不動産業界にはそんな営業マンがたくさんいます。
かつて、新人の頃の私もその一人でした。
どうやったら一人前の営業になれるのか、葛藤する日々を送っている人も多いことと思います。
私の場合、ある話を聞いてから劇的に変化することになり、そこから1年後には在籍グループでトップ営業マンになりました。
この記事では、私を大きく成長させることになった「きっかけ」のお話をしたいと思います。
営業セミナーでの話
私が最初に勤めたのは、地元の不動産業者でした。
総店舗数が3~4店舗という規模の不動産屋で、建売住宅の販売が中心でした。
当時、会社全体の集客数が下がっていて、成績が思うように伸びない営業マンが目に付く状況でした。
それに気が付いた社長が、社歴の浅い社員を集めて営業講習会のようなものを開催したのです。
要するに、社内研修セミナーのようなものです。
社長自らの経験を語り、悩み等にアドバイスをくれるという内容でした。
営業マンと経営者の両方の成功体験を持っている人からの話が聞けるのは、私にとって大変有難い機会でした。
他の営業マンも目を輝かせて参加していたのを覚えています。
社長からの教え
社長室へ集められた社員一同は、社長を講師とした約2時間程度のセミナーを受け、色々とノウハウや考え方等を学びました。
セミナーの内容は、どのエピソードも納得できる内容ではありました。
しかし、既に意識していることも多く、正直なところ衝撃的な内容ではない・・・というのが、その時の正直な感想でした。
社長の講義のポイントは以下のようなものでした。
- お客さんが家で何を話し合っているのか、常に想像する
- 頑張っていると、必ず良い巡り合いが起きる
- 予定管理をマスターすれば簡単に成績はあがる
今思うと、どれも大切なことですし、とても深い意味が隠れているのがわかります。
でも、当時の私は、もう少し具体的にわかりやすく説明してもらわないと真の理解ができないレベルにいました。
多くの場合、良い話を聞いても、教えてもらう側と教える側の能力の差が大きすぎて、正しく伝わらないのだと思います。
ですから、自分よりも遥に上のレベルの人からの話は、経験を積みながら、忘れずに何度も考えてみる事が必要です。
天才の言葉を考える
スポーツ選手等でもそうですが、名選手が名監督になるとは限りません。
ビッグボスのような天才肌の人の説明というのは、凡人には理解できないような感覚的な部分が多く含まれています。
「ダッと打つんだよ」とか言われても凡人にはわかりませんよね。(笑)
それと同じで、社長の講義も部分的に「それは貴方だからできるのでは・・・」みたいな部分があったのです。
問い合わせの電話で、第一声を聞いただけで買うと分かるとか、超能力のような話もありました。
でも、自分のレベルがトップ営業に到達した後、社長の仰っていた意味が分かってきた部分もあります。
特に、万人に通用する部分として印象に残っているのは、「君たちは、予定を立てることの本当の意味をわかってない」という言葉です。
後に私を変えた大きな要素の1つ目が、この社長からの言葉でした。
これは本当に深い意味があって、今でもこのお陰で仕事が取れていると感じることがよくあります。
営業力を上げたい人は、是非読んでみて下さい。
トップ営業マンの教え
社長の講義を終え、しばらく経つと、少し変化が出てきた営業マンもいました。
しかし、私はその講義の本当の意味を理解しきれていませんでしたから、当然のように何も変わりませんでした。
その後、各支店の店長が講義の感想を聞いて回ったところ、多くの営業マンが「自分にはレベルが高すぎる話でした」というようなことを漏らしていたそうです。
これが社長に伝わり、「今度はもっと身近な見本から説明させてみよう」ということになりました。
当時のトップ営業マンは、入社2年目のスパールーキーでした。
前職は、不動産とは全く関係の無い業種でしたが、一応営業職ではあったようです。
確か、当時の彼の年齢は27歳位だったと思います。
彼の話は、とても理解しやすくて、自らが実践していることを隠さず教えてくれました。
そして、彼は、「自分が実践していることを皆さんにお話しましたが、これをやれば売れるという事ではありません」と断言しました。
彼が伝えたかったのは、準備の質や、差を作り出す発想の部分だったからです。
もう少しだけ詳しく説明しておきますね。
トップ営業の言葉の意味
彼が言いたかったことの要点は、「ほんの少しの差と準備が大事」ということでした。
この教えは、最も私を急激に変化させました。
彼が実践していた一例をご紹介するとこんな感じです。
- 雨の日には資料を届けに行く
- 車は誰よりもきれいにする
- とにかく早く電話する
- 予定をしっかりとこなす
- あらゆる準備を事前にしておく
一見すると、一つ一つはそれほど意外なことではなく、誰でもやっていそうな内容ですよね。
でも、本当に全部をきちんとやると、見事な「差」になっていきます。
彼が意識していたのは、他の営業マンとの差別化だったのです。
それも、小さな差をたくさん積み重ねるという差別化です。
彼の作戦は、人がやらないことを少しずつやり続けて大きな差にする!というシンプルなものでした。
因みに、雨の日に資料を届けると、いつもより感謝される傾向があるのだそうです。
彼は、そうやって決めたことを続けてきたそうです。
そこまでやらなくても売れる人はたくさんいますし、私も彼程のサービスをしていたわけではありません。
でも、彼の言葉と行動の中に、私は一筋の光を見出しました。
実際、そこからの私は、全く別の営業マンに変わっていったのです。
売れない営業マンに起きた変化
トップ営業マンの話を聞いて、私は自分に足りなかった事をもっと深く考えるようになりました。
そして、優先事項を絞って差別化を進めることを決め、取り組みはじめました。
最初に意識したのは、反響から資料作成までの動きです。
具体的な方法はまたの機会にしますが、誰よりも早く資料をまとめられるように考え、準備しました。
次に意識したのは、物件の下見をするスピードと効率化です。
効率よく、時間を短縮して周れるコースを意識し、実践しました。
そして、一番のポイントは、仮想のライバル営業を置いたことです。
その時の私は、こう考えたのです。
それ以降、私は何かする度に、「そのトップ営業だったら、どんな動きをしているだろうか」と想像しては、想定し得るレベルで動くように努力していきました。
そして、「今のはスピードで負けてないだろう」等と勝ち負けを意識しました。
ですから、一つ一つはそれほど人と違うことはしていません。
でも、間違いなく一つ一つの精度や速度は変化していきます。
後は、その努力項目を具体的に設定できるかと、工夫の仕方だけの問題です。
私が考えてきた具体的な営業ノウハウについては、また少しずつご紹介していきます。
まとめ
偉大な先輩営業達の話には、たくさんのヒントが詰まっています。
でも、そのヒントを正しく受け取る経験値が足りないことが多いんですよね。
私は、仮想のトップ営業マンと競争をすることで成長していきました。
そして、本当に街でトップの営業成績を出せる結果まで到達してしまったわけです。
ある日、私は、想像していたような営業マンは元々どこにもいなかったという事に気付きました。
何故なら、私がその街で一番の成績を出していたからです。
そうやって、私自身がその営業マンになったわけです。(笑)
皆さんに、将来のビジョンやイメージを描くことの大切さが伝わっていれば嬉しいです。