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不動産営業 基礎知識

レインズ(不動産流通機構)への物件登録義務について

これから不動産業界に就職する人達は、不動産流通機構(レインズ)について、あまりイメージができない部分がありますよね。

宅建士の資格を持っていても、実務の経験が無い人はたくさんいますので、レインズについては未だによくわからないという人も多いことと思います。

また、実務経験がある人でも、しばらく取引をしていないと細かい基礎的な部分を忘れがちですよね。

あれ?どうだったっけ・・」等と分からなくなった時は、復習のチャンスと思って学習をし直しましょう。

不動産の仕事をするなら、知っておいて損の無い話ですので、読んでみてください。

本来のルール等を復習しつつ、概要や考え方等についてまとめておきますので、参考にしていただければと思います。

 

登録義務の考え方

レインズの登録については、宅建業法の「媒介」の部分で学びますよね。

宅建合格から、時が経つにつれて記憶も薄れていくものですので、もう一度おさらいしておきましょう。

 

簡単に言えば、一般媒介は任意で登録できることになっており、専任や専属専任の媒介形態では登録を義務付けています

この為、多くの不動産関係者は「一般媒介はレインズに登録しなくて良い」という認識をしていますよね。

 

確かに間違いではないのですが、もう一歩踏み込んで解釈しておくと、時代に合った対応ができるのではないかと思います。

実は、レインズ側の規定では、取引後の成約事例の登録が定められています

 

物件の登録自体はしなくて良いのですが、レインズ側のルールでは、「成約した後の登録だけはしてください」と言っているのです。

ですから、レインズへの取引事例の登録は、厳密に言えば、宅建業法では任意で、レインズの規定では登録が必要という事になるわけです。

 

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顧客への説明はどうするのが正しいか

不動産業者は、「罰則があるか、無いか」という観点で物事を考えてしまいがちですよね。

確かに一理あるのですが、重要なのは「本来あるべき姿」の方だと思います。

 

レインズというシステムを利用する業者として、「業法に違反しないから運営者のルールは無視し、守らない」と断言する業者ってどうかと思うんですよね。

しかも、他のレインズ会員や、一般ユーザーに対しても「一般媒介の登録は一切しなくていいんです」と公言していたら、運営者はどう感じるでしょうか。

私なら、こんな会員は排除し、退会を求めたくなります。

 

レインズ側としては、ルールを守ってくれる会員に対してサービスを提供したいというのが本音でしょう。

つまり、一般媒介の登録を巡る話には、運営者の利用規定を守ってあげることを重んじる企業なのか、という倫理観の問題があるわけです。

 

業界全体に対しても、成約事例のレインズ登録は有益なものとなります。

この為、一部の上場企業等、コンプライアンスへの意識が高い企業は、レインズのルールに従っています

それがシステムを利用する者のモラルであり、今後の取引事例を充実させる社会的な貢献にも繋がるからです。

 

ですから、不動産業者としてレインズに登録しなくて良いことになっています」と説明するのは、いささか誠実さに欠けるという見方もできるでしょう。

少なくともモラルの高い人の言葉には聞こえませんよね。

 

大袈裟に言えば、「法律違反にならなければ、私達はなんでもします」と言っているのと同じです。

少なくとも、「レインズの規定なんて無視すればいいんですよ」という考え方の業者を、私は好きにはなれません。

顧客には、取引事例の重要性を説明し、理解を求めるのが不動産業者としての本来の立場です。

 

レインズの情報は、一般の人には調べることはできませんが、不動産会社から取引価格が知れ渡ることを嫌がる人がいるもの事実です。

このような要望がある顧客には、レインズの規定と登録の重要性を説明しつつ、例外的に対応する旨を伝えることで、皆さんの業者としての誠実さが伝わるのではないでしょうか。

 

業界的に見れば、取引事例の登録はとても重要な事なので、「なるべくご協力ください」という説明をし、それでも了承が得られなかった時にだけ登録を控えるというのが不動産関係者としてのあるべき姿と言えるでしょう。

 

基本的に、不動産業者は、取引事例の登録をすべき立場にあるという大前提を忘れないようにしましょう。

レインズを便利に使えるツールにするには、利用者のモラルと協力が必要だという事で、そのための規定だからです。

 

国土交通省の見解

一般媒介契約の場合、「レインズへの登録はしなくて良い」と説明する業者は多いです。

一方で、「レインズへの登録は任意ですが、取引事例だけは登録が必要です」と説明する業者もいるでしょう。

 

結論としては、『どちらも正しい』というのが現状です。

宅建業法だけを見れば、前者は正しいことになりますし、総合的な観点で考えれば後者が正しいのです。(運用ルール上で必要だから)

 

個人的には、誠実な業者でありたいのであれば、単純に「登録しなくて良い」と説明するのはオススメしません。

いづれ、法改正によって改められると思いますので、正しい認識をもって伝えるようにしましょう。

 

国土交通省では、直近の取引事例の登録数等を把握しています。

過去にも、法改正によって登録義務を強めてきた経緯があり、最近のデータから、登録数の減少を懸念している様子があります。

 

この傾向を問題視する機運が高まれば、一般媒介についても義務化される事になるかもしれません。

個人的には、取引事例については登録を義務化すべきだと思っています。

 

今後の法改正への動きが掴める資料として、大変参考になりますので、ご興味があれば以下の資料をご覧ください。

国土交通省資料

レインズの利用状況

 

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レインズの規定

営業くん
レインズの規定を確認してみましょう

 

 

3つの媒介種類に分類しており、一般媒介(一番右側)については、「登録は可能です」としています。

宅建業法でも登録は任意だとしているので、ここは共通した認識ですね。

 

ココに注意!

 

これは、先程の画面を下にスライドしたものです。

成約登録についての欄を見てください。(「成約登録するの?」の欄)

宅建業法と同様に、レインズの規定では、一般媒介の場合でも成約事例の登録をすることになっていることが分かりますよね?

 

これがレンズ(運営者)の設定しているルールで、これを守ることがコンプライアンス遵守の精神だと考える企業もあります。

どちらを選ぶかは、各企業の倫理観に委ねられているという状況です。

 

考えてみれば、法律に定めがないからと言って、運営者のルールに従わなくて良いという理屈は乱暴な考え方ですよね。

レインズを使う資格を考えた時、正義は明らかだと思いますし、法改正によっていづれその方向へとシフトするでしょう。

 

まとめ

法解釈や個別規定へのコンプライアンス意識には、それぞれの立場によって微妙に解釈の違いがあります。

そして、このような部分への考え方から、企業姿勢等のレベルを読み取ることもできますよね。

 

一般媒介におけるレインズへの取引事例の登録については、各業者が個々にスタンスを選ぶことができる状況です。(2020年6月現在)

現状において、どちらの対応をとるかは貴方の考え方(倫理観)次第ということになりますが、私としては、今後も不動産業者として正しい立ち位置を意識していきたいと思います。

 

各自が、不動産営業マンとして『どう在りたいか』を考えることは、本当に大切な事です。

そのスタンスは、必ず仕事に出ますし、顧客にも自然に伝わります。

皆さんも、顧客にどのような説明をすべきなのか、考える契機としていただければ幸いです。

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