宅建の無料独学と営業のコツ

不動産営業のつくり方

不動産業(売買)開業の3つの方向性

宅建受験生の中には、不動産で事業をすることを最終目的にしている人もいると思います。

今回は、そんな方々に向けて、将来の不動産での起業に役立つ3つの選択肢についてまとめてみました。

ご自身の適正や、目標等に合わせ、大抵はこの3つの中のどれかを目指すことになると思います。

選ぶ方向性によって、不動産業界での進路がかなり変わるはずですので、是非とも役立ててください。

 

独立には複数の道がある

不動産売買での独立を前提にお話しすると、大きく分けて3つのカテゴリーに分類することができます。

1.普通の不動産仲介業者(一般ユーザーを相手にする不動産業)

2.不動産コンサル業(企業や資産家だけを相手にする不動産業)

3.その他(小規模デベロッパーや買取専門業者等)

 

3つの中から、どの選択をするかによって収益性難易度が変わりますので、それぞれの注意点や実際の苦労等についてまとめていきたいと思います。

不動産業界での実体験を基に書いていきますので、開業予定者にとっては貴重な予習情報になるのではないでしょうか。

 

不動産仲介業者は経営規模で大きく変わる!

別記事でも書いたことがありますが、不動産業者としての規模は小さい方が潰れにくいです。

そもそも利益率の高い業種なので、一人で生きていくには充分な収入をえられる仕事・・という事でもあります。

 

人に頼らず、自分の力だけで生きていきたい人は、一人社長でやっていく方が気楽ですし、倒産リスクも小さくて済みます。

その代わり、色々な業務を自分一人でこなさなければいけないので、忙しく動き続けることになるのが欠点かもしれませんね。

(暇で潰れるよりは良いと思いますが)

 

どこまでいっても楽にならない傾向もありますが、人材を抱えるコスト等の面では負担が軽いのは有利です。

この為、多くても2~3名の規模で経営している不動産業者は結構多いです。

 

不動産業で会社を大きくしたい人は、普通の仲介業よりも、もっと上の仕事を目指す方が良いと思います。

仲介で会社を大きくしても、大手には絶対に敵わないので、経営にも工夫が必要になると考えてください。

 

不動産業者になるのに必要な経験量

売買をメインに経営するのであれば、最低でも3年くらいは実務を経験すべきだと思います。

できれば大手での経験をしておくと、非常に有利だと思います。

売買経験に乏しいままで独立する場合は、フランチャイズに加盟するとか、メンターとなってもらえる人物等を見つけると良いでしょう。

そうすれば、充分に開業が可能だと思います。

 

不動産コンサル業の必須条件とは?

不動産コンサル業は、普通の不動産業者よりも知識やノウハウ面でワンランク上の仕事になるイメージで良いと思います。

集客についても、資産家や企業等が相手になりますので、広告チラシ等での集客ではなく、大半が紹介案件になります。

 

駅前に店舗を構える不動産業者等でも、信金や保険会社と連携して相続相談窓口となっている会社等が増えてきました。

私が知る中で最も伸びているケースでは、各社が連携して相続相談セミナー等を開催し、月に数十件を超える案件を獲得しています。

 

ここから発生する不動産売却案件において、自社で買い取りを行い、リノベーションして売却まで完了するという流れです。

金融機関や保険会社との連携もとっており、本当にワンパックで全ての問題が解決される仕組みです。

 

にわか仕込みでは不可能なビジネスモデル

このような完璧な組織になれば、とても将来が有望です。

非常に緻密な組織化と経験が必要で、各社と提携してもらうだけでも信用力が必要なので、簡単には真似もできません。

 

この道を選びたい人は、不動産業界での経験について10年以上は欲しいところです。

しかも、1つの会社ではなく、様々なジャンルでの経験を積む事が欠かせないです。

 

このレベルでの仕事ができる人達は、おそらく集客にはあまり困りません。

業界での経験や人脈が多いので、自然と話が集まってくるような人達ですし、良い会社同士が連携することで案件も倍々になっていきます。

 

利益率も高い経営スタイルなのですが、最大のデメリットは税理士や法律家等の難関資格保有者との連携が難しい点ではないかと思います。

ですから、認定資格でも良いので、コンサルに役立つ資格をできるだけご自身で取得をされると良いと思います。

 

不動産コンサル業に必要な資格とは?

不動産コンサル業は、宅建だけでも対応可能ですが、どこかで必ず偽物っぽくなるシーンが出てくると思います。

財務・税務・法律等については、どんなに知識・実績があっても「詳しい人」という域を超えられないからです。

 

結局のところ、資格保有者を頼るしかない部分が出てくるので、できるだけ自社に資格保有者を確保することが重要です。

税理士と宅建の両方を持っていればそれこそ最強ですが、これを実現できる人は稀ですよね。(お見かけしたことはありますが)

 

そこで、役員レベルの社員に税理士を入れるとか、経営者自身が複数の国家資格や免許等を保有する対策をとるのがベストだと思います。

実際にはこれが難しいので、外注や提携でカバーすることが多いですが、維持コントロールの面で思い通りにいかないのが常です。

 

必ず必要とまではいきませんが、不動産コンサル業では、中小企業診断士、税理士、社会保険労務士等があると有利です。

集客を営業代行させる仕組みをつくる際にも、自社の優位性が高くなるでしょう。

どれもアイデアと仕組み次第で幅広く活用できる国家資格なので、あれば大きな武器になります。

 

これらの国家資格は、保有しているだけで数千~数万人に一人の価値がついているのと同じです。

顧客からの信用度を考えると、この看板の力は大きいですよね。

知識的にも正しく、確かな実力を持っていることが証明されている人達ですので、顧客も安心できますね。

 

最近は、相続に関する認定資格も複数あり、上級者向けの難しい内容のものも見かけます。

 

法人を相手にするコンサルタントの場合、簿記2級以上を保有していることが望ましいと思います。

法人担当の場合、これくらいは持っていないとすぐにボロが出ますし、担当者は取得すると分析の幅も広がると思います。

 

経営スタイルの成功例

一定の成功を収めている不動産コンサル会社には、ある特徴(共通点)があります。

それは、社長自身が税理士の資格を持っているか、社内に税理士を複数雇用しているという共通点です。

 

要するに、不動産のプロ税務のプロが同じ会社の利益を追求している状態・・というのが理想ってことですね。

利益を取り合わずに協力するので、通常の提携関係では成し得ないパワーが生まれるのだと思います。

 

もっと分かりやすく言えば、不動産のプロが税理士を束ねると最強なんですよね。

ただ、複数の税理士を束ねられるのって、スゴイ税理士だったりもするので、ここが難しいところなんです。

 

極論を言えば、代表取締役が宅建と税理士の両方を持っているのが最強ってことになります。

 

人材コストと人材リスク

不動産コンサル会社でよくある危機として、「優秀な担当者が独立して(又は辞めて)しまう」という問題があります。

これは全ての業種で言える事でもあり、不動産業界ではよく聞く話です。

 

不動産コンサル会社の場合、業務内容の専門性が高いので、キーパーソンとなる人物を失うのは大きな痛手です。

代わりを探そうとしても、「借地権に強い人材」とか、「税務に強い人材」なんてそうはいません。

 

このため、人材を保持するにはコストもかかります。

特に、税理士を束ねるのはコスト面でも信用面でも大変です。

 

税理士になるような人達は、不動産業者に対して「協力したい」とか「使われたい」等と思っていません。

ですから、そもそも不動産業者の求人に反応しないでしょう。

税理士は、独立を目的に受験する人も多いので、雇われ税理士を見つけるだけでもなかなか難しいわけです。

 

相続案件には税理士の信用力がいる

相続が絡んだ不動産コンサルでは、税理士が必須の登場人物となります。

ですので、普通の不動産会社がこのような業務を獲得しようとしても難しいでしょう。

 

相続専門の税理士は元々が希少な存在ですし、独立して事務所を構えているのが常です。

当然ながら、既に信頼できる不動産の専門家と提携していますので、そのへんの不動産業者等と組む必要がありません。

 

税理士に選ばれるような不動産業者(担当者)になることも、成功の秘訣と言えるかもしれません。

自分で税理士を取得できる人は別ですが、こちらの開拓営業を成功する方が簡単かもしれませんね。

 

1つ注意しなければならないのは、提携を必要としている税理士は少ないですし、優れた事務所ほど集客にも困っていないのです。

そして、彼等と提携ができたとしても、切られて困るのは不動産業者側ですので、経営上での立場も弱いままです。

 

仕事をとってあげる側と、仕事をしてあげる側のパワーバランスは、最終的に資格保有者側に分があると言う事は念頭に入れておくべきでしょう。

 

小規模デベロッパーはある意味でゴール

不動産デベロッパーにも色々な規模があり、本当の意味で言えば都市開発規模の企画を取り扱う大手がこれに該当します。

 

この記事で言うデベロッパーとは、かなり小規模な単位での開発事業を企画・仲介する人達のことです。

とはいっても、数億円単位の資金を回しているケースが多いので、一般の感覚からすれば大きな事業に見えるかもしれません。

 

小規模デベロッパーとして不動産経営をするなら、資金力と信用が必要です。

多くの場合、不動産業界で一定の成功をし、資金力がついたら進むことができるステージです。

 

また、ここで成功している人は、本当に一流の経験と知識を持っているものです。

楽をして不動産を横流し(委託販売)しているような事業者ではなく、業界からも一目置かれるような仕事をしているわけです。

 

このレベルの人達は、取り扱う物件価格も桁違いですし、色々な意味で難易度も高いです。

基本的には億単位の取引になりますし、最も効率の良い稼ぎ方でもあり、夢のステージですね。

 

この道をいく事業者は、大手での仕入経験や、建築業界での実績を持っていることが多いです。

簡単には到達できないジャンルですが、辿り着ければ大きな収益を得ることができるでしょう。

 

まとめ

どの道を選ぶにしても、会社規模によってはリスクが変わってきます。

オススメなのは、1~5名くらいでコンパクトに機能する会社として、長く経営するスタイルです。

 

私のように、基本的に人を雇う責任やコストを回避したい性格(適正)の方は、力をつけてアドバイザーとして参加する道もあると思います。

昨今、相続案件に力を入れていきたいという不動産業者様や、コンサル会社等からのオファーが途切れず、増える一方だからです。

専門性の高い人や、難関資格を保有している方にとっては、需要は高まるばかりだと思いますので、そんな裏道も模索してみると良いかもしれませんね。

 

また、近年はアナログ的な収益よりも、自動的に収益化するようなデジタル資産の価値が高くなっています。

本業を不動産にしつつ、デジタル分野での収益形成と組み合わせる努力も大切になっていく気がしています。

個人的には、不動産だけにこだわらず、時代に合わせた変化が求められる業界に変化していると感じます。

これから開業される方々の参考になれば幸いです。

  • B!