国家資格を保有している人達は、その分野において相当量の勉強をしています。
しかし、同じ資格を持っている人でも、実務経験を積むことによって何倍もの存在価値を生み出すものです。
この記事では、そんな資格についての実力差のお話です。
経験と知識の違い
もしも、あなたがベテラン経営者だったとしましょう。
経営経験の無いサラリーマンが会社経営について語ってきたら、「経営の苦労なんて何もわかっていないくせに」と思いませんか?
実際に経験したことが無い人が一丁前のことを言っていても、ただの評論家にしか見えませんよね。
法律家等もそうですが、素人が少し条文を読んだくらいで理解したつもりになっているのを見れば、同じ感情を抱くでしょう。
法律には、例外的な判例も多く、経験や勉強量によって理解度にかなりの差が生まれます。
宅建(不動産)の仕事も同じで、机上の勉強だけでは実務はできません。
事実、私は不動産業界に入って、「宅建が全く役にたっていない」と感じました。
宅建の試験は、調査についての知識や、法律の基本的な知識が中心となっています。
ですから、実務では役に立たない部分も多いのです。
例えば、「売れる物件の判断方法」は、試験には出ませんし、「いくらで売れるか」も判断できないでしょう。
このように、実務経験と試験勉強では、『できる事』に大きな差があるのです。
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ペーパードライバー
国家資格を持っている人達には、確実に実力差というものがありますが、これを理解するには自動車免許で想像するのが一番だと思います。
運転歴が長い人と、ペーパードライバーとの実力差はとても大きいですよね?
また、普段から運転をしている人でも、よく車をぶつける人もいれば、一度もぶつけたことが無い人もいます。
同じ自動車免許でも、それを使う人によって「できる事」や「上手さ」が違います。
更に、普通のドライバーと、F1ドライバー等のレーサーでは全く能力が違います。
厳密に言えばライセンスも違うのですが、「車を運転する」という技術にもこれほどの差があるという事です。
かといって、F1ドライバーがラリーのレースで勝てるかといえば、これも違います。
一流の中でもジャンルがあり、それぞれの世界で実力やノウハウが異なることが分かりますよね?
税理士の場合
税理士という国家資格は、一般的に「税金と申告の専門家」という認識ですよね。
実際、そうなのですが、税理士にも、色々とジャンルがあります。
相続案件が得意な人は、土地評価や制度利用の他、保険商品にも詳しいです。
一方、会社等を相手に記帳や節税対策をアドバイスすることを得意としている人達は、これらの知識には疎いのです。
普段、申告や記帳業務だけをメインにしている税理士の場合、何の資格も持っていないコンサルタントよりも相続対策に弱かったりします。
相続が苦手な税理士達は、内心「知らないとは言えないしな・・」等と冷や汗をかいているわけです。
国家資格者の選び方
企業や法律事務所等のホームページ等を見ると、「〇万件の相談実績」等とアピールしていますよね。
これは、「単なる知識だけではなく、実務経験による解決策を持っていますよ!」と言いたいわけです。
国家資格を持つ専門家だからといって、安易に信頼するのは危険です。
ペーパードライバーの運転する車に、「免許があるなら安心」と言って乗り込むようなものです。
資格というものは、『スタートラインに立つ権利』でしかありません。
ですから、レースが始まってから、その人がどんな走りかたをしているかが重要なのです。
そんな部分に着眼すると、良い有資格者を選ぶことができると思います。
また、そのような有資格者がみつかれば、通常の何倍もの価値があると思います。
まとめ
極論を言えば、全く資格を持っていない人でも、実務経験が豊富であれば役に立ちます。
この為、不動産業界には宅建を持っていない営業マンも多く存在しています。
勿論、資格はある方が良いに決まっていますが、仕事上で大事なのは『顧客の役に立てる実力があるかどうか』です。
国家資格者を選ぶ側は、できるだけ実務経験を重視しましょう!