地価公示法について、宅建独学受験用の無料テキストを作成しました。
本試験では、毎年1問が地価公示法と不動産鑑定評価基準のどちらか一方からランダムに出題されています。
毎年、交互に出題されるわけではない為、両方を勉強しておく事をお勧めします。
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地価公示法
まずは、地価公示法の目的を理解し、どんな法律なのかをイメージするところからスタートしたいと思います。
地価公示法では、正常な土地価格を世に示すために「標準地」という場所を選定させています。
これによって、土地の取引価格の指標を与え、適正な地価形成をさせることを目的としています。
過去問では、この法律の目的について細かい部分を入れ替え、誤った肢として出題されたことがあります。
条文の表現を学び、注意するポイントを絞っておきましょう。
赤文字を意識して読んでおいてください。
この法律は、都市とその周辺地域の標準地を選定し、その正常な土地価格を公示することによって、一般の土地の取引価格に指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与する事を目的とする。(第1条)
地価公示法では、土地の取引を行う者は、取引の対象となる土地に類似する標準地の公示価格を指標として取引するように努めなければならないと定めています。
また、不動産鑑定士、公共事業、土地収用の補償金については、公示価格を基準としなければならないと定めています。
標準地の選定区域と鑑定
標準地は、土地鑑定委員会が都市計画区域で土地取引が多そうな場所から選び、毎年1回その正常な価格を公示します。
標準地野鑑定方法についても定めていますので、条文で重要箇所をチェックしておきましょう。
土地鑑定委員会は、都市計画法に規定する都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域(国土利用計画法により指定された規制区域を除く)内の標準地について、毎年一回、国土交通省令で定めるところにより、二人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行って、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示するものとする。
【平成18年 出題肢】
標準地の正常な価格は、土地鑑定委員会が毎年1回、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行って判定し公示される。
補 足
地価公示の対象となる地域の事を、公示区域と言います。
公示区域には、市街化調整区域や都市計画区域外の土地でも対象にできます。
土地取引が相当程度見込めればいいわけです。
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正常な価格
標準地の「正常な価格」とは、土地について、自由な取引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格をいう。
(土地に建物その他の定着物がある場合又は当該土地に関して地上権その他当該土地の使用若しくは収益を制限する権利が存する場合には、これらの定着物又は権利が存しないものとして通常成立すると認められる価格)
補 足
定着物、地上権、その他権利等がある場合、それらが存在しない場合を想定した価格が正常価格という事です。
標準地の選定
地価公示の手続きについて定めている条文を読んで、間違った問題文を見抜けるようになりましょう。
赤文字のポイントを重点的に意識して読んでおいてください。
標準地は、土地鑑定委員会が、国土交通省令で定めるところにより、自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地について選定するものとする。(第3条)
【平成25年度 出題肢 】
標準地は、土地鑑定委員会が、自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められ、かつ、当該土地の使用又は収益を制限する権利が存しない一団の土地について選定する。(×)
土地の使用や収益を制限する権利等については条文にありません。
このように、余計な情報を追加するパターンがあることを意識しましょう。
また、「類似の」の部分を「同一の」といった表現に変える等のパターンも想定しておくことが勉強のコツです。
不動産鑑定士の評価基準
不動産鑑定士が標準地の鑑定評価を行うときは、国土交通省令で定めるところにより、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案してこれを行わなければならない。(第4条)
【平成18年 出題肢】
標準地の鑑定評価は、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案して行わなければならない。
このように、ほぼ条文の通り、正解肢として出題されています。
近傍類地とは、近くにある似た土地の事です。
近くの似た土地で、取引価格・地代・造成費用の3つを勘案することを覚えておくと良いと思います。
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標準地の公示
土地鑑定委員会は、標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、速やかに次に掲げる事項を官報で公示しなければならない。
- 標準地の所在の郡、市、町村、及び字並びに地番
- 方馴致の地積及び形状
- 標準地及びその周辺の土地の利用の現況
- その他国土交通省令で定める事項
土地調査委員会は、公示をしたときは、速やかに関係市町村の長に対して、公示した事項のうち当該市町村が属する都道府県に存する標準地に係る部分を記載した書面及び当該標準地の所在を表示する図面を送付しなければならない。
関係市町村の長は、政令で定めるところにより、前項の図書を当該市町村の事務所において一般の閲覧に供しなければならない。(第7条)
【平成3年 出題肢】
地価公示は、毎年1月1日時点の標準地の単位面積当たりの正常な価格を公示するものであり、この公示価格は官報で公示されるほか、関係市町村の一定の事務所において閲覧できる。
公示価格の効力
条文のまま出題される可能性が高い法令なので、簡素化しながらも、なるべく条文に忠実に記載していきます。
不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示された標準地の価格(公示価格)を規準としなければならない。(第8条)
土地収用法、その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者は、公示区域内の土地を当該事業の用に供するため取得する場合において、当該土地の取得価格を定めるときは、公示価格を規準としなければならない。(第9条)
土地収用法の規定により、公示区域内の土地について、当該土地に対する事業認定の告示の時における相当な価格を算定するときは、公示価格を規準として算定した当該土地の価格を考慮しなければならない。
規準の意味
「公示価格を規準とする」の意味は、対象土地の価格を求めるに際して、当該対象土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる一又は二以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因についての比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせることをいう。(第11条)
要するに、標準地と似た土地を1つ探して諸要因の比較を行い、似た土地が2つ以上ある時はそれも比較し、その比較結果を公示価格と均衡を保つようにすることです。
まとめ|勉強のコツ
地価公示法の本試験問題では、条文の一部を変化させ、それに気付くかを試すような形式が多く見られます。
間違っている個所が判別できるように、やや条文重視での勉強をするのがコツです。