イグノーベル賞の受賞でも世界から注目を浴びた明治大学(中野キャンパス)で、電気味覚の研究が行われているのをご存知でしょうか。
簡単に言えば、調味料などを使わずに味を変える技術です。
塩やコショウがいらなくなるどころか、食品サンプルが電子化される可能性さえ感じさせる研究です。
ちょっと未来を先取りする情報として読んでみてください。
電気味覚の仕組み
明治大学の中野キャンパスでは、電気味覚の技術を実社会で役立てようと研究が行われているとのこと。
味覚を電気によって変化させ、コントロールする技術です。
これは、電気味覚と呼ばれる現象で、味を感じる細胞が電気刺激されることで塩味等が強調されるものだそうです。
舌の細胞が、電気刺激を「味」として感知してしまうわけですね。
これだけでは、「なんだ、そんな程度か」と思うかもしれません。
しかし、少し想像力を使って、この技術の応用方法を考えてみてください。
この技術は、食糧危機を救う可能性があるくらい偉大な研究になるかもしれないのです。
電気味覚で食事療法
電気味覚の研究が進み、実用化レベルになるとどんな事が起きるでしょうか。
おそらく、その応用手段は多岐に渡ります。
例えば、電気が流れる専用フォークを使う事で、塩分の少ない食べ物でも満足感を得る食事ができるようになります。
通常、超減塩の食事療法等は味気ない食生活になる為、大変ストレスの多きなものでしょう。
体に塩を取り込まずに、塩味を感じることができれば、腎臓病や生活習慣病の患者等に応用できます。
地道な研究の成果で、最近では甘みを感じさせる電流も発見したそうです。
電気が流れている間はずっと味を感じる為、無限に味が消えないガムの代替装置を開発して話題になりました。
ダイエットへの応用
健康趣向の強い日本では、ダイエットにも利用される可能性が高そうです。
スイーツ等の甘いものを摂らないよう、我慢している人には朗報となると思います。
例えば、VR技術等と合わせて利用することによって、画期的な応用方法が考えられます。
カロリーゼロの食べ物を摂取しながら、視覚的にケーキ等を食べている感覚を体感することができる等、新しいダイエットのツールが増えるでしょう。
糖尿病を患っている人達も、糖質類を控えなくてはいけないストレスを抱えているはずです。
電気味覚の精度が向上し、自在にコントロールできるようになれば、こんにゃくのような低カロリーの食べ物がチョコレート味で楽しめるようになるかもしれません。
ネットショップでの活用
現在、インターネットで食べ物を購入する際には、見た目で判断するしかありません。
食べたことの無い商品を購入する際には、味についてのコメントや、材料・写真等を頼りにするしかありませんよね?
しかし、電気味覚の技術が進めば、味はデータ化できる可能性が出てきます。
テレビ番組の映像が自宅で再生されるのと同じように、一度データになった情報が「味」として再現できるかもしれません。
何年かかるかは不明ですが、完全に再生できる技術が完成すれば、ネット上の食べ物を疑似的に「試食」することができます。
専用の装置を口に入れ、ダウンロードしたデータを再生すると、その商品の味が体感できるといった事が可能になるかもしれないのです。
「味」のデータ転送は、世界中の飲食市場が変わる技術です。
海外に行かなくても本場の味が再生できれば、世界中の飲食店が「味のデータ」を売買するようになるでしょう。
食糧危機への応用
世界的に続く異常気象が更に悪化すれば、作物や動物への悪影響は大きくなります。
特に、深刻な水不足が起きた時には、保存食等を活用する必要があります。
また、戦争が起きて広範囲の土が汚染されるかもしれませんし、新種の伝染病等で植物が死滅するといった異常事態が起こる可能性だって無いとは言えません。
あまり考えたくない事ですが、様々な理由を原因として、将来に世界の食料不足が起こる可能性はあります。
世界的な食糧危機が発生すれば、もはや食事は楽しむものではなくなるでしょう。
おそらく、不味いものを「生きるために食べる」という状況です。
成分的に人間に必要な栄養を含んだ人口食糧が開発されたとしても、その味は満足できるものではない可能性が高いと思います。
味のバリエーションも少ないでしょうし、見た目も平素なものになるからです。
そんな状況下で、この電気味覚の技術が進化していれば、自分の食べたい味で食べ物を摂取することができます。
どれほどのストレスが解消されることか、想像するだけで有難くなってしまう話です。
まとめ
現段階での成果だけを見れば、それほどスゴイ研究には見えないかもしれません。
しかし、電気味覚の技術の未来を想像すると、社会にとても大きな影響を与える技術であることがわかります。
いつか、自宅で世界中の食べ物を試食できる時代が来るかもしれませんね。