宅建受験生用として、登録免許税のテキストを作成しました。
過去問を確認しながら、必要最低限の勉強をするためのテキストです。
登録免許税は、数年に一度の頻度でしか出題されていませんので、捨て科目にする人もいるかと思います。
とはいっても、試験の出題範囲に含まれる部分ですので、一通り目を通すくらいの学習はしておきたいところです。
「これで一問とれたら儲けもの」という感覚で学習できるように作成しましたので、試してみてください。
登録免許税とは
登録免許税は、不動産登記をする際に課される税金です。
法令上では、売主と買主で連帯納付義務を負うこととされている国税です。
様々なテキストに、当たり前のように連帯納付だと書いてあるのですが、実際の取引では購入者側が負担します。
前提としては連帯納付することになっていますが、契約書に「買主負担」と特記されてしまえばそれまでという事です。
所有権を登記する時には、物件価格を課税標準として税額を算出します。
抵当権の設定をする際には、借入額を課税標準として税額を算出します。
計算により、登録免許税の課税標準が1,000円未満の場合は、課税標準は一律1,000円で計算します。
納税は、原則として現金で行い、納付額が3万円以下の場合には収入印紙でも良いことになっています。
納税は、不動産の所在地を管轄する登記所で、登記を受ける時までに納付します。
平成3年度 出題(正解肢)
・登録免許税の課税標準の金額を計算する場合において、その金額が1千円に満たないときは、その課税標準は1千円とされる。
・登録免許税の納付は、納付すべき税額が3万円以下の場合においても、現金による納付が認められる。
平成14年度 出題(正解肢)
土地の所有権の移転登記に係る登録免許税の納期限は、登記を受ける時である。
登録免許税の税率
登録免許税の税率は、登記目的によって異なります。
宅建の試験で覚えなければならないのは、「所有権保存」、「所有権移転」、「抵当権設定」の3種類です。
質権の設定も抵当権と同じように登録免許税がかかりますが、あまり気にしなくて良いと思います。
所有権の保存登記の税率
所有権の保存登記は、簡単に言えば、所有権を記載する欄を開設するためのものです。
第三者に対抗するための第一歩を踏み出した、という感じの登記です。
保存登記の際にかかる登録免許税の税率は、1,000分の4ですが、軽減税率の方が重要です。
新築を購入した場合で、尚且つ以下の条件に該当する場合には、1000分の1.5に軽減されますので、こちらを覚えてください。
- 床面積が50㎡以上
- 申請者個人の住宅である
- 取得から1年以内である
補 足
中古物件の場合、保存登記は新築時等に行われているので必要ありません。
平成10年度 出題(正解肢)
【前提条件】住宅用家屋の所有権の保存登記に係る登録免許税の税率の軽減措置の適用
- この税率の軽減措置は、従業員の社宅として新築した住宅用家屋について法人が受ける登記には適用されない。
所有権移転登記の税率
基本税率は、1,000分の20ですが、こちらも軽減税率の方を覚えた方が有意義です。
新築または中古物件を購入した場合で、尚且つ以下の条件に該当すれば、1,000分の3に軽減されます。
- 床面積が50㎡以上
- 申請者個人の住宅である
- 取得から1年以内である
- 中古物件の場合、築20年以内(耐火・準耐火は築25年以内)
平成元年 出題(正解肢)
【前提条件】住宅用家屋の所有権移転登記に係る登録免許税の税率の軽減措置の適用
- 床面積が40m2の住宅用家屋の登記に対しては、適用されない。
平成15年度 出題(正解肢)
【前提条件】住宅用家屋の所有権の移転の登記に係る登録免許税の税率の軽減措置
- この税率の軽減措置は、以前にこの措置の適用を受けたことのある者が新たに取得した住宅用家屋について受ける所有権の移転の登記にも適用される。
平成21年度 出題(正解肢)
【前提条件】住宅用家屋の所有権の移転登記に係る登録免許税の税率の軽減措置
- 軽減措置は、贈与により取得した住宅用家屋に係る所有権の移転登記には適用されない。
平成26年度 出題(正解肢)
【前提条件】住宅用家屋の所有権の移転登記に係る登録免許税の税率の軽減措置
- この税率の軽減措置は、所有権の移転の登記に係る住宅用家屋が、築年数が25年以内の耐火建築物に該当していても、床面積が50㎡未満の場合には適用されない。
抵当権設定登記の税率
基本税率は、1,000分の4ですが、同じく軽減税率を重視しましょう。
新築または中古物件を購入した際で、尚且つ以下の条件を満たせば、1,000分の1に軽減されます。
- 床面積が50㎡以上
- 申請者個人の住宅である
- 取得から1年以内である
- 中古物件の場合、築20年以内(耐火・準耐火は築25年以内)
ポイント
所有権移転と抵当権設定の軽減条件は全く同じです。
平成3年度 出題(正解肢)
- 建物の新築をした所有者が行う建物の表示の登記については、登録免許税は課税されない。
登録免許税の課税は、所有権保存、所有権移転、抵当権設定の3つです。
まとめ|勉強のコツ
登録免許税は、数年に一度しか出題されない事から、あまり時間をかけて勉強をする気になれない人が多いと思います。
捨ててしまっても問題の無い科目ですから、ある程度ポイントを絞って学習して良いと思います。
過去問の事例を掲載している箇所を中心に学習しておきましょう。