用途地域の種類が一つ増えたのをご存知でしょうか。
「田園住居地域」というものが新設され、宅建士の受験生にとっては対策を余儀なくされる部分になっています。
主に、都市計画法と建築基準法への影響が出る部分ですので、詳細についてまとめておきます。
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田園住居地域の予備知識
都市における緑地の保全や、農地の計画的な保全を図り、良好な都市環境を形成する目的で、都市緑地法が改正されました。
これに伴い、具体的な都市計画の一つとして、『田園住居地域』が新設されることになったわけです。(2018年改正)
当然ながら、都市計画法や建築基準法で改正される個所が発生しますので、宅建受験生にとっては覚えることが増えることになります。
宅地建物取引業法においても、この用途地域に該当すれば、重要説明事項で説明する事項となります。
田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域とされています。(都市計画法第9条)
都市計画法第52条では、建築規制に関する事項も定められています。
今後、現時点で第一種又は第二種低層住居専用地域となっているエリアの中から、田園住居地域へと指定変更される地域が出て来る可能性があります。
都市計画法の該当箇所
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都市計画法の無料テキスト②(宅建独学用)
この記事は、「都市計画法の流し読みテキスト①」の続きです。 都市計画法の読み流し用テキストとしてお使いください。 当サイトの過去問集の解説ともリンクしていますので、両方を活用すると効率よく学習できるよ ...
改正点のまとめ
田園住居地域は、農地と住宅が混在しているような街並みである場所が指定される予定です。
広大な農地では無く、都市部における農地の計画的保全が目的ですので、市街化区域内での指定をイメージした方が良いでしょう。
建築できる建物(用途制限)については、低層住居専用地域で建築できる建築物に加えて、農業に関する建築物を付加するようなイメージです。
建築物の高さの限度
一種・二種低層住居専用地域と同じだと考えればOKです。
第五十五条 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、建築物の高さは、十メートル又は十二メートルのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
2 前項の都市計画において建築物の高さの限度が十メートルと定められた第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物であつて、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの高さの限度は、同項の規定にかかわらず、十二メートルとする。
3 前二項の規定は、次の各号の一に該当する建築物については、適用しない。
一 その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて特定行政庁が許可したもの
二 学校その他の建築物であつて、その用途によつてやむを得ないと認めて特定行政庁が許可したもの
2022年問題との関連
田園住居地域の新設は、2022年問題の際、生産緑地だった田畑でそのまま農業を続けやすくする効果も期待されています。
参考記事
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生産緑地の2022年問題で不動産価格はどうなる?
今回は、「2022年問題」と呼ばれる生産緑地の期限についての話です。 不動産に精通したプロから見た2022年問題は、一般的な不動産関係者とは見解が少し違うかもしれません。 2022年問題については、T ...
具体的には、道の駅のような直売所や、飲食店、農産物の作業や貯蔵に関する施設等が認められることになります。
農業に関する建築物が低層エリアに建築できるようになることで、土地所有者の選択肢を増やすことにも繋がるというわけです。
地元野菜専門の飲食店等で利益を上げていく道を選ぶ人もいるかもしれません。
実際の指定第一号となる地域が出てくれば、よりイメージしやすくなると思います。
建築基準法の改正ポイント
建築基準法 第48条
田園住居地域においては、別表第二(ち)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。
ただし、特定行政庁が農業の利便及び田園住居地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
その他、主要な改正ポイントは、建築基準法の第52条、第54条、第55条、第56条、第86条の一部等に田園住居地域の文言が追加されている事です。
およそ、低層住居専用地域に追記される格好です。
建築基準法 改正対応版
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都市計画法と建築基準法の宅建無料テキスト
宅地建物取引業法の無料テキストに続き、都市計画法と建築基準法の流し読み用テキストです。 都市計画法と建築基準法は繋がりの強い法律ですので、一緒にまとめて勉強できるようにしておきました。 ...
別表(ち)の内容
一(い)項第一号から第九号までに掲げるもの
二 農産物の生産、集荷、処理又は貯蔵に供するもの(政令で定めるものを除く)
三 農業の生産資材の貯蔵に供するもの
四 地域で生産された農産物の販売を主たる目的とする店舗その他の農業の利便を増進するために必要な店舗その他の農業の利便を増進するために必要な店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が500㎡以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く)
五 前号に掲げるもののほか、店舗、飲食店その他これらに類する用途供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が150㎡以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く)
六 前各号の建築物に付随するもの(政令で定めるものを除く)
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法改正の要約
2018年改正
建築基準法 第48条
田園住居地域内においては、別表第二(ち)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が農業の利便及び田園住居地域における良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
建築基準法で、田園住居地域に建築して良いとされたものは、以下の通りです。
【別表第二(ち)項の要約】
- 住宅
- 住宅で事務所、店舗、これに類する政令で定めるもの
- 共同住宅、寄宿舎又は下宿
- 学校(大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校を除く。)、図書館、これらに類するもの
- 神社、寺院、教会、これらに類するもの
- 老人ホーム、保育所、福祉ホーム、これらに類するもの
- 公衆浴場(風俗営業を除く)
- 診療所
- 巡査派出所、公衆電話所、これらに類する政令で定める公益上必要な建築物
- 農産物の作業や貯蔵に使用する建物
- 農業の生産資材の貯蔵に使用する建物
- そこで生産された農作物を商品とした店舗、飲食店、これに似た建物で、床面積が500㎡以下の建物
- 店舗や飲食店に似た用途の施設のうち、政令で定めるもので、床面積の合計が150㎡以内の建物
- その他、政令に定めのない付随建築物
まとめ
法改正に伴う設問では、田園住居地域に建築できる建築物と、どんな目的で創設されたのかが出題される可能性が高いと思います。
建築基準法からは、48条の(ち)の内容が出題される可能性が高いでしょう。
宅建受験生は、確実にチェックしておきたいポイントですね。