不動産の広告チラシに記載されている内容は、不動産売買の際に宅建業者の義務とされている重要事項説明の記載事項と重なる部分が多いです。
また、不動産広告チラシには、宅建業法、都市計画法、建築基準法等の情報が散りばめられており、総合的知識が詰まっているのです。
実は、不動産広告チラシの記載事項は、宅建受験生にとても勉強になる内容という事です。
今回は、少し勉強から離れて、広告チラシの基礎知識を交えた新しい学習だと思って読んでみてください。
なんとなく興味本位で読んでいるだけでも、諸法令の復習になると思います。
物件種別
写真だけの掲載では、中古と新築の見分けがつかない場合もありますよね。
ですから、物件種別の記載をして勘違いが起きないようにしなさい!という事になっています。
例えば、不動産の物件種別には、新築一戸建・中古・マンション・土地・賃貸等、色々な種類がありますよね。
このような表記のことを物件種別と言います。
築年数を見れば、新築と中古の判別は簡単にできますから、実質的には築年数と建物形態を記載することになります。
新築物件として完成した建物でも、築年数が1年以上経過していれば、中古物件という扱いを受けることも覚えておきたいポイントです。
つまり、建売住宅等で完成から1年間販売活動をしても売れなかった物件は、『中古』として広告掲載しなければならないのです。
また、土地物件の場合、建築条件付売地という表記をすることがあります。
これは、購入した土地に建てる建物を、指定された建築会社で建築することが条件にされている物件の事です。
間取り等プランは自由に決められますが、建築会社が指定されます。
土地だけではあまり利益が出ないので、建築受注と合わせて採算をとっていると考えれば理解しやすいのではないでしょうか。
現地販売会
『現地販売会』とか『現地売り出し』等の表記は、建売住宅の分譲地に不動産営業マンが待機し、内覧や質問等ができる状態であることを意味します。
建売物件の売主(建築主)が広告掲載と販売活動を近隣の不動産会社に依頼しているわけです。
現地販売会については、売主に許された特定の業者が単独で行って集客をしています。
売主は、定期的に販売させる会社を変更し、新しく広告チラシを撒いてもらうようにして完売を目指すという仕組みです。
開発現場
法律で決められた一定規模以上の広さの土地に、複数の建売住宅を建築するものです。
要するに、行政の開発許可が必要な現場という意味です。
結局は建売住宅に変わりないのに、何故このような表記が義務付けられていると思いますか?
このような視点で考えると、宅建知識として頭に残り易くなると思います。
実は、開発行為とみなされるような広範囲な工事は、役所がチェックする許認可申請の手続きが厳格になります。
例えば、ゴミ置場の設置や、小さな公園の造成、雨水対策等が条件になることもあります。
開発行為に該当する規模の工事は、通常よりもお金がかかりますし、消費者は厳格な規制をクリアした物件として検討できます。
きちんと開発許可をとっている事を記載させることで、消費者が安心して検討できるようになるというわけです。
物件所在地
皆さんは、物件所在地と住居表示の違いは何だと思いますか?
これを理解できている人は、次の項目へ進んでOKです。
物件の所在地を示す方法には、「地番」と「住居表示」の2種類があります。
地番とは、登記簿(又はブルーマップ)に記載されている物件固有の番号で、人間の指紋のようなものです。
地番は、カーナビ等に対応していない表記なので、不動産会社に問い合わせをして住居表示を聞かなければ、場所が特定できない事が多いです。
これに対し、住居表示は、市区町村等が定めた住所としての指定番号です。
住居表示は、同じ住所が複数存在することもありますよね。
不動産は高額な取引になることが多いですから、場所の特定は非常に重要です。
このような事情から、物件の所在地については地番を用いる事になっています。
これは、不動産の表示に関する公正競争規約施行規則で定められています。(第5章 表示基準)
但し、一定の要件を満たす場合は、丁目までの記載でも許されます。
この為、実際のチラシでは、地番の記載が省略されるケースも存在します。
徒歩表記
宅建の勉強が進んでいる人は、徒歩表記の根拠を答えられると思います。
不動産広告チラシは、物件の交通・利便性の詳細について記載しなければいけません。
交通機関を利用するまでの徒歩分数についても同様に記載しなければならない事項ですが、歩く速度は人によって異なりますよね。
誰かの速度を基準にするしかありませんので、女性の歩く速度を基準として定められたと言われています。
具体的には、「80mを1分として計算する」と規定しています。
これは、地図上の直線距離ではなく、実際に要する距離(経路)から算出して記載します。
権利と地目
権利と地目については、民法や不動産登記法等を勉強していない人にはピンと来ない部分かもしれません。
チラシに権利の記載をするのは、権利の種類によって物件の価値が大きく変わるためです。
不動産広告チラシに記載される権利は、『所有権』の場合が多いですよね。
これ以外にも、『借地権』・『賃借権』等、色々な権利が存在します。
所有権は、物件を法的に自分のもの(所有物)にする権利です。
借地権は、土地を借りる権利ですから、その土地は自分の所有物ではありませんし、自由に権利を譲渡することもできないといった具合です。
地目とは、その土地を登記した時点での利用状況のことです。
例えば、初めて登記をした時に畑だったら、登記簿には「畑」と記載してあります。
しかし、その後に住宅を建築したが、地目変更をしないままになっている等、登記簿上と現況が異なることも多いです。
広告チラシには、登記簿の地目が記載されますが、登記簿と現況の地目が異なる場合は、現況の地目を併記することになっています。
詳しくは、不動産登記法で学習しますので、ここでは地目の意味だけにしておきますね。
建物の構造
建物の構造には、木造・軽量鉄骨造・RC造(鉄筋コンクリート)・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)等、色々な構造が存在します。
それぞれの構造によって、耐用年数が異なりますので、これを表記することは物件検討において重要です。
税法上の建物耐用年数によれば、木造は20年~22年とされています。
軽量鉄骨は19~34年、RCは47年とされています。
建売住宅の場合、構造表記の箇所に「木造スレート葺2階建」というような記載を見かけると思います。
「葺」とは、屋根の材料を示しており、「木造の建物で、屋根にスレート材を使った2階建」という意味になります。
面積の表記
面積については、3種類あると思ってください。
土地面積、建物面積、専有面積の3つです。
それぞれ説明しておきます。
1.土地(敷地)面積
土地の面積には、公簿面積と実測面積の2種類があります。
公簿面積は、登記簿に記載されている面積のことです。
実測面積は、現地で実際に測量した面積のことです。
測量技術の進歩によって、より正確な面積が計測できるようになった為、登記時期が古い場合には実測と誤差が生じることがあります。
実測面積(現在の面積)と公簿面積に誤差が生じることは意外に多く、契約の際にはこの誤差に関する取り決めの記載が必要です。
2.建物(延べ床)面積
建物面積は、その建物の全ての階の床面積を合計した面積のことです。
一般的には、延べ床面積と呼ばれます。
2階建てなら、1階+2階の総床面積ということです。
例外的に、床以外の面積(特殊なバルコニーや玄関ポーチ・1m以上の庇等)を算入することもあります。
3.専有面積
専有面積は、区分所有(マンション等)の一戸分の延床面積のことです。
更に、専有面積には、内法(うちのり)面積と、壁芯(へきしん)面積の2つがあります。
内法面積は、壁の内側で計測した面積です。
壁芯面積は、構造躯体の中心(壁の厚みの中心)から計測した面積です。
この為、内法面積より壁芯面積のほうが、表示面積が大きくなります。
設備
設備の記載とは、電力会社名、ガスの種類、上水道と下水道、浄化槽の有無等のことです。
ガスの種類には、都市ガスとLPガス(プロパンガス)の2種類があります。
ガスについては、ランニングコストの他、引き込み費用等も異なります。
土地検討の際には、意外に重要な要素となりますので、記載事項として欠かせないのです。
上下水については、地方公共団体によって色々な形態がありますので、こちらも物件情報として意外に重要です。
上水と下水の支払先が異なる場合もありますし、分担金が必要な場合等もあります。
下水設備が無く、浄化槽を使用している場合は、その旨の記載もしなくてはいけません。
使用済の浄化槽については、廃棄処分せずに地中に埋めておく場合が多い為、埋設物として存在する場合もあります。
このように、ライフラインに関する情報は、顧客が物件を検討する上で重要であることが分ると思います。
特記事項
特記事項とは、その物件だけに存在する特別な事項のことです。
例えば、建物の大きさが建築基準法に違反している等、物件固有に生じている事項です。
自殺や事故等のような告知事項等もこれに含まれます。
その他、引渡期日について条件がある場合や、周辺環境について特記すべき事項等も同様です。
また、マンション特有の表記としては、管理費・修繕積立金・管理形態等があります。
道路の種類
道路には、私道と公道の2種類があります。
そして、建築基準法上では、それぞれの道路ができるまでの経緯によって更に細かく種類を分けています。
公道とは、国・県・市区町村等による公的な計画によって造られた道路のことです。
(建基法第42条1項1号、42条1項2号)
将来的に整備が予定されている道路については、「計画道路」等と記載される場合もあります。(建基法第42条1項4号)
私道については、少し種類が多く、色々なものが存在しています。
ポイントとしては、3種類の私道について理解することだと思います。
以下の3つです。
- 「位置指定道路」(建基法第42条1項5号)
- 「2項道路」と呼ばれる、幅員4m以下の道路(建基法42条2項)
- 「但し書き(ただしがき)道路」と呼ばれる、道路のような空き地(建基法第43条1項ただし書の規定に基づく許可)
1.位置指定道路(h4
位置指定道路とは、行政から道路となる境界地点を指定され、「ここに造るなら道路として認めてあげますよ」という条件指定を受けた道路です。
位置指定道路に認められると、建築基準法上で認められた道路になる為、建築の許可等が受けやすくなります。
また、維持管理についての補助金が出る場合がある等のメリットがあります。
2.2項道路
2項道路とは、現在4m以下の幅員となっている道路を言います。
2項道路は、建築基準法上では正式な道路として認められていません。
行政は、全ての道路を4m以上にすることを理想としていると考えると良いと思います。
2項道路に面した土地に建築をする場合、セットバック義務が発生します。
セットバックについては後述しますが、4m道路を実現するために土地の一部を提供しなければいけない義務だと思ってください。
2項道路は、条件をクリアすれば道路としてみなしてもらえる為、「みなし道路」とも呼ばれます。
3.但し書き道路
但し書き道路は、簡単に言えば、道路状の空き地のことです。
見た目には道路に見えることもありますが、分類上は道路ではなく、単なる通路の扱いで
す。
原則として4mの道路に接道しなければいけませんが、「建築審査会が許可した場合」について「ただし、~」という記述があることが名前の由来になっています。
但し書き道路は、「特別に、建築させてください」という許可申請が通れば建物を建てられることがあります。
しかし、将来的に再建築できる保証はありません。
この為、広告チラシには「再建築不可」と表記されることもあります。
道路幅員と方角
道路の幅員が4m以上なら、建築基準法上の道路である可能性が高いでしょう。
反対に、4m以下なら私道であることが推測できますよね?
この他、道路幅員によって日照の具合や車の通行量等も考慮することができます。
実際には、周辺の建物の影響等にもよりますが、南や東の方角に接道する物件は、比較的に日当たりが期待できると考えることができ、価値が高くなります。
私道負担
私道負担とは、土地に含まれている私道部分の該当面積のことです。
「私道負担有」という表示がある物件は、土地の一部に私道として負担している部分があるいう事になります。
この私道部分に対し、負担金等が発生する場合もありますので、記載事項として重要なわけです。
セットバック
セットバックは、道路後退とも呼ばれます。
セットバックとは、2項道路(みなし道路)に接道した土地に新たな建物を建築する際、道路に面した方向に土地の後退義務が生じることです。
セットバックは、接道している道路が4mになるために必要な面積を、道路部分として提供する義務のことなのです。
私道について
私道は、個人の所有する道路ですから、原則として所有者が維持・管理を行います。
整備費用を自治体等が補助してくれるケースもありますが、この場合でも私道持分を持つ所有者全員の同意が必要です。
また、水道やガス等の工事で道路を掘削する必要が生じた場合にも、建築者は私道所有者全員の承諾を得る必要があります。
掘削の承諾を得ることが困難なケースもありますので、建て替え等の障害になる事も珍しくありません。
税金面でも、状況によって宅地と同等の固定資産税が生じる場合や、役所へ固定資産税の減免を申請する必要が出る場合があります。
このように、私道には、所有者責任や手続きの面でデメリットがある為、公道に比べて価値が低くなることが多くなります。
取引形態
売買の取引形態は、取引態様と呼ぶこともあります。
取引形態を記載しなければいけない理由は、不動産会社に支払う手数料に関係する情報だからです。
不動産広告チラシに掲載する取引形態には、主に「媒介(仲介)・代理・売主」の3種類があります。
1.媒介
媒介(仲介)とは、売主と買主の間に不動産会社が入り、取引を業務サポートする形態です。
媒介の場合、物件の紹介から引渡しまでをサポートしてもらう為、仲介手数料が発生します。
仲介手数料は、(物件の税抜価格の3%)+6万円に消費税を加えた金額となります。
※400万円以上の取引である場合の速算式。
2.代理
代理とは、売主の代理をしている不動産業者が、販売業務を代行する取引形態です。
代理の場合、仲介手数料無料で取引する場合が多いですが、法律上は買主から仲介手数料を受領しても問題がありません。
代理業者の都合によっては、仲介手数料が発生する場合があります。
3.売主
売主と表示のある物件は、建築主が直接販売する形態です。
この為、第三者による仲介業務は発生しませんので、仲介手数料は無料です。
土地区画整理事業に伴う保留地の公売等、行政から土地を購入する場合も、売主直売と同様に仲介手数料はかかりません。
建築確認番号
建売住宅の広告には、必ず建築確認番号が記載されています。
これは、法的に問題ない時期に広告を行っていることを明示するために決められたルールです。
建物の建築主は、役所に対して「こんな建物を建ててもいいですか?」という意味の届出を行い、内容を審査してもらうことになっています。(建築確認申請)
この審査で問題が無かった場合に発行されるの、建築確認番号です。
つまり、建築確認番号が交付された物件は、確実に公表した通りのプランで建築できる証拠があるということになります。
「建築確認番号の交付後でなければ不動産広告をしてはいけない」というルールにすることで、不確実な計画から消費者を守ろうという趣旨なのです。
都市計画
都市計画地域とか、用途地域等といった表記については、「都市計画法」という法律の中で細かく定められています。
人々が住みやすい街づくりをしていくべき地域を定めて、そのための具体的な計画やルールについて規定した法令です。
宅建の受験生であれば簡単な言葉でも、一般の人達には聞きなれない言葉も多いでしょう。
都市計画法に出てくる言葉の中で、広告チラシに記載される言葉はたくさんあります。
以下のような言葉は、都市計画法の中で定められた事項ですので、ここでは割愛したいと思います。
詳しくは、参考記事で説明しています。
- 都市計画地域
- 市街化区域
- 市街化調整区域
- 用途地域(第一種低層住居専用地域等)
- 地区計画
- 建蔽率・容積率
参考記事
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都市計画法と建築基準法の宅建無料テキスト
宅地建物取引業法の無料テキストに続き、都市計画法と建築基準法の流し読み用テキストです。 都市計画法と建築基準法は繋がりの強い法律ですので、一緒にまとめて勉強できるようにしておきました。 ...
防火地域
建物が密集する地域では、大規模火災を防ぐ目的から、一定の基準を満たした防火対策をしなければなりません。
防火地域又は準防火地域に指定された地域は、防火耐性等に関する規制が適用され、建築確認申請の際にチェックされることになります。
防火地域は、主に駅前の商業地域や中心市街地等が指定されています。
防火に対する規制が最も厳しい場所となり、防火指定が無い地域に比べて建物の建築コストが大幅に高くなります。
準防火地域は、比較的建物が密集しているような場所です。
防火地域よりも規制は緩いものの、建物の構造や使用建材等に規定があります。
複数の防火指定がまたがる場合には、厳しい方の規制が適用されます。
高度地区
高度地区は、建築物の最高限度(または最低限度)を定めている地区のことです。
各自治体によって制限内容が異なりますので、調査の際には各地域の役所等で確認が必要です。
第一種高度地区から第三種高度地区までがメイン区分となっていて、第二種、第三種と種別の数字が大きくなる程、高い建物が建てられる地区になります。
3階建住宅の建築については、高度地区によって上手く間取りが入らなくなることがあります。
高度地区によって予定していた間取りが実現できず、裁判になった事例もあります。
斜線規制
斜線制限には、「道路斜線制限」・「隣地斜線制限」・「北側斜線制限」の3つがあります。
どの制限の場合も、基準点から上空に向かって一定角度で斜めの線を引いたと仮定します。
そして、その線に建物がかからないように建築(設計)するのが斜線制限です。
つまり、この仮想の斜線にかからないように建物を建てると、周辺の環境が保たれるようになっているのです。
道路斜線や隣地斜線に建物が当たらないようにすることで、行政側が理想とする通風や採光が確保されるわけです。
また、北側斜線制限は、北側隣地の日当たりを考慮した規制です。
ある土地の北部分で高い建物の影が発生しなければ、北側隣地の南側が明るくなります。
すると、日当たりが確保されますよね?
こうして、全ての住宅の北側を規制することによって、全ての家の南側(日当たり)が確保されるという仕組みです。
この為、北側斜線制限が適用される用途地域は、低層住居専用地域(1種・2種)と中高層住居専用地域(1種・2種)等、人が多く住む場所だけです。
こうして考えると、暗記しやすいと思います。
宅地造成工事規制区域
宅地造成工事規制区域に該当する土地は、広告にもその旨を記載します。
この区域に該当する土地は、一定の宅地造成工事をする際に行政の許可を受ける必要があるからです。(宅地造成等規制法)
宅地造成工事とは、建物を建築するために土地を改良する工事のことです。
災害時等に崖崩れや土砂の流出等を生じる恐れがある場所なので、行政で工事方法の指導をする必要があると考えているわけです。
具体的には、宅地造成時に一定規模の切り土や、盛り土を行う工事等がこれに該当します。
大規模な造成現場や丘陵地等にある物件に多く見られます。
昨今の水害・土砂災害の増加で、宅建での出題傾向にも影響が出るかもしれませんね。
土地区画整理事業
土地区画整理事業とは、新しい道路や公園等を造成し、土地区画を住みやすく整備する事業です。
有事の際の消火活動や救命活動にもプラスに働く事業です。
これから整備事業が始まる地域については、工事期間や換地処分(かんちしょぶん)について注意が必要です。
将来的に立ち退きを伴う事業計画でる場合、大きなトラブルになり兼ねません。
換地処分とは、土地区画整理地域に居住者(土地所有者)がいる場合に、「換地」や「仮換地」という形で、代わりの土地を与えることです。
全ての区画整理が終わるまでは、「仮換地」として土地を与え、そのまま工事完了すれば、その土地(仮換地)が換地として確定する事が多いです。
原則として、立ち退き前の土地と価値が同じになるように換地されますが、金額的調整が必要な場合には清算が行われます。
住宅性能評価制度
住宅性能評価制度とは、法律に基づいた基準で住宅を正しく評価するための制度です。(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
建物の「設計」・「建設」の二種類の性能について証明することができます。
『設計性能評価』は、建物の計画段階での住宅性能を評価したものです。
『建設性能評価』は、完成した建物の性能がどのような基準であるかを評価しています。
どちらの性能評価も、32項目において3段階の等級評価で証明されます。
評価証明書が交付された物件は、指定住宅紛争処理機関(各地の弁護士会)に処理を依頼することができます。
その他、地震保険料の割引や、売却時に証明書の有無を記載できるメリットがあります。
住宅関連の保証や認定制度には、住宅性能評価以外にも色々とあります。
地盤についての保証(地盤20年保証等)、長期優良住宅認定制度、低炭素建築物認定制度、建築物省エネルギー性能表示制度等、住宅の省エネ性能についての認定制度が充実してきました。
フラット35
フラット35は、宅建の受験勉強で言えば、住宅金融支援機構の勉強と関連する部分です。
フラット35は、超長期とも呼ばれ、借入期間の長い金融商品です。
お金を貸す側としては、担保となる建物が「長持ちする物件」であることが重要です。
この為、フラット35での融資を受ける際には、建物の適合証明というものが必要になります。
建物の適合証明とは、指定検査機関の建物検査をクリアした一定の水準以上の建物であることを証明した合格書類です。
この適合証明が取得できない物件は、フラット35を使う事ができません。
つまり、広告チラシに『フラット35適合』等と記載されている物件は、適合証明を交付してもらえる基準を満たしている物件であることを示しています。
まとめ
こうして不動産広告チラシの記載内容を見ていくと、宅建の試験勉強で得る知識が凝縮されている事に気付くと思います。
営業事務等の仕事に就く人は、広告チラシの記載事項について校正等を行うこともあるかもしれませんので、しっかり勉強しておいて損のない知識です。
ある程度の勉強が進んだ段階で、自宅に入った不動産チラシをじっくり読んでみると、自分に実力がついている事が実感できるのではないかと思います。