レオパレス21の不祥事が、銀行の収益に悪影響を与えると懸念され始めています。
銀行業への影響が波及したその先にも、様々な問題が潜んでいそうです。
株式への影響も踏まえながら、今回の問題をまとめてみたいと思います。
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レオパレスの施工不良問題
レオパレス21は、法人契約の多い会社で、単身賃貸住宅の管理戸数は約57万戸もあるそうです。
問題物件の入居者は、1万4443人にのぼり、レオパレスの全額負担で順次転居を促すことになっています。
補修工事費用として、累計430億円の特別損失を計上していますが、更に費用が膨らむ可能性も有ります。
国土交通省が同社に対する処分の検討に入っており、営業停止や業務改善命令を出す可能性が高いでしょう。
173の自治体が計1895棟の建築基準法違反を確認している事実から見ても、厳しい処分が下されるのが当然の不祥事と言えるでしょう。
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レオパレスの株価急落
レオパレスの2018年12月末時点の自己資本は1069億円(自己資本比率35.2%)でした。しかし、株式市場は、明らかにこれを十分な水準だとは見ていません。
その証拠に、レオパレス株は、不祥事発覚によって3営業日連続でストップ安となっています。
500円を超える水準だった株価は、一気に2019年2月21日現在で210円まで下落しました。
2月18日には200円まで下がる場面もあり、今後も不祥事などで悪材料が出れば、更なる下値を模索する可能性がある状況です。
オーナーや入居者が原告団を結成し、多額の損害賠償を求められることも予想されます。
アパートローンへの影響
地主が利用している収益物件のローンは、地方銀行が貸し出し先となっているケースが多いそうです。
メガバンク等では審査が通らない案件でも、過去の取引や預貯金による信用によって実現している融資も多いのだと思います。
最近になって、投資家の中には、このような融資が焦げ付くのではないかと懸念する声が出ているそうです。
地主さんの事業ローンは節税対策であることも多く、事業計画が実際よりも甘く作成されている傾向があります。
今回のような不祥事によって、「レオパレス離れ」のような現象が起きると、空室率は確実に上昇するでしょう。
すると、毎月の返済額に届かない収支状況になる物件も増加し、最終的には返済不能に陥る可能性があります。
地方銀行の貸し倒れリスクは、銀行株にも波及する可能性が出てきたわけです。
銀行が融資基準を引き上げれば、建築会社や不動産会社等の株価にも多少の影響はあるでしょう。
消費税増税も控えており、オリンピック以外に明るい材料はなさそうに見えます。
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レオパレスの家賃保証
レオパレスの家賃保証制度は、「保証賃料の固定期間10年、それ以降は2年ごとに改定」としています。
レオパレスでは、以前からこの家賃保証でもオーナーとのトラブルが発生していました。
「固定期間が10年間しかないことを事前に知らされていなかった」といったトラブルで、訴訟に発展したケースも出ています。
この例では、レオパレスの営業員は、30年契約を強調して家賃保証を紹介し、アパート建設のローンの返済分を差し引いても毎月およそ30万円儲かるという説明をしていたそうです。
しかし、10年目以降に保証賃料が改定されれば、収入がローン返済額を下回り赤字に陥ることも考えられます。
契約解除を申し出たオーナーに対し、着手金を戻すこともなく、「消極的損害の一部」との名目でレオパレス側から約1000万円の損害金まで請求されたとう、耳を疑うような事例もあります。
今回の不祥事により、このような家賃保証に現実味がなくなり、訴訟案件が増加する可能性もありそうですね。
まとめ
世間では、早くも「レオパレス離れ」という言葉が流通し始めています。
社宅等の用途で建築される棟数は確実に減少するでしょうし、借り手側の減少も避けられないでしょう。
著しい業績低迷が続いたその先に、どんな結末が待っているのか、最後まで注視していきたいと思います。