独立行政法人住宅金融支援機構についての無料テキストを作成しました。
宅建の試験では、独立行政法人住宅金融支援機構についての設問が毎年出題されています。
過去問の抜粋を交えながら、1問獲得に必要な情報を分かり易く説明していきたいと思います。
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住宅金融支援機構とは
国民が住宅ローンを利用しやすくなれば、住宅を購入しようと考える人が増えます。
住宅購入者増加による経済効果は大きいですから、国としても応援したいところでしょう。
しかし、ローンの審査基準を甘くするわけにはいかないので、減税や控除枠の新設等で支援するのが常套手段でした。
それに加え、低い金利で長期固定できる住宅ローン等を政府がサポートするのはどうか、ということで誕生したのが住宅金融支援機構です。
住宅金融支援機構の誕生によって、フラット35の利用者数は大幅に増加する結果となりました。
また、住宅金融支援機構は、災害復興建築物向けの貸付業務等に貢献する目的もあります。
このような、政府のサポートによる長期の固定優良金利の実現には、色々なルールや仕組みが必要です。
それを定めているのが、独立行政法人住宅金融支援機構法です。
第4条では、この法律の目的を以下のように定めています。
一般の金融機関による住宅の建設等に必要な資金の融通を支援するための貸付債権の譲受け等の業務を行うとともに、国民の住生活を取り巻く環境の変化に対応した良質な住宅の建設等に必要な資金の調達等に関する情報の提供その他の援助の業務を行うほか、一般の金融機関による融通を補完するための災害復興建築物の建設等に必要な資金の貸付けの業務を行うことにより、住宅の建設等に必要な資金の円滑かつ効率的な融通を図り、もって国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする
業務内容
住宅金融支援機構の業務内容は、意外にたくさんあります。
できるだけ簡略化して列挙し、重要部分を赤文字にしておきます。
全体像を理解しておくために、ざっと内容を見ておきましょう。
- 金融機関の貸付債権の譲受け
- 特定債務保証(有価証券に係る債務の保証)
- 信託の受益権の譲渡
- 住宅融資保険法による保険業務
- 住宅に関する情報提供と相談業務
- 災害復興建築物のための貸付
- 災害予防関連工事への貸付
- 合理的土地利用建築物に関する貸付
- マンション共用部分の改良資金の貸付
- 子供・高齢者に適した賃貸住宅建設資金の貸付
- 高齢者の為の住宅改良資金の貸付
- 高齢者向け住宅の購入資金の貸付
- 保険金等による債務の弁済業務(団体信用生命保険)
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証券化とは?
事業資金の調達には、社債、株式、事業用融資等、色々な方法がありますよね。
証券化もその一つで、投資家から資金を集める為の仕組みです。
証券化によって、住宅ローンで貸すためのお金を確保できるという事です。
投資家達は、お金を増やすことを目的として投資を行います。
ですから、彼等にお金を出させるには、「得」になる可能性が高い金融商品にする必要があります。
では、証券化の具体的な流れを見て、その仕組みを理解していきましょう。
買取型の証券化業務
住宅金融支援機構は、一般の金融機関が個人に貸した長期固定の住宅ローン債権を買い取ります。
これが、貸付債権の譲受です。
銀行側は、機構側がリスクを負ってくれるので、長期固定ローンを貸出しやすくなります。
機構側は、譲り受けた債権を、外部に信託して運用します。
つまり、この信託財産を担保に、機構自身が債券を発行するのです。
貸付債権担保住宅金融支援機構債券(機構MBS)という有価証券の事です。
銀行から買った債権の利回りを良くするための運用を委託し、リスクについては機構が負うというものです。
住宅金融支援機構が債務不履行債権の信用リスクを負う形になるので、投資家は安心して投資できる、という仕組みです。
投資家は、ローリスクで債権の利回りを収益とすることが出来ます。
長期金利が上昇すれば、債券利回りが向上して利益が増える可能性も期待できるわけです。
金融機関は、自己資金を減らさずに済みますし、自行で貸し付けるよりもリスクが低いですから、薄利になったとしても十分にメリットがあります。
これが証券化(買取型)の仕組みです。
保証型の証券化業務
証券化業務には、買取型と保証型の2種類があります。
簡単に言えば、担保にする買付債権(住宅ローン債権)を機構で買ったのが買取型で、他の金融機関が買ったものを保証するのが保証型です。
一般の金融機関が自分で証券化した金融商品は、本来なら住宅金融支援機構には関係がないものですよね。
しかし、「住宅金融支援機構が一定の保証をしてあげますよ」と言えば、金融機関も投資家も安心して有価証券を取り扱うことができます。
住宅金融支援機構が、このような保証型のサポートをすることで、長期の住宅ローンを利用できる窓口が増えていくことにも繋がります。
住宅金融支援機構が信用リスクを負うわけですから、金融機関が貸付を行う際には、住宅金融支援機構の住宅ローン審査基準が適用されます。
金融機関は、この基準で契約した住宅ローンが保証してもらえるという事です。
以下に整理しておきますので、ざっと確認しておきましょう。
適合基準
- 住宅の建設若しくは購入のためである
- 申し込み本人、又は親族が住む住宅である
- 建築基準法と、機構が定める技術基準に適合する住宅である
- 一戸当たりの建設費又は購入額が1億円以下である
- 貸付額が8千万円以下である。
- 長期・固定金利の住宅ローンである
※ 金利は、全期間固定で15年以上35年以下
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過去問テキスト
過去問の正解肢を、そのままテキストにして覚えてしまうと効率的です。
数年分を抜粋しておきますので、確認しておいてください。
機構は、子どもを育成する家庭又は高齢者の家庭に適した良好な居住性能及び住居環境を有する賃貸住宅の建設又は改良に必要な資金の貸付けを業務としている。(平成28年度)
機構は、高齢者が自ら居住する住宅に対して行うバリアフリー工事又は耐震改修工事に係る貸付けについて、貸付金の償還を高齢者の死亡時に一括して行うという制度を設けている。(平成27年度)
証券化支援事業(買取型)において、機構による譲受けの対象となる貸付債権は、償還方法が毎月払いの元利均等の方法であるものに加え、毎月払いの元金均等の方法であるものもある。(平成27年度)
元利均等→毎月の返済額が一定になるように調整されるもの。
元金均等→毎月の返済額の内、元金に充てられる額が一定なもの。
元金均等の方は、借金が減るスピードが早いのですが、当初の返済額が高くなります。
機構は、災害により住宅が滅失した場合におけるその住宅に代わるべき住宅の建設又は購入に係る貸付金について、一定の元金返済の措置期間を設けることができる。(平成27年度)
機構は、地震に対する安全性の向上を主たる目的とする住宅の改良に必要な資金の貸付を業務として行っている。(平成26年度)
機構は、市街地の土地の合理的な利用に寄与する一定の建築物の建設に必要な資金の貸付けを業務として行っている。(平成26年度)
機構は、貸付けを受けた者とあらかじめ契約を締結して、その者が死亡した場合に支払われる生命保険の保険金を当該貸付けに係る債務の弁済に充当する団体信用生命保険に関する業務を行っている。(平成25年度)
機構が証券化支援事業(買取型)により譲り受ける貸付債権は、自ら居住する住宅又は自ら居住する住宅以外の親族の居住の用に供する住宅を建設し、又は購入する者に対する貸付けに係るものでなければならない。(平成25年度)
機構は、証券化支援事業(買取型)において、民間金融機関から買い取った住宅ローン債権を担保としてMBS(資産担保証券)を発行している。(平成24年度)
証券化支援事業(買取型)における民間金融機関の住宅ローン金利は、金融機関によって異なる場合がある。(平成24年度)
機構は、証券化支援事業(買取型)において、住宅の建設や新築住宅の購入に係る貸付債権のほか、中古住宅を購入するための貸付債権も買取りの対象としている。(平成24年度)
機構は、経済情勢の著しい変動に伴い、住宅ローンの元金利の支払いが著しく困難となった場合に、償還期間の延長等の貸付条件の変更を行っている。(平成23年度)
証券化支援事業(買取型)において、銀行、保険会社、農業協同組合、信用金庫、信用組合などが貸し付けた住宅ローンの債権を買い取ることができる。(平成22年度)
まとめ|勉強のコツ
この部分の勉強は、住宅金融支援機構がどんな業務を行っているのかと、フラット35の仕組みや審査基準等について覚えるだけです。
たったそれだけで1問獲得できるのですから、私は捨てるのは勿体ないと思います。
それに、売買の仕事に就く人には、必ず役に立つシーンがある知識です。
有力な得点源として、マークしておく価値があるのではないでしょうか。