宅建の無料独学と営業のコツ

不動産営業のつくり方

印紙税法の宅建独学勉強用テキスト(無料)

宅建の独学用に、印紙税法の無料テキストを作成しました。

1問正解するための情報を詰め込んでおきましたので、勉強に役立ててください。

勉強しながら、過去問の特徴もチェックできるようにしてあります。

 

その他、各法律からの出題頻度や傾向については、参考記事をご覧ください。

参考記事宅建試験の配分と出題傾向を徹底分析!

印紙税法

印紙税についての問題は、印紙税法を根拠としています。

試験では、課税される文書なのか、課税されない文書なのかを判断させる問題が多く見受けられます。

その他、誰か納税者なのか、という視点での問題もよく出題されています。

 

印紙税は、特定の文書に課税される税金で、文字通り印紙に消印をする事で支払います。

皆さんも、領収証等に印紙が貼ってあるのを見たことがあるのではないでしょうか。

不動産の仕事では、契約書や仲介手数料の領収証等に貼付する事が多いです。

 

印紙税の勉強は、比較的に簡単です。

まずは、どんな文書に課税され、誰が納税するのかを知りましょう。

では、説明していきますね。

 

課税文書とは

代表的な課税文書は、以下のようなものです。

赤色の文書は、試験によく出題されています。

  • 不動産の売買契約書(1万円未満は非課税)
  • 土地の賃貸借契約書(1万円未満は非課税)
  • 請負契約書(1万円未満は非課税)
  • 不動産の交換契約書(1万円未満は非課税)
  • 不動産の贈与契約書
  • 変更契約書差額に課税
  • 地上権の設定契約又は譲渡契約
  • 消費賃借に関する契約書(お金の貸し借りのこと)
  • 約束手形・為替手形
  • 営業に関する領収書領収証
  • 営業に関する受取書

 

また、印紙税法の1号文書(課税文書の分類)の欄には、以下のように記載されています。

課税文書は、印紙税法で20号まで分類されていますが、試験に出るのはその一部です。

1号文書が最も不動産との関わりが深い為、参考までに抜粋しておきます。

【印紙税法の別表記載の1号文書】

  1. 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
  2. 地上権又は土地の賃貸借の設定又は譲渡に関する契約書
  3. 消費賃借に関する契約書
  4. 運送に関する契約書

 

試験で重要なのは、1と2です。

不動産の譲渡」・「土地の賃貸借」に関するものは課税文書と覚えて下さい。

 

重要ポイント

課税文書に該当すれば、記載金額が無くても印紙税額200円が課税されます。

※ 記載金額が無い事で非課税になるわけではありませんので、注意しましょう。

交換契約書の場合は、価格が高い方の金額に対して課税されます。

契約の変更契約については、金額の差額分に対して追加課税されると考えてください。

仮契約書の場合でも、内容が課税文書に該当すれば課税されます。

同じ内容の課税文書を複数作成した場合、それぞれの文書に課税されます。

 

補足説明

媒介契約書や、建物の賃貸借契約書には、印紙税がかかりませんので注意しましょう。

但し、敷地(土地)の賃貸借の設定に関する契約書は、課税対象となります。

受取書とは、本来は物品を受け取った事を証する文書ですが、過去の試験問題では領収書と同じ意味で使われています。

領収書と領収証も同じ意味なので、どちらでも気にしなくてOKです。

営業に関係ない受取書は、非課税ですので気を付けましょう。

 

課税されない文書を覚えよう!

原則としては課税文書でも、条件付で非課税になる場合があります。

また、課税されそうに見えて、非課税の文書もあります。

このような部分が試験によく出されているので、個別に覚えておく必要があります。

非課税となる文書で試験対策として覚えておきたいのは、以下のようなものです。

赤色は、頻出文書です。

  • 国又は地方公共団体が作成した文書
  • 営業に関しない受取書
  • 記載金額が5万円未満の受取書
  • 記載金額が5万円未満の領収書
  • 記載金額が1万円未満の契約書
  • 委任状
  • 媒介契約書
  • 建物の賃貸借契約書
  • 抵当権設定契約書

非課税になる理由を考えておくと、暗記が楽になりますので、少し補足しておきます。

基本的に、営業活動による『売上利益』に該当しないものは、非課税になります。

そして、課税文書でも金額が小さい場合には対象外にしていると考えましょう。

国や地方公共団体が行う取引は、営業活動ではなく、公共の福祉を目的にしていますから、非課税です。

 

委任状・媒介契約書は、そもそも仕事の依頼内容を示す書類です。

つまり、「不動産の譲渡」に該当しない契約書だから、と考えれば良いと思います。

但し、委任の報酬(仲介手数料等)に対して5万円を超える領収証を発行した場合は、課税文書となります。

 

土地の賃貸借契約書は、1号文書に明記されていますが、建物の賃貸借は1~20号の中に記載が無いので非課税という事です。

 

納税義務者

印紙税の納税義務者を問う問題は、本試験で頻繁に出題されています。

納税義務者は、「課税文書を作成した者」と覚えておきましょう。

 

納税義務を怠ると、印紙税の額とその2倍に相当する金額が徴収されます。

また、印紙税は、印紙の貼付と消印(押印等)をすることで納税したことになります。

消印をしなかった場合は、額面金額に相当する過怠税が徴収されます。

過怠税は千円単位の徴収です。

ですから、過怠税が1,000円に満たない時は、1,000円が徴収されます。

また、自主的に未納を申し出た場合、2倍ではなく、印紙税額の1.1倍にしてくれます。

 

過去問で確認

印紙税の勉強は、このテキストにある事項を覚えておけば、高確率で正解できるはずです。

実際の試験で出題された正しい肢を、ジャンルごとに分けて抜粋しておきますので、感覚を掴んでおいてください。

※以下、全て正しい肢(○)となる問題文です。

 

納税義務者を問う系

宅地建物取引業を営むA社が、「A社は、売主Bの代理人として、土地代金5,000万円を受領した」旨を記載した領収書を作成した場合、当該領収書の納税義務者はA社である。(平成16年度)

A社は、代理人の立場ではありますが、課税文書(領収証)を作成した者がA社なので、納税義務者はA社です。

 

課税の有無を問う系

国を売主、株式会社A社を買主とする土地の譲渡契約において、双方が署名押印して共同で土地譲渡契約書を2通作成し、国とA社がそれぞれ1通ずつ保存することとした場合、A社が保存する契約書には印紙税は課税されない。(平成20年度)

国の事業は非課税と覚えておけばOKです。

これは、地方公共団体の場合も同じです。

A社の発行する「建物の譲渡契約に係る手付金として、500万円を受領した。」旨が記載された領収書は、記載金額500万円の売上代金に係る金銭の受取書として印紙税が課される。(平成17年度)

営業に関する受取書に該当する為、課税文書です。

「時価1億円の土地を贈与する」旨を記載した契約書は、記載金額のない不動産の譲渡に関する契約書として、印紙税が課せられる。(平成5年度)

贈与契約書は、金額が記載されていたとしても、それは「もらう額」です。

譲渡の一種ではありますが、無料でもらう契約なので、記載金額が無いものとして扱われます。

そして、記載金額が無い場合でも、課税文書であれば印紙税はかかります。

「平成21年10月1日付建設工事請負契約書の契約金額3,000万円を5,000万円に増額する」旨を記載した変更契約書は、記載金額2,000万円の建設工事の請負に関する契約書として印紙税が課される。(平成21年度)

変更契約書の場合、既存の契約書に追加された差額分に課税されます。

「月額家賃10万円、契約期間2年間、権利金60万円、敷金30万円とする」旨を記載した建物の賃貸借契約書については、印紙税は課税されない。(平成2年度)

土地の賃貸借契約書は課税対象ですが、建物の場合は非課税です。

建物の賃貸借契約に際して敷金を受け取り、敷金の領収書(記載金額100万円)を作成した場合、その領収書に「賃借人が退去する際に返還する」旨が記載されているときでも、印紙税は課税される。(平成12年度)

将来に返還されるかどうかは関係ありません。

作成時に課税文書である以上、印紙税はかかります。

ですから、仮契約の場合等でも課税文書には印紙税が課されます。

個人が生活の用に供している自宅の土地建物を譲渡し、代金1億円を受け取った際に作成する領収証には、印紙税は課税されない。(平成11年度)

営業に関する領収証ではないので、印紙税はかかりません。

宅建業者等が、商売で売上金として受領した場合には課税されます。

 

課税額を問う系

「Aの所有する甲土地(価額3,000万円)とBの所有する乙土地(価額3,500万円)を交換する」旨の土地交換契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は3,500万円である。(平成28年度)

不動産の交換契約の場合は、金額の高い方が課税対象額となります。

【難問】

一の契約書に土地の譲渡契約(譲渡金額4,000万円)と建物の建築請負契約(請負金額5,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、5,000万円である。(平成25年度)

印紙税法上で、不動産の譲渡契約書は1号文書に分類されています。

これに対して、請負契約書は2号文書とされています。

このように、課税文書の分類(号)が異なる場合には、交換契約の時のように、金額の高い方に課税されることになっています。

どの文書が何号なのかまで覚えるのは大変ですし、時間の無駄です。

それよりも、出題された4つの問題肢について、「○か×か」を消去法的に判断したほうが得策かもしれません。

もし、暗記をする場合は、冒頭で記載している1号文書だけ覚えれば良いと思います。

 

まとめ|勉強のコツ

印紙税については、毎年ではありませんが、定期的に出題されています。

意味を理解して読んでおけば、それほど暗記量が多くない内容だと思います。

後は、過去問での出題のされ方をチェックしておけば十分です。

出題されたときには「ラッキー!」と思えるように準備しておきましょう。

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