今回は、不動産業界のニッチな動向と、今後求められるであろう宅建士のスキルについてです。
ここ数年、宅建士の本試験で、相続に関する設問がやや増加しているように感じませんか?
個人的には、不動産実務における相続案件の増加を背景に、出題者側の意図が反映されているのではないかと考えています。
国家資格試験を通じて、相続に関する知識をつけさせることで、社会的要請に応えることに繋がるからです。
実務(現場)の状況を見ても、相続相談に対応できる仕組みを構築している業者が「勝ち組」になっている様子が伺えます。
このような現状から、今後の宅建士に求められるスキルとして、既存知識の他に2つのニーズが考えられると考えます。
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新戦略(集客)に活用できる人材
1つめに需要が見込まれるのは、WEBやIT知識に長けた宅建士です。
企業側が「より良い人材」を求める時、人柄や人間性を見極めるのは難しいものですが、WEBスキル等がある人については疑いの予知がありません。
昨今の不動産業者では、VRによる内覧や、新しいコンテンツによる集客に対応していく必要があります。
今後、まだまだ進化を遂げるはずのメタバースにおいても、仮想店舗を持つとか、仮想世界で戸建の仕様を決める等、新しい形のプレゼンをするようになります。
また、ブロックチェーン技術等でWEB上で不動産の契約業務を完結するようになっていく過程でも、セキュリティ強化やWEB開発の知識が重宝されるでしょう。
しかし、各社、個別にIT担当を雇用するのコストが重いな・・と考えています。
だからこそ、二役を担える人材には大きな価値が出るわけです。
そもそも、IT系の人材不足が深刻ですから、相当な金額を提示しなければ獲得できないという問題もあります。
結果、宅建士+WEB知識というスキルが、今後の営業マンにとって高い価値を生み出すことになると思うのです。
不動産業界は、メカに弱いオジサン達が多いので、かなり重宝されるはずです。
相続案件への対応力
このところ、売買系の不動産会社で新しいムーブメントを感じます。
税務知識、土地活用、土地仕入れ、WEBサイト構築等の分野で実績がある人とコラボしようとする動きが活発化しているようなのです。
どうやら、相続案件に完全対応できる不動産業者に変身しようと考えている経営者が増えている様子です。
各社が焦りだした理由は、相続に特化した不動産会社が台頭してきたからです。
開業からほんの5年程度で「〇〇市で一番相続に強い不動産屋」と言えるくらいまで組織化した会社が出てくれば、焦るのも分かりますよね。
数年後には、不動産屋が相続を扱うのが普通になっているかもしれません。
異業種同士の組み合わせであっても、やり方次第で大きな効果が出ます。
税理士の新しい就職先として、まともな不動産業者が対象になる時代も時間の問題かもしれないですね。
その他、元々は賃貸系の不動産をしていた会社を、相続案件に対応できる会社に変えたいという相談も来ています。
こちらは、創業者が引退するタイミングで某企業が会社ごと買取り、不動産コンサル会社へ移行したいというニーズです。
どこにでもいる存在にならない事
ビジネスでは、他社とのコラボレーションがよくありますよね。
この理由は、新しいサービスを組み合わせることで価値が出るからです。
要するに、単体だけの価値より、複数の価値の方が高くなる事が多いってことです。
単体だけで見れば、どれも平凡なものであり、どこにでもいる存在です。
単なる不動産屋、単なる税理士、単なる技術者、単なる職人、単なる経営者等・・・単体だけで価値を出すには飛びぬけた実績等が必要です。
ですから、受験生の皆さんも「単なる受験生」にならない意識が大切だと思います。
平凡な受験生は、多くの不合格者と同じことをしている可能性が高いってことです。
今、メインにしている勉強の合間で、次に習得したいスキル等のための時間をつくる等、多方面に目を向けていきましょう。
それが、未来の自分を「希少な人材」にしていく唯一の秘訣です。
就職先の選別にも変化!?
少し前まで、独立を視野に入れている人については大手不動産会社への就職・転職を推奨していました。
しかし、既に税務やWEBスキルのある方々については、少し選択肢を広げても良いかもしれません。
大手の不動産業者にも様々なメリット(良さ)があるのですが、小さくても相続等に力を入れている会社であれば、充分に将来性のある就職になり得ると思うようになりました。
それに、大手出身の経験者は各社にいるので、見習うべき先生(先輩)がいればそれでいいとも思います。
昔ながらの不動産業者の体制はなかなか変われません。
これに対し、新しく参入してきている異業種からの不動産業者は、アドバイザー等の力をとり入れて柔軟な経営形態を実現しています。
長期的な予算で外部(ノウハウへの)投資をして会社を変化させ、本当に急成長しているわけです。
この辺りの判断が、新旧の不動産業者の差となって結果に出てきているように感じます。
以前は、たった数年で既存業者に勝てる不動産会社になるなんて、稀なことでした。
それが、最近では他業種との巧みなコラボ等によって、短期間で地位を確立している業者が出てきました。
個人的に、業界の変化として注目すべきところではないかと思っています。
まとめ
今の不動産業界の状況に「面白い時代になってきた」と感じる人は、チャンスだと思います。
私は既に不動産業からは離れ、違う仕事をしている身ですが、それでも過去の経験や総合的な知識を頼られる機会が増えました。
具体的には、新しい不動産ビジネスの仕組みづくりに関するオファーや、土地活用・仕入担当者育成等の依頼です。
このような動向は、異業種参入などによる相当な変革時期であることを示唆していると思います。
ですから、若い世代の方々は、是非ともこのチャンスを活かして躍動されると良いと思います。
資格取得を含め、早い段階で動いていく事が他者よりも一歩先をいくための必須事項と考えましょう。
不動産業界には、一歩も外に出ずに何億円も稼ぐ人もいます。
時間投資して自分のスキルを高める価値がある業界ではないかと思います。
今回の記事が、皆さんの勉強の励みになれば幸いです。
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