態から加点していく形で検討(見学)してもらう手法になります。
一方で、長所が多い物件の場合には、感想を聞いた直後に短所を伝えて相殺するのが良いと思います。
こちらは、最初の印象が良い状態で始まっているので、減点式の伝達方法です。
充分に相殺できるだけの長所がある場合には、後から評価を減点されても魅力が上回りますので、大抵は契約になります。
どちらにしても、必ず悪い部分は納得してもらう事が大切で、決して誤魔化して契約しようと考えないでください。
このような行為は、売れない営業マンのやる事です。
デメリットの具体例
建売物件における短所(デメリット)の代表例としては、「ゴミ置き場」や「電柱」の位置等があります。
誰もが見落としがちな部分なので、注意が必要です。
一般客が見学する際には、建物ばかりに目がいってしまいます。
生活に関する部分には、あまり意識が向かない傾向があるので、早めにクリアしておきましょう。
この動きが出来ていないと、後で契約が崩れてしまう事もありますし、最悪の場合はトラブルになります。
「プロなのだから、それくらい注意してくれるのが当然だ」等と叱責されてトラブルになった営業マンを実際に見たことがあります。
顧客に物件の長所を理解してもらえたと感じたら、すかさずデメリットについて切り出しましょう。
後になって伝えると、隠していたように思われる可能性もありますから、タイミングがとても大切です。
こんな感じで切り出すと良いです
ゴミ箱や電柱の位置だけで諦めるのが勿体ない物件なら、その場でクリアできるはずです。
そして、顧客に迷いが出た時のために、自分なりの提案を用意しておくのも大事です。
値引きで相殺することを提案するのも良いでしょうし、覚書等を作成して近隣とのトラブルを避ける事前対策をするといった条件も有効だと思います。
まとめ
物件の長所と短所の相殺をしてもらう時には、正しい物件価値を理解してもらう事です。
値引きによって正しい物件価値になるのであれば、それを調整するのが営業マンの仕事です。
営業から見て、「十分に相殺できるはずだ」と思えたなら、それを素人でも理解できるように説明するための準備をしなければいけません。
その為に図面が必要な場合もあれば、値引き枠の獲得が必要な事もあるでしょう。
しっかりと準備できていれば、成約率は自然と高まります。
この記事でご紹介したような手順で進めることができれば、短所を正直に伝えても無事に契約までたどり着けると思います。
物件案内の際には、最後の詰めまで考えた上で臨みましょう。