借地権のトラブルでは、弁護士に依頼をして解決を目指すこともあります。
しかし、多くのクライアントから聞こえてくるのは、「弁護士に依頼したけど、何も意味がなかった」という話です。
一方、不動産業界の中で借地権の問題を解決したことがあるという担当者は大勢います。
つまり、借地権の問題は、裁判にならない限りは不動産専門業者に任せた方が良いという結果が実態として出ているわけです。
借地権でお悩みの方にはとても参考になる話だと思いますので、是非最後まで読んでみてください。
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旧借地法が適用される案件
借地権でトラブルになるのは、旧借地法が適用されるケースが多いです。
平成4年(1992年)の7月31日以前に契約を締結した(又は賃借権が発生した)ことによって発生している借地権は、旧借地法が適用されます。
1992年の8月以降に契約していれば借地借家法が適用されますが、それでもトラブルになることもあるので、実際には契約のタイミングよりも経緯等を正しく理解することの方が重要です。
借地権は、契約書等を交わさずに開始されているケースも多く、過去の経緯を把握するのが難しい面があります。
契約書が無くても借地権は成立しますので、口約束や無償賃借であっても軽視できません。
契約書が無い場合、大抵は建物を登記した日(又は竣工日)等が起算日とされることになります。
厄介なのは、借主が借地権を主張して立ち退かないといった場合です。
建物買取の打診をしても納得せず、土地を売ることも買い戻す事もできない・・という状況に陥っているわけです。
弁護士の仕事ぶり
弁護士は、法律のエキスパートですから、法的な業務においてこれより右に出る資格はありません。
しかし、彼等は不動産のプロではありませんし、不動産の実務的知識や経験が無い人もいます。
弁護士の業務は、ある意味で教科書通りです。
対抗権等の意思表示について、書面で示す動きを代行することができますので、まずはこのような取り組みを行い、報酬を受領しています。(内容証明の送付等)
交渉の成功・不成功に関係なく、相談と書類作成だけで報酬が発生するので、依頼者の負担費用は生じます。
訴訟等に発展した際には、また追加で費用が発生していきますので、なかなかの金額になっていくでしょう。
弁護士や司法書士に依頼をする場合、借地権問題等を専門としている場合でない限り、あまり進展しない可能性が高いです。
不動産のプロと法律家がタッグを組んで取り組んでいるような会社に依頼しないと、ただお金がかかっただけ・・・という事になるかもしれません。
不動産業者の仕事ぶり
基本的に、弁護士が「知恵や経験を使って人を動かす」ということは期待できません。
弁護士の場合、書類作成の代行や、法律問題の助言、裁判等の手続がメイン業務だからです。
要するに、役所のような仕事しかやろうとしません。
一方、不動産業者の場合、底地権者と借地人の間に入り、なんとか売買を成立させようと動きます。
人の心を動かすために努力し、知恵を使い、熱意を持って話をまとめる力が求められます。
彼等(不動産業者)には弁護士ほど深い法律知識は無いのですが、実態として、話をまとめるにはこのような泥臭い動きが必要になります。
ですから、まずは頼りになる不動産のプロを探すことが先決だと思いますが、借地権を得意とする人は稀ですし、手間もかかるので受けてくれる相手を探すのは結構大変なことだとも思います。
この業界を見てきた立場からアドバイスするとしたら、あらゆるコネクションを使って紹介してもらう事だと思います。
知人等に「借地権の相談ができる不動産屋さんを知らない?」と声をかけてみましょう。
または、不動産業者から紹介してもらうというのも一考だと思います。
売買を専門としている不動産業者でも、借地権に苦手意識を持っている人は多いです。
経験すらしたことがない担当者が殆どですので、不動産業者でさえも専門業者を頼っているのが実態なんです。
弁護士が解決できない理由
実際の事例から、弁護士の解決率が低い理由を説明しておきます。
弁護士は、法的な権利を実行し、書面で相手に通知等を行ってくれます。
借地権の場合、建物の買取交渉や、更新時の契約解除の意思表示等である場合が多いと思います。
これらは、書面で行って相手の反応を待つ方法になりますから、相手に無視されるとか、不満を言われて終わってしまうことも多いです。
「ダメでした」という結果を依頼人に報告することになるわけですが、その先の提案はありません。
何故なら、それ以上のことを行っても弁護士にはお金にならない可能性が高いですし、労力もそれなりに必要だからです。
そもそも、法律家には、交渉力とか営業力がない人が多いのかもしれません。
要するに、弁護士等の法律家は、「汗をかいて営業する」とか「なんとかする」という力に乏しいのです。
というか、そこまでやらなくても稼げる業種ですし、もっとレベルの高い法律案件を獲得すべく活動しているという事でしょう。
それが悪いという事ではなく、そもそも依頼するタイミングとか相手が悪いって話なんです。
まとめ
借地権について弁護士に相談をしても、高い費用を払ったわりに何も進展しなかった・・という結果になりがちです。
借地権や底地売却等といった特殊な不動産取引については、誰にでも解決できる問題ではありません。
そもそも、書類を送ればかたずくという問題ではなく、時に誠意と熱意も必要です。
個人的には、クライアントのために何とかしてあげたい!という気持ちを持ってくれる不動産のプロを見つけることが最善策だと思います。
例え、その営業マンに法律知識が無くても、熱意があれば勉強しながら進んでいけるものです。
私自身、そうやって実務を覚えてきましたし、分からないながらも問題を解決してきました。
今では、不動産のエキスパートとして、他の不動産業者や税理士から相談を受ける事の方が多いです。
借地権等の問題で困った時は、知人や不動産業者等から良い人を紹介してもらってみてください。
弁護士に依頼する必要が出れば、彼等の方から良い弁護士を紹介をしてくれるはずです。
不動産業者でも借地権はやりたがらない人が多いですが、まずは本気で取り組んでくれる人との出会いを目指すことだと思います。