2019年5月、メガバンク各行から、銀行の店舗数を縮小する計画が発表されました。
不動産業務と銀行業務はとても密接な関係にありますから、不動産に関する実務上での影響は、確実に生じることになります。
また、銀行業界には宅建保有者も多いですから、不動産業界への人材流入も増加する可能性があります。
この記事では、銀行の店舗縮小によって生じる不動産業務への影響についてまとめています。
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銀行員のリストラが加速
大手銀行では、コスト削減とオンライン業務の推進を目的とした店舗閉鎖が、いよいよ本格的に実行されていきそうです。
長期金利の低下等で銀行の収益は悪化し続けており、決算対策としても実施せざるを得ないところまで来たのだと思います。
三菱UFJフィナンシャル・グループでは、2023年度までに銀行店舗数を現状から35%減らすと発表しました。
当初の計画であった20%から削減数を上乗せしたことになります。
閉鎖店舗の数は、約180店舗にものぼる予定で、窓口業務も行う「フルバンク」については店舗数の半減を予定しているようです。
この計画に伴う2023年度までの業務の削減量は1万人超相当分と言われています。
インターネットバンキングの普及により店舗を訪れる顧客が減少しているとはいえ、これには様々なリスクが伴うことになりそうです。
同行は、通帳の新規発行も原則的に行わない方針を打ち出しており、高齢者達が地方銀行への預け替えの行動に移る可能性もあります。
アナログ業務への影響
店舗数が半減するということは、窓口業務が混雑し、時間がかかるようになることを意味します。
銀行は、コストが削減できる一方で、顧客の利便性を低下させる決断をしたということです。
これによる顧客の減少と、コスト削減による効果を比較した時、「誤算」が生じないためには、ネット利用者の更なる増加が欠かせないということです。
計画を失敗させない為にも、銀行側はオンラインでの取引を優遇するサービスやキャンペーンを繰り広げる事が予想されます。
不動産業務への影響については、窓口が減ることによって時間的なロスが起こりやすくなります。
住宅ローンの事前審査については、AIによる審査が可能になってきましたので、むしろ時間短縮の傾向にあります。
問題なのは、その先の本審査手続きや、書類の提出等の際に起こると思います。
人員削減により、銀行員一人当たりの仕事量が増えることになりますから、ミスや遅延も出やすくなる可能性が高いでしょう。
不動産営業マンは、今まで以上に早めの予定を組んで、これに対応していく必要が出てくると思います。
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決済業務の変化
住宅ローンの決済は、銀行の接客スペースを借りて行われます。
メガバンク等の支店が減少すると、決済が集中する月末などで予期せぬ事態が起こる可能性もあります。
一時的に決済スペース(座席)が不足し、別の支店での決済を迫られることも出てくるかもしれません。
決済場所が突然変更になったことで、時間に間に合わなくなるケース等も起こるかもしれないということです。
また、決済にかかる時間についても、おそらく今まで以上にかかるようになります。
大量の人員削減によって、今までよりも早くなる要素は無いでしょう。
営業マンとしては、気が抜けない場面が増える要素しかありませんね。
地方銀行に活路?
超低金利下においては、地方銀行とメガバンクとの金利差が、それほど気にならないという人が増えます。
そこに、メガバンクの店舗閉鎖による混雑等が重なれば、地元の便利な地方銀行を使うようになる人が増えるかもしれません。
特に、高齢者達は、窓口があることに安心感がある人も多いはずです。
電子マネー決済等もそうですが、時代の流れについていけない高齢者は相当な数で存在しています。
地方銀行にとっては、巻き返しのチャンスが到来しているのかもしれません。
賃貸業務への影響
メガバンクでは、MUFG銀行以外でも店舗縮小を実施する予定があります。
金融業界全体で考えていくと、数万人規模の人事異動が行われることになります。
この中には、住居を変える人達も必ずいます。
また、店舗の解約と、その空き店舗へ流入する企業の契約業務が発生することになります。
これらは、銀行が方針を変えなければ起き得なかった需要です。
ですから、通常の賃貸市場の需要に加えて全体の案件数が増えるプラス要因と言えそうです。
店舗の閉鎖に伴って、住む場所を変える必要が出てくる人も大勢いるでしょう。
会社が変わって年収が落ちれば、安い賃料を求めて郊外へと移る人も出てきます。
実務において仕事が増える実感は無い程度の影響かもしれませんが、全体としての件数は確実に増えますよね。
賃貸業界にとっては、悪い話ではないのかもしれません。
不動産業界への人材流入
銀行業界の環境変化により、転職者が数万人規模で発生することになります。
この中からは、確実に不動産業界へと転職をする人が出てきます。
具体的には、不動産コンサルティング会社や、大手不動産会社等で需要があると考えます。
小さな不動産会社では、「経理 兼 営業マン」といった二役を担う存在として雇うニーズもあるかもしれませんね。
個人的にオススメなのは、★のような不動産業界専門の求人サイトを使う事です。
担当者達も不動産業界に精通しており、各企業の内情等をある程度は把握しているからです。
社風やノルマの情報を事前に手にできる事や、非公開求人を集める力等が魅力です。
少しでも良い条件で、失敗のない転職をするには、このような媒体を利用することが不可欠だと思います。
他業種からの転職の場合には、大きなリスク回避策となりますので、登録しておくと良いと思います。
まとめ
銀行が行うリストラの規模によっては、特定の業界に大きな影響が出ることになりそうです。
人材系企業(就活サイト等)にとっても利用者数の増加に繋がる動きですね。
不動産業界においては、売却案件の微増や、賃貸・リフォーム案件の増加が考えられる他、住宅ローン関連業務への影響が大きそうです。
営業マンは、しっかりと準備して変化に対応し、チャンスを掴むようにしたいですね。