住宅営業への転職を考える際、誰もが「どれくらい大変なのかな・・」とか、「本当に稼げるのかな・・」といった疑問を抱きますよね?
そこで、住宅営業の仕事内容と、その仕事をする中で「辛い!」とか、「大変な苦労だった・・」と感じた事を具体的にご紹介しておきます。
事業規模で苦労にも結構な違いが!?
はじめに、ここで言う住宅営業とは、ハウスメーカーに勤める営業マンのことです。
それと、「会社の規模によって仕事量は異なる」という事も念頭に入れて読んでいただければと思います。
一部上場企業の住宅営業の場合、書類や規則がかなり多くなるので、仕事量が多くなります。
上場企業では何かにつけて上申書などの書類を提出しなくてはいけません。
とにかく、全てを記録に残して共有しようとする為、とても業務量が多くなります。
これに対して、小規模な会社では、何かをする為にいちいち書類が必要になるということが起きにくいと思います。
別記事になりますが、以下の記事も参考にしてみてください。
社内業務はこんなイメージ
社内で行う業務は、主に見積り作業がメインになります。
より具体的に仕事のイメージを描きたい人のために、次項で見積り作業に付随する業務がどれだけあるのかを紹介しておきます。
「そこまで詳しい話は必要ない」という人は興味のある項へ飛んでください。 🙂
見積り以外では、設計担当や施工担当との打ち合わせや、営業会議などもあります。
それに、建材メーカーへの問い合わせ(見積り請求等も含む)もあります。
また、PCスキルの高い人は、パース(外観写真のようなもの)や独自資料を作成したりします。
設計の知識がある人は、自分で間取りのプランも考えます。
見積り作業で仕事が増える
住宅営業の見積り作業について流れを記載しておきます。
各社で多少の違いはあるでしょうが、仕事内容は大体同じはずです。
最初は、特殊な建材の金額等を調べるのに時間がかかり、それなりに苦労します。
流れは以下のようなイメージです。
1.お客様から見積り依頼を受ける。(又は自分から提案する)
2.プランを作成するために、測量図や敷地の用途情報を入手します。
(現地や役所で調査する場合も有)
3.ある程度、自分で間取りを考えてみます。
4.プランを依頼(設計担当に要望を伝えて依頼します)
5.受け取ったプランをチェックして修正
6.専用ツールで見積もり作成。
7.外観パース等を作成
8.上司に確認し、承認をもらう
住宅営業は、まずは自分の会社の見積りと間取りプランを提案することを目指し、動き始めます。
まずは、敷地の広さや、用途地域にかかる建蔽率、容積率、高度制限、地区計画等の情報を集めて、その土地にどんな大きさの建物が建つのかを想定します。
CADソフト(JW_CAD等)が使える人は、自分で間取りを検討したりします。
仕事内容の詳細
私の場合、本当にゼロからのスタートでしたが、1カ月位で測量図に代わる図面の作成や、高度制限の検討を行う程度はできるようになりました。
時間がある人は、事前にJW_CADに慣れておくと良いと思います。
営業がどんなに頑張っても、その間取りが構造的に問題が無いかの判断まではできませんから、設計担当に「こんな建物を予定していますが、大丈夫ですよね?」という確認をします。
間取りプランが全く書けない新人は、単にお客様の要望を伝えて設計に丸投げしましょう!
「もうベテランでしょ?」という人でも、相変わらず丸投げしている人はいます。
ここらへんは、向上心の問題とか、営業スタイルの問題になってきます。
ある程度の間取りが書けるようになれば、設計に出して待っている時間が節約できるからです。
つまり、本来は設計担当が考える部分を80%くらいまで終わらせておくことができるわけです。
そうすると、お客様に出せるまでの時間が短くなり、他社の営業よりも先に動ける可能性が高くなります。
それに、間取りを深く理解しているので、急な質問等にも即答できるメリットもあります。
その反面で、他社より先に見積りを出したことで、叩き台にされてしまう可能性もあります。
後出しジャンケンのように、少し安い見積りを持ってくる会社が出るリスクです。
急がなくても他社との競合に勝てる魅力のある人は、「間取りは設計の仕事でしょ」とか言えちゃいます。 😛
間取りのスキルアップについては、どんな営業スタイルでやりたいか、どんな営業マンになりたいかというビジョン次第です。
プラン完成後
住宅営業から設計に依頼したプランが出来上がるまでの期間は、各社の設計の人数やスピードに左右されます。
私が在籍していた会社では、2~3日かかることが多かったので、プランが書けない私は、とにかく最短で依頼するようにしていました。
設計からプランを受け取ってから見積り完了までの時間は、約1時間くらいです。
私の場合、最初の頃は一つの見積りに2~3時間かかっていました。
プランが依頼の通りになっていれば次に進み、「対面キッチンで頼んだのに、反映されていない!」等の訂正箇所(設計の間違い)があれば修正します。
どんな仕事でも、慣れるまでは色々大変です。
建築商材も色々とあって、床材一つとってみても様々な種類のメーカーがあり、どれも単価が違います。
想定するサッシやキッチンのグレードが一個変更されただけでも金額が変わってきますので、最初はこの見積り作業が「大変だなぁ~!」と思うのではないかと思います。
誰もが通る道なので、先輩営業達は意外に暖かい目で見守ってくれていることも多いとは思いますが、皆忙しいので教える余裕もなかなかありません。
最初は出来なくて当たり前ですから、とにかく必死で覚えるしかないです。
回数を重ねるごとに早くできるようになります。
最近は見積りツールも優れているので、標準的な仕様であれば、それほど時間はかかりません。
簡単な間取りであれば、30分位で終わることも。
こういった作業にコツコツと前向きに取り組める人なら、何も問題はありません。
間取りを立体的に表示するソフトを使って、プレゼン資料を作成し、上司に承認をもらえば完了です。
外観と間取りのカラー図面は、パースと言います。
パース資料は、営業事務が作成してくれる会社もあります。
営業にとって、このあたりのサポート体制はかなり重要なので、事前に聞いておくとベストな会社選びができると思いますよ!
営業会議とノルマの関係がエグい!?
住宅営業には、当然ながら一定のノルマがあります。
稀にノルマが無い会社もあるようですが、きっと歩合が少ないのでしょうね。
気になるのは、「ノルマが達成できなかったらどうなるのか」ですよね。
私の在籍していた会社では、「最低でも3カ月に1棟は受注してください」という最低ノルマがありました。
それとは別に自分の目標を立てさせられて、自分の設定したノルマとの戦いもあります。
でも、それを達成できなくても平均的な契約数をクリアしていれば文句は言われませんから、ほとんどの営業は気にしていません。 😉
私は、過去に半年間も受注できない時期があり、最低ノルマを果たせませんでした。
営業が契約を取れないのは、FWのサッカー選手がシュートしないのと同じです。
だからといって、会社側や上司から怒られたわけでもありませんし、パワハラを受けることもありませんでしたが、キツイことを言われる会社も多いはずです。
契約がとれない状態が続くと、自分の中で変な恥ずかしさというか、後ろめたさみたいなものが募ります。
契約が無いと、何も仕事をしていない人という視線を浴びているような気さえしてきます。
一番辛いのは、月曜の営業会議でした。
今週の予定や、契約見込みの進捗状況を上司に説明する会議です。
ところが、進捗状況を報告する客がいないのです。(汗)
かといって、「お客さんが全部ダメになりました!」とか言えないですよね。
営業活動が停滞している住宅営業の多くが、この月曜日の朝の営業会議を憂鬱に感じているわけです。
でも、後で仲間同士で励まし合って笑い話にするのも楽しかったりします。
契約さえとれていれば、この営業会議を心軽く通過することができます。
ですから、安定して成績を維持できるようになれば、特に問題はありませんのでご心配なく。
覚えることがチョモランマ
一歩一歩、進むうちにいつの間にか山頂に到達するものではありますが、最初に山を見上げる時は、実際より高く見えます。
最初に覚えるのは、自分の会社の事になります。
創業何年で、どんな実績があるのか。
そして、工法や構造等も細かく覚えていかなければなりません。
これだけでも結構な情報量になります。
私が最初に苦労したのは、業界用語(建築用語)を覚えることでした。
東北地方や沖縄のように、訛りの強い地域に行くと、地元の方言が良くわからない時ってありますよね。
おそらくこんな話をしているのだろうけど、正確にはわからない。
そんな感じです。
早く仕事を覚えなければと思うのですが、何を言っているのかがわからないので覚えようもないって感じでした。
私の中で営業初年度の流行語大賞は、間違いなく
「○○ってなんですか?」です。 😛
何度も聞いていられる時間は無いので、一度聞いたことは忘れないようにPCへ入力保存して覚えていきました。
立ちはだかる壁
次の壁は、資材の種類と名称です。
例えば、「サーモスで見積りしといたから」とか言われても何のことだかわかりませんよね。
※サーモスは、LIXILのサッシ商品です。
各メーカーによって、ご丁寧に商品名が付いているので、これを覚えていないと意味が即座に分からないのです。
キッチンの名称、お風呂の名称、フローリング材の名称、タイルの名称、壁材の名称等、魚くんレベルの記憶力が無ければ全部覚えるのは不可能です。
つまり、よく使うメーカーや、人気商品を優先して覚えるイメージです。
定期的に商品ラインナップや名称が変わるので、常に知識の情報更新をしていく業界です。
これもやりながら覚えるしかないです。
3カ月から半年が経過すると、ここまでの知識がかなり増えてきているはずです。
問題なく会話が成立するようになります。
同時進行で、間取りの勉強の他、見積り作業も覚えていくので本当に膨大な知識量になっていきます。
だからこそプロなわけですし、プロになっていく実感もありました。
住宅営業の仕事内容を網羅するための基礎知識だけでも相当なものですが、これに加えて営業マンとしての手法も覚えていきます。
こちらは、「覚える」というより「気付く」という感覚に近いので、暗記的な頭脳は必要ありません。
こうしてトータルで見て見ると、軽い資格を取得するくらいの情報量があるので、営業マンの知識には、結構な価値があると思いませんか?
色々と苦労はあっても、稼げるようになるための資格取得だと思えば、頑張る価値があると思えるのではないでしょうか。
最大の苦労といえば、やはりコレ
住宅営業の社内での仕事内容と苦労については、大体お伝えできたと思います。
ここからは、仕事内容とは少しズレてしまいますが、住宅営業特有の苦労について触れておきたいと思います。
ハウスメーカーの多くは、全国に支店を持っていますよね。
実は、成績の振るわない営業マンが地方に転勤になるという、釣りバカ日誌のような話は結構あります。
新しく進出した地方の住宅展示場に管理職として栄転するパターンもあります。
これは、保険業界などにも見られるようなので、大手企業では幅広い業種で起きる事なのかもしれません。
転勤は、家族と離れることになる場合も多いです。
単身赴任は、住宅営業に限らず最大の苦しみと言って良いでしょう。
子供が産まれたばかりの人や、家を建てたばかりの人も容赦なく辞令が下りることがありますので、転勤の無い会社を選ぶことも長く働くためには重要な要素です。
まとめ
売れない営業は、施工管理や設計として異動することもあります。
サッカーのFW選手がディフェンスにまわされるようなものですよね。
攻めの要員から守りの要員として働く道を余儀なくされるわけですが、営業では活躍できなかった人が、施工で大活躍することもあります。
結局のところ、住宅営業で最も辛いのは、「売れない」ことと「転勤」ということです。