私は、営業マンとして、グループ全体でトップになる経験をしています。
そのために色々な努力をしましたが、今になって改めて思う事があります。
世間では、「営業は数字が全て」と言われますし、働いている営業マン達もそれを受け入れて努力をしていると思います。
しかし、「数字が全て」と考える人は売れないケースが多く、数字を追い求めるだけでは乗り越えられない壁があると感じます。
そこで、この記事では、「営業マンは数字が全てではない」という事を理解していただくためのお話をしたいと思います。
数字を求める上司
営業マンは、サッカーに当てはめればフォアード(FW)選手のようなものですよね。
ですから、「もっと点を入れろ!」と言われるのは当然のことでもあります。
FWは、点を入れるのが仕事ではありますが、頑張って走っても結果が出ない時があります。
世界的プレーヤーでも、1点も得点できない試合はたくさんありますよね。
しかし、「結果が全て」と考える監督やファン達は、平気で選手にブーイングを出します。
この状況は、営業マンに対する上司の立場と同じです。
選手の立場からすれば、目の前の結果(試合)だけで自分の能力が決まるわけではないと感じているでしょう。
同時に、結果に対して批判されてもしかたがない立場であることも理解しています。
だからこそ、どんなに批判されても、どんな時でも、自分の力を信じなければいけませんよね。
何故なら、自分の持っている実力は、誰がなんと言おうと変わらないものだからです。
要するに、「営業は数字が全て」と考えるのは、会社側とか上司の立場にいる人だけで良いのです。
言われる(批判を受ける)側は、数字のことを考える必要はなく、ただ自分の能力を向上させることだけを考えていれば良いと思います。
私は、結果を出すために「お客様のためになることが何か」を常に考えていました。
ですから、結果や数字が全てだという人達のやり方には、基本的に従いませんでした。
それでトップになったのですから、どちらが正しいのか明らかだと思いませんか?
数字を意識するのは間違い?
上司の中には、「数字を意識した動きをしろ」等と言う人がいるのですが、これに従うと、かえって遠回りになる意識改革に終わります。
一見、スマートに聞こえる論法なのですが、以下の話を読んでもう一度よく考えてみてください。
仮に、「数字が全て」だと信じた営業マンが、「今日から数字を意識して働く」と決めたとしましょう。
すると、数字を上げるためにどう行動するのかを考え始めます。
数字を意識した働き方が行き着くのは、数の理論です。
契約数を上げるために、あらゆるアクションの数を増やすという単純な作戦ですね。
これを、ロジカルで正しい正攻法だと思っている人がいるのですが、鵜呑みにすると売れなくなる可能性があるので注意しましょう。
数字式の方法論
「数字を意識している」と言う人達の方法論は、「アポイントの数を増やす」、「訪問を増やす」、「資料の数を増やす」等、要するに「数」を意識するものです。
確かに、確率的な面では正しい事もあると思います。
しかし、私からすると、「今よりは少しマシになるかもね」という程度のチープな作戦にしか見えません。
いくら「数」にこだわっても、相手は人間です。
単純に数を増やせば良いという確率論だけではないですよね。
事実、顧客は、たくさん電話をかけてきた営業マンを選ぶわけではありません。
タイミング良く、必要な情報を親切にまとめてくれた営業の方が価値は高いでしょう。
では、数字を意識した人が『ベストな資料提供のタイミング』を考えるとしたら、どう答えを出すのでしょうか。
数の理論で動くのなら、「気に入るまで資料を出す」とか、「タイミングが合うまで電話をし続ける」という事になりませんか?
さすがにこれではダメだと感じるでしょうから、結局は自分の勘でタイミングを計ることになるはずです。
でも、それって結局は「顧客満足の追求」をしていることに他なりませんよね?
ちっとも「数の理論」ではありません。
つまり、最初から顧客のこと(気持ち)を考えていればそれで良いのです。
だから、冒頭で「かえって遠回り」だと言ったわけです。
営業マンの意識すべき事
営業マンが意識すべきなのは、「数」ではなく、「顧客の気持ち」です。
その上で営業としての動きを考えなければ、全く意味が無いと思いませんか?
このような当たり前のことが分からない人は、夜に訪問や電話をするといった意味不明な営業活動をするのでしょう。
しかし、そんなやり方でも確率論で結果が出ることもあります。
すると、それを得意気に「成功体験」として部下等に教え始める人が出てきます。
迷惑な話ですよね。
ちょっと結果が出たくらいで「正しい」等と思わないで欲しいものですが、こうやって、本末転倒な「数の理論」が広まっていくわけです。
営業マンが運動量を増やすのは大事なことですが、空回りしているだけでは時間の無駄です。
そもそも、営業マンの仕事には無駄がつきものです。
どうせなら、「顧客のためになる無駄」を積み重ねる事が大切です。
経営者と営業マンの違い
数字意識と顧客心理は、相反するものだと思います。
ですから、数字にこだわった意識を強める程、顧客の気持ちからは離れていくものです。
私が強く思うのは、数字を意識するのは、経営者(又は上司)だけで良いという事です。
世界でトップクラスのFW選手が、監督のためにシュートをしているでしょうか。
チームが勝ち、自分の目標(夢や年俸)を叶えるためですよね。
営業マンが本当に「数字を意識」するのならば、それは「顧客のため」よりも「会社のため」に働くという事を意味します。
だって、顧客は「数字」を求めていませんから。
営業マンは、上司や会社にどんなプレッシャーをかけられようとも、最後まで理性を保って「顧客のために働く」という姿勢を崩さない事です。
「自分や家族のため」というモチベーションでも良いですが、その場合でもやるべきことは「顧客のため」なので、同じことです。
それが、私の思うトップへの近道です。
そして、結果的にそれが「数字を意識した」ということになるのです。
数字が全てではない理由
もしも、本当に「数字が全て」なのだとしたら、結果を出すためなら何をしても良い事になってしまいます。
ですから、そんなことは有り得ません。
例えば、顧客に「うちの会社が10年後に倍の値段で買い取りますよ」等と嘘をついて良いのならば、簡単に物件を売ることができますよね。
これでは、詐欺集団と同じです。
営業マンは、清く正しく、顧客のために努力さえ継続していれば必ず結果が出ます。
努力が結果になるまでには、長い時間がかかることもありますから、自分をどれだけ信じられるかが勝負です。
それでも結果が出ない場合は、おそらく間違った努力をしているということです。
間違った努力とは、顧客目線ではない努力や、他の営業マンよりも顧客の役に立っていない努力等のことです。
「数字が全てではない理由」については、こうも言えます。
仮に、営業マン全員が同じようにアクションの数(運動量)を増やしたら、どうなるか考えてみてください。
もしも、全員がアクションを増やしたら、結局は「どこかで差別化できた人」が勝ちますよね。
では、他の営業との差別化は、数字を意識すれば実現できるでしょうか。
むしろ、新しいアイデアとか、顧客目線での思考ですよね。
ですから、営業マンは数字が全てではないのです。
トップの方法論が正解
世に出回っている方法論の多くは、一般的なレベルよりも少し良い結果を出した人々が広めた平凡な手法であることが多いです。
いわゆるスタンダードと言われる営業方針ですね。
でも、人と同じことをやっていてもトップにはなれませんから、結局はスタンダードを破る必要があるのです。
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どの世界においても、頂上を極めた人は少数です。
2位や3位はたくさんいても、その時代のトップはたった一人だけだからです。
そして、希少ゆえに、彼等のノウハウはあまり世に出回ることもないでしょう。
これは、あらゆるジャンルに言える事です。
営業、スポーツ、株式トレード、頭脳ゲーム等、どんな世界でも一握りの人達のノウハウは彼等だけが知るノウハウとして保存されている面があります。
公開されたとしても、その境地に到達しなければ理解できない要素も多いのかもしれませんね。
結局は、誰かの考えた方法論よりも、あなたの思考力が試されることになるという事です。
私の構築した営業ノウハウについては、トップページにアップしています。
皆さんの進化に向け、温故知新の精神で活用していただければ幸いです。
まとめ
営業マンにとって、「数字が全て」と思って良いのは、ライバルとの順位とか、その月の給与(歩合)だけです。
本来、数字の事は経営者が考えていればいいのです。
営業マンは、目先の数字ではなく、どこまでも顧客のために走り続けていて欲しいと願っています。
そして、それが結果への一番の近道だと信じています。