宅建の無料独学と営業のコツ

不動産営業のつくり方

宅地造成及び特定盛土等規制法の宅建無料テキスト

宅地造成等規制法は、宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)に法律名が改正され、2024年度の宅建本試験から出題されます。

従前の内容と変わらない点も多いですが、改正箇所についてはしばらく新しい問題として出題が続く可能性が高いと思います。

改正前の過去問と解説もありますので、改正されなかった部分については過去問で学習しましょう。

 

このテキストは、条文をできるだけ省略した形で掲載しています。

試験対策上、あまり細かい部分にこだわるのではなく、まずは全体像と重要ポイントを掴むのが先決だと思います。

この法律では、宅地造成等工事規制区域の指定特定盛土等規制区域の指定、造成宅地防災区域の指定の3つの規制区域について定めていて、それぞれで規定されている内容もとても似ている部分が殆どです。

工事の種類によって多少の表現が変わったり、追記すべき事が出てくる為、それぞれの規制区域の条文を定めているわけです。

全体像をつかみ、どんな工事をする時に、どのような規制ルールがあるのかといった視点で学習してみてください。

このテキストを基に、自分で一覧表等を作成してみると、より理解が深まるはずです。

 

目次
  1. 切土と盛土の理解
  2. 第一章 総則
  3. 第二章 基本方針及び基礎調査
  4. 第三章 宅地造成等工事規制区域
  5. 第四章 宅地造成等工事規制区域内における宅地造成等に関する工事等の規制
  6. 第五章 特定盛土等規制区域
  7. 第六章 特定盛土等規制区域内における特定盛土等又は土石の堆積に関する工事等の規制
  8. 第七章 造成宅地防災区域
  9. 第八章 造成宅地防災区域内における災害の防止のための措置
  10. 第十章 罰則
  11. まとめ|勉強のコツ

切土と盛土の理解

この法律には、切土と盛土という言葉が出てきます。

聞き慣れない言葉だと思いますので、初めに少し詳しく説明しておきます。

 

まず、山の斜面を想像してみてください。

そこに、大きな階段を造るとしたら、山肌の土を階段状に切り取っていく必要がありますよね?

この切り取った部分が切土と呼ばれる形状です。

つまり、宅地を造る為に、土を切り取る工事の事です。

この時に露出する直角面の断面の高さが「切土の高さ」になります。

 

盛土は、傾斜地等に土を支えるための塀などを造り、そこに土を入れる事で土地を造る工事です。

高低差のある場所では、擁壁等によって囲った土地の中に土を入れる場合もあります。

このような土地に、後から土を入れると、フカフカしますよね?

ですから、盛土の高さが1mを超えると、そこに建てた建物が沈む可能性が高いのです。

たった1mでも許可がいるのは、このような危険性をチェックするためだと考えれば覚えやすいのではないでしょうか。

 

学習のポイント

この法律で言う宅地造成とは、宅地にするために行う土地の形質変更で政令によって定められたものを言います。

宅地」とは、農地、採草放牧地及び森林並びに道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供されている土地以外のことを意味します。

 

宅地以外の土地を宅地にするため」又は、「宅地で行う土地の形質の変更」だけが宅地造成に該当する行為です。

政令で定める一定規模の工事とは、以下のような内容の工事です。

  1. 切土で、当該部分の高さが2mを超える崖を生ずるもの
  2. 盛土で、当該部分の高さが1mを超える崖を生ずるもの
  3. 切土と盛土を同時に行う場合で、上記基準の両方を上回るもの
  4. 切土又は盛土の面積が500㎡を超えるもの

改正ポイント

宅地造成及び特定盛土等規制法になった事で「切土」・「盛土」の工事規制で追加されたのは、以下のようなものになっています。

特定盛土等規制区域の場合、政令で定める一定規模の工事とは、以下のような内容の工事になります。

  1. 切土で、当該部分の高さが5mを超える崖を生ずるもの
  2. 盛土で、当該部分の高さが2mを超える崖を生ずるもの
  3. 切土と盛土を同時に行う場合で、上記基準の両方を上回るもの
  4. 切土又は盛土の面積が3000㎡を超えるもの

切土・盛土を行わない一時的な土砂の堆積を行う場合(許可制)

【高さと堆積面積】

  • 宅地造成等工事規制区域の場合、高さ2mを超え、かつ堆積面積が300㎡を超えると許可が必要
  • 特定盛土等規制区域の場合、高さ5mを超え、かつ堆積面積が1500㎡を超えると許可が必要

【堆積面積のみ】

  • 宅地造成等工事規制区域の場合、堆積面積が500㎡を超えると許可が必要
  • 特定盛土等規制区域の場合、堆積面積が3000㎡を超えると許可が必要

日数を暗記するコツ

  • 既存工事⇒宅地造成工事規制区域の指定から21日以内
  • 擁壁工事⇒工事に着手する日の14日前まで
  • 宅地へ転用⇒転用した日から14日以内

 

第一章 総則

盛土規制法の目的(第一条)

この法律は、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉に寄与することを目的としています。

 

要するに、崖崩れや土砂災害等を防止するための規制を行って、国民の生命と財産を保護することが目的です。

この為、基本的には、宅地を造成する際の、許可・届出・維持等についてのルールを定めています。

崖崩れや土砂災害が起こるのは、主に山の斜面がある場所ですが、宅地に近い場所については規制をかけられるようにルール変更したわけです。

 

第二章 基本方針及び基礎調査

基本方針(第三条)

主務大臣は、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の防止に関する基本的な方針を定めなければなりません。

試験対策として覚えておきたい点を以下にピックアップしておきますので、優先的に学習してみてください。

 

基本方針の中でも特に重要なのは、宅地造成等工事規制区域の指定特定盛土等規制区域の指定及び造成宅地防災区域の指定について指針となるべき事項を定める事です。

基本的な指針(ガイドライン)や、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の防止に関する重要事項を定めるイメージです。

 

主務大臣は、基本方針を定めるときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、社会資本整備審議会、食料・農業・農村政策審議会及び林政審議会の意見を聴かなければならない点も覚えておきましょう。

主務大臣は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければなりません。

 

基礎調査(第四条)

ちょっと長い条文なので、ギュっと短くまとめてみました。

以下のような内容で理解しておけば、試験対策としてはOKです。

都道府県の指定都市又は中核市の区域内の土地については、基本方針に基づき、おおむね五年ごとに、宅地造成等工事規制区域の指定特定盛土等規制区域の指定及び造成宅地防災区域の指定、その他この法律に基づき行われる宅地造成特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の防止のための対策に必要な基礎調査として、調査対象土地に関する地形、地質の状況その他主務省令で定める事項に関する調査を行うものとする。

都道府県は、基礎調査の結果を、関係市町村長(特別区の長を含む)に通知するとともに、公表しなければならない。

 

基礎調査のための土地の立入り等(第五条)

都道府県知事は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入つて測量や調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができます。

この際、他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の三日前までに、その旨を当該土地の占有者に通知しなければなりません。

建築物が存し、又は垣、柵その他の工作物で囲まれた他人の占有する土地に立ち入るときは、その立ち入る者は、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければなりません。

日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除きこれらの土地に立ち入つてはならないとも規定されています。

土地の占有者は、正当な理由がない限り、このような立入りを拒み、又は妨げてはなりません。

 

 

基礎調査のための障害物の伐除及び土地の試掘等(第六条)

他人の占有する土地に立入測量又は調査を行う者は、やむを得ない必要があれば、障害となる植物や工作物等について様々な対応ができるように規定しています。

具体的には、植物の伐採や、土地の試掘(ボーリング調査等)、障害物の伐除などです。

 

これらの行為について、土地所有者や占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて実行することができます。

市町村長が許可を与えるときは、障害物の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければなりません。

都道府県知事が許可を与えるときは土地又は障害物の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければなりません。

また、伐除や試掘をしようとする日又は試掘等を行おうとする日の三日前までに、その旨を当該障害物又は当該土地若しくは障害物の所有者及び占有者に通知しなければなりません。

 

当該障害物の所有者及び占有者の同意を得ることが困難であり、かつ、その現状を著しく損傷しないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受ければ、直ちに、当該障害物を伐除することができます。

この場合においては、当該障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨をその所有者及び占有者に通知しなければならない点も試験対策として注意しておきましょう。

 

証明書等の携帯(第七条)

他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯しなければなりません。

具体的には、身分を示す証明書と、市町村長又は都道府県知事の許可証携帯しなければなりません。

この証明書又は許可証は、関係人の請求があつたときは、提示義務が生じます。

 

土地の立入り等に伴う損失の補償(第八条)

都道府県は、立ち入り調査等により他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければなりません。

損失の補償については、都道府県と損失を受けた者とが協議しなければならず、この協議が成立しないときは、収用委員会に土地収用法の規定による裁決を申請することができます。

基礎調査に要する費用の補助(第九条)

国は、都道府県に対し、予算の範囲内において、都道府県の行う基礎調査に要する費用の一部を補助することができます。

 

第三章 宅地造成等工事規制区域

営業くん
赤文字と黒太文字を中心にポイントを掴んでいきましょう!

第十条

都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地若しくは市街地となろうとする土地の区域又は集落の区域(これらの区域に隣接し、又は近接する土地の区域を含む)であつて、宅地造成等に関する工事について規制を行う必要があるものを、宅地造成等工事規制区域として指定することができる

 

都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域を指定しようとするときは、関係市町村長の意見聴かなければならない

この指定は、この法律の目的を達成するため必要な最小限度のものでなければならない

 

都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域を指定するときは、主務省令で定めるところにより、当該宅地造成等工事規制区域を公示するとともに、その旨を関係市町村長に通知しなければならない。

そして、この公示によつて指定の効力を生ずることとなります。

市町村長は、災害が生ずるおそれが大きいため宅地造成等工事規制区域を指定する必要があると認めるときは、その旨を都道府県知事に申し出ることができる

 

ポイント

本試験では、「誰が宅地造成工事規制区域を指定できるのか」に着目した問題が出題されています。

 

第四章 宅地造成等工事規制区域内における宅地造成等に関する工事等の規制

住民への周知(第十一条)

工事主は、許可の申請をするときは、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、宅地造成等に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該宅地造成等に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。

 

宅地造成等に関する工事の許可(第十二条)

宅地造成等工事規制区域内で宅地造成等に関する工事を行う時は、工事主は、当該工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければなりません。

ただし、宅地造成等に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、許可はいりません。

 

都道府県知事は、許可の申請が定められた基準に適合しないと認めるとき、又はその申請の手続がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定に違反していると認めるときは、同項の許可をしてはならないと規定されています。

都道府県知事が掲げる基準には、主に以下のようなものがあります。

  • 工事主に当該宅地造成等に関する工事を行うために必要な資力及び信用があること。
  • 工事施行者に当該宅地造成等に関する工事を完成するために必要な能力があること。
  • 所有権、地上権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者の全ての同意を得ていること。

その他、都道府県知事は、許可をする際に工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を付することができます

また、この許可をしたときは、速やかに、工事主の氏名又は名称、宅地造成等に関する工事が施行される土地の所在地その他主務省令で定める事項を公表するとともに、関係市町村長に通知しなければなりません。

 

宅地造成等に関する工事の技術的基準等(第十三条)

宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事は、政令で定める技術的基準に従い、擁壁、排水施設その他の政令で定める施設の設置、その他宅地造成等に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。

また、講ずべきものとされる措置のうち政令で定める工事は、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。

 

許可証の交付又は不許可の通知(第十四条)

都道府県知事は、第十二条の許可の申請があつたときは、遅滞なく、許可又は不許可の処分をしなければならない。

また、許可の処分をしたときは許可証を交付し、不許可の処分をしたときは文書をもってその旨を通知しなければならない。

 

許可の特例(第十五条)

国又は都道府県、指定都市若しくは中核市が宅地造成等工事規制区域内において行う宅地造成等に関する工事は、これらの者と都道府県知事との協議が成立することをもつて許可があったものとみなす

また、宅地造成等工事規制区域の指定後に都市計画法の許可を受けたときは、当該宅地造成又は特定盛土等に関する工事については、第十二条の許可を受けたものとみなす

 

変更の許可等(第十六条)

第十二条の許可を受けた者は、宅地造成等に関する工事の計画の変更をしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければいけません。

主務省令で定める軽微な変更をしようとするときは、許可は不要ですが、軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければいけません。

 

完了検査等(第十七条)

宅地造成又は特定盛土等に関する工事について許可を受けた者は、当該許可に係る工事が完了したら、主務省令で定める期間内に、この法律の規定に適合しているかどうか、都道府県知事の検査を申請しなければなりません

この時、都道府県知事は、工事が規定に適合していると認めた場合、検査済証を交付しなければなりません

 

土石の堆積に関する工事について許可を受けた者は、工事を完了したら、堆積されていた全ての土石の除却が行われたかどうかについて、都道府県知事確認を申請しなければなりません。

この工事完了の申請は、堆積した全ての土石を除却する場合に限る点にも注意しましょう。

 

そして、都道府県知事は、確認の結果、堆積されていた全ての土石が除却されたと認めた場合においては、確認済証を交付しなければならないことになっています。

 

中間検査(第十八条)

宅地造成又は特定盛土等に関する工事が政令で定める工程(特定工程)を含む場合、当該特定工程に係る工事を終えたときは、その都度主務省令で定める期間内に、都道府県知事の検査を申請しなければならない

 

都道府県知事は、検査の結果、特定工程が規定に適合していると認めた場合、特定工程に係る中間検査合格証を交付しなければなりません。

また、工事を行う者は、この中間検査の交付を受けないと工事を進めることができません。

中間検査で、宅地造成又は特定盛土等に伴う災害を防止するために必要があると認める場合は、条例で定める工程を追加することもできます。

 

定期の報告(第十九条)

工事の許可を受けた者は、主務省令で定める期間ごとに、工事の実施状況等を都道府県知事に報告しなければなりません。

この報告を受けた都道府県は、宅地造成等に伴う災害を防止するために必要があると認める場合、工事の規模変更指示や、条例で必要な事項を付加することができます。

監督処分(第二十条)

都道府県知事は、偽りや不正な手段で許可を受けた者に対して、許可の取り消し処分ができます。

その他、工事を行う者等に対して、当該工事の施行の停止を命じる事や、相当の猶予期限を付けて、災害の防止のため必要な措置(災害防止措置)を命ずることができます。

 

その他の規定も定められていますが、試験対策上としては優先的に学ぶべき内容ではないと思います。

都道府県知事が工事の施行停止を命じる際、弁明の機会の付与を行わないで命ずることができるケースがあることや、自ら災害防止措置の全部又は一部を講ずることができる事などが規定されています。

余裕がある人は、条文をチェックしてみてください。

 

工事等の届出(第二十一条)

宅地造成等工事規制区域が指定された際、この区域内で行われている宅地造成工事があった場合、その工事主は、指定があつた日から二十一日以内に当該工事について都道府県知事に届け出なければなりません。

 

都道府県知事は、この届出を受理したときは、速やかに、工事主の氏名又は名称、宅地造成等に関する工事が施行される土地の所在地、その他主務省令で定める事項を公表するとともに、関係市町村長に通知します。

 

宅地造成等工事規制区域内の土地において、擁壁等に関する工事や、その他政令で定める工事を行おうとする者は、工事に着手する日の十四日前までに都道府県知事に届け出なければなりません。

宅地造成等工事規制区域内において、公共施設用地を宅地又は農地等に転用した者は、その転用した日から十四日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。

 

土地の保全等(第二十二条)

宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者管理者又は占有者は、宅地造成等に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければなりません。

 

都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては、その土地の所有者、管理者、占有者、工事主又は工事施行者に対し、擁壁等の設置又は改造その他宅地造成等に伴う災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができます。

土地の所有者に維持管理の努力規定を設け、災害を防止しようという趣旨の条文ですが、維持管理をするにもお金がかかります。

所有者がなかなか動かない場合を想定し、勧告できるようにしたわけです。

 

改善命令(第二十三条)

都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地で、以下のような場合に相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置若しくは改造、地形若しくは盛土の改良又は土石の除却のための工事を行うことを命ずることができます。

  • 災害の防止のため必要な擁壁等が設置されておらず、若しくは極めて不完全
  • 土石の堆積に伴う災害の防止のため必要な措置がとられていない
  • 必要な措置が極めて不十分であり、これを放置すると災害の発生のおそれが大きい

 

この改善命令は、災害の防止のため必要であり、相当であると認められる限度において、土地又は擁壁等の所有者、管理者又は占有者(土地所有者等)に対して命じることができます。

 

また、土地所有者等以外の者が不完全な工事を行っている場合も想定できます。

第三者の行為により、災害の発生のおそれが生じたことが明らかな場合で、その者に改善命令をして工事を行わせることが相当な場合もあるでしょう。

このような時は、当該土地所有者等に異議がなければ都道府県知事がその行為をした者に対して、同項の工事の全部又は一部を行うことを命ずることができます。

 

立入検査(第二十四条)

都道府県知事は、必要な限度において、その職員に、当該土地に立ち入り、当該土地又は当該土地において行われている宅地造成等に関する工事の状況を検査させることが可能です。

 

報告の徴取(第二十五条)

都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者に対して、当該土地又は当該土地において行われている工事の状況について報告を求めることができる。

 

第五章 特定盛土等規制区域

第二十六条

まず、ほぼ条文の通りに掲載します。

都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域であって、土地の傾斜度、渓流の位置その他の自然的条件及び周辺地域における土地利用の状況その他の社会的条件からみて、当該区域内の土地において特定盛土等又は土石の堆積が行われた場合には、これに伴う災害により市街地等区域その他の区域の居住者その他の者の生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域を、特定盛土等規制区域として指定することができる。

特定盛土等規制区域の指定はこの法律の目的を達成するため必要な最小限度のものでなければならない。

要約

簡単に言えば、都道府県知事からみて盛土や土石の堆積が危害を生じる可能性があると思った場所を、特定盛土等規制区域として指定できるってことです。

また、指定された区域は、危険を防ぐために維持管理をしなければならなくなるので、必要最小限の範囲にする必要があるということです。

 

都道府県知事は、特定盛土等規制区域を指定しようとするときは、関係市町村長の意見を聴かなければなりません。

都道府県知事は、特定盛土等規制区域を指定するときは、当該特定盛土等規制区域を公示するとともに、その旨を関係市町村長に通知します。

そして、指定の効力は、この公示によって生じます。

市町村長は、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害により当該市町村の区域の居住者等の生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいため特定盛土等規制区域の指定をする必要があると認めるときは、その旨を都道府県知事に申し出ることができます。

要約

市町村長の方が、町の些細な情報が入り易い立場にありますので、都道府県知事が気付く前に危険性について察知することもあります。この時、その旨を上級庁に申し出ることができるという規定です。

 

第六章 特定盛土等規制区域内における特定盛土等又は土石の堆積に関する工事等の規制

特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の届出等(第二十七条)

特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する工事について、工事主は、当該工事に着手する日の三十日前までに、当該工事の計画を都道府県知事に届け出なければなりません。

ただし、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、届け出の必要はありません。

都道府県知事は、この届出を受理したときは、速やかに必要事項を公表するとともに、関係市町村長に通知しなければなりません。

 

都道府県知事は、当該届出に係る工事の計画について必要があると認めるときは、当該届出を受理した日から三十日以内に限り、当該届出をした者に対し、当該工事の計画の変更その他必要な措置をとるべきことを勧告することができます。

勧告を受けた者が、正当な理由なく措置をとらなかったときは、その者に対し、相当の期限を定めて、当該勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができます。

 

特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等について都市計画法上の許可申請をしたときは、当該特定盛土等に関する工事については、都道府県知事への届出をしたものとみなします。

 

変更の届出等(第二十八条)

特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の届出をした者は、当該届出に係る特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の計画の変更(軽微な変更を除く)をしようとするときは、当該変更後の工事に着手する日の三十日前までに、変更後の工事計画を都道府県知事に届け出なければなりません。

 

住民への周知(第二十九条)

工事主は、許可申請をするときは、あらかじめ、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければなりません。

 

特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の許可(第三十条)

特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積で、大規模な崖崩れ又は土砂の流出を生じさせるおそれが大きいものとして政令で定める規模に限り、工事主は、当該工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならないことになっています。

 

盛土については、政令で定める規模に該当しているかどうかがポイントです。

当条でのそれ以外の規定については、他の規制区域の場合と同じと考えればOKです。

 

特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の技術的基準等(第三十一条)

特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する工事は、政令で定める技術的基準に従い、擁壁等の設置その他特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。

また、この措置は、政令で定める資格を有する者の設計によらなければなりません。

 

条例で定める特定盛土等又は土石の堆積の規模(第三十二条)

都道府県は、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の許可について、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害を防止するために必要があると認める場合においては、工事の規模を条例で定める規模にすることができます。

 

許可証の交付又は不許可の通知(第三十三条)

都道府県知事は、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の許可申請があったときは、遅滞なく、許可又は不許可の処分をしなければならず、この工事は、許可証の交付を受けた後でなければ、することができません。

このため、都道府県知事は、許可の処分をしたときは許可証を交付し、同項の不許可の処分をしたときは文書をもつてその旨を通知しなければなりません。

 

許可の特例(第三十四条)

国又は都道府県、指定都市若しくは中核市は、都道府県知事との協議が成立することをもつて特定盛土等規制区域内において行う特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の許可があったものとみなすことができます。

都市計画法(第二十九条第一項又は第二項)の許可を受けたときも同様です。

 

変更の許可等(第三十五条)

特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の許可を受けた者は、工事計画の変更をしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければなりません。ただし、主務省令で定める軽微な変更をしようとするときは、許可は不要です。

軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。

 

完了検査等(第三十六条)

特定盛土等に関する工事について工事の許可を受けた者は、工事完了について、主務省令で定める期間内に、都道府県知事の検査を申請しなければなりません。

都道府県知事は、検査の結果、工事が規定に適合していると認めた場合は、主務省令で定める様式の検査済証を交付します。(義務)

 

土石の堆積に関する工事について工事(堆積した全ての土石を除却するものに限る)を完了したときは、主務省令で定める期間内に、都道府県知事の確認を申請しなければなりません。

都道府県知事は、確認の結果、堆積されていた全ての土石が除却されたと認めた場合においては、主務省令で定める様式の確認済証を交付しなければならない。

 

中間検査(第三十七条)

特定盛土等に関する工事の許可を受けた者は、工事を終えたときは、その都度主務省令で定める期間内に、都道府県知事の検査を申請しなければならない。

都道府県知事は、この検査の結果、当該特定工程に係る工事規定に適合していると認めた場合においては、中間検査合格証を交付しなければならない。

当該特定工程後の工程に係る工事は中間検査合格証の交付を受けた後でなければ、することができません

都道府県は、必要があると認める場合においては、特定盛土等の規模を条例で定める規模としたり、特定工程として条例で定める工程を追加することができます。

 

定期の報告(第三十八条)

特定盛土等に関する工事の許可を受けた者は、主務省令で定める期間ごとに、当該許可に係る特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の実施の状況、その他主務省令で定める事項を都道府県知事に報告しなければならない。

 

監督処分(第三十九条)

都道府県知事は、偽りその他不正な手段により許可を受けた者又はその許可に付した条件に違反した者に対して、その許可を取り消すことができます。

都道府県知事は、特定盛土等規制区域内において行われている特定盛土等又は土石の堆積に関する次に掲げる工事については、当該工事主又は当該工事の請負人若しくは現場管理者に対して、当該工事の施行の停止を命じ、又は相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置その他特定盛土等若しくは土石の堆積に伴う災害の防止のため必要な措置(災害防止措置)をとることを命ずることができる。

  • 許可を受けないで施行する工事
  • 許可に付した条件に違反する工事
  • 規定に適合していない工事
  • 規定に違反して同項の検査を申請しないで施行する工事

都道府県知事は、特定盛土等規制区域内の次に掲げる土地については、当該土地の所有者、管理者若しくは占有者又は当該工事主に対して、当該土地の使用を禁止し、若しくは制限し、又は相当の猶予期限を付けて、災害防止措置をとることを命ずることができる。

  • 許可を受けないで特定盛土等又は土石の堆積に関する工事が施行された土地
  • 検査を申請せず、又は同項の検査の結果工事が規定に適合していないと認められた土地
  • 工事の確認を申請せず、又は同項の確認の結果堆積されていた全ての土石が除却されていないと認められた土地
  • 中間検査を申請しないで特定盛土等に関する工事が施行された土地

都道府県知事は、工事の施行の停止を命じようとする際、緊急の必要により弁明の機会の付与を行うことができないときは、規定工事であることが明らかな場合に限り、弁明の機会の付与を行わないで、工事の施行の停止を命ずることができます。

この場合において、当該工事主等が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができます。

 

都道府県知事は、工事主等又は土地所有者等が期限までに当該命令に係る措置を講じないときや、不十分な措置であるときは、自ら災害防止措置の全部又は一部を講ずることができる。

また、緊急性が高い状況等において、災害防止措置を講ずべきことを命ずるいとまがないときも同様としています。

都道府県知事によって災害防止措置を講ずる際、過失なく工事主等又は土地所有者等を確知することができないときは、相当の期限を定めて、自ら当該災害防止措置を講じ、当該災害防止措置に要した費用を徴収することがある旨を、あらかじめ、公告しなければなりません。

 

都道府県知事は、災害防止措置の全部又は一部を講じたときは、当該災害防止措置に要した費用について、主務省令で定めるところにより、当該工事主等又は土地所有者等に負担させることができ、負担させる費用の徴収については、行政代執行法第五条及び第六条の規定を準用します。

 

工事等の届出(第四十条)

特定盛土等規制区域の指定の際、当該特定盛土等規制区域内において行われている特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の工事主は、その指定があつた日から二十一日以内に、当該工事について都道府県知事に届け出なければなりません。

 

都道府県知事は、この届出を受理したときは、速やかに、工事主の氏名又は名称、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事が施行される土地の所在地その他主務省令で定める事項を公表するとともに、関係市町村長に通知しなければなりません。

 

特定盛土等規制区域内の土地(公共施設用地を除く)において、擁壁等に関する工事その他の工事で政令で定めるものを行おうとする者は、その工事に着手する日の十四日前までに、その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。。

特定盛土等規制区域内において、公共施設用地を宅地又は農地等に転用した者は、その転用した日から十四日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。

 

土地の保全等(第四十一条)

特定盛土等規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者は、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない

都道府県知事は、特定盛土等規制区域内の土地について、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては、その土地の所有者、管理者、占有者、工事主又は工事施行者に対し、擁壁等の設置又は改造その他特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができます。

 

改善命令(第四十二条)

都道府県知事は、特定盛土等規制区域内の土地で、特定盛土等に伴う災害の防止の観点から、そのまま放置すると災害の発生のおそれが大きいと認められるものがある場合、相当であると認められる限度において、土地所有者等に対して、相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置若しくは改造、地形若しくは盛土の改良又は土石の除却のための工事を行うことを命ずることができます

この場合において、土地所有者等以外の者の工事、その他の行為によって災害の発生のおそれが生じたことが明らかで、その行為をした者に工事の全部又は一部を行わせることが相当であると認められ、かつ、これを行わせることについて当該土地所有者等に異議がないときは、都道府県知事は、その行為をした者に対して、工事の全部又は一部を行うことを命ずることができます。

 

立入検査(第四十三条)

都道府県知事は、職員に、特定盛土等若しくは土石の堆積に関する工事の状況について立ち入り検査をさせることができます。

尚、この立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものではありません。

 

報告の徴取(第四十四条)

都道府県知事は、特定盛土等規制区域内の土地の所有者、管理者又は占有者に対して、当該土地又は当該土地において行われている工事の状況について報告を求めることができます。

 

第七章 造成宅地防災区域

第四十五条 都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、宅地造成又は特定盛土等に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地(宅地造成等工事規制区域内の土地を除く)の区域であって政令で定める基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができます。

 

都道府県知事は、擁壁等の設置又は改造その他前項の災害の防止のため必要な措置を講ずることによって、造成宅地防災区域指定の事由がなくなったときは、当該造成宅地防災区域の全部又は一部について指定解除するものとする。

 

政令で定める基準

造成宅地防災区域内の指定は、政令で定める基準に該当しなければなりません。

この「政令で定める基準」は、要するに施行令に規定している基準のことです。

以下のような基準がありますので、目を通しておきましょう。

  • 盛土をする前の地盤面が水平面に対し20度以上の角度をなし、かつ、盛土の高さが5m以上であるもの
  • 盛土をした土地の面積が3,000㎡以上であり、かつ、盛土をしたことにより、当該盛土をした土地の地下水位が盛土をする前の地盤面の高さを超え、盛土の内部に浸入しているもの

 

 

第八章 造成宅地防災区域内における災害の防止のための措置

災害の防止のための措置(第四十六条)

造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者、管理者又は占有者は、災害が生じないよう、その造成宅地について擁壁等の設置又は改造その他必要な措置を講ずるように努めなければならない

 

都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、災害の防止のため必要がある場合、その造成宅地の所有者、管理者又は占有者に対し、擁壁等の設置又は改造その他災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができます。

 

改善命令(第四十七条)

都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地で、災害の防止のため必要な擁壁等が設置されておらず、又は極めて不完全であるために、これを放置することが災害の発生に繋がるおそれが大きいと認められるものがある場合、土地の利用状況その他の状況からみて相当であると認められる限度において、造成宅地所有者等に対して、相当の猶予期限を付けて、擁壁等の設置若しくは改造又は地形若しくは盛土の改良のための工事を行うことを命ずることができます

この場合において、造成宅地所有者等以外の者の宅地造成又は特定盛土等に関する不完全な工事その他の行為によつて災害の発生のおそれが生じたことが明らかであり、その行為をした者に工事の全部又は一部を行わせることが相当であると認められ、かつ、これを行わせることについて当該造成宅地所有者等に異議がないときは、都道府県知事は、その行為をした者に対して、同項の工事の全部又は一部を行うことを命ずることができます

 

標識の掲示(第四十九条)

この法律で定める届出をした工事主は、当該許可又は届出に係る土地の見やすい場所に、主務省令で定めるところにより、氏名又は名称その他の主務省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない

 

市町村長の意見の申出(第五十条)

市町村長は、宅地造成等工事規制区域、特定盛土等規制区域及び造成宅地防災区域内における宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の防止に関し、都道府県知事に意見を申し出ることができる。

 

緊急時の指示(第五十一条)

主務大臣は、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害が発生し、又は発生するおそれがあると認められる場合において、当該災害を防止し、又は軽減するため緊急の必要があると認められるときは、都道府県知事に対し、この法律の規定により都道府県知事が行う事務のうち政令で定めるものに関し、必要な指示をすることができる。

 

都道府県への援助(第五十二条)

主務大臣は、宅地造成等工事規制区域の指定、特定盛土等規制区域の指定、造成宅地防災区域の指定、その他の都道府県が行う事務が適正かつ円滑に行われるように、都道府県に対する必要な助言情報の提供その他の援助を行うよう努めなければならない

 

第十章 罰則

罰則については、あまり出題される可能性は無いと思いますが、参考までに掲載しておきます。

 

第五十五条

次の各号のいずれかに該当する違反行為をした者は、三年以下の懲役又は千万円以下の罰金に処されます。

簡単に言えば、この法律の規定違反をして工事をしたり、偽りや不正な手段で許可を受けた場合の他、命令違反等に対して下されます。

工事の設計違反や、設計図書を用いないで当該工事を施行した場合も、その工事施行者等は、三年以下の懲役又は千万円以下の罰金に処されます。

 

第五十六条

以下のいずれかに該当する場合には、一年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

・規定による申請をせず、又は虚偽の申請をしたとき。

・規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

・規定による命令に違反したとき。

・規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。

 

第五十七条

第二十七条第一項又は第二十八条第一項の規定による届出をしないでこれらの規定に規定する工事を行い、又は虚偽の届出をしたときは、当該違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 

第五十八条

次の各号のいずれかに該当する場合には、六カ月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

・土地の立入検査を拒み、又は妨げたとき。

・市町村長の許可を受けないで障害物を伐除したとき。

・都道府県知事の許可を受けないで土地に試掘等を行つたとき。

・規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

・規定による届出をしないで工事を行ったとき。

・規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 

第五十九条

標識の掲示について規定違反したときは、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

 

まとめ|勉強のコツ

内容的にも量的にも比較的やさしい法令ですが、改正点には注意しましょう。

新たに覚えなければならない部分が増えましたが、基本的な考え方は同じですし、一定種類のパターンが見えてくれば得点源にできる法令だと思います。

傾向としては、「誰が許可をだすのか」・「許可と届出の違いはどこか」・「区域ごとの特徴」等がよく出題されています。

旧法から引き継いでいる部分については、同じ内容ですので、過去問をしっかりやれば必ず得点できるはずですので、頑張りましょう!

宅地造成等規制法の過去問と解説

宅地造成等規制法の過去問だけをまとめて学習できるようにしました。 但し、2024年度以降の宅地建物取引士試験では、「宅地造成及び特定盛土等規制法」(盛土規制法)に変わっていますので、改正前と変化が無い ...

HOME

  • B!