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不動産営業のつくり方

建売住宅の分譲シリーズ名と建築会社の業界評判

東京、神奈川、埼玉周辺で販売される建売住宅は、同じような建築会社(パワービルダー)が建てていることが多いです。

パワービルダーと呼ばれる建築会社では、この分譲地に横文字の名前を付けてシリーズ化しています。

中規模なビルダー達も、これに習って分譲名をブランド化する傾向があります。

今回は、不動産営業から見た各社の特徴等についてご紹介したいと思いますので、これから建売住宅を購入する人は参考にしてみてください。

 

建売住宅と分譲住宅の違い

はじめに、建売住宅と分譲住宅の違いについて説明しておきます。

建売住宅は、土地の購入から建物の設計までを建築会社が独断で行い、完成した建物を販売するものです。

 

これに対して、分譲住宅は、分譲地(土地)がベースになっている建売住宅のことです。

大きな土地に何区画分もの土地を造成し、それを建物と一緒に分譲するわけです。

 

どちらの場合も、結局は建築会社が間取りを決めて建築しているので、大きな意味で考えれば、全て『建売住宅』というカテゴリーに含まれると思ってOKです。

 

建売物件の場合でも、購入時期や担当者の対応力によっては、多少の仕様変更が許される場合もあります。

外壁の色や、キッチンの種類等、注文住宅のように選ばせてくれるケースもあります。

 

 

 

飯田グループホールディングス

飯田グループホールディングスは、飯田産業系列の会社(5社)を統合したものです。

建売会社の代表格で、パワービルダーといえば、まずこの会社が頭に浮かびます。

 

飯田グループは、飯田産業、一建設、アーネストワン、東栄住宅、タクトホーム、アイディホームの5社で構成されています。

この他、飯田傘下には飯田ホームトレードセンター(株)という不動産売買専門の会社等も存在しますが、こちらは建築ではなく、不動産仲介をメインとしています。

 

不動産営業なら関わったことの無い人はいないという位に巨大なグループで、「道を歩けば飯田に当たる」と言われる程の業界知名度です。

グループ各社で分譲シリーズが分れていますので、まずはそれらをご紹介しておきます。

 

ハートフルタウン

図面等にハートフルタウン(Heart Full Town)という名称の入る建売住宅は、全て飯田産業の建築物件です。

飯田のいい家」のテレビCMでお馴染みの建売シリーズですね。

 

不動産営業の目線から見ると、比較的に多棟数での区画販売が多いように感じます。

ものすごい数の棟数実績なので、『THE建売』と言っても過言ではないメーカーです。

グループが巨大なので、地方都市でもお目にかかるメーカーですよね。

 

量産体制が整っているので、建物コスト面で有利な企業です。

このアドバンテージは、普通の建築会社が全く同じものを建てても、かなりの金額差が出てしまう程です。

 

この為、一般的な建築会社よりもリーズナブルな価格での販売が可能になるわけです。

住宅性能評表示の導入の他、大手ならではのサポート体制等もメリットの一つだと思います。

 

不動産営業の間では、人により好き嫌いの明暗が分かれるビルダーの一つです。

外壁のデザイン等が単一になりがちなので、面白みには欠けるかもしれませんが、価格的に魅力があることが多いです。

 

リーブルガーデン

リーブルガーデン(LIVELE GARDEN)は、一建設が施行している物件の名称です。

地方都市や東京郊外のエリアでよく見かけるシリーズで、建物の特徴としては際立った部分がありません。

言い方は悪いかもしれませんが、平凡な仕様なのが特徴です。

 

とにかく価格を抑えて、購入しやすい価格帯での販売を目指している印象です。

車で例えると、軽自動車的な手軽さで購入できるグレードといった感じでしょうか。

この為、少し物足りなく感じる人もいると思いますが、値引き幅が大きい傾向があり、一定層に選ばれています。

 

クレイドルガーデン

クレイドルガーデン(CRADLE GARDEN )は、アーネストワンという会社が施行する物件です。

アーネストワン本社では、マンション事業も行っていますので、マンション事業でその名を知った人もいるかもしれません。

 

東京郊外や地方での販売が多いビルダーで、過去の取引では、外壁(サイディング)の色等を顧客に決めさせてくれるケースもありました。

 

外壁等も比較的にいろいろなチャレンジをしている印象があります。

過去の物件では、パワーボード(不燃性の外壁)を起用した物件もありました。

個人的には、低価格の中でも、何か工夫をしていこうという意識を感じる社風を感じます。

 

ブルーミングガーデン

ブルーミングガーデン(BLOOMING GARDEN)は、東栄住宅の建築した物件です。

不動産営業の間でも「売りやすい」と言う人が多いシリーズです。

 

飯田グループの中では、比較的にグレードが高い建売住宅を施行する特徴があり、価格的にも少し値が張ります。

住宅性能評価や長期優良住宅を標準仕様にする等、売る側も買う側も安心できるのが強みです。

 

外観等は、他のグループ企業と同じで、無難に売れるスタンダードなものが多い印象です。

見た目よりは、機能や住宅性能を重視した建売住宅といったところでしょうか。

飯田グループ内では、最も良い建物を建てることで知られています。

 

グラファーレ

グラファーレ(GRAFARE)は、タクトホームの施工物件です。

タクトホームは、地主との繋がりが強いのか、郊外では大型現場等もよく見かける印象があります。

 

広い範囲で施行しており、雰囲気としてはハートフルタウンやクレイドルガーデンと似た仕様になっています。

少し地価が高いエリアでも施行する為、比較的に幅広い価格帯を取り扱っている気がします。

 

リナージュ

リアージュ(LiGNAGE)は、フランス語で「血統」を意味するそうです。

このシリーズは、アイディホームの建売住宅です。

 

他のグループ企業に比べてやや着工数が少ない傾向があり、飯田系の中ではあまり見かけない印象です。

住宅性能評価も導入しており、内容的には他社に劣っているわけではありません。

 

東京近郊の建売会社

東京近郊では、想像以上にたくさんの建築会社が建売住宅を販売しています。

全てを紹介することはできませんが、その地域によって比較的に物件数が多い会社があるものです。

 

飯田グループ以外でも、イーカム、三栄建築設計、アイダ設計等、色々な建築会社が存在します。

比較的に名前が売れているところとしては、ガルボシティ(Garbocity)シリーズかもしれません。

 

ガルボシティは、(株)イーカムが施行する物件です。

相模原市に本社がある為、神奈川方面に物件が多い傾向がありますが、東京近郊でも建売販売を行っています。

 

洋瓦を使用して西洋風の建物にする物件が多く、珍しい設備を積極的に取り入れていく印象です。(浴室TV、ジェットバス、カード式オートロック等)

 

その他、不動産会社自体が売主となって販売している建売物件もあります。

中でも、三井不動産レジデンシャルが施行するファインコートが有名です。

 

野村不動産のプラウドもというシリーズも、開発規模での大きな現場が多く、美しい街並み形成で定評があります。

その他、ポラス、オープンハウス等、特定地域によって強さを発揮するビルダーもいます。

 

ハウスメーカー各社も建売物件の現場を持つことがあり、ダイワハウスや、積水ハウス等の現場も比較的に目にします。

建物の仕様が良いので価格はかなり高いですが、少し前のモデルで使用していた外壁材等を使用しているので、注文住宅として購入するよりは安く買うことができます。

 

雑木林がある分譲地

最近、神奈川県相模原市に、新しい発想の分譲住宅が誕生して話題となりました。

大きな分譲地の中央に雑木林を意図的に造作し、全体の土地面積の約2割をこれに充てたのです。

 

夏は、木々が各住宅への直射日光を遮り、冬には葉が落ちて日差しが室内まで入り込むように設計しているそうです。

住宅同士を仕切るフェンス等も設置せず、住人同士のコミュニティを重視したコンセプトです。

 

大手ハウスメーカーが共同して開発しており、共有型の庭がある分譲地という、新しい価値観を生み出しています。

過去にも試験的に販売された分譲地があり、そこでは住民同士がバーベキューをする等、「皆で暮らす」という里山的コミュニティーが形成され、成功を収めているそうです。

今後は、多用なニーズに向けて、新しい分譲形態が増えてくるかもしれませんね。

 

建売会社の評判

棟数実績が多く、物件価格が安い建築会社には、悪い評判が流れることもあります。

あの会社の建売はやめたほうがいい」なんて話を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

 

この点については、業界を見てきた立場から、少し説明しておきたい事があります。

個人的な意見にはなりますが、私が見てきた限りで真実だと思う事を述べておきますね。

 

まず、建築会社の建物を批判する人の多くは、建築についてあまり詳しく知らない人達であることが多いです。

これは、不動産営業職をしている営業側の人でも同じです。

 

不動産仲介営業は、基本的に建物についての知識はそれほどありません。

それなのに、「あの会社はダメだ」等としったかぶりをする人がいるのです。

 

仕事上で気に食わない対応をされただけで批判する人もいますし、「安いからダメ」と安易に決めつけている人もいるようです。

しかし、従業員の態度と建物の性能は、全く関係の無い話ですよね。

 

それに、そもそも全ての物件を同じ大工さんが建てているわけではありませんから、その会社の建物が全てダメなんてことは有り得ません。

このように、根拠の無い主観的な意見で決めつけている人は、営業マンの中にも結構多いです。

 

先輩営業から聞いた話を鵜呑みにし、勘違いしたままの人もいるでしょう。

私は、自分の目で確かめることで、聞いていた話とは全く違うという事が何度もありました。

 

それどころか、しっかり建築知識を身に付けてからは、「普通の不動産営業には正しく判断できないだろう」と感じるばかりです。

 

クレームについて

パワービルダーと呼ばれる企業では、町の工務店等では有り得ないくらいの棟数をこなしています。

年間の建築棟数が数千単位になるような企業なので、色々な現場がありますし、色々な顧客が購入します。

 

ですから、クレームトラブルの発生件数についても、建築棟数に比例する部分があります。

全体の数から見た時に、そのクレーム比率が多いかというと、私はそんなことはないと感じます。

 

クレーム自体を正当化するつもりはありませんが、どんな会社でも避けられない偶発的なトラブル等は発生するものです。

外注した会社が原因の場合も多いので、一部のクレーム事例だけで決めつけるのは正しい判断とは言えません。

 

むしろ、クレーム時の対応で、ダメな会社かどうかを判断した方が良いと思います。

安心できる会社とは、きちんと対応してくれる会社のことだと思います。

建物自体はどこの会社も同じようなものですが、この対応力はサポート体制等によって差が出る部分だと思います。

 

職人の手抜き問題

建物の建築を請け負う職人さん達は、工賃の安い企業を嫌います。

しかし、建築会社側は、安く家を建てるために人件費を削減したいので、できるだけ単価を落とそうとします。

一方、職人達は、良い単価で仕事を請け負いたいと考えています。

 

両者の希望は相反するものなので、どうしても不満が溜ります。

不動産営業をしていると、「この会社は単価が安くてヒドイよ」等とボヤいている職人さんをよく見かけます。

中には、安すぎる単価に怒っている人もいます。

 

そのような職人の中には、心無い人もいます。

どんな業種でも、たくさんの人が働いているので、モラルの低い人はいますよね。

気に食わない単価でやらされた物件で、嫌がらせ的な仕事をするような人達です。

 

某企業の物件では、壁の中に職人達が出したゴミが入っていたという話を聞いたことがあります。

見つかれば二度と仕事がもらえなくなる行為ですから、基本的には辞めていく職人等がやっていくのだと思います。

 

これは、どの会社でも起き得る事で、このような職人に当たってしまうタイミングと運でしかないでしょう。

 

建築業界の真実

今の時代、欠陥住宅を建ててまで儲けようとしているような業者は、本当に稀なケースだと思います。

長く続けていくには評判が最も大切ですから、どの企業もコンプライアンスに厳しくなっています。

 

それでも、「建売は欠陥が多い」等と言う人がいますよね。

しかし、このように思われているケースの殆どは、部材の品質の問題であり、建築会社や住宅自体の問題ではありません。

 

これは車で考えると分り易いです。

躯体やエンジン性能等は同じでも、外観デザインや内装はグレードアップ可能です。

どの程度の内装で販売するかは、各社のコンセプトで異なります。

 

安い車には、安い装備しか付きませんし、高級車には品質の良い設備が付けられますよね。

しかし、どちらも車としては何も違反しておらず、贅沢さと満足度の違いです。

 

建売住宅も同じようなもので、外壁・室内建具・住宅設備等の品質が異なります。

これらは、建売業者が制作している商品では無く、パナソニックとかリクシル等のような建材を製造している会社から購入しています。

 

つまり、建築会社の技術力は全く関係なく、「どの程度の品質の建材を使うか」という部分の問題なのです。

躯体については、特別な施行(追加の耐震補強等)をしていない限り、大きく性能が異なるケースは無いと思って差し支えありません。

 

まとめ

不動産営業マンから資料が届いたら、物件の図面に記載してある分譲名に着目してみましょう。

その名称から、施工会社のことを調べることができます。

事前に特徴を把握して内覧すれば、より一層、それぞれの違いが理解できると思います。

最後まで読んでいただけた方はお分かりだと思いますが、建売住宅の選別ポイントは、「仕様や性能のグレードとアフター対応力」です。

価格に魅力があるとか、立地的な魅力が勝る場合もあるでしょうが、基本的な選び方はこの二点だと覚えておきましょう。

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