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建売の仕入担当者になりたい人へ

不動産営業マンの中には、最終的に建売住宅等の仕入業務をやってみたいと願う人もいると思います。

誰でもなれるわけではない仕事ですが、ひそかに用地仕入のポストを目指す人は少なくないのではないでしょうか。

不動産営業マンからすれば、1つ上の仕事として知る人ぞ知る存在ですよね。

必要とされるスキル等から見ても、住宅系では最高峰の仕事であることは間違いありません。

そんな仕入担当者の仕事内容や転職事情等については、あまり具体的に書かれている記事が無いと思います。

そもそも、このポストに就ける絶対数が少ないので、そんな記事が出現し難い事情があるのでしょう。

希少な情報源として記事にしておきますので、興味のある方は読んでみてください。

 

土地仕入担当への転職事情

上場企業での土地入担当者は、不動産専門職の中でも超花形職です。

彼等に事業資金を与えれば、本当に数億~数十億円の売上を実現できるのですから、その価値は計り知れませんよね。

このレベルになると、資金さえあれば上場企業を維持できる収益力を持つ人材という証明にもなり得ます。

 

結論から言えば、土地仕入れ担当(特に建売用地)の求人枠は非常に少ないです。

そもそも誰にでも与えられる仕事ではないので、ポスト自体の希少性が高いという事です。

 

企業側からすれば、土地仕入れは事業の要ですので、小さな会社では社長自らが仕入れをしていることも多いです。

仕入担当者には、自分の会社の運命を託すようなものですので、そう簡単には任せられない事情もあります。

このような背景から、仕入担当者になれるとしたらある程度の事業規模の大きな(余裕のある)会社ということになります。

 

仕入担当者の中には、独立して自分の会社を始める人も多いので、このようなポストに「空き」が出る事はあります。

通常は、ベテラン仕入担当者の下で修業していた人等が繰り上がることが多いです。

 

極稀に、仲介営業で稀な成果をあげた人材などを特別起用することもありますが、基本的にはベテランの仕入担当者の下で修業を積むことになると思います。

最初の頃は、雑用係に近い仕事だと思いますし、見て覚える部分が大半を占めているので、学習・習得センスがある人でないと厳しいです。

 

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仕入担当の年収

仕入担当の年収については、会社の規模にもよるので目安を示すのが難しいです。

マンション用地等の仕入担当の場合は、建売用地とは歩合の体系等も異なるようです。

 

建売住宅の仕入担当者の場合、数億円の売上をつくれる人なら年収もそれなりになります。

大手企業の仕入担当であれば、700~1500万円といったところではないでしょうか。

普通の営業マンとは違い、設計・建築・仲介業務等、全体のスキルが必要になるので、当然といえば当然の額ですよね。

 

但し、小さな会社の場合、普通の不動産営業か、それ以下の年収しかもらえない場合もあるようです。

棟数が増えれば利益も大きいわけですから、年収が事業規模によるのは当然ですね。

 

スカウトが主流?

土地仕入の仕事は、会社の存亡に直結する内容なので、即戦力が求められることが多いです。

この為、「〇〇社で仕入れをやっていた」という事実が履歴書代わりになります。

 

求人募集はあまりない業種ですが、スカウト等の話は常にあり、「年収1000万円位でうちに来ないか」といった話はよくあります。

仕入職を退いて独立をした後でさえも、この手の話はチラホラ来ますから、それ程この仕事が特殊で希少性が高い証拠だと感じます。

 

情報ルート等にも価値があるので、企業側からすれば「人材を育てる手間を考えれば1千万でも安い」ということなのでしょう。

土地仕入のスキルは、不動産経営者にとってまさに「お金のなる木」というわけです。

 

ですので、国家資格で例えれば、税理士や弁護士等と同等か、それ以上の希少性と言って良いと思います。

上場企業での仕入担当者の地位は、本当に鬼滅の刃で登場するのような存在で、完全に普通の社員とは別格視されています。

 

仕入担当者の仕事内容

大手企業の仕入担当者は、たった1人で何十億円も売り上げを稼ぎ出します。

ですから、会社での存在感はとても大きく、近隣の不動産業者への影響力もあります。

 

仕入担当になる前、私は仲介営業で一定の実績をあげ、それなりの経験もしてきました。

しかし、仕入担当になってみて、自分が得意とする分野がどれだけ狭い範囲だったかを実感しました。

 

仕入担当者は、想像以上に多くのスキルを持つ人達ですし、売買のスケール的にも全くレベルが違う職業です。

優秀な仕入担当者の叩き出す売上は、本当にレベル(桁)が違います

 

この為、大手では、「支店長=仕入担当者」という構図も多く見られます。

もはや『営業』のレベルではなく、『経営者』に近い仕事という事です。

 

飯田ホールディングスグループ等、大手のの仕入担当者は、たった1人で中小企業の年商を超える位の売上を生み出しています。

不動産で日本一の会社を支えている存在なので、不動産職としての最高峰と言われるのは当然といえば当然ですね。

 

必要な知識について

土地仕入れの仕事には、土地相場の他に、幅広い建築知識も必要になります。

ですので、売買仲介等で優れた経験がある人でも通用しません。

 

最高峰の仕事と言われるだけあって、必要となるスキルはとても多いわけです。

上場企業在籍の場合、仕入担当者として人並みの仕事ができるようになるまでには、ざっと以下のような事項をクリアする必要があります。

 

  • 仕入規定を覚える(そのための調査方法含む)
  • CADの使い方を習得する(作図・設計ソフト)
  • CADによって売れる区画割(分譲計画)ができる
  • 自社建物の建築ルール等を覚え、間取り作成スキルを習得する
  • 高度な間取り作成スキル(高度・斜線規制等を考慮したプランを書けるようになる)
  • 自社建物の積算スキル
  • 造成工事の積算スキル
  • 稟議書や報告書の作成スキル
  • 給排水工事の他、業者の手配と選別スキル
  • 仕入ルートの開拓力(不動産会社等との強い連携力)
  • 建売の販売促進スキル(売買業者とのコネクション等)
  • 売主としての契約・決済スキル

こう見ると、ちょっとした国家資格がとれるくらいのボリュームです。

仲介営業の経験があるだけの人材なんて、ほとんど素人同然に感じるくらい高度な仕事内容でした。

 

ルート開拓ができるか

私が、この仕事で最も難しいと思ったのは、『情報を貰えるようになる事』です。

 

売買の仲介経験者として活躍した人であれば、ある程度は横のつながりを持っている事と思いますが、土地案件(しかも仕入案件)をくれる相手となると、そうはいませんよね。

 

地元で長く経営されている不動産業者や、税理士等に営業をかけ、物件情報を回してもらえるようになるのは至難の業です。

大抵の場合、過去に高く買ってくれた業者へ情報を流す事になるため、新参者には情報が流れて来ない傾向があるのです。

 

これをクリアするための知恵と努力を費やせる人でなければ、継続は難しいと思います。

逆を返すと、このようなルートを持っている人は、それをアピールすれば採用されやすいと思います。

 

案件が来てからの動き

土地情報がもらえるようになっても、それが「買える物件」とは限りません。

実際の所、流れてくる情報の殆どはNGです。

 

かといって、いただいた情報を粗末に扱うと、今後の情報がもらえなくなってしまいます。

この為、仕入担当者は、情報提供者に対してかなり気を使います。

相手の気分を損ねないように丁寧に断り、また次の情報をもらわなくてはならないからです。

 

実際に検討できる案件は全体の10分の1程度ですから、この部分だけを見てもなかなか大変な仕事です。

 

仕入の検討業務

検討できそうな物件情報を入手したら、いよいよ腕の見せ所です。

物件調査等は半日で終わらせ、さっさと検討作業にはいります。

 

仕入担当者は、過去の経験等から「どんな現場にすれば最も高く売れるか」を考え、区画配置と積算を行っていきます。

まず、CADで区画割を行い、何棟建つのかを明確にします。

 

次に、この全区画に間取りを入れます。

同じ間取りを入れるのではなく、土地型に合わせて、その土地に合った間取りを入れなければなりません。

設計担当に任せる会社が多いと思いますが、自分でできるようになった方がスピードが上がるので、良い成績を残すには必須です。

 

各区画で方位等も変わるので、仮に20棟あれば20種類の間取りが必要になります。

そして、造成の積算と、建物の積算を行い、見込める収支を明確化します。

 

設計や施工の確認を経て、上席に申請を行いますが、ここまでを3~7日で行うイメージで、これを一両日でこなす人もいます。

 

稟議書の作成等

検討の結果、少し利益が乏しいという結論になることもあります。

仕入担当者としては、「ここまでの努力を無駄にしたくない」という気持ちです。

 

そこで、会社に稟議書を提出し、許可を求めます。

稟議書の作成はとても面倒な作業ですので、できればやりたくありません。

 

上席が必要な情報が全て網羅されていなければならない為、地図から取引事例まで、細かく資料を添付し、まるで企業プレゼンのような状態にまでしなければならないのです。

勿論、事業計画(正確な積算による収支計画)も添付します。

 

稟議の結果には1週間程度かかりますので、時間に余裕のある案件であることも重要です。

 

仕入契約

入札や相対等、様々な形態がありますが、相手との取りまとめが進めば契約となります。

契約日が決まったら、すぐに契約書等を作成し、会社のコンプライアンスチェックを受けます。

 

経理に印紙や振込の手配等を依頼し、契約時に必要な書類等も準備します。

上場企業の必要書類はたくさんありますので、意外に時間をとられます。

 

各セクションとの会議

契約が完了したら、設計に建築確認申請に向けた動きをとってもらいます。

仕入担当者が中心となり、この為の会議を行います。

 

通常は、各部門の都合を聞く必要があるため、設計・施行・仕入の3者会議が行われます。

完成までに数回の会議をし、すり合わせを行います。

 

建物に使用する建材や、建具の色等についても、全て仕入担当者が指示を出します。

要するに、やっている事は建築会社の社長のようなものですね。

 

販売業務

建物の許可申請が終わったら、販売会社に売り出しを依頼します。

コネクションを使って、有力な不動産業者を使えるかどうかも勝負の分かれ目になります。

 

レインズへの登録を行い、早期完売を目指して仲介業者を使っていきます。

今までいた世界に商品を提供する側の立場になり、改めてこの業界の深さを実感した記憶があります。

 

販売中は、仲介営業マン達からの問い合わせ等にも対応します。

また、契約が発生すれば、彼等の事務所に足を運び、売主としての押印等を行います。

決済の際にも、建物の説明等を行い、引き渡しまでの業務をこなします。

 

私は、一時期、一人で10現場前後の案件を抱えていたこともありました。

決済と契約だけでも死にそうな忙しさでしたが、その中で次の仕入も行わなければならず、この時はさすがに激務で倒れました。

 

報告書関連

決済が終わり、利益が確定したら、報告書を提出します。

この作業もなかなか面倒です。

自分のボーナスや歩合に直結する話なので、手を抜くわけにもいきません。

上場企業は、とにかく書類が多く、常にこのような作業で時間をとられます。

要領よく、分単位で時間を使える人でないと厳しいシーンも出てきます。

 

まとめ

大手での土地仕入の仕事は、希少ポストすぎてあまりその価値を知られていません。

仲介業者等でも、その実態を知る人は少ないように感じます。

日本を代表するような建築会社でも、実質的にその屋台骨を支えているのは、ほんの数名の仕入担当者だったりします。

実は、彼等の存在は、大企業の社長に匹敵するくらいの価値があるのです。

これは、業界から、相当の年棒が約束される存在になるということでもあります。

街の仲介業者とはレベルの違う世界にいる人達と出会い、同じ位置で仕事ができた事は、今でも大きな宝となっています。

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