民法

宅建民法|法律行為の独学無料テキスト

民法で規定されている法律行為には、「意思表示」・「代理」・「無効及び取り消し」・「条件及び期限」等があります。

この記事では、「無効及び取り消し」と「条件及び期限」について学習できる内容となっています。

意思表示」と「代理」については、以下のテキストをお使いください。

意思表示の宅建独学用テキスト|民法

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民法|代理の宅建独学用 無料テキスト

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第四節 無効及び取消し

(無効な行為の追認)

第119条 無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。

 

そもそも無効なのですから、追認をするという発想自体がおかしいですよね。

当事者が無効であることを知った上で追認しても、そもそも法律で認められないような行為については、新たな行為をしたことにならないのが基本です。(公序良俗違反等)

 

但し書きの意味は、虚偽表示や錯誤などが原因となっている無効行為については、表意者がその行為を遡って追認できるようにすることを妨げないと言っているわけです。

 

例えば、非嫡出子を嫡出子として届け出たような場合に、後からこれを追認することは可能だと言っているのです。

 

(取消権者)

第120条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。

2 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵(かし)ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。

 

取消しを主張できるのが誰か、という事を規定している条文です。

未成年者、成年被後見人、被保佐人のように、法律上で行為能力を制限されている者が行った行為を取り消しできるのは、その本人か、代理人等のような本人に代われる立場の者だけだという事です。

 

ポイント

無効な行為は、誰からでもその無効を主張できます。

しかし、取消しできる行為というのは、一応は有効に成立した行為ですから、取消しできる人物が特定されるという事です。

 

(取消しの効果)

第121条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

 

取消しをされたら、無効になったのと同じだという事です。

但し、制限能力者が取り消しをした際、現存する利益がある場合はそれを返還しなさいと言っています。

 

例えば、未成年者が父親の高級時計を誰かに売り、現金10万円を手にしたとします。

そして、その足でゲームセンター等に行き、1万円を使ってしまいました。

後日、この行為が取り消しされた場合、現存している9万円を返還しなさいと言っているわけです。

普通なら10万円返還しなければいけないところですが、制限能力者については例外にして保護しています。

制限能力者から購入する側にも責任を求めていると考えた方がしっくりくるかもしれませんね。

 

(取り消すことができる行為の追認)

第122条 取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。

 

考え方としては、追認することで「取り消せる権利を捨てる」という感じです。

取消権を放棄するのですから、最初からその行為が有効だったことになり、取り消しはできなくなります。

但し書きについては、改正案の中で削除が提案されているようですので、出題の可能性は低いと思います。

 

(取消し及び追認の方法)

第123条 取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。

 

相手方というのは、意思表示を行った相手のことです。

誰に行った行為かが明確なのであれば、その相手に対して追認又は取消しをするという事です。

 

(追認の要件)

第124条 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。

2 成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることができない。

3 前二項の規定は、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合には、適用しない。

 

取消原因の消滅後」の意味が理解しにくいですよね。

例えば、錯誤の場合なら、間違えていたと気付いた後でなければ効力を生じないという事です。「正しい事だと思っていた状況が消滅した後」と考えると理解しやすいのではないでしょうか。

2項については、未成年ではなくなった後というのがこれに該当します。

言い方を変えると、未成年者の行為は、20歳を超えない状態で追認出来ないという事です。

未成年のままでの追認を許すと、第121条等で制限能力者を保護している意味がなくなるからです。

 

(法定追認)

第125条 前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。

一 全部又は一部の履行

二 履行の請求

三 更改

四 担保の供与

五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡

六 強制執行

 

追認ができる状況が完成した後、1~6のような行為をしたときは、異議を述べなければ追認したことになります。

例えば、借金の全部又は一部を返済したとか、借金の請求や契約内容の変更をするといった行為をした場合、状況を理解して進めていることになります。

いや、そんな借金はしていない」と異議を述べないのなら、追認したのと同じという事です。

強制執行とは、債権者としてお金を強制的に返済させる場合等です。

 

(取消権の期間の制限)

第126条 取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。

 

法律行為の取消権は、「追認できる時から5年、行為から20年」と覚えましょう。

不法行為の消滅時効「知ってから3年、行為から20年」と混同しないように注意しましょう。

 

平成6年度 過去問(正解肢)

【前提条件】

Aは、「近く新幹線が開通し、別荘地として最適である」旨のBの虚偽の説明を信じて、Bの所有する原野(時価20万円)を、別荘地として 2,000万円で購入する契約を締結した。

  • Aは、当該契約の締結は詐欺に基づくものであるとして、その取消しを主張することができるが、締結後20年を経過したきは、取り消すことができない。

 

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第五節 条件及び期限

(条件が成就した場合の効果)

第127条 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。

2 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。

3 当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。

 

停止条件付法律行為は、「停止しておく」条件があるという事です。

例えば、「宅建に合格したら賞金をあげる」という約束(停止条件付贈与契約)をした場合、宅建に合格するまでは約束の効果を停止しておくことになりますよね?

条件が成就したから効力を生じるというのは、このような意味です。

 

解除条件付法律行為は、「解除しておく」条件があるという事です。

例えば、「お小遣いをあげるけれど、不合格なら全額返してもらう」という約束(解除条件付贈与契約)をした場合等です。

 

平成18年度 過去問 正解肢

【前提条件】

Aは、Bとの間で、A所有の山林の売却について買主のあっせんを依頼し、その売買契約が締結され履行に至ったとき、売買代金の2%の報酬を支払う旨の停止条件付きの報酬契約を締結した。この契約において他に特段の合意はない。

  • あっせん期間が長期間に及んだことを理由として、Bが報酬の一部前払を要求してきても、Aには報酬を支払う義務はない。
  • 停止条件付きの報酬契約締結の時点で、既にAが第三者Eとの間で当該山林の売買契約を締結して履行も完了していた場合には、Bの報酬請求権が効力を生ずることはない。
  • 当該山林の売買契約が締結されていない時点であっても、Bは停止条件付きの報酬請求権を第三者Fに譲渡することができる。

 

(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)

第128条 条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。

 

条件成立前に権利を害せるとしたら、条件を付けた意味がありませんよね。

改めて釘を刺しているような条文です。

 

(条件の成否未定の間における権利の処分等)

第129条 条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。

 

前提とするルールのような条文で、設問にはしにくいと考えます。

ここは、読んでおくだけで勉強終了です。

 

(条件の成就の妨害)

第130条 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる

 

条件成就の妨害行為は、条件付きにした意味を損なう行為です。

条件が成就したからこそ妨害すると類推され、条件成就とみなされても文句は言えないというわけです。

 

平成23年度 過去問(正解肢)

【前提条件】

Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間でB所有の乙不動産を2,000万円で購入する売買契約を締結した。条件成就に関する特段の定めはしなかった。

  • 乙不動産が値上がりしたために、Aに乙不動産を契約どおり売却したくなくなったBが、甲不動産の売却を故意に妨げたときは、Aは停止条件が成就したものとみなしてBにAB間の売買契約の履行を求めることができる。

 

(既成条件)

第131条 条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。

2 条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。

3 前二項に規定する場合において、当事者が条件が成就したこと又は成就しなかったことを知らない間は、第128条及び第129条の規定を準用する。

 

【1項の解説】

例えば、宅建の試験で合格判定基準を満たしている人に対して、以下のような法律行為をした場合で考えてみてください。

その相手に、貴方が以下のような約束をしたと考えてみてください。

1.「宅建に合格したら、10万円あげる」(停止条件)

2.「宅建に合格したら、これまでの授業料を払うこと」(解除条件)

 

合格が確定した状態でこのような約束をした場合、1番のケースは無条件で10万円あげる契約をしたのと同じ扱いになります。

あげるつもりで法律行為をしたのと同じですから、無条件とされて当然ですよね。

 

2番の場合、合格が確定しているので、授業料を払わないで済むという事が絶対に無いという事ですよね。

これでは、条件として意味が無く、相手にとっても良い事が一切発生しない内容です。

1番の場合、10万円をもらわない選択も可能ですが、2番の場合はそうはいきません。

ですから、無効として扱われるわけです。

 

1項の話をまとめると、条件を付した時に成就していた場合では、『停止条件は無条件、解除条件は無効』です。

 

【2項の説明】

2項は、条件が達成されることが無いと確定していた場合の話です。

例えば、先程と同じ条件下で宅建試験の不合格が確定していたとします。

 

1.「宅建に合格したら、10万円あげる」(停止条件)

2.「宅建に合格したら、これまでの授業料を払うこと」(解除条件)

 

1番の場合、お互いに不合格が確定しているのを知っているのですから、10万円あげることは絶対にありません。

表意者も10万円あげたいわけではなく、受意者も何ももらえない事が確定しています。

そんな有り得ない事を約束しても意味がないので、無効です。

 

これに対し、2番は、授業料を受け取れる可能性がゼロです。

相手にとって不利益なことではありませんし、自分から意思表示する分には、無条件でそうすれば良いという趣旨だと思います。

 

まとめると、付した条件が達成される事が無い場合、『停止条件は無効、解除条件は無条件』で扱われます。

 

ポイント

絶対に起こり得ず、相手に不利となる条件は、無効にされると考えましょう。

無効になる場合を理解することがコツです。

 

ここは、宅建の受験対策としては、少し深入りしすぎているかもしれません。

補助的に学習するつもりで良いと思います。(捨てる選択もアリです)

 

(不法条件)

第132条 不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。

 

後半部は、少し理解に苦しむ人もいると思います。

不法行為をしないことを条件にするのも無効だと言っています。

この意味が理解できない人も多いのではないでしょうか。

 

例えば、何か取引上で特別な割引を受けて契約し、手付金を払っていたとしましょう。

この際、「売主が手付金を不正に扱わない場合は、割引は無くなる」といった条件が付いていたら、どうでしょうか。

 

売主は、割引分の金額を放棄することによって「手付金を不正に使える」とも解釈できてしまいます。

これでは、不法行為を容認することになり兼ねませんよね。

そこで、法律行為全体に対して無効をかけているわけです。

ちょっと例えが下手でしたが、イメージはしてもらえたのではないでしょうか。

 

(不能条件)

第133条 不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。

2 不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。

 

社会通念上で実現不可能な条件を付した法律行為は、無効としたものです。

効力が発生することがないので無効です。

解除条件の場合も、効力を失うことも発生しないので無効というわけです。

 

(随意条件)

第134条 停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。

 

状況が想像しにくい条文ですよね。

債務者の意思のみに係るというのは、「私の都合の良いときに返済します」といった停止条件のことです。

無効なのは当然ですよね。

 

(期限の到来の効果)

第135条 法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。

2 法律行為に終期を付したときは、その法律行為の効力は、期限が到来した時に消滅する。

 

(期限の利益及びその放棄)

第136条 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。

2 期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。

 

(期限の利益の喪失)

第137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。

一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。

二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。

三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

 

まとめ

合格判定基準の変化に伴い、宅建の受験勉強に必要性が低い条文もいくつか掲載しました。

しかし、基本的には、過去に出題のあった箇所が重要ですので、あまり深く勉強するのもどうかと思います。

 

総合的な理解をするために読み通しておくだけの部分と、しっかりと学ぶところを意識して使ってください。

赤文字が入っている部分を優先的に覚えるのが近道です。

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