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借地借家法の過去問と解説
2009年度から2020年度までの過去問をまとめてあります。
問題を解いている最中に正解や解説が目に入らないよう、設問と解説の間の行間を多めにとってあります。
目次を利用しながら、何回か反復練習することで合格レベルに到達できるはずです。
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2021年 10月試験 問11
Aは、所有している甲土地につき、Bとの間で建物所有を目的とする賃貸借契約(以下この問において「借地契約」という。)を締結する予定であるが、期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するようにしたい。この場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 事業の用に供する建物を所有する目的とし、期間を60年と定める場合には、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を書面で合意すれば、公正証書で合意しなくても、その旨を借地契約に定めることができる。
- 居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、公正証書によって借地契約を締結するときであっても、期間を20年とし契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることはできない。
- 居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、借地契約を書面で行えば、借地権を消滅させるため、借地権の設定から20年が経過した日に甲土地上の建物の所有権を相当の対価でBからAに移転する旨の特約を有効に定めることができる。
- 借地契約がBの臨時設備の設置その他一時使用のためになされることが明らかである場合には、期間を5年と定め、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることができる。
2021年 問11の解説
1
〇
事業用定期借地権だとすれば、公正証書での契約等が要件になってきますが、本肢の場合、一般定期借地権でも締結が可能な内容です。
一般定期借地権は、用途を問わないからです。
定期借地権の問題を考える時には、契約期間に着目しましょう。
このケースでは、期間を60年と定めるわけですから、一般定期借地権ということになります。(事業用定期借地権は、10年以上50年未満)
一般定期借地権だと考えれば、本肢の記述に誤りはないので「正しい肢」ということになります。
2
〇
この肢は、「一般定期借地権は期間20年では契約できない」と言っているのと同じです。
一般定期借地権は、期間50年以上で定める契約ですから、正しい肢です。
3
×
建物の譲渡特約を付けた契約は、期間30年以上の場合に有効とされています。
20年程度では、まだ建物の価値が多く残っている可能性もありますから、「買取りたくてもお金がない・・」といった事も起こりやすいですよね。
このように、法律で縛る意味を考えると、少しヒントが掴めることもあります。
土地所有者に建物を買い取ってもらう特約をつけた場合、期間30年以上であれば建物価値がかなり安くなっていますから、現実的に買取りをしてもらいやすいわけです。
本肢では、期間20年としていますので、誤りです。
4
〇
一時使用目的の借地権の場合は、存続期間や更新規定等は適用されません。
一時的なので、契約期間も自由に決めれば良いでしょうし、一時的な使用なのだから更新しないのが前提となりますよね。
よって、本肢は正しい記述です。
正解:3
2021年 10月試験 問12
Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が令和3年7月1日に締結された場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
- 本件契約について期間の定めをしなかった場合、AはBに対して、いつでも解約の申入れをすることができ、本件契約は、解約の申入れの日から3月を経過することによって終了する。
- 甲建物がBに引き渡された後、甲建物の所有権がAからCに移転した場合、本件契約の敷金は、他に特段の合意がない限り、BのAに対する未払賃料債務に充当され、残額がCに承継される。
- 甲建物が適法にBからDに転貸されている場合、AがDに対して本件契約が期間満了によって終了する旨の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から3月を経過することによって終了する。
- 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約で、期間を5年、契約の更新がない旨を定めた場合、Aは、期間満了の1年前から6月前までの間に、Bに対し賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる。
2021年 問12の解説
1
×
A(賃貸人)から解約をする場合には、正当な理由がなければいけません。
また、この場合でも、解約の申入れの日から6カ月を経過することによって終了します。
2
〇
3
×
AからDへ解約通知をした場合、通知から6カ月が経過することによって契約終了となります。
4
×
通知をしなかったからといって、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされるわけではありませんので、誤りです。
正解:2
2020年 10月試験 問11
A所有の甲土地につき、令和2年7月1日にBとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
- Bは、借地権の登記をしていなくても、甲土地の引渡しを受けていれば、甲土地を令和2年7月2日に購入したCに対して借地権を主張することができる。
- 本件契約で「一定期間は借賃の額の増減を行わない」旨を定めた場合には、甲土地の借賃が近傍類似の土地の借賃と比較して不相当となったときであっても、当該期間中は、AもBも借賃の増減を請求することができない。
- 本件契約で「Bの債務不履行により賃貸借契約が解除された場合には、BはAに対して建物買取請求権を行使することができない」旨を定めても、この合意は無効となる。
- AとBとが期間満了に当たり本件契約を最初に更新する場合、更新後の存続期間を15年と定めても、20年となる。
2020年 問11の解説
1
誤り
建物の所有を目的としていますので、この場合、借地借家法が適用されます。
借地借家法では、建物に登記をしなければ第三者に対抗できないとしています。(第10条)
2
誤り
契約条件に関わらず、当事者は、将来に向かって増減を請求することができます。
一定期間、増額を禁じる特約があったとしても、請求自体を不可とするものではありません。
3
誤り
このような特約を定めても、民法等より不利な契約内容になるわけではありませんので、両者が合意していれば特約として有効です。
4
正しい
20年以下で締結しても、20年での契約とみなされます。
正解:4
2020年10月試験 問12
AとBとの間でA所有の甲建物をBに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結し、Bが甲建物の引渡しを受けた場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
- AがCに甲建物を売却した場合、Bは、それまでに契約期間中の賃料全額をAに前払いしていたことを、Cに対抗することができる。
- 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料改定に関する特約がない場合、経済事情の変動により賃料が不相当となったときは、AはBに対し、賃料増額請求をすることができる。
- 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約である場合、Aは、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があれば、Bに対し、解約を申し入れ、申入れの日から1月を経過することによって、本件契約を終了させることができる。
- 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求に関する特約がない場合、期間満了で本件契約が終了するときに、Bは、Aの同意を得て甲建物に付加した造作について買取請求をすることができる。
2020年10月試験 問12の解説
1
正しい
前オーナーに支払った家賃は、次の持ち主にも引き継がれなければ困りますよね。
現実の世界に置き換えて考えてみても、対抗できることが想像できる肢だと思います。
2
正しい
契約内容に関わらず、将来に向かって請求可能です。
3
誤り
この規定は、賃借人(借りている人)に与えられたものです。
設問では、A(所有者)が解約を申し入れると書いてありますので、ここが誤りです。
もし、Bから同様の理由で解約の申し入れがあれば、設問は正しいことになるのです。
少しいじわるな問題ですね。
4
設問の通り、正しい肢です。
正解:3
2009年度 問11
現行の借地借家法の施行後に設定された借地権に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 借地権の当初の存続期間中に借地上の建物の滅失があった場合で、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
- 借地権の当初の存続期間が満了する場合において、借地権者が借地契約の更新を請求したときに、建物がある場合は、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときでも、その異議の理由にかかわりなく、従前の借地契約と同一の条件で借地契約を更新したものとみなされる。
- 借地権の当初の存続期間中に借地上の建物の滅失があった場合、借地権者は地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
- 借地権の当初の存続期間が満了し借地契約を更新する場合において、当事者間でその期間を更新の日から10年と定めたときは、その定めは効力を生じず、更新後の存続期間は更新の日から20年となる。
2009年度 問11の解説
1
誤りです。
無断で建築をしただけでは、地上権消滅請求や賃貸借の解約申し入れをすることはできません。
存続期間(30年)を超えた時に、当初の契約期間を超えて残存する無断建築物があった場合、地主は無断建築物に対して「こんな建物があるとは聞いてないよ」と言える権利があります。
それが、地上権消滅請求や賃貸借の解約申し入れという事です。
2
誤りです。
借地権設定者(貸す側)による異議の内容が、正当な事由だと認められれば、更新させないこともできます。
ただし、この場合には、借地権者(借りる側)に買取り請求権が与えられます。
3
誤りです。
当初の存続期間中については、基本的には自由に土地を使うことができるので、建物の滅失は存続期間に影響しません。
30年の存続期間を経過した後には、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができるようになります。
第八条 契約の更新の後に建物の滅失があった場合においては、借地権者は、地上権の放棄又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
2 前項に規定する場合において、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は、地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。
(以下省略)
4
記述の通りで正しいです。
正解:4
2009年度 問12
A所有の甲建物につき、Bが一時使用目的ではなく賃料月額10万円で賃貸借契約を締結する場合と、Cが適当な家屋に移るまでの一時的な居住を目的として無償で使用貸借契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
- BがAに無断で甲建物を転貸しても、Aに対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるときは、Aは賃貸借契約を解除できないのに対し、CがAに無断で甲建物を転貸した場合には、Aは使用貸借契約を解除できる。
- 期間の定めがない場合、AはBに対して正当な事由があるときに限り、解約を申し入れることができるのに対し、返還時期の定めがない場合、AはCに対していつでも返還を請求できる。
- Aが甲建物をDに売却した場合、甲建物の引渡しを受けて甲建物で居住しているBはDに対して賃借権を主張することができるのに対し、Cは甲建物の引渡しを受けて甲建物に居住していてもDに対して使用借権を主張することができない。
- Bが死亡しても賃貸借契約は終了せず賃借権はBの相続人に相続されるのに対し、Cが死亡すると使用貸借契約は終了するので使用借権はCの相続人に相続されない。
2009年度 問12の解説
1
正しい。
本肢は、民法からの出題です。
民法第612条では、賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができないと規定されています。
また、賃借人が612条の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができます。
しかし、無断転貸の場合でも、背信的行為だと認められない事情があれば、契約解除できないという判例がありますので、本肢のケースでは契約解除できません。
一時使用の場合には、借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができず、これに違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができます。(民法 第594条)
2
誤りです。
この設問は、民法と借地借家法の複合問題です。
借地借家法では、賃貸人(貸主側)から解約を申し入れる場合には、正当な事由がなければいけないと規定しています。(第28条)
返還時期の定めが無い(一時的な使用賃借)の場合には、民法が適用されます。
簡単に言えば、借り手が、使用することによる恩恵を得るのに十分な期間を過ぎていれば、償還を請求できるとしています。
使用目的が定められていれば、貸主がいつでも解除できるわけではありません。
第五百九十七条 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。
2 当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。
3 当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。
3
記述の通りで正しい。
第三十一条 建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
(以下省略)
4
正しい。
賃貸借契約(賃借権)は、相続の対象となります。
使用貸借契約は、元々が一時使用する権利ですから、原則として借主だけに効力が生じます。
よって、借主が死亡すれば、権利も消滅します。(民法 第599条)
第五百九十九条 使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。
正解:2
2010年度 問11
借地借家法第23条の借地権(以下この問において「事業用定期借地権」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 事業の用に供する建物の所有を目的とする場合であれば、従業員の社宅として従業員の居住の用に供するときであっても、事業用定期借地権を設定することができる。
- 存続期間を10年以上20年未満とする短期の事業用定期借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によらなくとも、書面又は電磁的記録によって適法に締結することができる。
- 事業用定期借地権が設定された借地上にある建物につき賃貸借契約を締結する場合、建物を取り壊すこととなるときに建物賃貸借契約が終了する旨を定めることができるが、その特約は公正証書によってしなければならない。
- 事業用定期借地権の存続期間の満了によって、その借地上の建物の賃借人が土地を明け渡さなければならないときでも、建物の賃借人がその満了をその1年前までに知らなかったときは、建物の賃借人は土地の明渡しにつき相当の期限を裁判所から許与される場合がある。
2010年度 問11の解説
1
事業用定期借地権は、「専ら事業の用に供する建物」が対象で、居住の用に供するものは除かれています。
よって、事業用定期借地権は設定することができず、誤りです。
2
事業用定期借地権の設定は、公正証書によるものと規定されています。
よって、誤りです。
3
誤りです。
取り壊しの取り決めについては、書面によってしなければならないと規定しています。
公正証書である必要はありません。
第三十九条 法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、第三十条の規定にかかわらず、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。
2 前項の特約は、同項の建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければならない。
4
正しい。
第三十五条 借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその一年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から一年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
2 前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。
正解:4
ポイント
4番の肢の内容を覚えるよりも、1~3番を確実に誤りだと判断できる知識が大事です。
2010年度 問12
Aは、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)をBと締結して建物の引渡しを受けた。この場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
- 本件契約期間中にBが甲建物をCに売却した場合、Aは甲建物に賃借権の登記をしていなくても、Cに対して甲建物の賃借権があることを主張することができる。
- AがBとの間の信頼関係を破壊し、本件契約の継続を著しく困難にした場合であっても、Bが本件契約を解除するためには、民法第541条所定の催告が必要である。
- 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求権を排除する特約がない場合、Bの同意を得てAが甲建物に付加した造作については、期間満了で本件契約が終了するときに、Aは造作買取請求権を行使できる。
- 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料の改定に関する特約がない場合、契約期間中に賃料が不相当になったと考えたA又はBは、賃料の増減額請求権を行使できる。
2010年度 問12の解説
1
正しい。
一時使用ではないので、借地借家法が適用できます。
借地借家法では、登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずると規定しています。(借地借家法31条1項)
2
誤り。
基本的には、民法第541条で規定する催告の手続きが必要です。
しかし、これには例外的な判例があります。
賃貸借関係の継続を著しく困難にするような不信行為があった場合、541条の催告をしないでも契約の解除を申し入れることができるというものです。
よって、本肢は誤りとなりますが、個人的には宅建レベルを超えた設問と考えます。
このような難問肢がある場合、他の肢から判断できるようになっていますので、あまり深入りしないようにしましょう。
3
記述の通りで正しいです。(借地借家法 第33条)
第三十三条 建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
4
記述の通りで正しいです。(借地借家法 第32条)
第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
(以下省略)
正解:2
2011年度 問11
借地借家法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 建物の用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更その他の事情の変更により、現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。
- 賃貸借契約の更新の後において、借地権者が残存期間を超えて残存すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
- 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
- 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
2011年度 問11の解説
1
正しい。
第十七条 建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。
(以下省略)
2
正しい。
第十八条 契約の更新の後において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、延長すべき借地権の期間として第七条第一項の規定による期間と異なる期間を定め、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。
(以下省略)
3
誤り。
第三者の申し立てではなく、借地権者の申し立てによって行われます。
第十九条 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。
(以下省略)
4
正しい。
第二十条 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売又は公売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し、又は財産上の給付を命ずることができる。
(以下省略)
正解:3
ポイント
無料テキストには、この箇所について条文掲載等をしていません。
余裕のある人は、本解説に記載した条文で学習しておくと良いと思います。
2011年度 問12
Aが所有する甲建物をBに対して賃貸する場合の賃貸借契約の条項に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約であるか否かにかかわらず、Bの造作買取請求権をあらかじめ放棄する旨の特約は有効に定めることができる。
- AB間で公正証書等の書面によって借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約を契約期間を2年として締結する場合、契約の更新がなく期間満了により終了することを書面を交付してあらかじめBに説明すれば、期間満了前にAがBに改めて通知しなくても契約が終了する旨の特約を有効に定めることができる。
- 法令によって甲建物を2年後には取り壊すことが明らかである場合、取り壊し事由を記載した書面によって契約を締結するのであれば、建物を取り壊すこととなる2年後には更新なく賃貸借契約が終了する旨の特約を有効に定めることができる。
- AB間の賃貸借契約が一時使用目的の賃貸借契約であって、賃貸借契約の期間を定めた場合には、Bが賃貸借契約を期間内に解約することができる旨の特約を定めていなければ、Bは賃貸借契約を中途解約することはできない。
2011年度 問12の解説
1
正しい。
元々が「~することができる」という任意規定ですので、特約でこれを放棄することもまた任意です。
「~しなければならない」という規定の場合、放棄させると相手に不利な契約になります。
第三十三条 建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
2 前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。
2
「期間満了前にAがBに改めて通知しなくても契約が終了する旨の特約」は、借地借家法38条4項に反する特約ですので、誤りです。
この内容だと賃借人に不利な契約ですから、無効となります。
以下、38条該当箇所の抜粋です。
4 第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
3
記述の通りで正しい。
4
正しい。
一時使用目的の賃貸借契約には、借地借家法が適用されません。
よって、民法が適用されることになります。
民法では、当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができるとしています。(第617条)
そして、第618条では、当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、第617条の規定を準用するとしています。
よって、本肢のような特約を有効に定めることができます。
正解:2
2012年度 問11
賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
- 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地権の登記がなくても、その土地上の建物に借地人が自己を所有者と記載した表示の登記をしていれば、借地権を第三者に対抗することができる。
- 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、建物が全焼した場合でも、借地権者は、その土地上に滅失建物を特定するために必要な事項等を掲示すれば、借地権を第三者に対抗することができる場合がある。
- 建物の所有を目的とする土地の適法な転借人は、自ら対抗力を備えていなくても、賃借人が対抗力のある建物を所有しているときは、転貸人たる賃借人の賃借権を援用して転借権を第三者に対抗することができる。
- 仮設建物を建築するために土地を一時使用として1年間賃借し、借地権の存続期間が満了した場合には、借地権者は、借地権設定者に対し、建物を時価で買い取るように請求することができる。
2012年度 問11の解説
1
記述の通りで正しいです。
2
記述の通りで正しいです。
3
記述の通りで正しいです。
4
誤りです。
一時使用の場合には、借地借家法が適用されません。
よって、同法の建物買取請求権の規定は適用されません。
一時使用でのひっかけ問題は、頻出していますので、「一時使用」とか「返還時期を定めない」といった表現には注意してください。
正解:4
2012年度 問12
A所有の居住用建物(床面積50m2)につき、Bが賃料月額10万円、期間を2年として、賃貸借契約(借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借、同法第39条に規定する取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に規定する一時使用目的の建物の賃貸借を除く。以下この問において「本件普通建物賃貸借契約」という。)を締結する場合と、同法第38条の定期建物賃貸借契約(以下この問において「本件定期建物賃貸借契約」という。)を締結する場合とにおける次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃借人が造作買取請求権を行使できない旨の特約は、有効である。
- 本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃料の改定についての特約が定められていない場合であって経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求することができる。
- 本件普通建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付しても当該特約は無効であるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付さえしておけば当該特約は有効となる。
- 本件普通建物賃貸借契約では、中途解約できる旨の留保がなければ賃借人は2年間は当該建物を借りる義務があるのに対し、本件定期建物賃貸借契約では、一定の要件を満たすのであれば、中途解約できる旨の留保がなくても賃借人は期間の途中で解約を申し入れることができる。
2012年度 問12の解説
1
記述の通りで正しいです。
普通建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約のどちらでも、このような特約をつけることが可能です。
造作買取請求権は、任意でつけられるものなので、任意に権利を排除することもできると覚えておきましょう。
2
記述の通りで正しいです。
3
誤りです。
普通建物賃貸借契約では、当事者が期間の満了の一年前から六月前までに更新について通知しなければいけないと規定しています。
更新がない旨の特約を記載した書面を交付すれば、不利な契約として無効になります。
定期建物賃貸借契約では、あらかじめ、建物の賃借人に対し、期間満了の条件等を記載した書面を交付し、説明する必要があります。
交付さえしていれば良いわけではないので、この点についても誤りです。
4
正しい。
一定の要件とは、床面積200m2未満の建物で、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったといったケースです。(借地借家法 第38条)
正解:3
2013年度 問11
Aは、A所有の甲建物につき、Bとの間で期間を10年とする借地借家法第38条第1項の定期建物賃貸借契約を締結し、Bは甲建物をさらにCに賃貸(転貸)した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
- BがAに無断で甲建物をCに転貸した場合には、転貸の事情のいかんにかかわらず、AはAB間の賃貸借契約を解除することができる。
- Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために当該賃貸借契約が終了した場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸していたときには、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。
- AB間の賃貸借契約が期間満了で終了する場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸しているときには、BのCに対する解約の申入れについて正当な事由がない限り、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。
- AB間の賃貸借契約に賃料の改定について特約がある場合には、経済事情の変動によってBのAに対する賃料が不相当となっても、BはAに対して借地借家法第32条第1項に基づく賃料の減額請求をすることはできない。
2013年度 問11の解説
1
誤り。
無断で転貸をした場合でも、背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合には、契約の解除をすることはできないという民法上の判例があります。
ですから、転貸の事情のいかんにかかわらずという表現が誤りになります。
2
誤り。
AとBの賃貸借契約がBの債務不履行で解除された場合、Cへの責任はBにあるというのが判例の見解です。
つまり、Aは、Cに対して明け渡しを請求できるということです。
Cは、Bに対して、「借りられなくなったぞ!」と文句を言えます。
結局は、Bは、Cに対しても義務の履行が不能になり、Cとの転貸借契約も終了してしまうということです。
3
誤り。
AB間の定期建物賃貸借契約が期間満了で終了するのですから、それに伴って、転貸借契約も終了します。
そうしなければ、定期建物賃貸借にした意味がありませんよね?
Aは、Cに対して甲建物の明渡しを請求することができます。
4
正しい。
この肢は、「賃料の減額請求をすることはできない」という特約が有効であるか判断させる意図がありそうです。
借地借家法 第32条の但し書きに規定されている通り、このような特約をすることは可能です。
第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
正解:4
2013年度 問12
賃貸借契約に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
- ゴルフ場経営を目的とする土地賃貸借契約については、対象となる全ての土地について地代等の増減額請求に関する借地借家法第11条の規定が適用される。
- 借地権の存続期間が満了する際、借地権者の契約の更新請求に対し、借地権設定者が遅滞なく異議を述べた場合には、借地契約は当然に終了する。
- 二筆以上ある土地の借地権者が、そのうちの一筆の土地上に登記ある建物を所有し、登記ある建物がない他方の土地は庭として使用するために賃借しているにすぎない場合、登記ある建物がない土地には、借地借家法第10条第1項による対抗力は及ばない。
- 借地権の存続期間が満了する前に建物が滅失し、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を建築した場合、借地権設定者が異議を述べない限り、借地権は建物が築造された日から当然に20年間存続する。
2013年度 問12の解説
1
借地権とは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権のことです。
ゴルフ場の経営を目的とする土地賃貸借契約は、建物の所有を目的としていません。
借地権に該当しない事柄は、借地借家法を適用することができません。
よって、誤りです。
2
当然には終了しませんので、誤りです。
異議については、正当な事由であることが求められます。
3
記述の通りで正しいです。
庭部分には、登記した建物が無いので、対抗力がないということです。
4
築造された日から当然に20年間存続するわけではありませんので、誤りです。
借地権設定者の承諾日から起算する場合もあります。
建築に意義がなかった場合、承諾日と築造日のいずれか早い日から20年間存続します。
正解:3
2014年度 問11
甲土地の所有者が甲土地につき、建物の所有を目的として賃貸する場合(以下「ケース①」という。)と、建物の所有を目的とせずに資材置場として賃貸する場合(以下「ケース②」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 賃貸借の存続期間を40年と定めた場合には、ケース①では書面で契約を締結しなければ期間が30年となってしまうのに対し、ケース②では口頭による合意であっても期間は40年となる。
- ケース①では、賃借人は、甲土地の上に登記されている建物を所有している場合には、甲土地が第三者に売却されても賃借人であることを当該第三者に対抗できるが、ケース②では、甲土地が第三者に売却された場合に賃借人であることを当該第三者に対抗する方法はない。
- 期間を定めない契約を締結した後に賃貸人が甲土地を使用する事情が生じた場合において、ケース①では賃貸人が解約の申入れをしても合意がなければ契約は終了しないのに対し、ケース②では賃貸人が解約の申入れをすれば契約は申入れの日から1年を経過することによって終了する。
- 賃貸借の期間を定めた場合であって当事者が期間内に解約する権利を留保していないとき、ケース①では賃借人側は期間内であっても1年前に予告することによって中途解約することができるのに対し、ケース②では賃貸人も賃借人もいつでも一方的に中途解約することができる。
2014年度 問11の解説
1
誤りです。
建物の所有を目的として賃貸する場合(ケース①)では、借地権の存続期間を30年と定めていますが、「これより長い期間を定めた場合には、その期間とする」という但し書きがあります。
ですから、このケースでは40年の存続期間で契約でます。
建物の所有を目的としない賃貸の場合(ケース②)では、民法が適用されます。
(借地借家法は、建物の所有を目的としているものが対象だから)
民法の賃貸借契約の存続期間は20年が上限です。(民法 604条)
これよりも長い期間を定めても、20年で契約したことになります。
2
借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができます。(ケース①)
ケース②については、対抗する方法がまったくないわけではありません。
民法 第605条によれば、不動産の賃貸借を登記することで第三者に対抗することができますので、「第三者に対抗する方法はない」と言い切るのは誤りです。
3
正しい。
ケース②については、民法 第617条で規定されています。
第六百十七条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一 土地の賃貸借 一年
二 建物の賃貸借 三箇月
(以下省略)
4
誤り。
中途解約については、借地借家法で具体的な規定がありません。
よって、民法の規定を当てはめて考えることになります。
第六百十八条 当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。
本肢では、このような権利の留保が無いことを前提としています。
つまり、617条の規定(土地の場合は1年前に申し入れをすれば解約可)が準用されないということです。
よって、原則としては、どちらのケースも中途解約できないということになります。
正解:3
2014年度 問12
借地借家法第38条の定期建物賃貸借(以下この問において「定期建物賃貸借」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 定期建物賃貸借契約を締結するには、公正証書による等書面によらなければならない。
- 定期建物賃貸借契約を締結するときは、期間を1年未満としても、期間の定めがない建物の賃貸借契約とはみなされない。
- 定期建物賃貸借契約を締結するには、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了によって終了することを、当該契約書と同じ書面内に記載して説明すれば足りる。
- 定期建物賃貸借契約を締結しようとする場合、賃貸人が、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了によって終了することを説明しなかったときは、契約の更新がない旨の定めは無効となる。
2014年度 問12の解説
1
記述の通りで正しいです。
2
記述の通りで正しいです。
3
誤り。
定期建物賃貸借契約を締結する場合、建物の賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借が終了する旨を記載した書面を交付し、説明しなければなりません。
契約書の中に記載する方法では、普通の賃貸契約と勘違いする可能性が高くなります。
定期の賃貸借において、その期間は契約の本旨となる重要な部分ですから、単独の書面で作成して交付し、説明をするべきだというのが判例の見解です。
4
正しい。
期間の満了によって終了することを説明しなかったのですから、相手方としては普通の賃貸契約を締結したつもりの状態です。
定期建物賃貸借契約としては、無効な契約だということです。
正解:3
2015年度 問11
AがBとの間で、A所有の甲建物について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
- AがBに対し、賃貸借契約の期間満了の6か月前までに更新しない旨の通知をしなかったときは、AとBは、期間3年、賃料月額10万円の条件で賃貸借契約を更新したものとみなされる。
- 賃貸借契約を期間を定めずに合意により更新した後に、AがBに書面で解約の申入れをした場合は、申入れの日から3か月後に賃貸借契約は終了する。
- Cが、AB間の賃貸借契約締結前に、Aと甲建物の賃貸借契約を締結していた場合、AがBに甲建物を引き渡しても、Cは、甲建物の賃借権をBに対抗することができる。
- AB間の賃貸借契約がBの賃料不払を理由として解除された場合、BはAに対して、Aの同意を得てBが建物に付加した造作の買取りを請求することはできない。
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2015年度 問11の解説
1
誤り。
更新したものとみなされるのはその通りですが、期間は定めないで更新されたことになります。
2
誤り。
期間の定めがない賃貸借契約の場合に、賃貸人(貸している側)から解約を申し入れた場合は、「3か月」ではなく、「6か月」です。
第二十七条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。
3
誤り。
建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対して、賃貸借の効力を生じさせます。
よって、引き渡しを受けているBには、Cへの対抗力があります。
4
正しい。
建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができます。
しかし、判例では、賃借人の債務不履行や背信的行為によって賃貸借が解除された場合には、適用しないと解すべきとしています。
よって、本肢のようなケースでは、買取請求はできません。
正解:4
2015年度 問12
賃貸人と賃借人との間で、建物につき、期間5年として借地借家法第38条に定める定期借家契約(以下「定期借家契約」という。)を締結する場合と、期間5年として定期借家契約ではない借家契約(以下「普通借家契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借地借家法第40条に定める一時使用目的の賃貸借契約は考慮しないものとする。
- 賃借権の登記をしない限り賃借人は賃借権を第三者に対抗することができない旨の特約を定めた場合、定期借家契約においても、普通借家契約においても、当該特約は無効である。
- 賃貸借契約開始から3年間は賃料を増額しない旨の特約を定めた場合、定期借家契約においても、普通借家契約においても、当該特約は無効である。
- 期間満了により賃貸借契約が終了する際に賃借人は造作買取請求をすることができない旨の規定は、定期借家契約では有効であるが、普通借家契約では無効である。
- 賃貸人も賃借人も契約期間中の中途解約をすることができない旨の規定は、定期借家契約では有効であるが、普通借家契約では無効である。
2015年度 問12の解説
1
記述の通りで正しいです。
借地借家法の規定に反し、賃借人に不利な特約ですので無効です。
2
誤り。
賃料を増額しない旨の特約をすることは可能です。
3
誤り。
造作買取請求権は、特約で禁止することが可能です。
4
定期借家契約では、200㎡未満の建物において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができるという規定があります。
定期借家契約において中途解約できないという特約を許すと、賃借人にとって借地借家法の規定よりも不利な契約内容となります。
よって、定期借家契約では無効で、普通借家契約では有効です。
正解:1
ポイント
「することができる」という任意規定は、禁止することもできると考えましょう。
「しなければならない」という強行規定は、禁止すると無効になります。
2016年度 問11
Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、Aは借地権登記を備えていないものとする。
- Aが甲建物を所有していても、建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して、Aは借地権を対抗することができない。
- Aが甲建物を所有していても、登記上の建物の所在地番、床面積等が少しでも実際のものと相違している場合には、建物の同一性が否定されるようなものでなくても、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたEに対して、Aは借地権を対抗することができない。
- AB間の賃貸借契約を公正証書で行えば、当該契約の更新がなく期間満了により終了し、終了時にはAが甲建物を収去すべき旨を有効に規定することができる。
- Aが地代を支払わなかったことを理由としてBが乙土地の賃貸借契約を解除した場合、契約に特段の定めがないときは、Bは甲建物を時価で買い取らなければならない。
2016年度 問11の解説
1
記述の通りで正しいです。
親族者であっても、借地権者の名義の登記でなければ対抗できません。
2
誤り。
登記内容は、錯誤などの理由で実際と多少相違する場合があります。
このような場合、登記の表示全体で同一性を認識できる程度の軽微な相違である場合は、第三者に対抗することができます。
本肢では、「同一性が否定されるようなものでない」と言っていますから、Aは対抗力を持ちます。
3
誤り。
一般定期借地権を設定するには、公正証書で50年以上の存続期間とする必要があります。
設問の前提条件は30年の存続期間ですから、この規定に反します。
公正証書で行えば借地借家法の規定を無視できるわけではありませんので、誤りです。
4
誤り。
第十三条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
(以下省略)
このような規定はありますが、判例では、賃借人の債務不履行や背信的行為によって契約が終了した場合、建物買取請求権は認められないとしています。
正解:1
2016年度 問12
AはBと、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間3年、賃料月額20万円と定めて賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した。この場合における次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- AもBも相手方に対し、本件契約の期間満了前に何らの通知もしなかった場合、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。
- BがAに対し、本件契約の解約を申し入れる場合、甲建物の明渡しの条件として、一定額以上の財産上の給付を申し出たときは、Bの解約の申入れに正当事由があるとみなされる。
- 甲建物の適法な転借人であるCが、Bの同意を得て甲建物に造作を付加した場合、期間満了により本件契約が終了するときは、CはBに対してその造作を時価で買い取るよう請求することができる。
- 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めた場合でも、BはAに対し、同条所定の通知期間内に、期間満了により本件契約が終了する旨の通知をしなければ、期間3年での終了をAに対抗することができない。
2016年度 問12の解説
1
記述の通りで正しいです。
2
誤り。
財産上の給付をすれば正当事由だと認められるのだとしたら、お金さえ払えば解約できることになってしまいます。
その建物を必要とする事情や、利用状況等を総合的に考慮して正当な事由である場合にBから解約できます。
3
記述の通りで正しいです。
4
記述の通りで正しいです。
期間の満了の一年前から六か月前までの間に、賃貸借が終了する旨の通知をしなかった場合、BはAに対して対抗できません。
第三十八条
(途中省略)
4 第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
正解:2
2017年度 問11
A所有の甲土地につき、平成29年10月1日にBとの間で賃貸借契約(以下「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
- Aが甲土地につき、本件契約とは別に、平成29年9月1日にCとの間で建物所有を目的として賃貸借契約を締結していた場合、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは、本件契約よりもCとの契約が優先する。
- 賃借権の存続期間を10年と定めた場合、本件契約が居住の用に供する建物を所有することを目的とするものであるときは存続期間が30年となるのに対し、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは存続期間は10年である。
- 本件契約が建物所有を目的として存続期間60年とし、賃料につき3年ごとに1%ずつ増額する旨を公正証書で定めたものである場合、社会情勢の変化により賃料が不相当となったときであっても、AもBも期間満了まで賃料の増減額請求をすることができない。
- 本件契約が建物所有を目的としている場合、契約の更新がなく、建物の買取りの請求をしないこととする旨を定めるには、AはあらかじめBに対してその旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
2017年度 問11の解説
1
Cの契約が優先するとは限りませんので、誤りです。
契約日や契約内容等によって優先順位が決まるのではなく、対抗要件を先に備えた方が優先されるからです。
2
記述の通りで正しいです。
第三条 借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
一方、民法では、賃貸借契約の最長期間を20年と定めています。
存続期間が20年を超えない契約は、民法に反していないので有効です。
3
誤り。
判例では、地代等自動改定特約については認めるものの、以下のような結論を下しています。
地代等の改定基準を定めるに当たって基礎とされていた事情が失われることにより、この特約で地代等の額を定めることが借地借家法11条1項の規定の趣旨に照らして不相当な場合には、同特約に拘束されず、地代等増減請求権の行使を妨げられない。
よって、判例の言う「不相当」に当たる場合には、増減額請求が可能になる場合があるということです。
4
誤り。
まず、この設問には、A所有の甲土地についての契約だという前提があります。
ということは、借地契約ですよね?
本肢では、建物所有目的での借地契約について、「契約更新をしない」+「建物の買取請求をしない」という内容で契約をしようとしているわけです。(定期借地権の契約)
そして、「建物の買取請求をしない」と定めることが可能なのは、一般定期借地権又は事業用借地権です。
しかし、これらに関する条文には、「あらかじめ書面を交付して説明せよ」という規定がありません。
つまり、「定期建物賃貸借」(借家)の場合と混同させようとする問題だったわけです。
定期建物賃貸借では、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならないと規定されています。
本肢は、定期借地権の契約である為、書面交付と説明は不要ということです。
正解:2
2017年度 問12
Aが所有する甲建物をBに対して3年間賃貸する旨の契約をした場合における次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
- AがBに対し、甲建物の賃貸借契約の期間満了の1年前に更新をしない旨の通知をしていれば、AB間の賃貸借契約は期間満了によって当然に終了し、更新されない。
- Aが甲建物の賃貸借契約の解約の申入れをした場合には申入れ日から3月で賃貸借契約が終了する旨を定めた特約は、Bがあらかじめ同意していれば、有効となる。
- Cが甲建物を適法に転借している場合、AB間の賃貸借契約が期間満了によって終了するときに、Cがその旨をBから聞かされていれば、AはCに対して、賃貸借契約の期間満了による終了を対抗することができる。
- AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めるものである場合、当該契約前にAがBに契約の更新がなく期間の満了により終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければ、契約の更新がない旨の約定は無効となる。
2017年度 問12の解説
1
当然には終了しないので、誤りです。
例えば、Aによる更新拒絶の理由に正当な事由が無い場合には、契約を解除できません。
また、Bが建物の使用を継続している場合、Aが遅滞なく異議を述べなければ契約は更新されたものとみなされます。
2
誤り。
借地借家法の規定によれば、以下の通りです。
第二十七条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。
本肢では、3か月となっていますので、これより不利な契約になり、無効です。
3
誤り。
Aは、Cに対して解約に伴う期間満了を通知しなければ、Cに対抗できません。
本肢では、BがCに通知しただけですので、誤りです。
第三十四条 建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。
2 建物の賃貸人が前項の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から六月を経過することによって終了する。
4
正しい。
頻出されている内容です。
定期建物賃貸借(第38条)である場合、「あらかじめ書面を交付し、説明する」と覚えておきましょう。
正解:4
2018年度 問11
AとBとの間で、A所有の甲土地につき建物所有目的で賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
- 本件契約が専ら事業の用に供する建物の所有を目的とする場合には、公正証書によらなければ無効となる。
- 本件契約が居住用の建物の所有を目的とする場合には、借地権の存続期間を20年とし、かつ、契約の更新請求をしない旨を定めても、これらの規定は無効となる。
- 本件契約において借地権の存続期間を60年と定めても、公正証書によらなければ、その期間は30年となる。
- Bは、甲土地につき借地権登記を備えなくても、Bと同姓でかつ同居している未成年の長男名義で保存登記をした建物を甲土地上に所有していれば、甲土地の所有者が替わっても、甲土地の新所有者に対し借地権を対抗することができる。
2018年度 問11の解説
1
事業用定期借地権の設定契約は、公正証書で締結する必要がありますが、この肢の契約は、一般的なテナント契約ですので、公正証書である必要はなく、誤りです。
事業用定期借地権の要件について記憶が曖昧な人は、テキスト①で再度確認しておきましょう。
2
正しい。
一般定期借地権では、存続期間が50年以上でなければなりません。
そして、「居住用建物の所有」が目的なので、事業用定期借地権を設定することもできません。
よって、本肢の特約は無効です。
3
誤り。
公正証書によって期間に影響を与えるという規定はありません。
借地権の存続期間については、最長期間の制限もありませんから、当事者間で60年と定めれば、その存続期間が有効となります。
4
対抗するための登記は、借地権者本人の名義で行う必要がありますので、誤りです。
正解:2
2018年度 問12
AとBとの間で、Aが所有する甲建物をBが5年間賃借する旨の契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか(借地借家法第39条に定める取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に定める一時使用目的の建物の賃貸借は考慮しないものとする。)。
- AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めた場合には、5年経過をもって当然に、AはBに対して、期間満了による終了を対抗することができる。
- AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めた場合には、当該契約の期間中、Bから中途解約を申し入れることはできない。
- AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借でない場合、A及びBのいずれからも期間内に更新しない旨の通知又は条件変更しなければ更新しない旨の通知がなかったときは、当該賃貸借契約が更新され、その契約は期間の定めがないものとなる。
- CがBから甲建物を適法に賃貸された転借人で、期間満了によってAB間及びBC間の賃貸借契約が終了する場合、Aの同意を得て甲建物に付加した造作について、BはAに対する買取請求権を有するが、CはAに対する買取請求権を有しない。
2018年度 問12の解説
1
誤り。
契約期間が1年以上である場合、建物の賃貸人は、期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃借人に対して、契約が終了する旨の通知をしなければBに対抗できません。
2
誤り。
200㎡未満の建物において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、中途解約が可能な場合があります。
3
記述の通りで正しいです。
4
誤り。
賃借人B、転借人Cは、どちらも賃貸人Aに対する造作買取請求権を有しています。
第三十三条 建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
2 前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。
正解:3
2019年度 問11
甲土地につき、期間を50年と定めて賃貸借契約を締結しようとする場合(以下「ケース①」という。)と、期間を15年と定めて賃貸借契約を締結しようとする場合(以下「ケース②」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 賃貸借契約が建物を所有する目的ではなく、資材置場とする目的である場合、ケース①は期間の定めのない契約になり、ケース②では期間は15年となる。
- 賃貸借契約が建物の所有を目的とする場合、公正証書で契約を締結しなければ、ケース①の期間は30年となり、ケース②の期間は15年となる。
- 賃貸借契約が居住の用に供する建物の所有を目的とする場合、ケース①では契約の更新がないことを書面で定めればその特約は有効であるが、ケース②では契約の更新がないことを書面で定めても無効であり、期間は30年となる。
- 賃貸借契約が専ら工場の用に供する建物の所有を目的とする場合、ケース①では契約の更新がないことを公正証書で定めた場合に限りその特約は有効であるが、ケース②では契約の更新がないことを公正証書で定めても無効である。
2019年度 問11の解説
1
誤り
資材置場とする目的の場合には、借地借家法は適用されず、民法が適用されます。
このような場合、自動的に期間の定めのない契約とされるわけではありません。
民法では、最長20年となっていますので、この範囲内で期間を定めることになります。
また、民法では、契約期間が定められていない賃貸借契約については、借主・貸主どちらからでも解約を申し入れることができ、その申入れから所定の期間を過ぎると契約は終了するとされています。
2
誤り
公正証書で契約を締結しなければならないケースではありませんし、借地借家法が適用される場合、ケース①の契約期間は50年となります。
また、ケース②は30年の契約とみなされます。
3
正しい
契約の更新がないケースの話ですので、「一般定期借地権の特約が有効か」という視点が必要です。
一般定期借地権は、公正証書などの書面によって、50年以上の期間で締結する必要があります。
ケース②は50年以下なので、借地借家法の定める通り契約期間は30年となります。
4
誤り
「専ら工場の用に供する建物の所有を目的とする場合」ですので、事業用定期借地権が適用できます。
事業用定期借地権では、公正証書によって10年以上、30年未満でも設定することができますので、ケース②は無効とは言い切れません。
(借地借家法第23条2項)
正解:3
2019年度 問12
AがBに対し、A所有の甲建物を3年間賃貸する旨の契約をした場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか(借地借家法第39条に定める取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に定める一時使用目的の建物の賃貸借は考慮しないものとする。)。
- AB間の賃貸借契約について、契約の更新がない旨を定めるには、公正証書による等書面によって契約すれば足りる。
- 甲建物が居住の用に供する建物である場合には、契約の更新がない旨を定めることはできない。
- AがBに対して、期間満了の3月前までに更新しない旨の通知をしなければ、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。
- Bが適法に甲建物をCに転貸していた場合、Aは、Bとの賃貸借契約が解約の申入れによって終了するときは、特段の事情がない限り、Cにその旨の通知をしなければ、賃貸借契約の終了をCに対抗することができない。
2019年度 問12の解説
1
誤り。
公正証書による等書面によって契約するだけでなく、契約の更新がなく期間の満了により終了することについて、書面を交付して説明する必要がある為、誤りです。
2
誤り。
契約の更新がない旨を定めるので、定期建物賃貸借契約のことを言っています。
期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、契約の更新がないこととする旨を定めることができます。
3
誤り。
期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃貸人も賃借人も更新をしない旨の通知をしなければ、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。
4
正しい。
問題文の通りです。
まとめ
借地借家法の設問は、「借地」と「借家」のどちらの規定から出題されているかを意識して解くことが大事です。
特に、定期建物賃貸借と定期借地権の規定の違いは、よく理解しておく必要があります。
重要(頻出)箇所をしっかり学習していれば、1問は必ず正解できる法令です。
是非、本テキストで得意科目にし、2問正解を目指してみてください。