近年、異常気象の増加によって、土地の価値について消費者の価値観に変化が起こっています。
日当たりが何より大事とされてきた時代は終わりを告げようとしているのです。
日当たりは、現在でも重視される部分ではありますが、以前に比べるとその比重に変化を感じます。
これは、大地震や大洪水等に強い土地であることに重きを置く人達が増加しているからです。
この記事では、このような変化について、今後の土地選びの視点を交えてご紹介していきます。
鋼管杭(地盤改良)
土地の上に建物を建築する際には、必ず地盤調査を行います。
そして、沈下の可能性があると判断された場合には、改良工事を行います。
地盤改良には色々な方法がありますが、金額的にも工期的にも優れている方式が選ばれやすいです。
おそらく、最も採用されているのは、鋼管杭を入れることによる地盤改良です。
基礎の下に、数十本もの管状の杭を入れて基礎を支えるものです。
堅い地盤に到達させて沈下を防止します。
杭の長さと規模によって費用が変わりますが、この工事代金が建築時に大きな負担となることも多いです。
100万円を超える工事になる場合もある為、建築費用にも影響が大きな部分です。
「日当たりは普通だが、地盤改良がほぼ不要な土地」と「日当たり良好だが、地盤が緩い土地」を比べると、結果的に前者が得になる事が多いかもしれません。
そこで、正しく土地の価値を見定める為に、有益な知識をご紹介しておきたいと思います。
地盤の判別方法
地盤の強度は、正式な調査をしなければ誰にも分からない事です。
しかし、ある程度の見込みを付ける事は可能ですので、そのための知識についてご紹介しておきます。
地盤が弱い原因は、水分量と深い関係があります。
つまり、水を吸いやすい土地は、地盤が緩くなるわけです。
例えば、河川の近くや、田畑の跡地等、竹林のある場所等です。
竹は水気の多い土を好むので、竹林があるような場所は、地盤が緩い可能性が高いです。
また、造成時に盛り土をした場所は、土が締め固まっていないので水分が多くなります。
このような場所では、地盤改良費用が高額になる可能性が高いという事です。
地形による判別
地形についても、地盤の強度や災害への強さに大きく影響する要素です。
例えば、低地は津波や地震等に対して弱く、防災的な見地からすると住宅地にはあまり向かない場所と言えます。
いくら日当たりが良くても、このような場所では水害等に遭う可能性が高いのです。
意外に知られていませんが、住宅地に最も向いているのは台地です。
水はけが良く、地盤も安定している事が多いので、宅地として適しています。
高台の平野部等に建つ家は、水害にも地震にも強いのです。
その反面、雪が積もり易いとか、坂を登らなければいけないといったデメリットが発生するケースもあります。
しかし、水害や地震被害を考えると、長く住める方が優れた土地だと言わざるを得ません。
ハザードマップの活用
住宅を探す際には、ハザードマップを活用する人が増加しています。
過去に観測した事のないような雨量等が度々降っている現状を考慮し、以前に水害のあった場所を、マップで示されている危険度以上に「悪い土地」として見ているのです。
このように、災害に対する視点を持つ人が増えている事によって、土地の相場等も多少変化していくかもしれません。
今までは、日当たりさえ良ければ売れていた土地が、そうはいかなくなっていくかもしれませんね。
おまけに、人口も減少傾向にありますので、土地は余る可能性の方が高いのです。
つまり、今までよりも選べる対象が増えるという事もありますから、選別眼を持つことが今後の不動産購入に大切なスキルになりそうです。
参考記事
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ハザードマップと防災マップの意味と活用方法
近年の異常気象や、活発な火山活動等によって、ハザードマップの役割は大きくなってきたと感じます。 予測することが困難な災害が増加していますが、ハザードマップと防災マップを活用できれば、被害を事前に予測し ...
まとめ
土地の価値を考える際には、日当たりだけではなく、様々な要因を考慮する必要があります。
長い期間に渡り、安全に暮らせる事が最も重要です。
利便性や日当たりについては、本来その次に求めるべきものかもしれません。
駅距離、日当たり等を真っ先に気にしている方は、地盤や防災の視点からも物件価値を見定めるようにしてみてください。
それが、これからの物件探しの常識になっていくはずです。