宅建の試験で出題されている民法の出題傾向について、独自分析をしてみました。
宅建民法の優先順位に迷う人は、まずこれを読んでみてください。
平成19年から平成29年までの出題傾向を詳しく分析し、平成30年度の出題予想とその結果も掲載しておきます。
民法の攻略(勉強量)は、各自の方針にもよりますので、この記事を読んで判断基準の参考にしていただければと思います。
2019年の出題予想については、HOMEへ掲載します。
民法の勉強量
宅建士は、不動産の仕事をする事を前提とした国家資格ですから、民法についても不動産取引に関係の深い部分から出題されています。
とはいっても、その範囲は広く、なかなか的を絞るのが難しいですよね。
この為、民法よりも簡単に得点源にできる『暗記モノ』的な法令を優先する人も多いと思います。
民法は、本試験で何問の正解を目指すのかによって、勉強量がかなり変わってきます。
そこで、私がオススメするのは、今年の出題を予想して、そこだけを集中的に学習するというプランです。
合格に必要な配点については、「宅地建物取引士試験の配分と出題傾向を徹底分析」を参考にしてください。
勿論、ある程度の根拠を持って的を絞ります。
民法の中でも、高確率で出題される部分がありますから、そこを重点的に勉強するわけです。
では、出題傾向を確認していきましょう。
出題傾向
過去を振り返ってみると、平成22年度以降、出題傾向に少し変化を感じます。
平成21年以前は、意思表示、契約の解除、消滅時効、瑕疵担保責任等からの出題が多かったのですが、平成22年以降からは出題の傾向が変わった印象です。
また、平成24年以降は、民法規定の有無を問う形式が採用され始め、以降は毎年出題されるようになっています。
このように、民法の出題には、改正等の影響から一種の流行のようなものがあり、数年間に渡って出題し続けて学習を促しているようにも見えます。
このような出題の流れを掴むために、過去問を民法のカテゴリー毎に分類して検証してみました。
過去10年でのカテゴリーごとの出題回数は、以下の通りです。
抵当権関連 | 11 回 |
相続関連 | 10 回 |
代理・復代理 | 6 回 |
時効取得・消滅時効 | 5 回 |
民法の規定有無 | 5 回 |
担保責任関連 | 5 回 |
制限行為能力者関連 | 4 回 |
賃貸借・使用者責任 | 4 回 |
契約関連 | 4 回 |
意思表示関連 | 4 回 |
不法行為 | 3 回 |
債権譲渡 | 2 回 |
転貸借 | 2 回 |
共有 | 2 回 |
通謀虚偽表示 | 2 回 |
占有 | 1 回 |
民法の傾向と対策
出題回数からも、上位の科目が外せないのは明確です。
抵当権については、売買の取引において重要度の高い分野ですから、毎年出題されるのも納得できます。
不動産の紛争事例等を調べると、無権代理人による他人物売買等、代理人の権限について宅建業者が確認すべき範囲等が争点になっている事例があります。
また、相続関連での不動産処分等も増加傾向にある昨今では、今後もこれらの出題が継続される可能性が高い部分と言えそうです。
抵当権、代理、相続の3つを勉強しておく事で、最低2問の正解を目指すことができる可能性が高いのが分かると思います。
民法を勉強するなら、まずはこの3つから取りかかるのが最短ルートだと思います。
時効取得、消滅時効、瑕疵担保責任関連、民法の規定有無についても、過去10年で5回出題されています。
この中で、民法の規定有無を問う形式については、学習範囲が広くなる事を理由に捨てるのが得策だと考えます。
時効取得については、平成20年から3年連続で出題され、平成26年から再び2年連続で出題がありました。
10年間の中で、8回は瑕疵担保責任と時効関連のどちらかが出題されています。
近年、瑕疵担保責任が2年に1回の頻度で出題されている事に着眼するなら、平成30年度は瑕疵担保責任出題の年に当たります。
(結果、平成30年は交互だった順番を崩し、時効関連からの出題でした)
賃貸借・使用責任についての問題も一定の出現率となっていますが、平成29年度には出題がありませんでした。
平成30年度は、昨年度よりも出題の可能性が高いと考えて良いと思います。
(結果、賃貸借から出題されました)
また、共有と占有からの出題も交互に行っていく思惑が見える部分もあります。
意思表示、制限行為能力者、占有等については、同じくらいの出題確率となっています。
この中からヤマをはるのも一考だと思います。
民法無料テキスト
平成30年度の出題予想
私の個人的な見解ですが、過去10年の分析結果を根拠として出題予想をしてみました。
自身の受験の際にも同じように予想を立て、民法で目標とした正解数を達成ました。
勉強時間が足りない人や、超短期で合格を目指す人等は、この予想に賭けてみてはいかがでしょうか。
当たるかどうかは保証できませんが、それほど的外れでも無いと思います。
私の出題予想(平成30年8月25日現在)は以下の通りです。
※ 設問の順番については、直近の傾向に沿っただけです。
この10問の内、民法規定有無について等、青文字の問題は捨てるものとして考えます。
残りの8問中で4~5問の正解を目指します。
詳細は別記事「宅建試験の配分と出題傾向を徹底分析!」に記載していますが、私の合格プランでは、民法を4問正解すれば合格できます。
民法の勉強量をミニマムにし、その分をもっと確実にとれる部分の勉強に使うプランです。
予想の的中率(追記)
平成30年度の試験が終了しましたので、予想の結果について検証してみます。
実際の試験では、以下のような内容で出題されました。
問1 意思表示(転売・詐欺による取り消しについて)
問2 代理(後見開始の審判後の効果)
問3 停止条件の遡及効果
問4 抵当権の時効消滅
問5 複合的問題(事務管理+善管注意義務)
問6 抵当権(法廷地上権の成立)
問7 債権譲渡(特約の効力)
問8 賃貸借(原状回復費用の徴収方法)
問9 相殺(債権と損害賠償請求債権の相殺)
問10 相続(共同相続人に対する請求権)
出題の順番はともかくとして、私の予想通りに出題されたのは5問(赤色表示)でした。
補助的に学習をオススメしていた個所からの2問(青色表示)を合わせると、トータルで7問が的中しています。
得点目標が4問以上ですから、予想を信じて学習した人は、充分に達成できたはずです。
記事中で「追加的に勉強しておくと良い」としていた個所からの出題を考慮すると、全体としては70%前後の的中率と言えるのではないかと思います。
このサイトでヤマを張った人に貢献できて一安心ですね。(笑)
その他の分野についても、「宅地建物取引士試験の配分と出題傾向を徹底分析」の記事中でご紹介している通りに構成されていたと思います。
50問全体で見れば、試験内容の構成については80%以上の的中率だったと思います。
当サイトで独学していた人は、合格点に到達できたのではないでしょうか。
2019年度出題予想
2019年度は、以前よりも民法を得点源とする必要性が増すことになります。
この理由は、予想記事で詳しく説明しますが、間違いない傾向となるはずです。
2019年度のピンポイント予想については、相続法の改正等も絡んできます。
詳細を掴んでおきたい方は、HPにあるパスワード発行記事をご覧ください。
予想記事
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2019年度 宅建試験のピンポイント出題予想
宅建の試験で出題されている民法の出題傾向を中心に、当サイトで独自の分析をしてみました。 宅建民法の優先順位に迷う人は、まずこれを読んでから予定を組むと良いと思います。 直近5年での出題傾向を詳しく分析 ...
まとめ|テキストの紹介
今回の記事で説明した通り、民法はある程度の切り捨てをした方が効率的です。
行政書士や司法書士での受験経験がある人等は別として、法律初心者には攻略が難しい分野だと考えるのが得策です。
私の無料テキストは、このようなコンセプトで作成されています。
民法のテキストは、今回ご紹介した出題予想の部分から、優先的に作成していきます。
無料テキストは、HPにリンクを設置していますのでご自由にお使いください。