羽生先生の言葉には、いつも考えさせられてばかりいます。
棋士は、過酷な勝負を乗り越える職業ですから、不動産営業にも通じる教訓も多いです。
この記事では、羽生善治氏が国民栄誉賞受賞前のインタビューで発していた言葉の真意を考えてみたいと思います。
棋士という職業を考える
私は、棋士として生きる道を選べるだけでも、相当の勇者だと思っています。
普通の人なら臆してしまい、その選択すらできないでしょう。
私には、会社を辞めて自営業を営むだけでも、相当の勇気がいりました。
それどころか、「将棋だけをやって食べていく」という道を選ぶわけですから、信じられない勇気です。
どんなに自分が強かったとしても、普通はこの道を選ぶことすらできないと思うのです。
貴方に何かスゴイ特技があったら、それだけをやって食べていけると思えますか?
野球やサッカー等のメジャーなスポーツでさえ、それだけで食べていくという決断を実行できる人は少ないはずです。
「プロになれたらいいな」と思っている人はたくさんいるのですが、そのために全てを投げ出す覚悟がある人は少ないと思います。
しかも、大衆の目に晒されるプレッシャーの中、最高峰の強豪達と戦うのです。
趣味で楽しく戦うわけではなく、「仕事」としてやっていくことを想像してみれば、どれだけ凄いことかが想像できると思います。
中・高生の頃にそんな決断をして、何十年もその中で戦う精神力を持っている人達が棋士という存在なのです。
何十時間も真剣に戦い、負けてもまた立ち上がって勉強を続ける日々です。
精神的におかしくならないのが不思議なくらいですよね。
だから、私は今でも加藤一二三さんを笑うことができません。
羽生善治氏の言葉
株式投資を仕事にしている、トレーダーと呼ばれる人達がいますよね。
彼等もまた、棋士と同じように勇気のある人達だと思います。
専業のトレーダーとして取引するのと、サラリーマンで給料を貰いながら取引するのとではプレッシャーがまるで違うはずです。
それを、何の保険も無くできる人の精神力は、棋士に通じるものがあると思うのです。
そんな精神戦の世界で、永世七冠という称号まで得た羽生氏が、こんなことを言っていました。
「今の日本には、修造カレンダーのような精神が一番不足していると思います」
松岡修造さんが発信しているメッセージを考えると、「自分に自信を持つ」という精神の事を言っているように思えます。
正直なところ、この言葉の真意はわかりません。
今でも確信が持てずにいます。
しかし、これまで羽生永世七冠が歩んできた苦難の数々と、それを乗り越えてきた精神力を想像すると、それしか無い気がしてくるのです。
棋士の精神力を考える
しかし、棋士達は、たった一つの負けで役職を失うことが日常的に起きます。
地位やお金だけではなく、手が震えるほどの「何か」を賭けて日々戦っています。
一つの負けが、死ぬほど苦労して手にしたタイトルを奪っていくような世界に身を置く人は、嫌でも精神力がついていくのかもしれません。
本当にすごい人達だと思います。
オリンピック選手等でもそうですが、本番は一回だけです。
世界中が見ている中で、自己記録を上回る人さえいるのですから脱帽です。
私達は、技術や順位にばかり目が向きがちですが、この精神力にこそ学ぶべき事があるのだと思います。
羽生先生が言いたいことも、その辺りにあるのかもしれません。
棋士達は、どんなに負けそうになっても、どんなに助けてほしくても、自分の力だけでどうにか相手を倒さなくてはいけません。
それを続けていくには、「自分の力を信じる」という事を究極的なレベルで維持できなければ不可能でしょう。
宅建の受験生も、不動産営業も、この自分を信じるパワーを持って挑むべきだと思います。
まとめ
棋士は、「自分は必ず勝てる!」と思うからこそ、強者に挑む気力が湧くのだと思います。
今は勝てなかったとしても、自分を諦めることはしないという事です。
凡人は、「自分が羽生さんに勝てるわけがない」と考えてしまいます。
棋士という人達は、自分の可能性をどこまでも信じ続けていて、負ける前提で戦う人はいません。
それって、すごい事だと思いませんか?
あんなに凄い人を前にしても、自分が勝つ可能性を信じる精神力をどれだけの人が持てるでしょうか。
羽生さんは、困難に立ち向かう勇気と、自信を持つ大切さを端的に表現したのではないでしょうか。